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ブラバン の商品レビュー

3.3

126件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    48

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

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2018/04/15

大人が若かりし頃を見つめ直す青春小説。高校の吹奏楽部のメンバーで演奏したいという話を持ちかけられた主人公は、高校時代を回想しながら、高校時代のあの頃と40代となった自分や仲間の現在を見つめ直す。ドラマチックな展開やカタルシスがあるわけではなく、物憂げでノスタルジックで、少し不穏な...

大人が若かりし頃を見つめ直す青春小説。高校の吹奏楽部のメンバーで演奏したいという話を持ちかけられた主人公は、高校時代を回想しながら、高校時代のあの頃と40代となった自分や仲間の現在を見つめ直す。ドラマチックな展開やカタルシスがあるわけではなく、物憂げでノスタルジックで、少し不穏な雰囲気も醸し出しながら、語り手が淡々と思い出と現在を語る自伝的な小説。それでもこれはやっぱり青春小説なのだと思います。時間が経ち変わったところも変わらないところもあるけれど、あの青春の時代は確かに存在していて、苦々しい思い出も楽しかった思い出も、自分たちを形作っているんだなということを感じます。

Posted byブクログ

2018/04/09

図書館で。 読んでいて、確かにここ2、30年で音楽に関わる色々なモノは随分変わったなぁと思いました。私の子供の頃はラジオやTVからのエアチェックがほとんどで記録媒体はカセットだったもんな。貸しレコード屋でレコードを借りてダビングしたのも懐かしい思い出だ。それがあれよあれよとCDに...

図書館で。 読んでいて、確かにここ2、30年で音楽に関わる色々なモノは随分変わったなぁと思いました。私の子供の頃はラジオやTVからのエアチェックがほとんどで記録媒体はカセットだったもんな。貸しレコード屋でレコードを借りてダビングしたのも懐かしい思い出だ。それがあれよあれよとCDになり、MDはひっそりと姿を消し、今はDLだもんな。手軽になったと言えばそれはそうだけど… 音楽に対する情熱というか欲求みたいなものが大分薄れたような感覚もある。 高校の頃合唱団に入っていたので楽譜は髙いから…と先生が苦労していたのは知っていましたが、今どきの吹奏楽が歌謡曲や新しい曲を演奏するのは楽譜が安いからなのか、とちょっと驚きました。普通に考えればクラシック音楽なんて全部著作権が切れてそうなモノですが不思議な事です… 良い思い出だけではない吹奏楽部であまり捗々しい活躍をしたわけでもない主人公がン十年後に又当時の皆と演奏する、というのは中々燃えるシチュエーションでもあります。が、現実はそれほど上手く行かず…と難航するのがやけにリアル。不慮の事故や急逝したメンバーもいて、皆それぞれの人生を歩んでいる。個人的にはセンセイが指揮するのかと思ったんですが違いましたね。最後の発表の場もらしいというか。面白かったです。

Posted byブクログ

2017/08/24

語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。 そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。 「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。 桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成...

語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。 そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。 「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。 桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成を呼びかけるが…… 物語は語り手・他片の回想に沿ってすすむ。 吹奏楽部のメンバーはいずれも個性的。 登場人物はのべ数十人。吹奏楽部は大所帯、楽器の数だけ個性がある。 音楽小説であり青春小説であり八十年代ーグロリアス・エイティーの風俗小説である。 中年の他片が吹奏楽部で活動した過去を振り返る形で綴られる物語は、青春真っ只中の輝かしい黄金の光ではなく、ランプシェードで絞ったようなくすんだ黄金の輝きに満ちている。 それは夕暮れが訪れる寸前の、溶けて消えそうな黄金の空に似ている。 桜井と組んでかつての部員の足跡をたどるうちに、他片はさまざまな人生の変遷を知る。 変わった友人がいれば変わらない友人もいる、成功した友人がいれば破滅した友人もいる、そして死んだ友人も…… 現在と過去が交錯するごと陰影は際立ち、部員たちのそれからの人生が浮き彫りになる。 吹奏楽部時代は先輩や友達との馬鹿騒ぎ中心でユーモラスなエピソードが多いが、現実はそうも行かない。 二十数年の歳月は人を変える。変わらないものもある。 幸せになったヤツもいれば不幸せになったヤツもいる。再結成は困難を極める。 それでも他片と桜井の熱心な勧誘にこたえ、一人また一人とかつてのメンバーが集まり始めるのだが…… 音楽はひとを幸せにするばかりじゃない、音楽のせいで不幸になる人間だって確実にいる。 音楽を極めんと志すものこそ、狭き門にはじかれぼろぼろになっていく。 だけど人は音楽を愛する。音楽に情熱を捧げる。それが素晴らしいものだと信じてやまない。 音楽に命をやどすのも意味を与えるのも、人だ。究極的に人でしか有り得ない。 音楽は時としてローマ法王の説教より胸を打つ。 演奏シーンの一体感、上手い音楽と気持ちいい音楽の違いなど、示唆に富んだ考察に目からぽろぽろ鱗おちまくりでした。私が吹奏楽部だったらもっと共感できたんだろうなあ……。

Posted byブクログ

2017/07/05

キャラの確認で辛い読書だった。エピソードを深く掘り下げて各々のキャラに思い入れられればよかったが、そこまで行く前に話はかわり、個性と名前が一致せず感動の手前で読了。

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2017/06/09

 シンプルなタイトルから、吹奏楽部を舞台にした煌めく青春ドラマを想像してしまうが、必ずしもそのような内容ではない。80年代初頭の高校吹奏楽部時代の回顧と、四半世紀が経った現在を行き来しながら語られるのは、癖のある部員たちと共に演奏することの楽しさや、当時の学生を取り巻く音楽の魅力...

 シンプルなタイトルから、吹奏楽部を舞台にした煌めく青春ドラマを想像してしまうが、必ずしもそのような内容ではない。80年代初頭の高校吹奏楽部時代の回顧と、四半世紀が経った現在を行き来しながら語られるのは、癖のある部員たちと共に演奏することの楽しさや、当時の学生を取り巻く音楽の魅力(蘊蓄満載で面白い)、そして音楽から離れて日々の暮らしに精一杯な現在にあるきっかけで再結成する運びとなった部員たちの現在。津原さんの独特な、淡々とした語り口で、落ち着きつつもどこか可笑しくて、感傷的になりすぎずもどことなく哀愁を漂わせる雰囲気になっているように思う。  当然ミステリーものではないが、結末はある意味予想外だった。

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2016/08/15

中学高校の頃 感じたものをなんとなく思い出させてくれたような。楽器ほとんどやらないけどやる時の気持ちとか。まわりの男と女の子に関わる気持ちとか。そう なんとなく思い出させてくれたような。大人になってからのもどかしさとかも。ちょっとせつないです。 そう ジョンレノン。確かに亡くな...

中学高校の頃 感じたものをなんとなく思い出させてくれたような。楽器ほとんどやらないけどやる時の気持ちとか。まわりの男と女の子に関わる気持ちとか。そう なんとなく思い出させてくれたような。大人になってからのもどかしさとかも。ちょっとせつないです。 そう ジョンレノン。確かに亡くなるまでは堅かったようなイメージ。スターティングオーバーのアルバムから急に神に祀り上げられたような。気にもかけてなかったのに。人材とタイミングってのも音楽には必然なのかも。

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2016/07/13

津原 泰水の大ファン。 なのに、リンダリンダリンダとかの流行に迎合した小説なんじゃねえの? と思い込んで、若干敬遠、積読していたのを、ようやく読む。 自分の馬鹿。 文学少年・軽音少年であり、ブラバン少年では決してなかった自分でも、 共感的に楽しむことができた。 と...

津原 泰水の大ファン。 なのに、リンダリンダリンダとかの流行に迎合した小説なんじゃねえの? と思い込んで、若干敬遠、積読していたのを、ようやく読む。 自分の馬鹿。 文学少年・軽音少年であり、ブラバン少年では決してなかった自分でも、 共感的に楽しむことができた。 とはいえ、村上春樹の「ノルウェイの森」が単純な青春小説ではないのと同意義で、 この小説も多重構造、裏切りや謎、語り手による恣意的な隠匿、といったテーマを隠し持っている。 それを次回は意識して読みたい。 普通に読んでも面白いし、裏読みしても面白そう。

Posted byブクログ

2016/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初に登場人物がたっぷり書かれてて、飛ばしたけど懸念はあった。こんなに覚えきれるか、と。結局かなり混乱。途切れつつも今日一日で読み切れたのに。登場人物も多いし、高校時代と現代とがごっちゃに出てくるからさらに混乱。でも中盤から泣きそうになるエピソード満載。テューバを壊した唐木を笠井さんがユーフォニウムにもらったとこ、永倉が部活をやめたとこ。しかし吹奏楽部がいくら人数多いからって、こんなに辛い人生を送る人が多いもんかね。ちょっともう一回読みたいわ。安野先生と来生の関係がいまいち分からん。

Posted byブクログ

2018/12/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 グレン・ミラーが終わったので僕は『アルルの女』をかけた。すっかり酔ってしまった風情の笠井さんが僕をつかまえていう。「他片くん、ビゼーはええねえ・ビゼーの曲は優しいねえ」ビゼーを優しいと感じる、あなたが優しいのだ、と僕は思った。  顔を上げると、父は亀岡さんと話しこんでいた。僕のかかえている楽器を指し、あれはコピー商品ではないのか、なぜ他社の楽器をコピーするのかなどと不粋なことを訊いている。 「あれは一つの完成形なんで、もはや改良の余地がないんですよ」と亀岡さんは無難に答えていた。「ヴァイオリンやピアノは、いまあ全部同じ形でしょう」 「ほいでもこうして見たら、エレキはずいぶん色んな形がありますね」 「あえて変わったんを好まれるお客さんもおってんです。基本はいま、息子さんが弾きよっての形です」  父は納得したように見えた。僕に近づいてきて訊いた。 「その形でええんか」 「あーうん」と、いちおう頷いた。形はフェンダーと同じだから、なんの文句もないのだが、良い楽器かどうかはまったくわからなかった。父は亀岡さんを振り返り、「この本物はありますか?」 「フェンダーですか」と彼はたじろいだ。壁の高い位置を示して、 「あそこに一本ございますが」本物のフェンダー・プレシジョンベース。塗装はサンドバースト。もちろん僕はその存在を知っていた。アホみたいに立ち尽くして眺めた日もある。今日のところは見ないようにしていた。フェンダーが一本しかない楽器店? と若い人は首をかしげるかもしれない。当時はあるだけでも凄かったのだ。「弾いてみたいね?」と父は僕に訊いた。僕はぽかんとなってしまい、返事ができなかった。 「あれを弾かせてやってください」 「かしこまりました」  亀岡さんの言葉つきや動作は豹変し、父の十数年来の忠実なしもべのようになった。 「あの程度の女に惚れてしもうて、アホな男じゃ思いよろうが」 「ーーいえ」 「言い訳せんでもええ。顔を見りゃわかる。お前はそういう人間じゃ」 「誤解ですよ。桜井さんにも来る途中、意地が悪いいうて言われました。なんでなんでしょう」 「思うとることを口にださんけえよ。相手が見て欲しい部分じゃなしに、見てほしゅうない部分をさきに見つけて、しかも黙ったままでおるけえよ。それがみな怖いんじゃ。お前の先輩としてふるまうんはプレッシャーじゃった。ダイでさえお前は怖い言いよった」 「すまんの。いちおう上に相談したが無理じゃった。その代わりというわけじゃないが」彼は窮屈そうなポロシャツの胸ポケットから折り畳んだルーズリーフを取り出し、テーブルの上に広げてこちらに向けた。B♭cl(3)、Fl(2)、A.sax(1)、T.sax(1)、ーー。僕が全部読みきらぬうちに彼は続けた。「典則で長いこと使われとらん楽器のリストじゃ。何年もケースを開けとらんらしいけえ、修理が必要かどうかすらわからん。つまり音楽室からときどき消えても誰も気づかん。岸田先生以外は」僕は息を吸い上げた。 「頼んでくれたんか」 「べつに頼んじゃおらん。なんべんか一緒に飲みにいっただけじゃ。もし他片くんや桜井さんがもういっぺん頭を下げにいっとったら、同じ紙を渡されたろうよ」  僕は黙ってこうべを垂れた。 「やっと後輩じゃいうのをカミングアウトしたよ。儂も確かにあのクラブにおったもんの」 「おったよ。中心におったよ」 「なに言いよんや。こっちが永倉を追いかけとったんじゃ。まだ追いつかん」彼は頭を振った。それから腕時計を見て、行かにゃ、と腰を上げた。

Posted byブクログ

2015/06/25

想い出話と現在が入り乱れる。 ブラバンだけに登場人物が多く、一人一人のストーリーも弱く、誰が誰だかという感じ。 リアルさと主人公の性格に好感が持てるが、 山場もどこか分からないし 素人の日記を読んでる気になった。

Posted byブクログ