藪の中 の商品レビュー
既読の作品もありましたが、どの話も短い中に見事に人間の本質や業を描いたような作品で面白かった。 以下印象的だった作品。 「藪の中」 藪の中で、胸を刺された男の死骸が見つかる。検非違使が関係者から聞き取った証言だけで構成されている物語。それぞれの証言が食い違い、結局誰が男を殺した...
既読の作品もありましたが、どの話も短い中に見事に人間の本質や業を描いたような作品で面白かった。 以下印象的だった作品。 「藪の中」 藪の中で、胸を刺された男の死骸が見つかる。検非違使が関係者から聞き取った証言だけで構成されている物語。それぞれの証言が食い違い、結局誰が男を殺したのか、真相は藪の中。色んな解釈ができる面白い作品。殺された本人の言が一番信用できるかな…? 「地獄変」 そもそもこの作品が読みたくてこの本を手に取りました。 変質的で嫌われ者の絵師良秀が目の前で最愛の娘が焼け死ぬ姿を見て地獄変の絵を描き上げる。良秀の絵に対する妄執もすさまじいが…これ一番怖いのは大殿様ですよね? 「鼻」 自分の長い鼻がコンプレックスのお坊さんがあの手この手で鼻を短くしようとして念願の短い鼻を手に入れたはいいけどなんか人がそれ見て今までとは違った感じで嘲笑してくるようになって不快に思いながら寝たら、次の日元の長い鼻に戻っててちょっとほっとしてしまう、という話。なんかほのぼのしてて好き 笑 人間は他人の不幸を憐れむが、その人が不幸から脱出すると面白くない感情が湧いてくるという、人間の本質をユーモラスに描いた作品。自分がコンプレックス持ってるから他人の鼻ばかり見てしまうとか、この人よりはマシだと思って安心したい心情とか、わかるからより面白い。
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《藪の中》 ある殺人事件の犯人を探すために、検非違使が関係者の証言を取っていく話。視点によって真実が変わります。 登場人物の証言に矛盾が生じているので、誰かの証言は間違えているはずですが、各証言は少しずつ違うというレベルではなく、全然違う証言になっています。 しかし、よく考え...
《藪の中》 ある殺人事件の犯人を探すために、検非違使が関係者の証言を取っていく話。視点によって真実が変わります。 登場人物の証言に矛盾が生じているので、誰かの証言は間違えているはずですが、各証言は少しずつ違うというレベルではなく、全然違う証言になっています。 しかし、よく考えれば現実の世界でも人によって言っていることが違うのはよくある話。自分の世界だけが事実だと思わないように気を付けようと思いました。
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国語の教科書に載るのわかりすぎる。 藪の中だけ今まで知らなかったけど、この世界観すごく好き。 道徳だけじゃなくて、人間の愚かだけど美しいところも描いていると思う。
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「蜘蛛の糸」以外は初読み…かな。「藪の中」が読みたくて購入。確かによく分からぬ内容で混乱。結局、誰が殺したのだろうか——。この一篇以外は業、性について描かれているのかなぁと思った次第です。「杜子春」に至っては小林泰三氏がパロった作品を積んでいるので、その前に原作(?)を知れて良か...
「蜘蛛の糸」以外は初読み…かな。「藪の中」が読みたくて購入。確かによく分からぬ内容で混乱。結局、誰が殺したのだろうか——。この一篇以外は業、性について描かれているのかなぁと思った次第です。「杜子春」に至っては小林泰三氏がパロった作品を積んでいるので、その前に原作(?)を知れて良かった(^^) どれも味わい深い作品でした!
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羅生門、小学生の頃にアニメを見てトラウマになったのを思い出しました。悪いことはするべきではないと誓った作品。
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藪の中は、全体が不気味な雰囲気に包まれていて、誰かが嘘をついているかもしれないと思って他人を信用しきれない気持ちと、待てよ、全員が証言してることが全て本当だったら...という怪奇への不安感を往復する感覚が味わえて面白かった。 でも、この短編集の中で1番好きだったのは地獄変。牛車...
藪の中は、全体が不気味な雰囲気に包まれていて、誰かが嘘をついているかもしれないと思って他人を信用しきれない気持ちと、待てよ、全員が証言してることが全て本当だったら...という怪奇への不安感を往復する感覚が味わえて面白かった。 でも、この短編集の中で1番好きだったのは地獄変。牛車が燃えているのを描いた絵を見てみたけど、この非現実的なほどグロテスクな牛車とこれを引き起こした人間の怖さがじわじわと臭ってくる様子が少しも引けを取らずに文で表現されていたのが良かった。
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30ページ程の短い小説。沢山の視点から物語が語られる。しかし何故か食い違う意見たち。何が本当なのか、本当の悪はなんだったのか、一体なぜ男はこの世を去ったのか。後世にも参考にされているのだろうなと感じる作品。
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森見登美彦さんの著書新釈走れメロスの中に芥川龍之介の藪の中を題材に短編を書いていたので読んでみました。 私が読んでいた芥川龍之介の中ではより現実的な視点でした。ミステリと言う勿れという漫画で「真実は人の数だけあるんですよ」というセリフを藪の中を読みながら思い出しました。 感情を挟...
森見登美彦さんの著書新釈走れメロスの中に芥川龍之介の藪の中を題材に短編を書いていたので読んでみました。 私が読んでいた芥川龍之介の中ではより現実的な視点でした。ミステリと言う勿れという漫画で「真実は人の数だけあるんですよ」というセリフを藪の中を読みながら思い出しました。 感情を挟んで解釈したり、その人には違う意図があったり受け取り方が違う、まさに解決された事件も未解決事件も真実は藪の中ってことでしょう。 その点に着目できた芥川龍之介の頭も藪の中です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今日から4人で感想会♪藪の中から男の死体が発見。関係者に聞き取るが、証言が食い違う。①容疑者の多襄丸:男を竹藪へと呼び出し、縄で縛る。男の前で女を強姦する。女の望み通りに男と堂々と戦って男を刺し殺す。②殺された男の妻:多襄丸に強姦され、男に共に死ぬことを提案、しかし男は既に死んでいた。③死んだ男の霊を憑依させた巫女の証言:多襄丸は女を誘惑し、女は多襄丸に男を殺すよう懇願する。男は情けなさから自害する。 男の意識が朦朧として死ぬ間際に何者かが男の胸から小刀を抜き絶命する。誰が男を殺害したのか?仮説は3つ。⑤ ★仮説1)男(武弘)の自殺;最後に小刀を抜き取ったのは本人。理由は女(真砂)の裏切りに絶望したため。★★仮説2)女(真砂)が男(武弘)を殺害;この女は多分サイコパス!話しが全て収まるような気がする。★★★仮説3)芥川龍之介がこの作品を書き終えた時に「ニヤッ」と、ニヒルな笑顔が浮かべたのではないか?この殺人は現在の状況証拠では絶対解けない方程式であり、登場人物もそれらしく作り上げた張りぼて。犯人が判らないまま物語が幕を閉じるという作者の腹の内。【自分が推す仮説は3。皆さんはどう?の感想が気になる(^^♪】
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現代小説を読み慣れてしまって、古典小説の読むマインドセットを忘れてしもうた。 人は自分の観たいように物事を見るってことですかな。 捉え方次第で悲劇にも喜劇にもなる。 映画「チャンス」でもそんなような考えが披露されてたなと思い出す。 開高健氏からのdiggでした。
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