カデナ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ベトナム戦争時の沖縄を描いた作品。沖縄に住むサイパン出身の男性と基地に勤めるアメリカとフィリピンのハーフの若い女性の目を通して語られる。 途中でもういいかな〜と思ったけれど、『ジェノサイド』的な戦争の本質に迫るところや、沖縄の人独特の考え方(どこが自分の所属する場所か? 結局人とのつながりだけ、というような)が描かれたところは重しろかった。 最後の長い説明はいらないような…
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ベトナム戦争も末期に差し掛かり、 厭戦気分が漂いつつある時代の、沖縄嘉手納基地。 ひょんな事から繋がった4人がベトナム人を戦火から守る 「戦い」を始めた。 B52に象徴される、米軍の「正義」のカタチは 反対側から見れば常に圧倒的な暴力に過ぎない。 この過ちを懲りずに今も繰り返して...
ベトナム戦争も末期に差し掛かり、 厭戦気分が漂いつつある時代の、沖縄嘉手納基地。 ひょんな事から繋がった4人がベトナム人を戦火から守る 「戦い」を始めた。 B52に象徴される、米軍の「正義」のカタチは 反対側から見れば常に圧倒的な暴力に過ぎない。 この過ちを懲りずに今も繰り返している。 それに対抗する「小さなレジスタンス」を ふつうの人が行う事にこそ、 作者は希望を見出そうとしているように思う。 沖縄、米軍、戦争....。 この異常な状況が平常となってしまっている 沖縄の現状を、私たち本土の人間は やはり理解しきれていないと思う。 そんな重いテーマにもかかわらず、 どこか軽く、笑い飛ばすような調子で 話を進められるのはやはり、 作者が10年以上も沖縄に暮らしたからこそ 出来ることなのだろう。
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ベトナム戦争時代の沖縄の物語。 …というだけで,興味がわきました。読んでみて,いろんな立場からの戦争に対する感覚というか,感触が伝わってきました。4人のその後も読んでみたいです。
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爆弾を落とせば、人が死ぬ。そんな当たり前のことが忘れ去られることがある。あるいは、忘れたふりをされることがある。 できることなら誰も死なないほうがいい。でも、たとえば死ぬのが他の国の人だったら、目の前にいる人でなかったら、人は爆弾を落とせば死ぬという当たり前の事実に目をつぶって、...
爆弾を落とせば、人が死ぬ。そんな当たり前のことが忘れ去られることがある。あるいは、忘れたふりをされることがある。 できることなら誰も死なないほうがいい。でも、たとえば死ぬのが他の国の人だったら、目の前にいる人でなかったら、人は爆弾を落とせば死ぬという当たり前の事実に目をつぶって、どこまでも残酷になることができる。 また、その一方で、誰も死なないほうがいいという思いのもとに、会ったこともない人たちを助けようと危険をおかす人がいる。そして、爆弾を落とす任務に恐怖する人も。 相手の立場に立てる想像力と、相手を信頼する心。その二つがあれば戦争など無くなるはずなのに、それがいまだ人類には難しいようだ。核による威嚇など、自分の首を絞めるようなものなのに。
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「嘉手納」という文字を見ると、いろいろなことを考える。 基地、オキナワ、戦争、占領、アメリカ、交渉、ベトナム戦争・・・ 文字で見てしまうと、思考はそこから進まず、その圧倒的な事実を前に萎縮してしまう。正直、あまり考えたくないなーと。 この小説は「カデナ」だ。 そこに基地はあ...
「嘉手納」という文字を見ると、いろいろなことを考える。 基地、オキナワ、戦争、占領、アメリカ、交渉、ベトナム戦争・・・ 文字で見てしまうと、思考はそこから進まず、その圧倒的な事実を前に萎縮してしまう。正直、あまり考えたくないなーと。 この小説は「カデナ」だ。 そこに基地はあるが、血の通った生身の人間たちが生きているのだ。 ベトナムの最前線に爆弾を「配達し」に行く、パイロット。 パイロットを愛しながらも、彼の仕事を否定するような密偵行為を続ける、フィリピン人。 戦争で家族を全て失いながらも、アメリカ人相手の仕事を続ける男。 基地でライブを続けながら、基地からの脱走兵の手助けをする少年。 その時、そこには確かに様々な人達の日常があっただろうに、 「基地・嘉手納」として視点が、全ての日常を変えてしまっているのだと思った。 池澤夏樹のこの視点、さすがだと思った。 ストレートに書くのではなく、私の知らない「カデナ」を見せてくれることが、私の中の「嘉手納」を更に深くしてくれた気がする。
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今になって振り返ってみると、ぜんぶはパトリックがあのバカみたいに大きなB-52に乗ってカデナに来たとこるから始まった。
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ベトナム戦争当時の沖縄の嘉手納基地周辺の人々を題材にしたお話。3人の主人公の出来事が交互に語られ、交差していき、最後にぴったり…。登場人物自らが語る形式や空気が、もろ池澤夏樹です。
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池澤夏樹の小説では、一位、二位を競う秀作。沖縄の米軍基地、ベトナム戦争と、重いテーマを取り上げながら、でも、なんとなく暖かい、でも切なさもある、そんな小説。今年一番か。
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ちょっと読んだ状況がドタバタしてて、頭が整理されていない。 とても映画的。何かあってもなくても闘っていい、闘わなくてもいいということ。何より夏。夏の喜びとさびしさ。
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久々に最近離れていた(個人的に『マシアス・ギリの失脚』以前の初期作品が好きなので)池澤夏樹の小説です。読み応えがありました。 今オキナワがやっぱりニュースで言われているので、これ読んでやっぱり他人事ではないよなぁ…と想いをはせてしまいます。 個人的にやっぱりなんで最後パトリック...
久々に最近離れていた(個人的に『マシアス・ギリの失脚』以前の初期作品が好きなので)池澤夏樹の小説です。読み応えがありました。 今オキナワがやっぱりニュースで言われているので、これ読んでやっぱり他人事ではないよなぁ…と想いをはせてしまいます。 個人的にやっぱりなんで最後パトリックの×××が××したのかがよくわらなかったのですが(エロいのとネタバレなので伏字)、そういう「え、なんでここでそうなるの?」みたいな最後の展開にはやっぱり…でした。よくわからん。 個人的には朝栄さんの章が一番好き。
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