扉守 の商品レビュー
「潮の道」で起こる不思議で静かな短編集。 第1回広島本大賞受賞。 読んでいると優しい気分になる。 表紙に惹かれて読んだけど、読み終えて表紙を見てみると秀逸。 「桜絵師」「旅の編み人」とか好き。
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伯母の営む小さな飲み屋で 代々守っているという不思議な井戸を見せられる 「帰去来の井戸」 場所が語る物語を芝居にする劇団「天音」の今度の公演は 解体作業中に怪現象が起こるお屋敷を舞台とする 「天の音、地の声」 クラスメイトや母に対して逆らえずにいた雪乃が 突然気の強い物言いが出来...
伯母の営む小さな飲み屋で 代々守っているという不思議な井戸を見せられる 「帰去来の井戸」 場所が語る物語を芝居にする劇団「天音」の今度の公演は 解体作業中に怪現象が起こるお屋敷を舞台とする 「天の音、地の声」 クラスメイトや母に対して逆らえずにいた雪乃が 突然気の強い物言いが出来るようになる 「扉守」 美しい絵の中に男の人を見た早紀は その絵の中に入り込んでしまう 「桜絵師」 独身の祥江は家庭の愚痴を言う晃代をうとましく思い 思いつめているところを美青年から写真に撮られる 「写想家」 編み物作家のバッグから飛び出した靴下を追いかけて 町内を案内する羽目になる 「旅の編み人」 幻のピアニストと呼ばれる零と専属調律師の柊に ずっと家で鳴らないピアノを直してもらう 「ピアニシモより小さな祈り」 装画:丹地陽子 装丁:大久保明子 大地を流れる力が強い潮ノ道と そこにある持福寺の住職、了斎の元を訪れる様々な人々による 不思議な連作短編集です。 遠い地で死んでも最後にこの地へ帰ってこられる力、 場所の持つ記憶を読み取る力、 他の世界への扉を開く力、 無念の死を遂げたものを慰める絵を描く力、 人の持つオーラを写し取る力、 毛糸に限らず全てのものを編んでしまう力、 ピアノに語りかけ、最高の音を奏でる力。 実在のアーティストさんからインスピレーションを得ているところも 大きいようなのであとがきから新しい世界が広がるかもしれません。 あと舞台が尾道なので出身者はまた違った読み方ができそう。
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広島県の尾道を舞台に繰り広げられる短篇物語。帰去来の井戸の伝説や古い洋館に宿る妖怪畳たたきの話など・・・・不思議な存在と人間の存在のコラボレーションをみごとに描かれた,ホッとする読み物でした。
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その水を飲めば必ず潮ノ道に帰ってこられる。戻れない時は・・・。おばが護り続けた井戸の不思議を知った由布は・・・「帰去来の井戸」 奇怪な現象が起こるお屋敷と、ちょっと変わった旅劇団・・・「天の音、地の声」 潮ノ道にまぎれこんでしまった〈この世のほかのもの〉。彼女はその地に同...
その水を飲めば必ず潮ノ道に帰ってこられる。戻れない時は・・・。おばが護り続けた井戸の不思議を知った由布は・・・「帰去来の井戸」 奇怪な現象が起こるお屋敷と、ちょっと変わった旅劇団・・・「天の音、地の声」 潮ノ道にまぎれこんでしまった〈この世のほかのもの〉。彼女はその地に同類を見つけ、とりついた少女・雪乃を使って接近したが・・・「扉守」 潮ノ道の持福寺にやってきた絵師・行雲。彼が描いた絵の中に、動く人影を見た早紀は・・・「桜絵師」 子育てに疲れた主婦の友人からの愚痴メール。そのやり取りのうちに心に育てしまった赤黒い感情。そんな祥江に近づいたのは怪しげなカメラマンで・・・「写想家」 ピンクの羽を広げるように、飛び去ってしまった赤ちゃんの毛糸の靴下。それを追うのは気難しくて恐ろしく腕の良い編み物職人で・・・「旅の編み人」 ある時を境に鳴らなくなってしまったピアノ。知る人ぞ知る天才ピアニストと彼専属調律師の二人組は、その歌声を取り戻すことができるのか・・・「ピアニシモより小さな祈り」 尾道をモデルとした〈潮ノ道〉 そこを舞台にした独特なファンタジー短編集7編。 光原さんらしい、不思議で爽やかで心に沁みわたる作品ばかりでした。 「桜絵師」と「ピアニシモより小さな祈り」がお気に入り。 特に、 「~思いきり歌うがいい。歌を愛する者が増えるように。~中略~それがこの世界の片隅で、ピアニシモより小さい音でしかなくとも、沈黙に比べれば限りなく大きな力を持つ」 ってセリフが胸に残りました。 こういう雰囲気の作品をもっと読んでみたいなーと思っていたら、どうやら作者ご本人もこれをシリーズ化されるおつもりのよう。 気長に待っていますので、ぜひとも書き続けていただきたいです♪
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心やさしいお話たち。ただ、ずうっと昔友人の弟くんが言った、『人に‘いい’人、‘わるい’人ってないんだよ。』という言葉が思い出された。例えば、「扉守」の雪乃の今までの友だちも、きっとそんなに悪くないにのだろうな。彼女たちと一緒でも楽しいことだってあったのだろうに、と思ってしまうので...
心やさしいお話たち。ただ、ずうっと昔友人の弟くんが言った、『人に‘いい’人、‘わるい’人ってないんだよ。』という言葉が思い出された。例えば、「扉守」の雪乃の今までの友だちも、きっとそんなに悪くないにのだろうな。彼女たちと一緒でも楽しいことだってあったのだろうに、と思ってしまうのであった。
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瀬ノ道を舞台に繰り広げられる幻想的な物語。 この街には「不思議」な力を引き寄せる何かがある。死者が舟に乗って帰ってきたり、声なき者の代わりに声を伝える摩訶不思議な劇団があったり…、美しい絵の中に吸い込まれたり、妖怪に女の子が取り憑かれたり…、などなど。 優しい雰囲気に包まれたファ...
瀬ノ道を舞台に繰り広げられる幻想的な物語。 この街には「不思議」な力を引き寄せる何かがある。死者が舟に乗って帰ってきたり、声なき者の代わりに声を伝える摩訶不思議な劇団があったり…、美しい絵の中に吸い込まれたり、妖怪に女の子が取り憑かれたり…、などなど。 優しい雰囲気に包まれたファンタジーでした。 舞台の瀬ノ道が綺麗な描写で丁寧に描かれています。(モデルは尾道です) 物事の怪奇現象も、どこか優しくふんわりとした幻想的な雰囲気を内包していて、その世界観についうっとりしました。 こういう切なくて優しい、儚げなファンタジー小説は大好きです。 特に劇団が演じた声なき物語にはうるっときました。 ですが、一つだけ。 やっぱり小説で描かれる広島弁って微妙だと思います。 自分が広島に住んでいることもあって、広島弁には馴染みがあるはずなのですが…。 無意識に使っているものを意識的に取り上げられるとどうしても違和感がありますね。生粋の広島弁を使う女子大生、いないこともないですが、過剰表現な気はします。 雰囲気を出すため意図的に使用したものだと思いますが、ハッキリ言って、現代風味な広島弁じゃない気がして、私は好きじゃなかったです。 (でも広島っていう雰囲気は出てたからそれはそれでよかったのかなぁ) …この小説を読むと、なんだか尾道に行ってみたくなります。 今度の春休み、旅してみようかなぁ。
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図書館で借り。 表紙を見て気に入り借りてみました。 おぉぉぉ!よいねぇ! 雰囲気とか大好き。
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憧れの地、尾道。行きたいぁ・・・。 光原さんの文字は繊細で綺麗だな。 続編が出ることを祈っています。ピアニシモより小さな祈りで。
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扉守。この単語だけでそそられるものがあると思いませんか。そして「夜市」を連想したのはわたしだけではない、はず… しかしきっちり光原さんでした! いやそうとしか言いようがないんだもの… 短編連作です。
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1話目を読んで、淡い幻想的なお話だな、と思ったのですが、読み進めるにつれて“淡い”どころかかなり“濃い”キャラクターも登場し、でも全体としてはしっとりとしたファンタジーといった感じの連作集。 舞台となっている「潮ノ道」は、尾道をモデルにしているということで、私は尾道を訪れたことは...
1話目を読んで、淡い幻想的なお話だな、と思ったのですが、読み進めるにつれて“淡い”どころかかなり“濃い”キャラクターも登場し、でも全体としてはしっとりとしたファンタジーといった感じの連作集。 舞台となっている「潮ノ道」は、尾道をモデルにしているということで、私は尾道を訪れたことはないのに、それでもどこか懐かしく感じました。 時間に置き忘れられたような街の中で、ひっそりと人ならぬものが息づいている様子を思い描くと、ドキドキしちゃいます。 時間はかかりそうですが、続編を書く意欲はお持ちのようなので、楽しみにしています。 できれば本書に登場した人たちのその後なんかも描かれるといいですね。
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