無理 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
合併された東北の地方都市に住む五人(市議、女子高生、主婦、市役所員、詐欺まがいのセールスマン)の語り口で物語が進む。 これが現実なんだろうけれど内容が暗い。 『オリンピックの身代金』と同じように、この不幸の連鎖の社会に著者が怒っていることは分かって、それには共感できた。結末がどうなるか気になって一気に読めたけれど一度読めば充分。
Posted by
もしも私が億万長者だったら、絶対にこの小説、映画化したい!読後にすぐに思った。 日本の地方都市を舞台にして繰り広げられる、しがらみから離れられない人間関係。 登場人物は女子高校生、ニート引き篭もり、市会議員、万引きや売春をする主婦、ヤクザ、公務員……舞台はパチンコ屋、無味...
もしも私が億万長者だったら、絶対にこの小説、映画化したい!読後にすぐに思った。 日本の地方都市を舞台にして繰り広げられる、しがらみから離れられない人間関係。 登場人物は女子高校生、ニート引き篭もり、市会議員、万引きや売春をする主婦、ヤクザ、公務員……舞台はパチンコ屋、無味乾燥な大型ショッピングセンター……そしてそこで起こる事件。絶望一直線としか思えない後味の悪い結末。 今の日本の地方都市が抱える問題を余すことなく描いているのだが、淡々とした軽い筆致で物語が構築されていく、乾いた感じの面白さがいい。変に結論めいたも余韻も残らない感じが、逆に読者に強い印象を与える。 500ページを超える長編だが、あっという間に読んでしまった。 この物語を生身の人間の演技を集結させた群集劇として見たいという誘惑にかられる。 誰か、どこかで映画化しないかなあ。
Posted by
県から出向した市役所職員、予備校に通う受験生、独居老人宅に配電遮断機を高価に売りつける元暴走族、宗教にのめりこむショッピングセンターの女性警備員、地元の不動産会社を営む市会議員。これらの話が同時進行で進んでいって、少々飽きてきたところでそれらが彼らの人生が交差する。
Posted by
同じ町に住む共通点の全くない5人の物語。最初はそれぞれが変わらぬ日々を過ごしているが、徐々に変化が起き始める。最終的に5人の人生が交差する。 5人それぞれの生活がよくない方向へ進んでいくので、この先どうなるのかとぐんぐん読み進めていけた。 最後の5人の交差の仕方が安易な感じも...
同じ町に住む共通点の全くない5人の物語。最初はそれぞれが変わらぬ日々を過ごしているが、徐々に変化が起き始める。最終的に5人の人生が交差する。 5人それぞれの生活がよくない方向へ進んでいくので、この先どうなるのかとぐんぐん読み進めていけた。 最後の5人の交差の仕方が安易な感じもしたけれど、そこに行き着くまでの全く違う人間の生活がリアルで面白い。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ジニ係数が大きくなり続けているような気がするいまの日本を反映しているような群像劇です。 平成の大合併でできた東北にある「ゆめの市」、名ばかり夢がありそうなだけの寄せ集めな12万人都市。 うらぶれた地方都市に暮らす老若男女5人それぞれの日常がそれぞれの都合、事件により厄介な日々に突入してゆく。パラレルに展開するお話が、最終章に向かうにあたり強引に一つの時と場所に結ばれてゆく。 5人それぞれの主人公の日々が感情移入することなく客観的に描写されるところに作者の強い意志を感じるが、落としどころが少しアクロバチックである。 内容紹介 Amazon.co.jpから抜粋 人口12万人の寂れた地方都市・ゆめの。この地で鬱屈を抱えながら生きる5人の人間が陥った思いがけない事態を描く渾身の群像劇。 内容(「BOOK」データベースより) Amazon.co.jpから抜粋 合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。 相原友則―弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。 久保史恵―東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。 加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。 堀部妙子―スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。 山本順一―もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。 出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。
Posted by
「最悪」、「邪魔」に通じる奥田英朗の群像劇。 装丁が似ていることからも、話のつながりはないながらも同じシリーズとみていいのだろうな。 共通するのは、その時代のキーワードを巧みに織り込んであること。 「無理」の場合は地方の空洞化、生活保護不正受給、主婦の援助交際、引きこもりといっ...
「最悪」、「邪魔」に通じる奥田英朗の群像劇。 装丁が似ていることからも、話のつながりはないながらも同じシリーズとみていいのだろうな。 共通するのは、その時代のキーワードを巧みに織り込んであること。 「無理」の場合は地方の空洞化、生活保護不正受給、主婦の援助交際、引きこもりといった時事問題が扱われている。 現実に私たちが問題に感じていることだからこそ、それが主人公たちの物語にリアリティを与え、読者の感情移入を誘発する。 主人公たちとは全く違う人生を送っているつもりでも、人間の性というか情念のような誰しも共通でも持っている部分を描いてあるから、読んでいて痛いところをつかれた感じになる。 お互いにはつながりを意識することのない主人公たちだが、それぞれにどこかで糸がつながっていて、複雑に絡み合っている。 結局狭い社会だ、という地方社会の象徴的に描かれているのかもしれないし、何人か友達の友達をたどれば大体の人とつながっている、というソーシャル時代を意識させる部分とも言える。 一見関係ない主人公たちがひとつの事件に同時に巻き込まれる場面は、映画「マグノリア」のあの場面を彷彿とさせる転換点といえる。 読んでいて決して楽しい小説ではないけれど、痛い痛いと言いながらも結局読んでしまう、読まされてしまうという意味では上質なエンタテインメントなのかもしれない。
Posted by
架空の北海道か東北の町を舞台とした群像劇。 地方議会議員、詐欺商法のセールスマン、生活保護審査担当の公務員、引きこもりの男、新興宗教に熱心なバツイチ中年女性。彼らの平凡な日々が些細なことから崩れ、みな無理な状況に追い込まれる。 小説だけに「この時、別の選択をしていれば」という選...
架空の北海道か東北の町を舞台とした群像劇。 地方議会議員、詐欺商法のセールスマン、生活保護審査担当の公務員、引きこもりの男、新興宗教に熱心なバツイチ中年女性。彼らの平凡な日々が些細なことから崩れ、みな無理な状況に追い込まれる。 小説だけに「この時、別の選択をしていれば」という選択肢さえ与えられず、無理な状況は加速し、破滅の道へ進んでいく。明るさはひとつもないが、つい読まされてしまう、奥田ワールド全開な小説。
Posted by
『ドミノ』を思い出させる。色んな人からの視点が最後に絡み合ってゆく。個人的にはドミノのほうが好きかなぁー。保安員の妙子や高校生の史恵の話が個人的に好きだった!特に史恵が誘拐されてからの報道が随所にあり、それが的を射たように現実にありそうな取り上げ方だったのがよかった。
Posted by
読むぞって気合入れないとなかなか読み進めれなかった。 救いがない状況と希望の見えない現実。 地方都市の現状がリアルで、地元を思い出させた。 でもやっぱり無理!
Posted by
読みごたえありました 他人事ではないような 身近でいそうな、そんな人たち 読後感ずーんとくる
Posted by