愛憎の王冠(下) の商品レビュー
よかった…素晴らしかった。 この小説のすごいところはメアリー対エリザベスの王位の争いだけでなく、そこに加えて宮廷の道化を務める主人公ハンナの人生も描いているところ。史実は知っちゃってたから、「どうせエリザベスが王位につくんだよなあ…」って思って読んでたけど、ハンナの行く末が気にな...
よかった…素晴らしかった。 この小説のすごいところはメアリー対エリザベスの王位の争いだけでなく、そこに加えて宮廷の道化を務める主人公ハンナの人生も描いているところ。史実は知っちゃってたから、「どうせエリザベスが王位につくんだよなあ…」って思って読んでたけど、ハンナの行く末が気になりすぎて、もう王位に誰がつくかとか最終的にどうでもよかった笑 エリザベスが王位についた後、ロバートダドリーとかとどうなっていくかも超気になる。 地元の図書館に3巻ないみたいだけど、なんとかして読みたいなぁ〜( ; ; )
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架空の道化ハンナの視点から語る、ブラッディメアリーことメアリー女王と、後のバージンクイーンことエリザベス女王の物語。 メアリー女王が自身の信仰のために、今まで権威のあった教会や枢機卿、そして善良な市民を異端という理由だけで火炙りにしてしまうのが恐ろしかった。 父ヘンリー8世紀や...
架空の道化ハンナの視点から語る、ブラッディメアリーことメアリー女王と、後のバージンクイーンことエリザベス女王の物語。 メアリー女王が自身の信仰のために、今まで権威のあった教会や枢機卿、そして善良な市民を異端という理由だけで火炙りにしてしまうのが恐ろしかった。 父ヘンリー8世紀や弟エドワード王の頃は安全だったものが、メアリー女王に変わった途端に異端となり、簡単に命が散ってしまう。 メアリーはイギリスに正しい信仰を取り戻そうと当然の行いをしているだけなので、意義を唱えようものなら側近でも命取りになる。 次第に国民の支持も得られなくなり、夫にも見捨てられ、息子も産めず、貴族たちはエリザベスの元に集うようになる。 アンブーリンに不幸にされた母のように、アンブーリンの娘に同じ目に合わされるのが辛いだろうな。でもこの時代の国民のほうが辛いだろうと思う。 生きた心地がしないだろうな。 エリザベスがやけに男を、特に人の夫を誘惑する悪女のように描かれていた。 スカーレットヨハンソンはメアリーブーリンよりエリザベスの方が合いそう。
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メアリーとエリザベスの因縁の対決は、メアリーの病死によりエリザベスに軍配が上がった。 良き女王になれる片鱗を見せていた上巻のメアリーの描写に心が踊ったのだが、残念だ。 だが、ヘンリー8世など、まわりの男達に全て振り回されていた母親世代に比べて、二人はより歴史の中心にいて、強く逞し...
メアリーとエリザベスの因縁の対決は、メアリーの病死によりエリザベスに軍配が上がった。 良き女王になれる片鱗を見せていた上巻のメアリーの描写に心が踊ったのだが、残念だ。 だが、ヘンリー8世など、まわりの男達に全て振り回されていた母親世代に比べて、二人はより歴史の中心にいて、強く逞しく聡明であったように思う。この後も血なまぐさい歴史が続くが、イングランドはエリザベス女王の時代を迎える。(恥ずかしながら、ブラッディメアリーとメアリースチュアートを混同していた。系譜を見ながら読了)
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力作の後編です。 激動の16世紀イングランド。 メアリー女王とエリザベス女王の二人に仕えることとなった女性ハンナの波乱の人生。 ヘンリー8世没後の混乱期。 キリスト教徒内部でプロテスタントとカトリックのせめぎ合いが続き、どちらも命がけ。 聖なる道化として宮廷で女王の側近くにいる...
力作の後編です。 激動の16世紀イングランド。 メアリー女王とエリザベス女王の二人に仕えることとなった女性ハンナの波乱の人生。 ヘンリー8世没後の混乱期。 キリスト教徒内部でプロテスタントとカトリックのせめぎ合いが続き、どちらも命がけ。 聖なる道化として宮廷で女王の側近くにいるハンナは、派閥と無関係なので、女王の慰めとなります。 スパイまがいのこともするのですが、それぐらい女王たちの方もお見通し。 ハンナ自身は、キリスト教徒でさえないユダヤ人であることを隠している恐怖が、ずっとつきまとっているのですが。 本を読んで育ったハンナは、当時としては自立心の強い、婚約者にとっては面倒くさい女性。 やっと結婚したものの、さらに思いがけないことに‥? 荒波のなか、ぐっと大人になっていく展開に。 メアリー女王は、30代も後半になって政略結婚。 年下のスペイン王子の肖像画をひと目見て恋した可愛い女でしたが、不運な成り行きに‥ カトリックの信仰を守ることだけが支えとなり、異端の処刑でブラッディ・メアリーと怖れられることに。 妹のエリザベスは命の危険に晒され、異母姉のメアリーに迫られて礼拝には出るものの、改宗は拒み通す。 恐怖で再三病気になりながら、回復して宮廷に現れたときには、人々を魅了。 どちらも父には否定された女性の身で、自らの地位や国のあるべき姿を必死に考えていた‥ それを思うと、ハンナも現代からタイムスリップしたような女性ではなく、激動の時代を体感しつつ生きたのかな、と。 人のさまざまな感情を濃く描きつつ、歴史の大きな揺れ動きを実感させる展開。 面白く読めました!
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優しかった女王メアリー。しかし夫に裏切られ、世継ぎもできないとなると、だんだんと悲しみの狂気に取り付かれ・・・ 歴史ではどっちかというと逆だが、メアリーを善、エリザベスを悪サイドでかいているところが面白い。 全編上巻と同じような感じだが、最後のほうのセリフとかけっこういい子とい...
優しかった女王メアリー。しかし夫に裏切られ、世継ぎもできないとなると、だんだんと悲しみの狂気に取り付かれ・・・ 歴史ではどっちかというと逆だが、メアリーを善、エリザベスを悪サイドでかいているところが面白い。 全編上巻と同じような感じだが、最後のほうのセリフとかけっこういい子といっていて印象に残る場面がありました。そこを読むためにつらつらやってきたのかなとおもうとけっこう感慨深くはある。
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16世紀ヘンリー8世亡き後のイングランド。 即位したエドワード6世が病弱だったため、メアリー王女とエリザベス王女の継承者争いの話。 宮廷の道化師として仕える主人公ハンナに語らせる形式となっている。 ハンナはメアリーとエリザベスの両者の板挟みとなりながら、自分自身の恋愛・結婚と葛藤...
16世紀ヘンリー8世亡き後のイングランド。 即位したエドワード6世が病弱だったため、メアリー王女とエリザベス王女の継承者争いの話。 宮廷の道化師として仕える主人公ハンナに語らせる形式となっている。 ハンナはメアリーとエリザベスの両者の板挟みとなりながら、自分自身の恋愛・結婚と葛藤しながら宮廷に仕え、王女たちの激しい争いを目の当たりにする。 道化師に語らせることで、客観的に争いの様子がわかり、読みやすいと感じた。 ネット上のあらすじにあるように、確かに一言でいえば「英国版大奥」もっともである。
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前巻に比べて失速感は否めませんが、やはり面白かった。 宗教間での諍いは何だか本当に悲しくなる。 皆がそれぞれ、自分の信じている神様を信じる事が出来る現代、選べる現代になるまでに 沢山の血が流れたのですね。
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ハンナ。収まるところに収まったけれど。あれってどうなの? 二人の女王と比べたら、幸せなことなのかもしれない。 権力に付随した愛の世界から解放された、という点では。 二人の女王と、その取り巻きに翻弄されて、たどり着いたダニエル。 うーん。 「ブーリン家の姉妹」より、しっくりこ...
ハンナ。収まるところに収まったけれど。あれってどうなの? 二人の女王と比べたら、幸せなことなのかもしれない。 権力に付随した愛の世界から解放された、という点では。 二人の女王と、その取り巻きに翻弄されて、たどり着いたダニエル。 うーん。 「ブーリン家の姉妹」より、しっくりこないな。ハッピーになれたの?
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*上下巻合わせての感想です。 舞台は一五五〇年代チューダー朝イングランド。異端狩りを逃れて故国スペインからロンドンへやってきたユダヤ人出版者の娘ハンナには、生まれ持っての神託の才があった。少年王エドワード六世の摂政ダドリーの息子ロバートにそこを見いだされ、ハンナは“聖なる道化...
*上下巻合わせての感想です。 舞台は一五五〇年代チューダー朝イングランド。異端狩りを逃れて故国スペインからロンドンへやってきたユダヤ人出版者の娘ハンナには、生まれ持っての神託の才があった。少年王エドワード六世の摂政ダドリーの息子ロバートにそこを見いだされ、ハンナは“聖なる道化”として宮廷に仕えることとなる。そこでは病弱な王のあとを継ぐべき二人の姉――ヘンリー八世と最初の王妃、スペイン王女キャサリンの娘メアリーと、新興貴族ブーリン家出身の二番目の妃アンとのあいだに生まれたエリザベス――をめぐる貴族たちの争いがすでに始まろうとしていた。やがて王位に就いたメアリーの治世は、三人の女全員にとって、愛憎と危険、困難に満ちたものとなるのだった。 という感じで『ブーリン家の姉妹2』です。前作主人公たちの子ども世代の物語。メアリーの誇り高さと頑固さも、エリザベスの魅力といやらしさも、確かにあの母にしてこの娘ありだなあと思います。 語り手ハンナはユダヤ人で道化とあって、イングランド宮廷において二重の意味で異物であり、他者なんですね。自立した女を目指しているという点でも逸脱している。前作『ブーリン家の姉妹』の語り手メアリーが宮廷文化のさなかで生まれ育ちながらその外に人生を見いだしていったのと対照的でおもしろいです。作中を通じてハンナの立場が流動的で、宮廷にも庶民の暮らしにも通じ、大陸と行き来しながら政争や戦争に巻き込まれたりと、動きの派手なヒストリカルロマンスのようでした。 登場人物でわたしが好きだったのはジョン・ディー博士(特に前半)と、道化のウィル・サマーズ。どちらも登場シーンが少なめだったのが残念ですけれど。 続いて第三弾『宮廷の愛人』も読む予定です。
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