なぜ若者は保守化するのか の商品レビュー
雑誌の連載をまとめたものなので、タイトルの内容をずっと貫いているわけではない。一つ一つのトピックは参考になるし、筆者の主張は強く伝わってきて分かりやすい。
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言いたいことはわからなくはないが、現状の社会問題を羅列しただけという印象は否めず、社会的不安がどのように「保守化」というイデオロギーに繋がるかまでは論理的に解説できていない感を覚える。不安の揺り戻しから来る安定の追求という一般的な説だけでは、現状の国内状況を説明するには弱い。
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題名は若者論のように見えながら社会構造が硬直的であることを指摘・警鐘を鳴らす家族社会学に止まらない政治学の本である。日本社会に限らず、少子化が世界的に進行しているが、その原因である若者のニート・フリーター化、独身パラサイト族の増加。それはかつてマスコミが持て囃していたものだという...
題名は若者論のように見えながら社会構造が硬直的であることを指摘・警鐘を鳴らす家族社会学に止まらない政治学の本である。日本社会に限らず、少子化が世界的に進行しているが、その原因である若者のニート・フリーター化、独身パラサイト族の増加。それはかつてマスコミが持て囃していたものだという。結婚のための活動が必要になった「婚活」についての説明は提唱者であるだけに迫力がある。小泉改革の直後に書かれた本であるが、今でも新鮮である。小泉氏の既得権をぶっ壊すとの主張に熱狂した若者たち。決して格差拡大をしたわけではなく、それ以前からの傾向だったが、熱狂が冷めると、ますますその傾向が強まっていたというのはその通りだと思う。怒りのぶつけようのない2008年の一斉休漁デモとしてフランス・日本他世界の漁民たちの燃料高騰への抗議行動のことが出てくる!これは誰を訴えるものでもなく、悲劇でしかない。このようなやるせなさがいたるところで増えてきているように思う。
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雑誌連載のまとめなので同じことを何回も言っているのが少しくどく感じられた。しかし、若者の問題は若者の態度の問題ではなく制度の機能不全という考え方には賛成する。オランダの失業した若者が「政府を信頼していますから」と言ったというのは、日本で育った私にとっては驚くことである。読むほどに...
雑誌連載のまとめなので同じことを何回も言っているのが少しくどく感じられた。しかし、若者の問題は若者の態度の問題ではなく制度の機能不全という考え方には賛成する。オランダの失業した若者が「政府を信頼していますから」と言ったというのは、日本で育った私にとっては驚くことである。読むほどに希望が持てる社会を作るのは難しそうだと思ってしまう(という感じ方も希望が持てない若者を体現しているかもしれない)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
終身雇用への賛成(安定志向)や、「男は仕事、女は家庭(性役割分業)」というような価値観への賛成といった、およそかつての社会における若者像とは違った若者の特徴がみられるといいます。 それはつまるところ、経済環境を中心とした社会の変化に対して、広い意味での制度(政策や新卒一括採用などの慣行など)が対応して変化すべきなのにそうなっていないところによる。 ということで、そういった様々な制度の話が問題として書かれています。話題は、教育、労働、結婚、年金などなど。 現実と制度のズレが出てきた結果、若者は保守化することでそれに対応している。働いていても生活が厳しい若者の女性は、「女は家庭」に賛成を示す。 保守化自体が問題というよりも、保守化の原因となっている社会と制度のズレが、やや悲観的な未来像を描き出しているということ、そこに答えを見出すのは容易なことではありませんが、問題を見つめる入門書として、分かりやすい本だと思います。
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「パラサイト」や「婚活」という言葉を作り出した社会学者、山田昌弘さんの本。東洋経済のコラムをまとめたもので、最近よく「若者が保守化してる」と聞くけど、その背景と問題点を解説している。コラムだっただけに各トピックが独立していて読みやすかった。 社会学の先生たちがよく言う「批判的に読...
「パラサイト」や「婚活」という言葉を作り出した社会学者、山田昌弘さんの本。東洋経済のコラムをまとめたもので、最近よく「若者が保守化してる」と聞くけど、その背景と問題点を解説している。コラムだっただけに各トピックが独立していて読みやすかった。 社会学の先生たちがよく言う「批判的に読め」という言葉に従って読もうとしたけど、なるほどーとばっかり思ってしまう…強いていうとしたら、山田さんが別の著書でも繰り返し言っている「独身女性の理想の男性像は上がっている。それが未婚、晩婚、さらに少子化につながる。なのに政府はそれを隠しているし、そこを無視して少子化対策は成功しない」という内容。もちろん、自分の給与に自己実現を求めない結婚願望独身女性は、夫の収入に頼りながら、自分の趣味や子育てで自己実現したいんだし、社会が不安定だからこそ経済的な安定を求めるんだから、理想は上がるのは仕方ない。それに対して政府がどう対処すべきというのだろう? 海外の成功事例などを紹介しているものの、日本政府は増税ひとつでもてんやわんやなのに、ヨーロッパ並みの大幅な改革は望めないだろう。だからこそ、社会学者としてもう一押し社会への具体的提言がほしかった。
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人口減社会を甘く見てはいけない。政府はもっと危機感を持って、有効な対策を打ち出すべきだと感じた。今の軟弱で信頼の欠けた政府には正直何も期待できないが…
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新卒主義、年功序列、転職市場の低流動性など若者の保守化はイカンとは言っても社会構造上日本の若者は保守化せざるをえないだろう、という思いは普段から思っていたのでこの本を読んでスッキリした。 結婚に関しても、非正規雇用者やフリーター、パートなどは若年層で顕著であり賃金の世代間格差...
新卒主義、年功序列、転職市場の低流動性など若者の保守化はイカンとは言っても社会構造上日本の若者は保守化せざるをえないだろう、という思いは普段から思っていたのでこの本を読んでスッキリした。 結婚に関しても、非正規雇用者やフリーター、パートなどは若年層で顕著であり賃金の世代間格差が広がっている現状、若者の結婚がリスク化している感は否めない。結婚して生活レベルが下がるのならそりゃしないわけで。 けど閉塞感が高まっている社会でも、山田さんが言っているように努力が少しでも報われるような社会システムを目指さなければ希望を持てない若者が量産されてしまう。
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週刊東洋経済のコラムの記事をまとめたもの、著者は、家族心理学(社会学)が専門で、パラサイトシングルなどの造語でも有名な人。 基本は連載記事なので、保守化するのかというよりも、連載時期(小泉郵政選挙~民主党政権誕生)の時の、施策と実際の状況のギャップを投げていることが多い。結局は...
週刊東洋経済のコラムの記事をまとめたもの、著者は、家族心理学(社会学)が専門で、パラサイトシングルなどの造語でも有名な人。 基本は連載記事なので、保守化するのかというよりも、連載時期(小泉郵政選挙~民主党政権誕生)の時の、施策と実際の状況のギャップを投げていることが多い。結局は、高度経済成長時代のモデルをどこかで維持してしまっているために、若者が夢をなくして生活することでしかできなくなってきている現状が描かれている。 何とかならないものかといろいろと考えますが、答えは出ておりません。
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婚活という言葉を産み出した社会学者。結論を出せない社会学の弱点は見えるものの指摘が的確。結局は保守化せざるを得ない社会環境になっているという点に納得。
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