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歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 の商品レビュー

3.8

53件のお客様レビュー

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2018/11/28

 歴史の予測には,多くの学者が失敗してきた。それは,何かを予測しようとするとき我々はつい典型的な正規分布を想像し,その“平均値”を典型だと思い込み,それを基に単純な因果関係を考えがちであることが,ひとつの理由であるように思う。実際には,世の中の多くの事象は正規分布に従わず,我々が...

 歴史の予測には,多くの学者が失敗してきた。それは,何かを予測しようとするとき我々はつい典型的な正規分布を想像し,その“平均値”を典型だと思い込み,それを基に単純な因果関係を考えがちであることが,ひとつの理由であるように思う。実際には,世の中の多くの事象は正規分布に従わず,我々が想像する平均も典型も見当違いになるのである。例えば,本書では,過去の大地震の間隔を調べて次の大地震発生の時期を予知する考え方は無意味であることが示されている。では,地震発生に法則性はないのか?物理学者で元Nature誌の編集者でもある著者は,こうした直感と合わない出来事を統べる法則として「べき乗則」を挙げる。  べき乗則とは,縦軸の値が横軸の値の何乗かに比例する関係であり,80:20の法則としてよく知られるパレートの法則もその変型である。べき乗則では,地震のエネルギーが2倍になると,発生頻度は1/4になる。同様に,山火事の面積が2倍になる毎に,その頻度は1/2.48になる。その他にも,生物の絶滅の規模も,バッタの大量発生の規模も,はしかの流行の規模も,頻度との関係がべき乗則に従うと書かれている。自然界だけでなく,都市の大きさと数(2倍で1/4),戦争における死者数と戦争の頻度(2倍で1/2.62),株価の変動の大きさとそれが起こる頻度(2倍で1/16)など,人間の活動による出来事にも,べき乗則が当てはまるものが多い。さらに最終章では,著者は人間の歴史にもべき乗則の立場から興味深い言及をしている。  世の中は,どう見るかという視点によって見え方が大きく変わる。本書では,砂を机の上に一粒ずつ落としていったときに何が起こるかという何気ない実験でさえ,数値計算モデルでは予想外の結果になることを示しながら,我々の“常識”とは異なる別の視点に立つことの面白さを教えてくれる。そこからは,これまでに見たことのない新たな景色が見えることだろう。巻末には,大学教養レベルのネットワーク理論の入門書なども紹介されているので,興味をもった読者は,さらに詳しい話を知ることができる。 mak 蔵書なし

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2017/07/26

捉えどころのないようでいて、 なんかぼんやりある感じ。 この存在感がべき乗則なのがよくわかった。 存在というより「たたずまい」。 よくわかったようで、わからなかった。 でもいい本ですね。

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2017/06/17

べき乗則、自己組織臨界の紹介とその理論を持って歴史を捉えられるかという試論。 進化の断続平衡説を自己組織臨界で理論的に基礎づけるというのはありそうだなとおもった

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2017/01/23
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2009年(底本2003年)刊。著者は元ネイチャー編集に携わったSc.Lter.。「歴史」(とはいっても、文献史学のような狭い領域ではなく、大量絶滅、生態系や生命発生の自己組織化、地震や火山噴火の如き災害などの自然現象が主。ただしバブル崩壊や戦争などの人為的事象も包含)展開の法則性について「冪(べき)乗則」が妥当するとの観点から各事象の解説を加える。自然現象や多数人かつ優劣の乏しい意思の結集が予定される株式市場に関しては納得できるところだが、「複雑系」関連書を読んでいればそれほど奇抜な内容ではない。 問題は戦争など、数百人以下程度の少数の意思集合で決定される戦争(テロ行為の決定)・企業意思決定等に冪乗則が妥当するかという点だが、多数人が影響している場合は兎も角……。また、学説・研究の進歩が冪乗則にそうという点も、本当にそうかなぁ?という感が残る。でも、記述内容は興味を引く、面白いものだけどね。

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2016/10/17

歴史物理学者の著者が冪乗即について解説した本。 関連ワード:非均衡状態における予測不可能生、カオス、複雑系、フラクタル

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2016/02/03

物事の捉え方としてとても参考になる。 べき乗則 臨界状態の普遍性 歴史が重要 不調和の蓄積と相互影響力 地震・山火事・磁石・貧富・株価・都市・戦争・革命・科学・歴史

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2015/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある小さな出来事が、すぐ近くに影響を与え、さらにそれらがすぐ近くに影響を与え・・、結果として、とてつもない出来事が発生する。この「べき乗則」は、雪崩や地震を例に説明されることが多い。その分布はスケール不変的となり、小さな地震を引き起こすものと大きな地震を引き起こすものとは同じものであるという結論に至る。この「べき乗則」は、自然現象だけでなく、マーケットの変動や流行といった社会現象にも見出すことができ、歴史学にも適用することができる。 世界が動くときには、その社会が臨界状態になっていたということ。「歴史はかなりの程度、数の問題」という指摘に納得。

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2015/05/24

歴史が「べき乗」に従うかは議論の余地があるが、地震の震度の頻度の「べき乗」関係が他事象でも見られるのは興味深い。方程式は過去の発生パターンを分析し可視化したものだが、現代科学の成功体験は立ちいかなくなり、予測不可能性をどう扱うかが今後の科学の主流テーマになっていくのだろう。 量...

歴史が「べき乗」に従うかは議論の余地があるが、地震の震度の頻度の「べき乗」関係が他事象でも見られるのは興味深い。方程式は過去の発生パターンを分析し可視化したものだが、現代科学の成功体験は立ちいかなくなり、予測不可能性をどう扱うかが今後の科学の主流テーマになっていくのだろう。 量子力学の波動方程式のように「なぜそうなるのか?」は後回しにし、「べき乗である」ことを前提に事象予測をアプローチしていくことが複雑系分野の解明につながっていくのかもしれない。

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2014/11/28

大惨事、暴落は説明はできても予測はできない。 砂遊びと同じ。崩落は突然起こり、規模は様々である。 カタストロフィー理論、カオス、複雑系 地震に前兆はない。 地震の大きさはべき乗則に従う。 グーテンベルクリヒターの法則 マグニチュードが1増えると開放されるエネルギーは10倍にな...

大惨事、暴落は説明はできても予測はできない。 砂遊びと同じ。崩落は突然起こり、規模は様々である。 カタストロフィー理論、カオス、複雑系 地震に前兆はない。 地震の大きさはべき乗則に従う。 グーテンベルクリヒターの法則 マグニチュードが1増えると開放されるエネルギーは10倍になる。エネルギーが倍の地震は1/4回しか発生しない。 ジャガイモの破片の大きさもべき乗則に従う。 防火対策を講じるほど、山火事の被害は大きくなる。 イエローストーン現象。森林が年を取り始めた 効率的市場仮説は、誤り。 マンデルブローのフラクタル(自己相似性)理論。 1か月後の価格変化のみを見ると、正規分布になる。 しかし、1か月後に上昇したものが次は下落する確率が高い、ということではない。 正規分布よりもべき乗則に従う=ファットテール フラクタル理論から、どの時間枠でも。 楽天主義者、悲観主義者、原理主義者は、固定されていない。そのため、暴落暴騰が起きる 6段階の距離 都市の分布もフラクタル自己相似性がある。 金持ちも数もフラクタル。 偉大な砂粒理論。 平均値思考や正規分布に慣れすぎている。 べき乗則は一人勝ちの世界。

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2014/11/08

「べき乗則」を歴史への考察に結びつけていく流れは少々強引な気もしますが、有名な科学者や偉人たちも登場し、読み物としては大変面白いと思います。「正規分布」「フラクタル」「金融工学」「数理生態学」などの話題を別の視点から眺めてみたい人にもオススメです。

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