私の大好きな探偵 の商品レビュー
さくさく読める話。トリックは難しくは無いが面白い。小物の使い方がいい。 「ただ一つの物語」が一番好き。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ふつうに最近刊行された本だと思って何の予備知識もなく読み進め、 時代設定がわりと古めだと感じてはいたものの…まさか昭和の、しかも自分が生まれるよりも前の作品だとは! 読み終わって著者近影を見直すまで気付かなかった。 確かに単語なんかはちょくちょく現在あまり使われないものが出てくる。 けど、センスは少しも、ちっとも古めかしくない。 "児童文学"という感じはするけども、かと思えば動悸付けがわりと生々しかったりもして、とても面白かった。満足。
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“言いかけて兄は、不意に口をつぐんだ。濃い茶色の両眼を、またたきもさせず宙に見張って、じっと息をつめている。 「どうしたの?にいさん。」 「わかったよ。わかった。きっとそうなんだ。」 兄は笑いだした。 「こんなことがわからなかったなんて――。悦子、ちょっと行って民ちゃんを呼んで来...
“言いかけて兄は、不意に口をつぐんだ。濃い茶色の両眼を、またたきもさせず宙に見張って、じっと息をつめている。 「どうしたの?にいさん。」 「わかったよ。わかった。きっとそうなんだ。」 兄は笑いだした。 「こんなことがわからなかったなんて――。悦子、ちょっと行って民ちゃんを呼んで来てくれないか。」 「民ちゃんを?」 「彼女に聞きたいことがあるんだ。僕より悦子の方がいい。早く行っておいでよ。」” あっさりと読める。 見た目凸凹な主人公二人が楽しい。 “「どうですか、事件。」 警部はマユをしかめた。その耳もとに口を寄せて、兄は一言二言ささやいた。警部の顔には、激しい驚きと緊張の色が現われた。ふたりの真剣な表情に気押されて、私は五六歩離れた所にたたずんでいた。長いひそひそ話が終ると、ふたりは初めて私を手招きし、連れだって歩きだした。 クリーニング店の連中は、びっくりした面持で、私たち三人を迎えた。 「やあ、顔がそろいましたな。皆さんは、ここにいてください。わたしはちょっと、フロがまを見せてもらいます。」 家の者にうむを言わせず、警部は奥へはいって行った。兄は黙って立っていたが、その目が、時々ちらりと亮さんの横顔を見やるのを、私は見逃さなかった。杉本警部は、五分ほどで出て来た。 「では、事件について検討したいと考えますから、四人の男性は奥の間へ集まってください。御婦人方は、ここで待っていただくことにして――」 「わたしもここにいなければならないんですか?」 私は直ちに不平を唱えた。これでも事件解決のために、幾分の尽力はして来たつもりなのに、仲間はずれとは承服できない。兄がそばから、 「妹だけ、入れてもらえませんか。こいつは御婦人方なんてがらじゃないですよ。」 と言うと、警部は快く承諾してくれた。”
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読みやすい。本格…というか、プチ本格、みたいな雰囲気。さっぱりとしていて本当に謎解きをしている気がする。もうすこしどろどろしてくれてもいいのに。 2011/2/18
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マイペースな兄と行動的な妹との掛け合いが殺人の血生臭さを忘れさせてくれます。セピア色の昭和の情景を思い浮かべながらどうぞ。
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のっぽでマイペースな植物学者の兄・雄太郎。 ぽっちゃりで好奇心旺盛な妹・悦子。 推理マニアのふたりが行くところ、事件あり。 ほのぼのとした雰囲気の漂う昭和を舞台にしたふたりの事件簿。 「みどりの香炉」「黄色い花」「灰色の手袋」「赤い痕」「ただ一つの物語」5編収録。 これまた温故...
のっぽでマイペースな植物学者の兄・雄太郎。 ぽっちゃりで好奇心旺盛な妹・悦子。 推理マニアのふたりが行くところ、事件あり。 ほのぼのとした雰囲気の漂う昭和を舞台にしたふたりの事件簿。 「みどりの香炉」「黄色い花」「灰色の手袋」「赤い痕」「ただ一つの物語」5編収録。 これまた温故知新。同じくあちこちで目にして気になったので読んでみました。 仁木さんは4歳で胸椎カリエスと診断され、歩行不能の生活を送っていました。 20代半ばから執筆を初め、1957年、第3回江戸川乱歩賞を受賞。 1981年には第34回日本推理作家協会賞短編賞を受賞され、1986年逝去されました。 大井三重子名義で童話も発表されているそうです。 この仁木兄弟は4長編17短編に登場しているらしく、二人が中学生のころから、結婚した後までも活躍が描かれています。 この度は単行本未収録だった「みどりの香炉」をはじめ、編集人の戸川安宣さんおすすめの5編が収録されています。 どれも兄弟のやりとりがほのぼのとしていて、ロジックが美しい、端正な本格でした。 特に気に入ったのは「黄色い花」かな。 植物学者らしい着眼点により真相を看破するところが気に入りました。 「赤い痕」の、事件が陰惨な中にもただようほのぼのさもよかったです。 そして巻末につけられた「昭和30年代・40年代を読み解くキーワード」がとても嬉しかったです。 当時の言葉の解説もですが、特に貨幣価値を現在に換算してくれているのがありがたい! 古い作品だと物の価格や被害金額など書かれていてもいまいちピンとこないのですよね。 「のり一缶380円??」でしたが、今で言うと2000円なのですね。 それは高級のりだわ。 これにより作品世界の理解が確実に深まりました。さすが戸川さん。 気に入ったので、他の作品も追いかけてみようかなぁ~。
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熱いですねえポプラ文庫ピュアフル! 表紙が実にポップ。中高生が手に取り易いですな。 内容は勿論面白い!
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『みどりの香炉』 中学時代。叔父の家から盗まれた翡翠の壺。使用人の部屋から続く残された足跡。鉢植えの謎。 『黄色い花』 留守番のアルバイト中隣家で起きた殺人事件。人間嫌いの男の甥と姪、孤児の使用人。花瓶の黄色い花の謎。 『灰色の手袋』 クリーニング屋から雄一郎に間違った服を持...
『みどりの香炉』 中学時代。叔父の家から盗まれた翡翠の壺。使用人の部屋から続く残された足跡。鉢植えの謎。 『黄色い花』 留守番のアルバイト中隣家で起きた殺人事件。人間嫌いの男の甥と姪、孤児の使用人。花瓶の黄色い花の謎。 『灰色の手袋』 クリーニング屋から雄一郎に間違った服を持ってこられた悦子。クリーニング屋に行くと窓がない。中で殺害された従業員の女。消えたダイヤを買うための金。壊れた洗濯機の秘密。 『赤い跡』 ばあやの家に遊びに来た兄妹。殺害された老婆。逮捕された行商人。行商人が直した竿の謎。過去の強盗殺人事件との関係。 『ただ一つの物語』 息子の為に書いてもらった絵本を見たがる女。絵本の作者との思い出。熊に隠された秘密。 2010年4月23日購入 2010年5月19日読了
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友人に借りる。 植物学者の兄と、好奇心旺盛でちょっとぽっちゃり体型の妹二人の 巻き込まれる事件。 最後の方の、クマのぬいぐるみにまつわる話がほのぼの出来て好きだわ~。 あまり殺人とか起こらないほうが雰囲気に合ってていいなぁと個人的には思ったり。
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ありがとう戸川さん!と全力でお礼を言いたいです。日本の女流ミステリ作家の草分け、仁木悦子さんの傑作選。この仁木兄妹のシリーズが一番好きなんです。ほとんどが前に読んだことのある作品であっても嬉しい。登場人物紹介の悦子はもうちょっとふくよかな気もしますが、イラストもかわいらしいし。シ...
ありがとう戸川さん!と全力でお礼を言いたいです。日本の女流ミステリ作家の草分け、仁木悦子さんの傑作選。この仁木兄妹のシリーズが一番好きなんです。ほとんどが前に読んだことのある作品であっても嬉しい。登場人物紹介の悦子はもうちょっとふくよかな気もしますが、イラストもかわいらしいし。シリーズ中の時系列に沿っているので、仁木兄妹の中学生時代から悦子が二児の母になるまでを読むと、オバサン的な感慨深さもあります。ばあやじゃないけど「あのお転婆さんがお母さんだなんてねぇ…」と。シリーズ全作、文庫で復刊してくれたらいいなぁ。
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