二つの祖国(二) の商品レビュー
収容所を出た賢治は、教官として米陸軍日本語学校の教官となった。 一方、両親と娘は、忠誠テストに背きツールレイク収容所に送られた。 父が夢を見、努力してきたアメリカでの暮らし、日米開戦により家族はバラバラとなり、不幸な形で再会することとなる。 物語だから、賢治とその家族の元にば...
収容所を出た賢治は、教官として米陸軍日本語学校の教官となった。 一方、両親と娘は、忠誠テストに背きツールレイク収容所に送られた。 父が夢を見、努力してきたアメリカでの暮らし、日米開戦により家族はバラバラとなり、不幸な形で再会することとなる。 物語だから、賢治とその家族の元にばかり色々なことが起こるのは仕方がないこと。 でも、どれもあちこちで起こっていたことと思うと胸が苦しくなります。 エミーもなんで自分で不幸を呼んでしまうのか。賢治の奥さんなのだから、幸せになれたはずなのにと歯がゆい思いでいっぱいです。 終戦を迎え東京裁判へ。 三巻に続きます。
Posted by
自らアメリカ軍として、戦場行きを志願した天羽賢治。 賢治の弟、忠は日本軍として招集されていた。 同じ戦場にいる兄弟。 徐々に近づく距離。 緊迫の日々。 戦場で対峙した兄弟。 互いの存在が知れたとき、互いに何を思ったのか。 そして、運命の1945年8月6日午前8時15分。 広島への...
自らアメリカ軍として、戦場行きを志願した天羽賢治。 賢治の弟、忠は日本軍として招集されていた。 同じ戦場にいる兄弟。 徐々に近づく距離。 緊迫の日々。 戦場で対峙した兄弟。 互いの存在が知れたとき、互いに何を思ったのか。 そして、運命の1945年8月6日午前8時15分。 広島への原爆投下。 焼けただれた人。 何も無くなった大地。 賢治の目に、日本は、広島は、どう映ったのか──
Posted by
2巻では戦時中に日本語に通暁している教師としてアメリカ軍に抜擢され、フィリピンで日本軍に従軍した弟忠と敵同士として遭遇し弟忠を誤射するという事件、そして、第4巻につながる想い人である椰子の日本へ帰省した直後の広島被ばくという太平洋戦争末期の悲劇が描かれる。
Posted by
山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。...
山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。 2017/10/18
Posted by
1巻でもかなり過酷な状況であった「日系二世」たちだが、戦争が進むにつれ、さらに凄惨の一途を辿る。 二つの祖国の間で揺れ動く者、片側に阿る者、立場を崩さぬ者、全てに一切の区別なく、その苛烈極まる運命に飲み込まれていく。 戦争や原爆投下後の生々しい表現等、読むのが辛い場面も多々あっ...
1巻でもかなり過酷な状況であった「日系二世」たちだが、戦争が進むにつれ、さらに凄惨の一途を辿る。 二つの祖国の間で揺れ動く者、片側に阿る者、立場を崩さぬ者、全てに一切の区別なく、その苛烈極まる運命に飲み込まれていく。 戦争や原爆投下後の生々しい表現等、読むのが辛い場面も多々あったが、それでも先を読みたいと思わせる筆力は流石の一言。
Posted by
最初は読むのが苦痛になり、古本屋へ持って行こう、とまで思ったが、チラリと再読していくと、何だか面白くなって来た。第3巻も買った。読み続けるうちに、最初に読んだ色々な場面、人物が記憶の彼方から蘇って来て、それぞれがまた生き生きとして来る。本は最後まで読み続けると良いことがあるものだ...
最初は読むのが苦痛になり、古本屋へ持って行こう、とまで思ったが、チラリと再読していくと、何だか面白くなって来た。第3巻も買った。読み続けるうちに、最初に読んだ色々な場面、人物が記憶の彼方から蘇って来て、それぞれがまた生き生きとして来る。本は最後まで読み続けると良いことがあるものだね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人物の感情描写や情景はいまいちなので(元来、著者の書に期待はしていない)、小説としては面白いとは言えないが、日米双方の軍隊のあり方の描写は割に生々しい。というより、よく調べているんなだぁと。 一方、兄弟間の銃撃・負傷というのは、余りに出来すぎていて、リアリティ重視といいながら、リアリティ欠如を齎している感。「大地の子」でも感じたが、そこまで「運命的な何とやら」にせずとも良かろう。 心情描写が平板な分、そこが浮いてしまうのだ。 賢治のオーストラリア赴任から、フィリピン戦、そして、原爆投下、終戦へと。
Posted by
兄弟が戦場で相見える場面は何とも言いえぬ・・・ 日本軍と米軍の双方からの視点がわかるので、 読者は絶えず、ヤキモキさせられると思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今まで嵌らなかった山崎豊子作品が、二つの祖国でやっと嵌った。 勇の「ノウ」のシーンが映像のように頭に浮かんだ。 何度でも思い出せる。喜びと皮肉さがかみ合っている。 賢治が、見なくて良い所まで突き進み過ぎてる気がする。最初は仕方なくだったのに、心の奥底に観察者としての好奇心が潜んでいるようにも見える。 先に書いた勇のシーンと、マリーの叫びが突き抜けていた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この巻でもっとも心に残るのは、やはり天羽家三兄弟のあまりにも酷過ぎる運命ではないでしょうか?? 日系2世というまさに本書のタイトルどおり、「二つの祖国」を持つ三兄弟が、たまたま太平洋戦争突入時に何歳でどんな教育を受けどこにいたのか?という偶然性も手伝って、1人は米軍兵士として、もう1人は帝国陸軍兵士として、そして長兄として常に二つの祖国を強く意識し続けた最後の1人が米軍の語学将校として戦争に巻き込まれていく・・・・・。 その非情さには言葉もありません。 家族だからと言って誰もが同じ哲学、同じ思想というわけにはいかないのは、どんな時代であれ、そしてどんな境遇であれ、必ずしも珍しいことではないと思うけれど、彼らの場合はあまりにも残酷です。 まして、末弟の勇君はヨーロッパ戦線だからまだしも、長男 & 次男は同じ戦線に赴き、戦場で顔を合わせることになるな~んていうのは、平和ボケ時代の KiKi には想像さえできなかった出来事でした。 初読の時にはどちらかというと「小説特有の悲劇性強調型プロット」として読んでしまったこの境遇が今回の読書では「実際にそういうことがあったかどうかということ以上に、残酷な人間性の黙殺の象徴」として胸に迫ってきました。 三兄弟のお父さんの描写があまりにも痛々しい・・・・。 彼は「自分のためにも家族のためにも良かれ」と考えて移住を決意し、移住後も苦労を重ね続けて、善良に、そして真剣に生きてきただけの人だったのに、人生の後半で第二の祖国からは人種差別で受け入れられず、祖国に帰ることもできず、収容所内の同じ日系1世の人々の姿にも違和感を覚え、収容所内の遺体処理係として時を重ねていきます。 その姿には、ファッションではない「ニヒリズムの極致の姿」が表れていると感じました。 そしてそんな父親の姿を見守るしかない賢治の苦悩も心に響きます。 そうであるだけに、その後の賢治の選択には常に彼の抱える「矛盾」が溢れていて、読んでいて辛いものがありました。 ある意味では弟二人のように自分の「帰属」を宣言できる若さがまぶしく感じられてしまったぐらい・・・・・。 もちろんそんな彼らも己の存在をかけて戦っているわけで、何とな~く生きているようなところのある現代の私たちには想像できないような困難と日々向き合っているわけではあるんですけどね。 そして原爆投下。 8月になるとTVでは毎年のように放映されるあの「きのこ雲」。 アメリカで当時、どれくらいの人たちがあの悲劇の実態を知っていたのかは甚だ疑問だと思うし、二つの祖国の間で身も心も引裂かれた1世、2世の人たちがそれを知っていたのかも、不勉強な KiKi はよく知らないんだけど、祖国日本と父の死後日本に帰国した母・妹を捨てて身も心もアメリカ人たろうと努力してきたチャーリーであってさえも受けた衝撃の大きさが胸を抉ります。 さて、第3巻は東京裁判です。 (全文はブログにて)
Posted by