円朝の女 の商品レビュー
明治維新前後を生きた名高い落語家 三遊亭円楽と、彼に関わる女性達との逸話を円楽の弟子の回想録として描いた。 チャキチャキの江戸弁で語られていてリズム良く読めた。 私は円楽については名前以外全く知らなかったが、女性に弱く愛嬌があって、噺家として当然だが話がうまく、落語を創作するだけ...
明治維新前後を生きた名高い落語家 三遊亭円楽と、彼に関わる女性達との逸話を円楽の弟子の回想録として描いた。 チャキチャキの江戸弁で語られていてリズム良く読めた。 私は円楽については名前以外全く知らなかったが、女性に弱く愛嬌があって、噺家として当然だが話がうまく、落語を創作するだけあって人の心を読み理解する 感性の鋭い男性なので、確かに女性にもてるだろうと思った。女性に「なめられてやる」器の大きさが愛される所以かなと思った。
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幕末から明治に活躍し、落語中興の祖として有名な初代三遊亭 円朝の話。弟子の円八が円朝と彼にまつわる女たちについて聞き手に語っている形式。 落語のことはたいして知りもしなかったけれど、雲田はるこさんの『昭和元禄落語心中』を読んでちょっと興味が湧き(時代が随分違うけれど)、単純な私...
幕末から明治に活躍し、落語中興の祖として有名な初代三遊亭 円朝の話。弟子の円八が円朝と彼にまつわる女たちについて聞き手に語っている形式。 落語のことはたいして知りもしなかったけれど、雲田はるこさんの『昭和元禄落語心中』を読んでちょっと興味が湧き(時代が随分違うけれど)、単純な私は積読のこの本にようやっと手を付けたしだい。 円朝さん、Wikipediaで読む限りすんごい御仁だったのですね。若い頃モテたこの方、そのすごいお仕事もさらっと語られつつ、ここでは5人の女性、武家の娘・花魁・子まで為した元円朝の追っかけ・元売れっ子芸者・亡くなった芸人の忘れ形見の娘をそれぞれメインに短編の形でスポットを当てています。円八の語りは噺家らしくスッと頭に入って分かりやすい。円朝の伝記のようなもので物語のような大きな事件は別にない。現代の落語家とはまた格が違うようだし、意外にも歴史上のセレブの名前もポロッと出てきたり。 あくまで男視点からの女性の動向、そして円朝さんの心持ちは本当のところ円八の語りとは別のところだったのかもしれませんが、深いところはいつの世も男と女は同じだな~とこれまた単純ですが思いました。円朝メインもしくは主観の話も読んでみたいです。
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吉原手引草もそうだったが,語り口調ですすめていく今朝子さんの小説はとても読みやすく,するすると頭に入っていく。これは作者がお芝居に通じていることと関係があるのでしょうかね。松井今朝子作品の中で,語り口調で題材が女であるものにはずれなし!と断言します。
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独特な色気がにじみ出てる話。落語会のスター三遊亭円朝と、その周辺の女たちについての語りは、本当の噺家がしゃべっているかのよう。円朝を取り巻く女たちを詳細に書きながら、江戸から明治へと時代が急激に変化していく様子がよくわかる。 とくに円朝の養女の話が印象的だった。時代の変革期に市井...
独特な色気がにじみ出てる話。落語会のスター三遊亭円朝と、その周辺の女たちについての語りは、本当の噺家がしゃべっているかのよう。円朝を取り巻く女たちを詳細に書きながら、江戸から明治へと時代が急激に変化していく様子がよくわかる。 とくに円朝の養女の話が印象的だった。時代の変革期に市井に生きながら、どうにもならなく惹かれてしまう男と女の思いの強さ、世のはかなさがすごく出ていた話だと思う。
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面白かった。これは、創作ではなく、あるていど実話を丹念に調べ上げて、想像力で肉付けしたかんじなんだろうなぁ。円朝は実在だし、wikiみる限り朝太郎やお里なんかは実名そのままだし。噺家の大名跡、三遊亭円朝の半生を、かかわりのあった女たちを弟子が語るという切り口で、いやあ聞かせるし泣...
面白かった。これは、創作ではなく、あるていど実話を丹念に調べ上げて、想像力で肉付けしたかんじなんだろうなぁ。円朝は実在だし、wikiみる限り朝太郎やお里なんかは実名そのままだし。噺家の大名跡、三遊亭円朝の半生を、かかわりのあった女たちを弟子が語るという切り口で、いやあ聞かせるし泣かせるね。「読む」より「聞く」という体感に近いくらい、ずっと一人称の八っつあんの語りを聞き入るうちに、円朝と縁ある女たちの生き様に惹き込まれていく。お江戸の語りってのぁ耳障りがいいやね。なんか影響されるわ。。。惜身(あたらみ)の女、千尋様、玄人の女、花魁長門太夫、すれ違う女、お里、時をつくる女、お幸、円朝の娘、おせっちゃん。どの巻もいいねえ、それぞれに、ひとりの男に関った女の話だけれど、江戸から明治への時代そのものを見せてもらえた。さいごのおせっちゃんの巻きでは、八っつあん、やってくれたねえ、江戸っ子だね!じんわりあったかくなって本を閉じられる見事な構成だと。感嘆。松井さんいいなあ、ほんと読みやすいし、浸み込むなぁ。この方の作品はもう積極的に手にとっていきたい。それにしても、先日セントニコラスで出てきたばかりのマリア・ルス号がまた出てきたり、マンチュリアンリポートでひっかかってた李鴻章がでてきたり、この、日本開国あたりの外交がらみのキイワードが最近よく胸にひっかかる。そのあたりのこと、自分のなかで知りたくなってるんだろうなー。良い本にまた引かれることを願う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
とっても面白かった 帯に載っている、春風亭小朝さんの言葉通り 語りのうまさ・・・絶品! 幕末から明治の時代に生きた大名人落語家 三遊亭円朝 その人に関わる、武家の娘、粋な花魁、 円朝の子供の母親、円朝の妻、円朝の娘 それぞれの女の郷や性が痛々しいくらい それを語る弟子の語り口に、一気に惹き付けられ とっても楽しく読み終わりました
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徳川の治世の終わり、明治の始まりの名人、円朝の女性遍歴をその弟子が語り手となって語る形式の時代小説。「吉原手引き草」「吉原十二月」を読んで面白かったので、松井今朝子祭中。 連作短編の様になってるので面白かった。
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圓朝さんを こんな視点から描く なるほど そういう 描き方があったのやなぁ 落語家の圓朝に興味がある人も 明治の風俗に興味がある人も おもしろい小説に興味がある人も すべての人が楽しめます
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●なーんてテンポのいい文章なんざんしょ! と言うのが最初の感想。 ●幕末から明治にかけて生きた落語の大名人円朝の女たちについて、弟子の立場から歯切れのいい江戸言葉で小気味よく語られる短編集。とあおりどおりに書くがほんまそんな感じ。 この場合、弟子も元噺家なので見てきてような嘘が...
●なーんてテンポのいい文章なんざんしょ! と言うのが最初の感想。 ●幕末から明治にかけて生きた落語の大名人円朝の女たちについて、弟子の立場から歯切れのいい江戸言葉で小気味よく語られる短編集。とあおりどおりに書くがほんまそんな感じ。 この場合、弟子も元噺家なので見てきてような嘘がいっぱいあるよーん☆ と言う意味のおことわりは本文中にあります。 松井さんの並木拍子郎シリーズは、なんか若干重いんだけど、これは無責任?な第3者の視点なので、その分しめっぽさが軽減されてると思う。 直木賞を取った『吉原手引草』よりもこの『円朝の女』の方が完成度は高いと思うが、まあ直木賞は(いちおう)新人賞だから、こっちのがうまくないといかんのだよな。 ●まあ松井作品が好きになった人は、ついでに作者ブログを読んだらいいんじゃないでしょうか。『今朝子の晩御飯』シリーズとして本にもなってるが、私はだいたい最初から見てると思う(&そして時事ネタはスピードが命)なので、あらためて読みはしない・・・・・・・。
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落語が好きなので、円朝の名はしょっちゅう聞くし、円朝の 作品をいつも楽しませてもらっています。円朝の人となりがわかったし、彼を知らなくても楽しめる本だと思います。
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