日本語は天才である の商品レビュー
15年前に買った本の再読。やはり面白い。 日本語の自由自在さ、無限の可能性を駆使したいし面白さを伝えたいなあと思って、当時15歳の高校生が国語の教師を目指す一端になった作品(中高国語の免許こそ取れど教職には就いていない)。 ひらがな、カタカナ、漢語、和製漢語、英語など、ここまで...
15年前に買った本の再読。やはり面白い。 日本語の自由自在さ、無限の可能性を駆使したいし面白さを伝えたいなあと思って、当時15歳の高校生が国語の教師を目指す一端になった作品(中高国語の免許こそ取れど教職には就いていない)。 ひらがな、カタカナ、漢語、和製漢語、英語など、ここまでグローバルな言葉をごちゃ混ぜにしても破綻しない日本語の優秀さよ!吸収力が凄いと言うべきか。日本の誇れるところだと思う。 柳瀬先生の文体や、本でこそできるおかしみも秀逸。ルビ2つ振るとかまだ何かうまく活用できる気がするな。 大学で日本語文法や歴史を齧ってきたものの、今ではすっかり覚えていない。でもこういう本を読むと普段以上に頭が冴える感覚がある。文法は苦手だけど好きなので、大野先生や橋本先生の関連本いろいろ読んでみようかなあ。
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著者の柳瀬尚紀さんは、翻訳家。アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』という「翻訳不可能」と言われた全編ことば遊びから成る奇作を、見事に訳したことで知られる。他にも『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル)や『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール)...
著者の柳瀬尚紀さんは、翻訳家。アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』という「翻訳不可能」と言われた全編ことば遊びから成る奇作を、見事に訳したことで知られる。他にも『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル)や『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール)の翻訳でも有名。この本では、翻訳の場面でのさまざまな実例を挙げながら、日本語の柔軟性、多様性について、縦横無尽に語り、何でも翻訳できてしまう日本語の「天才」ぶりをほめたたえている。そして徹底して駄洒落で遊ぶ。◆この本のAmazonの書評に「『日本語をこれほど見事に操れるボクは天才である』との書名がよかったのではないか」というのがある。本全体が、著者の能力に脱帽せざるを得ない書かれ方なので、素直に感嘆できる人と嫌味に感じる人に分かれるはず。しかし、巻末の解説(翻訳家、池内紀による)を読めば、著者のすごい翻訳も、それを可能にする日本語がやはりすごいのだ、と実感させられる。二〇〇九年刊だが、すでに絶版。◆読書の意義を言い当てて、国語を教える立場としてありがたく感じる一節をご紹介しておきたい。「そもそも本は背伸びして読むものではないでしょうか。もちろん、本を読むとき、人はうつむく。(中略)しかし、うつむいて読みながら、気持は背伸びする。精神は上を向く。それが本を読むということだと思います。だから本を読むと、使う言葉も背伸びしたものになる、一段上の言葉を使うようになる。そうして言葉が成長するわけです」(第四章) (K) 紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2014年5月号掲載
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平仮名、片仮名、漢字にアルファベット。 ごちゃ混ぜな日本語。 こう考えると、確かに国外の人にとって 読みにくいものかも知れません。 そして表現方法。 どう訳していくか、ニュアンスをどうするか。 ナナとシチの読み方も、言われてみれば…でした。 ニホンとニッポンの問題もありますし...
平仮名、片仮名、漢字にアルファベット。 ごちゃ混ぜな日本語。 こう考えると、確かに国外の人にとって 読みにくいものかも知れません。 そして表現方法。 どう訳していくか、ニュアンスをどうするか。 ナナとシチの読み方も、言われてみれば…でした。 ニホンとニッポンの問題もありますし 発音しやすい? が前提で使われている、と 思っていましたが。 日ごろ使っているからこそ、気が付かず うっかり考えると、答えにたどり着く道のりが 遠いような気がします。
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何かの本に紹介されていたということで、読んでみた。なかなか面白い。肩の力を抜いて読むのにちょうどよいと思った。
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2016.8.20市立図書館→購入 夏の訃報を聞いて、久々の再読(文庫化したときに買って読んだ記憶はあるが本が行方不明ゆえけっきょく借りた)。 中高生にもわかるような講演スタイルで、翻訳の作業を通して日々体感する日本語の天才ぶり(柔軟性、豊かさなど)を説くエッセイ。方言、漢字、ル...
2016.8.20市立図書館→購入 夏の訃報を聞いて、久々の再読(文庫化したときに買って読んだ記憶はあるが本が行方不明ゆえけっきょく借りた)。 中高生にもわかるような講演スタイルで、翻訳の作業を通して日々体感する日本語の天才ぶり(柔軟性、豊かさなど)を説くエッセイ。方言、漢字、ルビ、敬語、ことばあそび…隅から隅まで使いこなしていたからこそ書ける賛辞だと思う。猫と将棋を愛する日常も垣間見られて気楽に読める一冊。 井上ひさしも、丸谷才一も、大野晋も、そして柳瀬尚紀も逝ってしまった今、こんなふうにゆたかな日本語を使いこなせてかつその素晴らしさを広められる使い手は残っているのだろうかとちょっと不安になる。 読了後、書店にて増刷されて売られているのを発見、即入手。文庫初版から7年ぶりの二刷は訃報を受けてのものと拝察するがともかくもありがたい。
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表紙は漱石の『吾輩は猫である』風。 ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』、この人の訳で読みかけて…しかし訳本でも挫折。 それを訳すのがどれくらい大変だったかは、想像を絶する。 堰(いせき)という言葉、この本でずいぶん久々に見た。 たしか、農機具メーカーでこの名前のところがあっ...
表紙は漱石の『吾輩は猫である』風。 ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』、この人の訳で読みかけて…しかし訳本でも挫折。 それを訳すのがどれくらい大変だったかは、想像を絶する。 堰(いせき)という言葉、この本でずいぶん久々に見た。 たしか、農機具メーカーでこの名前のところがあったような気がする。表記は「井関」だったかもしれないけど。 今やそのメーカーも、ブランド名としてはローマ字だったりして…。 ほかに「デレッキ」なることば(炉の火を掻く棒)も初めて知った。 日本語には罵倒言葉が少なく、平和的な民俗なのだ…という主張にはやや疑問もあるけれど、上代の言葉から漢語、カタカナ語、さまざまな言葉を駆使できるこの人のすごさがよくわかる。 「自分がえらいんじゃない、日本語がえらいんだ」、という柳瀬さんの言い方が、謙遜も過ぎてかえって嫌味に響いてしまうほどに。
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昔、「グッドモーニング・ベトナム」という映画を見た。字幕監修が小堺一機さんと関根勤さんだったのだが、むこうのギャグをイマイチ訳し切れてなくて、もう少し笑えればいいのにと思ったのを、妙に覚えている。 この本の著者は翻訳家である。しかも、相当な日本語の達人である。むこうの言葉の...
昔、「グッドモーニング・ベトナム」という映画を見た。字幕監修が小堺一機さんと関根勤さんだったのだが、むこうのギャグをイマイチ訳し切れてなくて、もう少し笑えればいいのにと思ったのを、妙に覚えている。 この本の著者は翻訳家である。しかも、相当な日本語の達人である。むこうの言葉のニュアンスを、日本語を巧みに駆使して、訳してしまおうという試みが実に面白い。そして、それができるから「日本語は天才」というわけだ。いや、天才なのは著者の方である。 例えば、p.15 You are a Full Moon.と声をかけられ、 You are a fool, Moon.と聞き違えて月が起こる場面、これをどう訳すか。 「きみは満月だ。」「きみはバカだ、お月さん。」と訳せば、英文解釈としては間違いありませんが、なぜ聞き間違えたのか、原文の面白さがまったく見えません。 そこで著者は、 「されば、かの満月か。」「去れ、バカの満月か。」と訳したそうです。どうですか? 素晴らしいではありませんか。 日本語の奥深さが分かるお薦めの一冊です。
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漢字、ひらがな、カタカナ、ルビ、同音異義語を駆使して、日本語は天才的に柔軟な表現が可能である。と「フィネガンズ・ウェイク」などの翻訳の難易度が高い作品を訳してきた柳瀬尚紀は語る。 言葉を器用にこねくり回すだけだと思っていたが、古語から現代の方言まで日本語に対する造詣と愛が深い人な...
漢字、ひらがな、カタカナ、ルビ、同音異義語を駆使して、日本語は天才的に柔軟な表現が可能である。と「フィネガンズ・ウェイク」などの翻訳の難易度が高い作品を訳してきた柳瀬尚紀は語る。 言葉を器用にこねくり回すだけだと思っていたが、古語から現代の方言まで日本語に対する造詣と愛が深い人なのだと知った。
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人気翻訳家の日本語エッセイであります。 柳瀬尚紀さんの名前を初めて知つたのは、「翻訳の世界」といふ雑誌でした。もう30年くらゐ前でせうか。 当時はすでに新進気鋭の翻訳家として名を上げてゐたのであります。『翻訳困りっ話』なんて著書もありましたね。 翻訳家の条件として、まづ「日本語の...
人気翻訳家の日本語エッセイであります。 柳瀬尚紀さんの名前を初めて知つたのは、「翻訳の世界」といふ雑誌でした。もう30年くらゐ前でせうか。 当時はすでに新進気鋭の翻訳家として名を上げてゐたのであります。『翻訳困りっ話』なんて著書もありましたね。 翻訳家の条件として、まづ「日本語の達人たれ」とよくいはれる事ですが、柳瀬氏の仕事振りを見て「おお、なるほど」と実感することしきりなのでした。理想の翻訳家を具現化すれば、そのまま柳瀬氏の姿になるのではと思ふほどです。 表題は石川啄木の『雲は天才である』をもぢつたものださうです。 日本語が天才であるお陰で、翻訳家である自分がその恩恵を享受してゐますよ、と柳瀬氏は語るのですが、その天才たる日本語を操る自分も天才ぢやないかしらん、と読者に訴へてゐる気がしないでもない。ま、いいか。 http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11279330589.html
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猫好きなことは知っていた翻訳家の軽妙なエッセイ。個人史と翻訳の仕事の大変さと楽しさと。将棋ネタはルールすら知らないので詳しくなったら再読したい。
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