月桃夜 の商品レビュー
ファンタジーはちょっと苦手かなと思いながら読み始めましたが、予想以上に面白くあっという間に読んでしまいました。物悲しい話でしたがあらためて日本の歴史に目を向けることが出来ました。
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2022年5月17日 予想外のおもしろさ。 フィエクサとサネン 茉莉花と兄 兄を慕う気持ちがフィエクサを招いたのかもしれない。 まるで奴隷のヤンチュ ヤンチュの子のヒザ 普通の人も簡単に身を持ち崩しヤンチュになる奄美大島。 砂糖黍の仕事は過酷だ。 神の宿る山、魂マブリがさすらう海...
2022年5月17日 予想外のおもしろさ。 フィエクサとサネン 茉莉花と兄 兄を慕う気持ちがフィエクサを招いたのかもしれない。 まるで奴隷のヤンチュ ヤンチュの子のヒザ 普通の人も簡単に身を持ち崩しヤンチュになる奄美大島。 砂糖黍の仕事は過酷だ。 神の宿る山、魂マブリがさすらう海 自然の中にこの世とあの世が混在している。 兄妹愛は哀しい。惹かれ合い男女の愛になっていく。自分の意思でどうこうできるものでなくなってしまう。 その愛は犠牲ではなく、真実と悟り、また生きようと茉莉花は決心できる。
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この作品が、日本ファンタジーノベル大賞受賞作だということを、読み終わった後に知ったが、内容には、すごく生々しいものを感じました。 奴隷のような身分制度がある、「フィエクサ」と「サネン」の物語(たぶん江戸時代)は、やはり読んでいて辛いものを感じたが、それでも自分の信念や生き方を貫...
この作品が、日本ファンタジーノベル大賞受賞作だということを、読み終わった後に知ったが、内容には、すごく生々しいものを感じました。 奴隷のような身分制度がある、「フィエクサ」と「サネン」の物語(たぶん江戸時代)は、やはり読んでいて辛いものを感じたが、それでも自分の信念や生き方を貫いた様は、矛盾していたり、我が儘に見えたりもするが、きっちりと厳格な神とは対照的に、曖昧で平気で考え方が変わったりする、狡さのようなものも感じられるが、それだからこそ、より人間らしく感じられ、私には汚くも美しく見えた。 ただ、その話に影響される「茉莉香」の物語が、やや突拍子で現実感が薄く、ちょっとフィエクサのエピソードと上手くリンクしてないかなと思いました。
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遠田潤子さんデビュー作。 当然、私も本作を初めて読んで、出会った。 ファンタジーノベル⁉︎………とんでもない。 でも、この作品が出されたら、脇に置くことはできなかったでしょう。 あまりにも前に読了したので、細かいことは書けないけれど、とにかく衝撃的な力で、読書を中断しても頭の...
遠田潤子さんデビュー作。 当然、私も本作を初めて読んで、出会った。 ファンタジーノベル⁉︎………とんでもない。 でも、この作品が出されたら、脇に置くことはできなかったでしょう。 あまりにも前に読了したので、細かいことは書けないけれど、とにかく衝撃的な力で、読書を中断しても頭の中がぐるぐるとこの作品世界に塗り潰され、苦しいままで最後まで読まされた。 読み始めると離れられない、この人の作品の魅力がはっきり刻まれた。
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元々ファンタジー作品が苦手でほとんど手に取らない。 帯コピーに惹かれ図書館で借りて読み始めたら、鳥が喋る…無理かも、、と思いつつ読んでいくうちに、いやそんなファンタジーなどと片付けられない深い作品だった。 折しも大河の西郷どんで舞台になる中、薩摩と琉球の狭間で揺れ、独特の制度が残る奄美大島。特にこの作品は奴隷ともいえるヤンチュ、ヒザの扱いが苛酷に描かれ、このような悲しい歴史があったことを知らず驚いた。 フェイクサのサネンに対する想い、兄、男を超えた大きなものがある。子どもから少年少女、青年、大人に育っていく過程は男女ともに目をみはる美しさがある。 サネンに思い描く通りの針突を入れたら、どんなにか美しい女性になっただろう。 現代版の方は設定が少し曖昧だが、たまに出てくる場面としては程よく、フェイクサの語りが力強く感じられ、良かった。
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奄美大島の沖の海、カヤックに乗った少女・茉莉香がパドルを失い、海を漂っているところから物語が始まる。そこにやって来た鷲一羽。言葉を話すその鷲は、フィエクサと名乗り、自身の昔話を始める。 奄美の過酷な労働者だったフィエクサの置かれていた状況、そんな中、父を亡くし、一人になった少女サネンの面倒を見ることになったこと、サネンとの暮らし、人の温かさを感じ、サネンを妹として守り生きていこうと山の神に誓ったこと、この事が後に二人の未来を左右することになる。もの悲しい話だったが、生きる気力を亡くしていた茉莉香がフィエクサと話すことで生きる気力を取り戻し、フィエクサもいつかサネンと逢えると未来への希望をもって終わったのがよかった。
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不思議な本でした 生まれは選ぶことができない 運命に流される・受け入れる シマンチュ・ヤマトンチュ 奄美・薩摩 藩・幕府 搾取する者されるもの 考えるとうんざりする どこかに頼らないと生きていくのは難しい あこがれだけで生きていくのは難しい でもどんな状況でも人はなにか希望を見つけて生きている 岩樽という人が最後に魅力的に描かれていたのが印象的
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「雪の鉄樹」で圧倒的な筆力に引き込まれた遠田さんのデビュー作。 日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品なので、鷹が喋るとか、山の神様が登場したり、幽霊が出てきたりとファンタジー要素がふんだん。 だけど、ファンタジー苦手の私でも、思ったほどそこは気にならなかった。 ただ、どうしても主人公のフィエクサにもカヌーで漂流する少女に対して全くといっていいほど寄り添えなかった。 妹のサネンは健気でかわいかったが、フィエクサの妹への愛が、どうしても自分勝手な感情にしか思えなくて、もう、サネンの幸せを邪魔しているようにしか見えなかったから・・・ サネンを気に入った薩摩から来たお役人、正木様がとてもいい人で、そちらに感情移入してしまってもう後半はフィエクサが鬱陶しくてならなかった。 自己弁護と、自己憐憫・・・結果、みんなを不幸にしたフィエクサ・・・ あ~こんな読み方しちゃいけないんだろうな~と思いながら、兄妹の禁断の恋に胸を痛めることもなく、「ハン?」といった感じで読了。
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さすが、ファンタジーノベル大賞。 重いし残酷だけど、光の射す方向が確かにあることも (全編を通して)不思議と感じながら読み進んだ。 そして、全然知らなかった奄美の歴史。。。
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薩摩藩から徹底的に圧政をしかれる奄美大島の砂糖きび労働者、死を求めてシーカヤックで奄美の海をさまよう若い女性。200年前と現在の奄美を舞台に、兄と妹の哀しい物語が繰り広げられる。 俺は女兄弟おらんのだけど、妹に懸想するってのはちょっと考えられない。でもまぁないわけでもないんだろうなぁ。ついこないだまでオカマだのレズだのと差別してきたジェンダーフリーも、今は恋愛の形として受け入れられつつあるわけで、近い将来タブーとされてきた近親愛もオープンになってくるのかなぁと思ったり。 これほど自然かつ濃密に神や精霊が登場する小説ってのも珍しい。山には山の神様がいるんだろうなぁ、現代でもそういう神様はきっといる。俺も趣味で山に入るわけだけど、そういう神精霊方への敬意とか畏れってのは忘れずに持っておきたいと思う。 哀しいけど美しい物語である。
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