歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 の商品レビュー
図書館で借りた。 タイトルを見て、「歴史学の新しい切り口を拓いた本かな?」と思い借りてみたが、複雑科学系の本だった。よく調べてから予約すればよかったのだが…、空振り。 解説の文を借りれば、統計物理学の視点から語った啓蒙書で、複雑系やフラクタルに関連しているジャンルだ。科学の本とし...
図書館で借りた。 タイトルを見て、「歴史学の新しい切り口を拓いた本かな?」と思い借りてみたが、複雑科学系の本だった。よく調べてから予約すればよかったのだが…、空振り。 解説の文を借りれば、統計物理学の視点から語った啓蒙書で、複雑系やフラクタルに関連しているジャンルだ。科学の本としては、積極的に歴史を語っているが、人文科学の歴史書と思って読むとちんぷんかんぷんなので注意したい。
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歴史はべき乗則で動く マークブキャナン 早川 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系化学 いきなりテロリストによる オーストリア皇太子暗殺の場面から始まり 世界大戦の話へと入り込む まるで文学作品のように 文章のキレが良く惹き込まれてしまう
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世界の複雑性を知れる一冊。複雑性の科学を分かりやすく書いてある本は多くないので入門書としておすすめ。 なぜ、良い方も悪い方も急激な変化が起こるのか?歴史的な出来事に法則はあるのか? 1人の人間が大き過ぎること気にし過ぎても仕方ないよねという安心感がある。 ただし、地震はいつか...
世界の複雑性を知れる一冊。複雑性の科学を分かりやすく書いてある本は多くないので入門書としておすすめ。 なぜ、良い方も悪い方も急激な変化が起こるのか?歴史的な出来事に法則はあるのか? 1人の人間が大き過ぎること気にし過ぎても仕方ないよねという安心感がある。 ただし、地震はいつか必ず起こることだけは覚えておきたい
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科学エッセイのジャンルは人気で、よく使われる手法は門外漢にはよくわからないことをわかりやすく伝えるために身近な例をあげるというもの。この本も、地震から経済、生き物の絶滅などが、伝えるための材料として使われている。 十年以上前の書籍なので、内容自体には古さも感じるし、いくら一般向け...
科学エッセイのジャンルは人気で、よく使われる手法は門外漢にはよくわからないことをわかりやすく伝えるために身近な例をあげるというもの。この本も、地震から経済、生き物の絶滅などが、伝えるための材料として使われている。 十年以上前の書籍なので、内容自体には古さも感じるし、いくら一般向けとはいえ、いまさら複雑系の紹介を最後にするなど、いかにも初級者向けの文章だが、読んでもすぐに忘れてしまう初級者の自分には楽しく読めた。
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地震の大きさと発生頻度、戦死者数と発生頻度、論文の引用回数とその引用される論文数、至る所で現れるグーテンベルク=リヒター則のお話。 (ある数字が2倍になると、その関数が2のn乗数倍(の逆数)になるべき乗則の話)
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世界のあらゆる事象、地震、山火事、砂山の崩落、金融市場などは、すべてべき乗則に従っていることが、世界の学者たちの研究やシミュレーションによって証左されていることが、紹介されています。多数の犠牲者を出した第一次世界大戦の端緒が、運転手の道間違いにあるという冒頭のエピソードには震撼し...
世界のあらゆる事象、地震、山火事、砂山の崩落、金融市場などは、すべてべき乗則に従っていることが、世界の学者たちの研究やシミュレーションによって証左されていることが、紹介されています。多数の犠牲者を出した第一次世界大戦の端緒が、運転手の道間違いにあるという冒頭のエピソードには震撼しました。世界がべき乗則、そしてカオスな状態にある時、いつどこで臨界点に達するのか、誰にも予想できないのでしょうか。
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本著は目的としては一見無秩序に見える歴史の背景にある法則を見出せるかどうか検討するところにあるが、その過程として地震、山火事、大量絶滅など多くの現象を考察している。いずれの背後にもべき分布が見い出せ、一見すると無関係かつ無秩序な現象の背後に存在する単純な法則の存在が示唆されるとい...
本著は目的としては一見無秩序に見える歴史の背景にある法則を見出せるかどうか検討するところにあるが、その過程として地震、山火事、大量絶滅など多くの現象を考察している。いずれの背後にもべき分布が見い出せ、一見すると無関係かつ無秩序な現象の背後に存在する単純な法則の存在が示唆されるという。かつてニュートンは地上と宇宙は同じ重力の法則で支配されていることを示し、衝撃を与えたが、それと似た衝撃を受けた。そのような世界を垣間見たいと思った方には本著は向いていると思う。
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1980年ごろから、カオスや複雑系など、予測不可能なことを理論化しようとする試みがなされてきた。本書は、同様に予測しづらい事象である、べき乗則(べき分布)についての啓蒙書である。人間の体重などは平均値の周りに分散する正規分布を描くことが多いが、地震の発生頻度と強さはべき分布に従う...
1980年ごろから、カオスや複雑系など、予測不可能なことを理論化しようとする試みがなされてきた。本書は、同様に予測しづらい事象である、べき乗則(べき分布)についての啓蒙書である。人間の体重などは平均値の周りに分散する正規分布を描くことが多いが、地震の発生頻度と強さはべき分布に従う。小さい地震は頻度が高いが大きい地震は頻度が低い。しかし頻度は低くてもゼロにはならず、大地震は発生し、壊滅的な被害をもたらす。 地殻のプレートが運動してその歪が開放されて地震が発生すると考えられている。プレートの動きは一定なので、ある程度の歪が貯まれば開放されて、周期的に大地震が発生するという考え方もあった。しかし統計データによってそれは否定されている。歪が開放されるエネルギーはべき乗則に従う。大きな開放は小さな開放と全く同じで、発生頻度が違うだけ。大きな地震は頻度は低いが周期的には発生せず、予測は不可能だ。地震のべき乗則は岩石の壊れ方のべき乗則からきており、根本的には壊れた破片の大きさスケールに関する自己相似性(スケール不変性)が原理となっている。 この現象(べき乗則)は自己組織的な臨界状態を持つ構造に対してトリガーがかかって連鎖反応が発生するメカニズムによって発生し、そこらかしこで見られる。それは、自然科学の分野に限らない。株価の変動、都市の人口分布、資産分布、論文の引用数など、人間社会のあちこにも見られる。 そして、戦争の死者数と頻度の関係もべき乗則に従う。歴史家によれば戦争の原因は色々あるだろうが、統計的には、戦争は結局起こる。小さい戦争は度々、大きい戦争も希に。それは、戦争の背景にも根本的な一つの原因があり、それがスケール普遍性を持っていることを示している。世界大戦は特別な原因で発生する特別なことではない。確率的に少ないが必ず発生する、単なる戦争の一つなのだ。地震の比喩でいえば、なにかのきっかけで争いが発生し、それがどこまで大きくなるかは確率による。
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数学的に考えるべき、現実的な話題がたくさんある。特に、一筋縄ではいかない非線形なこととか、引き返せない事象のことなどについて考えさせられる。応用数学をやりたくなる本。
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歴史の予測には,多くの学者が失敗してきた。それは,何かを予測しようとするとき我々はつい典型的な正規分布を想像し,その“平均値”を典型だと思い込み,それを基に単純な因果関係を考えがちであることが,ひとつの理由であるように思う。実際には,世の中の多くの事象は正規分布に従わず,我々が...
歴史の予測には,多くの学者が失敗してきた。それは,何かを予測しようとするとき我々はつい典型的な正規分布を想像し,その“平均値”を典型だと思い込み,それを基に単純な因果関係を考えがちであることが,ひとつの理由であるように思う。実際には,世の中の多くの事象は正規分布に従わず,我々が想像する平均も典型も見当違いになるのである。例えば,本書では,過去の大地震の間隔を調べて次の大地震発生の時期を予知する考え方は無意味であることが示されている。では,地震発生に法則性はないのか?物理学者で元Nature誌の編集者でもある著者は,こうした直感と合わない出来事を統べる法則として「べき乗則」を挙げる。 べき乗則とは,縦軸の値が横軸の値の何乗かに比例する関係であり,80:20の法則としてよく知られるパレートの法則もその変型である。べき乗則では,地震のエネルギーが2倍になると,発生頻度は1/4になる。同様に,山火事の面積が2倍になる毎に,その頻度は1/2.48になる。その他にも,生物の絶滅の規模も,バッタの大量発生の規模も,はしかの流行の規模も,頻度との関係がべき乗則に従うと書かれている。自然界だけでなく,都市の大きさと数(2倍で1/4),戦争における死者数と戦争の頻度(2倍で1/2.62),株価の変動の大きさとそれが起こる頻度(2倍で1/16)など,人間の活動による出来事にも,べき乗則が当てはまるものが多い。さらに最終章では,著者は人間の歴史にもべき乗則の立場から興味深い言及をしている。 世の中は,どう見るかという視点によって見え方が大きく変わる。本書では,砂を机の上に一粒ずつ落としていったときに何が起こるかという何気ない実験でさえ,数値計算モデルでは予想外の結果になることを示しながら,我々の“常識”とは異なる別の視点に立つことの面白さを教えてくれる。そこからは,これまでに見たことのない新たな景色が見えることだろう。巻末には,大学教養レベルのネットワーク理論の入門書なども紹介されているので,興味をもった読者は,さらに詳しい話を知ることができる。 mak 蔵書なし
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