歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 の商品レビュー
捉えどころのないようでいて、 なんかぼんやりある感じ。 この存在感がべき乗則なのがよくわかった。 存在というより「たたずまい」。 よくわかったようで、わからなかった。 でもいい本ですね。
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べき乗則、自己組織臨界の紹介とその理論を持って歴史を捉えられるかという試論。 進化の断続平衡説を自己組織臨界で理論的に基礎づけるというのはありそうだなとおもった
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2009年(底本2003年)刊。著者は元ネイチャー編集に携わったSc.Lter.。「歴史」(とはいっても、文献史学のような狭い領域ではなく、大量絶滅、生態系や生命発生の自己組織化、地震や火山噴火の如き災害などの自然現象が主。ただしバブル崩壊や戦争などの人為的事象も包含)展開の法則性について「冪(べき)乗則」が妥当するとの観点から各事象の解説を加える。自然現象や多数人かつ優劣の乏しい意思の結集が予定される株式市場に関しては納得できるところだが、「複雑系」関連書を読んでいればそれほど奇抜な内容ではない。 問題は戦争など、数百人以下程度の少数の意思集合で決定される戦争(テロ行為の決定)・企業意思決定等に冪乗則が妥当するかという点だが、多数人が影響している場合は兎も角……。また、学説・研究の進歩が冪乗則にそうという点も、本当にそうかなぁ?という感が残る。でも、記述内容は興味を引く、面白いものだけどね。
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歴史物理学者の著者が冪乗即について解説した本。 関連ワード:非均衡状態における予測不可能生、カオス、複雑系、フラクタル
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物事の捉え方としてとても参考になる。 べき乗則 臨界状態の普遍性 歴史が重要 不調和の蓄積と相互影響力 地震・山火事・磁石・貧富・株価・都市・戦争・革命・科学・歴史
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ある小さな出来事が、すぐ近くに影響を与え、さらにそれらがすぐ近くに影響を与え・・、結果として、とてつもない出来事が発生する。この「べき乗則」は、雪崩や地震を例に説明されることが多い。その分布はスケール不変的となり、小さな地震を引き起こすものと大きな地震を引き起こすものとは同じものであるという結論に至る。この「べき乗則」は、自然現象だけでなく、マーケットの変動や流行といった社会現象にも見出すことができ、歴史学にも適用することができる。 世界が動くときには、その社会が臨界状態になっていたということ。「歴史はかなりの程度、数の問題」という指摘に納得。
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歴史が「べき乗」に従うかは議論の余地があるが、地震の震度の頻度の「べき乗」関係が他事象でも見られるのは興味深い。方程式は過去の発生パターンを分析し可視化したものだが、現代科学の成功体験は立ちいかなくなり、予測不可能性をどう扱うかが今後の科学の主流テーマになっていくのだろう。 量...
歴史が「べき乗」に従うかは議論の余地があるが、地震の震度の頻度の「べき乗」関係が他事象でも見られるのは興味深い。方程式は過去の発生パターンを分析し可視化したものだが、現代科学の成功体験は立ちいかなくなり、予測不可能性をどう扱うかが今後の科学の主流テーマになっていくのだろう。 量子力学の波動方程式のように「なぜそうなるのか?」は後回しにし、「べき乗である」ことを前提に事象予測をアプローチしていくことが複雑系分野の解明につながっていくのかもしれない。
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大惨事、暴落は説明はできても予測はできない。 砂遊びと同じ。崩落は突然起こり、規模は様々である。 カタストロフィー理論、カオス、複雑系 地震に前兆はない。 地震の大きさはべき乗則に従う。 グーテンベルクリヒターの法則 マグニチュードが1増えると開放されるエネルギーは10倍にな...
大惨事、暴落は説明はできても予測はできない。 砂遊びと同じ。崩落は突然起こり、規模は様々である。 カタストロフィー理論、カオス、複雑系 地震に前兆はない。 地震の大きさはべき乗則に従う。 グーテンベルクリヒターの法則 マグニチュードが1増えると開放されるエネルギーは10倍になる。エネルギーが倍の地震は1/4回しか発生しない。 ジャガイモの破片の大きさもべき乗則に従う。 防火対策を講じるほど、山火事の被害は大きくなる。 イエローストーン現象。森林が年を取り始めた 効率的市場仮説は、誤り。 マンデルブローのフラクタル(自己相似性)理論。 1か月後の価格変化のみを見ると、正規分布になる。 しかし、1か月後に上昇したものが次は下落する確率が高い、ということではない。 正規分布よりもべき乗則に従う=ファットテール フラクタル理論から、どの時間枠でも。 楽天主義者、悲観主義者、原理主義者は、固定されていない。そのため、暴落暴騰が起きる 6段階の距離 都市の分布もフラクタル自己相似性がある。 金持ちも数もフラクタル。 偉大な砂粒理論。 平均値思考や正規分布に慣れすぎている。 べき乗則は一人勝ちの世界。
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「べき乗則」を歴史への考察に結びつけていく流れは少々強引な気もしますが、有名な科学者や偉人たちも登場し、読み物としては大変面白いと思います。「正規分布」「フラクタル」「金融工学」「数理生態学」などの話題を別の視点から眺めてみたい人にもオススメです。
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ロングテールが脚光を浴びていた頃、その背後にあるのはべき乗則だと知り、関心をもっていたテーマでした。非常におもしろい内容です。 まず前半では、数字で計算できる現象を取り上げ、地震・山火事・磁石・金融市場等、それらがすべてべき乗則であることを紹介している。いずれも一見すると大き...
ロングテールが脚光を浴びていた頃、その背後にあるのはべき乗則だと知り、関心をもっていたテーマでした。非常におもしろい内容です。 まず前半では、数字で計算できる現象を取り上げ、地震・山火事・磁石・金融市場等、それらがすべてべき乗則であることを紹介している。いずれも一見すると大きな崩壊の原因は特定の事象で説明できそうだが、発生した瞬間には最終的な規模が予測できないことを指摘する。それにもかかわらず、極めてシンプルなルールでシミュレーションできることから、いずれも「臨界状態における相互作用」こそが、個々の要因を平均化するほど重要であると予想される。 このルールを踏まえ、本書後半では、数字化しにくい人間の歴史に取り組む。パラダイム転換などよく知られたテーマを議論しながらも、人文系テーマだけにデータ不足は感じるかもしれない。が、タイトルにもあるとおり、これこそが著者の書きたかったことだろうと思う。数理歴史学など、これから発展の可能性を感じる。 元資料を丁寧に紹介しているので、さらに知りたい人にとっても非常に親切な構成になっている。歴史と物理に興味のある人には、お勧めの一冊です。
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