追想五断章 の商品レビュー
どんな結末が用意されているのか、あるいは作中のキーとなっているリドルストーリー同様、結末は読者に委ねられているのか、気になってすぐに読了。
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古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか...
古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。 (「Book」データベースより) 初の作家さんです。 2009年のミステリーランキングの上位に入っていたので、読んでみましたが・・・・・面白かったです。いや・・・面白いという表現でいいのかな・・・・話自体はちょっと悲しくて、でも読了感は良いんですよね。全体的になんとなく暗くて、主人公自体が八方塞の中で苦しんでいるんだけど・・・・なんでこんなにすっきりと読めて、読んだ後も良い気持ちなんでしょう・・・・とても不思議です。 お話の中にリドルストーリーが5話出てきます。リドルストーリーという言葉もお恥ずかしい話ですが知りませんでした。結末の書かれていない小説とでもいうのしょうか、そのリドルストーリーが22年前の事件と絡んでいるのですが、普通は結末を用意しないリドルストーリーになくなった父が1行ずつの結末を書き残しています。その結末が面白いんですね。1行ずつの結末を5話の中で置き換えただけで、そのリドルストーリーの内容がガラッと変わり、22年前の事件の真相も変わっていく・・・・こんな風なミステリーもあるんですね。初体験かもしれません。出会えてよかった1冊ですね。
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あぁ、なんか読後感がやるせない…5つのリドルストーリーとその作品の裏に潜む真実…の話なのかなぁ。リドルストーリーをきちんと読み返して、その意味をもう一度確認したくなる作品でした。
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絶望的なラスト、とかでなくなんか地味に展開して地味に終わった感じ。寂寥感?みたいなのは米澤氏らしいと思うが今までの作品と比べるとどうしても劣って感じる。
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学園モノを書く反面こんな読んでいて苦しくなる 作品も手掛けるなんて...米澤氏恐るべし...。 ストーリーの鍵となる5つの作中作。 これについての謎は正直解けるものだった。 だけどその回答が明らかに二者択一のものである以上、 白だったものが選択次第で黒くなる訳だ。 それが解る事で...
学園モノを書く反面こんな読んでいて苦しくなる 作品も手掛けるなんて...米澤氏恐るべし...。 ストーリーの鍵となる5つの作中作。 これについての謎は正直解けるものだった。 だけどその回答が明らかに二者択一のものである以上、 白だったものが選択次第で黒くなる訳だ。 それが解る事で誰も得はないし、苦しくなるのに... 5編のストーリーを書かなければやり切れなかった男の苦しみ。 そして、結果その謎を追う事になった主人公の悲哀。 うーん、重いよー。 なのにページを捲る事がやめられない。 今年の米澤作品中、一番高い評価なのが身に染みて分かったス。
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構成がとにかくうまい。ある程度先が読めてもぐんぐん引き込まれる。最後の問いには若干の切なさが残り、なんともいえない読後感。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家庭の事情で大学を休学し、伯父の営む古書店でアルバイト生活をしている青年。ある日、一人で店番をしているところに訪れた客にある作家の作品が載った本を探してほしいと依頼される。思うところあり依頼を引き受けたものの、手掛かりはほとんどない。1冊、1冊かすかな糸を手繰るように本探しを続けるうちに、その作家にまつわる事件「アントワープの銃声」が浮かび上がってくる…。【以下ネタバレ含むため、未読の方はご注意】「アントワープの銃声」事件は夫(作家)による妻殺しという疑惑を残したままうやむやになっていた。作家の残した作品や交流のあった人々の話の断片から、本探しを依頼された主人公の青年がしだいに真相に近づいていくというのがメインのストーリー。なんとなく主人公に入り込めず、彼の心理描写などの印象はやや希薄。もしかしたら、過去の事件やリドルストーリーの方をメインにおくため、わざとそういうさじ加減にしたのかもしれないが。作家・叶黒白の残した5つの作品はどれもリドルストーリー仕立てになっていてそれ自体でも面白みがあるが、作家の娘(本探しの依頼人)が持っている、リドルストーリーに付け加えるたった一行の結末というのがまた面白い。『儚い羊たちの祝宴』もラストのオチにこだわった作品だったが、最後の一行への焦点の当て方はそれ以上かもしれない。さらに、(なんとなくそうかなぁ〜とは思っていたが)その一行がどの話の結末なのか、組み合わせの違いで結末がまったく別の雰囲気になるという仕掛けも良かった。青春のほろ苦さ、ブラックな味付けのある他の穂信作品と比べると一見パンチ(というか個性)が弱いようにも感じるが、それがむしろミステリに真っ向から向き合ったような強い印象を残した。
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一人の少女の文集の作文から物語は始まります。 背後から迫ってくる暗闇から逃げたいのに逃がれられない。 文章からはそんな不安と怖れが伝わってきます。 いったい彼女は何を怖れているのだろう、と冒頭から惹き込まれました。 その少女の名前は北里可南子。 伯父の古本書店で腰掛バイト中の芳...
一人の少女の文集の作文から物語は始まります。 背後から迫ってくる暗闇から逃げたいのに逃がれられない。 文章からはそんな不安と怖れが伝わってきます。 いったい彼女は何を怖れているのだろう、と冒頭から惹き込まれました。 その少女の名前は北里可南子。 伯父の古本書店で腰掛バイト中の芳光。ある日、ある女性が訪れ、叶黒白という小説家の掌編が載った同人誌を探しているという。その女性の名前は北里可南子といった。叶黒白というのは彼女の父のペンネームで、全部で五編の小説を何らかの形で残しているという。 叶黒白の小説は、残されたメモから推察するにどれもリドルストーリー、すなわち読者に結末を委ねて結末を描いていない小説のようだととのことだ。彼女は父親の結末を見つけたことから小説の存在を知ったとのことだった。 「奇跡の娘」という一遍を見つけたことから、芳光は他の4編の捜索も受けることになるのです。 数少ない手がかりを頼りに芳光が一遍一遍見つけていきます。 その捜索の過程も面白いですが、発見した後に、その見つかった小説と可南子が見つけた結末を読むのがとても楽しみでした。 「奇跡の娘」「転生の地」「小碑伝来」・・・。 物語を追ううちに芳光はスイスで起こった「アントワープの銃声」というある事件に行き当たります。その事件の真相も小説同様、闇に包まれていて・・・。その事件の真相は。彼女の父は殺人者なのか。 小説を見つけるごとに増えていく謎という、ぐいぐい読ませる手法にはまって一気に読んでしまいました。 叶の小説には、どれも夫婦と娘という3人家族の生死がテーマになっていて、どれも中途半端なところで終わっている。本当の結末は?著者の意図は? 現実の事件と小説の結末とがリンクしていくのがリドルストーリーを使って巧く描かれていました。 辿り着いた一つの結末。最後の手紙は衝撃でもありました。 そして一番最後に見つかった一遍。 その結末の真相は春になったらわかるのでしょうか。 今までの米澤さんとはまた違った引き出しを見せられた感じです。 全篇を通じて重く静かな雪が降る中を、雪に足をとられながらも一歩ずつ真実に向かっているような静寂と重厚さが合わさった作品でした。 読了後に再び序章の文集を読むのがおすすめです。 お気に入り度:★★★★☆ (2009年9月30日)
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最後の断章が結局何を意味したのか読み取れないうちは評価をつけるのはおこがましい… 面白かったです。でも最後が気になる!
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亡くなった父親が生前5作だけ小説を書いていたらしい。 それを探してほしい・・・と以来された古本屋の青年。 父親は何を思ってその5作を書いたのか 作品を探すうちに隠された過去が暴かれる うーん、個人的にはあまり好みじゃなかったかな 端正な文章ではあるんだけどね
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