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1968(下) の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2021/12/13

学生叛乱を記述した本の下巻 闘争が活発化してからと、連合赤軍事件を迎えて下火になっていってからを記述している。 その過程でベ平連と女性解放運動にも触れている。 以下、印象に残ったこと。 ①闘争が一般市民の理解を得られなくなっていくさま。 闘争が、大学自治から、より抽象的な「...

学生叛乱を記述した本の下巻 闘争が活発化してからと、連合赤軍事件を迎えて下火になっていってからを記述している。 その過程でベ平連と女性解放運動にも触れている。 以下、印象に残ったこと。 ①闘争が一般市民の理解を得られなくなっていくさま。 闘争が、大学自治から、より抽象的な「自分探し」を求める闘争へ。 (東大闘争を模倣した)したがって、就職や留年が間近に迫った一般学生の支持は得られない。 さらにセクトの介入→その中で連合赤軍事件が起き、さらに運動からは離れていく。 こうした運動の流れが、本来の目的を見失った組織がどうなるかを示していると思う。 ②運動の理由と教訓 筆者は運動を、「高度経済成長に対する集団摩擦反応」としている。 自発的な「運動」ではなく、「反応」としている点が面白い。 ※逆に現代だったら、そんなことは起こらないだろう。インターネットで他の人とつながれる。 メンタル系の書籍もあるのでそうした現代的不幸も解消できる。 そして彼らの失敗から学ぶべきことは、過去の思想や経験を十分に理解しないまま葬ることの不毛さ。 当時の学生たちは戦後の知識人たちの積み上げてきた経験や知識を十分に読まないまま批判していき、闘争に走ってしまった。 正直、現代でもそういったことは言えないだろうか。(十分な理解を得ないまま、対象を批判していないだろうか) ③連合赤軍事件の総括 確かに学生たちを運動から遠ざけた一因。 筆者としては、運動と距離を置くべきではないし、そのような結論に至るわけではないと考える。 概して、これまでの多くの連合赤軍事件論は、「総括」の理由付けの解明に無駄な努力を注いでいるように思われる。 社会の病理とか、そんなものではない。 森と永田が、自らの身を守るため、逃亡や反抗の恐れがあるとみなした人間を、口実をつけて「総括」しようとしていたのではないか。 事件の中に、見たいものを見ているだけだ。 これも正直、現代につながる感じはある。凶悪事件が起きたときに、その総括を誇大に、センセーショナルに考えすぎていないか? 対象にレッテルを張りすぎていないか?本人のおかれた特殊状況を考慮しているのか? ④1970年のパラダイム転換 マイノリティへの注目。在日問題や米軍基地問題など。 学生運動もそれに乗っかる形で注目される。 →筆者は、これに対し、「サヨク」がきれいごとでできているという意見がある人もいることを指摘。 その指摘には不十分な点が多いことに言及しながらも、日本のマジョリティに語り掛ける言葉がなくなっていることにも言及。 これは、人々の意識、思想、言説の変化が、社会の実態変化より約10年遅れることを示してもいる。 社会が変わっても、人間は発想の転換が容易にできない。 →そうなると、闘争につながる。 「言葉が見つからない」なかで安直に現体制を批判するのは良くない。運動のエネルギーの源泉になるが、その放たれたエネルギーはどこへ行くのか。

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2020/04/03

長い長い下巻を読み終わる。 ベ平連、ウーマン・リブ、連合赤軍。 どれもしっかりと知っていたわけではなかったので、非常にためになった。 現代の歴史を学ぶことがどんなに重要か。

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2013/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高校闘争については1969年春の卒業式における都立青山、九段、大阪府立市岡高校の叛乱が有名であったとのことで、同年代でありながら全く知らない世界でした。高校生の場合には大学生と異なり、処分される可能性が濃厚であること、機動隊が簡単に導入されたことなど、更に絶望的な環境の下で闘った送られる側の一つ上の先輩たち、そして勇気ある送辞を読んだ同級生の一人での勇気ある行動には尊敬の念を覚えます。べ平連については私自身が70年6月23日の記念すべき日に「自分自身の満足感のために」デモに参加したことがあり、やはり同じような気持ちで参加する人たちばかりの運動体であったこと、それ故に、入口としての甘ちゃんのように見られた限界が良く理解できましたし、新左翼の1つのように見られるようになっていったことから、小田実らも一致できなくなり、解散していった流れが良く理解できました。連合赤軍の挫折はあまりにもリアルな詳細な記述で、この挫折感が70年代以降の学生運動に大きな心の傷を与えていたことを痛感しました。ウーマンリブの始まりなどは全共闘運動の挫折から出てきたものであったことが書かれていますが、そういう意味であの時代の学生のパワーが残した唯一の遺産だったと思いました。この上下巻を読み終わった後は、感動的でしたが、とにかくあの時代「政治運動」と思っていたものが、実は「自己確認」のための非常に個人的な運動であったこと、そしてその結果が70年6月以降の新たな目標を見出すことができず混迷を深めただけでなく、現在の個人主義の風潮を生むということに繋がっているように思います。

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2013/07/30

全共闘運動の後半に入る。やはり文献資料を吟味し、その実証的研究は評価できる。いかに当時のマスコミ、政党機関紙が事実を歪曲していたかがわかる。取りあげられているのは「武装闘争」に突入した、いわば「最前線」である。ないものねだりだが、杉の棒での防衛、ハンスト、討論会など多様な形態の闘...

全共闘運動の後半に入る。やはり文献資料を吟味し、その実証的研究は評価できる。いかに当時のマスコミ、政党機関紙が事実を歪曲していたかがわかる。取りあげられているのは「武装闘争」に突入した、いわば「最前線」である。ないものねだりだが、杉の棒での防衛、ハンスト、討論会など多様な形態の闘争は存在した。 だからあくまでも「最前線」のマスコミなどで取り上げられた部分の記述であるので、それを考慮に入れないと誤解を生む危険性がある。

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2011/08/03

生まれる前のことでぼぉにゃりとイメージでとらえていたことはその時代のごくごく一部分であったのだなあと思いました。“過去の思想や経験を十分に理解しないまま葬ることの不毛さ”という記述がありました文章を目でやっと追っただけで理解することはできていませんが、今の時代に繋がる歴史を少しず...

生まれる前のことでぼぉにゃりとイメージでとらえていたことはその時代のごくごく一部分であったのだなあと思いました。“過去の思想や経験を十分に理解しないまま葬ることの不毛さ”という記述がありました文章を目でやっと追っただけで理解することはできていませんが、今の時代に繋がる歴史を少しずつでも読んでいこうと思います。本を紹介くださった図書館の神様に感謝。

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2009/12/08

リブについて記述された17章および結論箇所だけ読む。17章は書かれた田中美津本人は批判しているようだけど、読者としてはまとまっているし、なんとなく全体をつかめた気になるし、非常に分かり易いと感じた。当事者の証言を集めて再構成してあり、小熊自身の目をひく分析というのは少ない。だけど...

リブについて記述された17章および結論箇所だけ読む。17章は書かれた田中美津本人は批判しているようだけど、読者としてはまとまっているし、なんとなく全体をつかめた気になるし、非常に分かり易いと感じた。当事者の証言を集めて再構成してあり、小熊自身の目をひく分析というのは少ない。だけど、費やした労力には拍手。 719  田中は72年には、戦災孤児救援活動から、街頭闘争、新左翼くずれの男との同棲という変転中ずっと脳裏にあったのは、「あたしが生きるとは何か」「自分が何者であるか」だったと述べている。また当時の自分の悩みは「生きてない実感」であり、デモや街頭闘争にでたのも「スクラムを組み、インターを歌う中で、確かにここに己れがいる、というその実感があったからで、機動隊との衝突を心ひそかに期待したのも、より強くそれを実感したいがためであった」という。『いのちの女たちへ』127,235 770 1950年生まれの高橋源一郎が、2003年に「学年が2つぐらい上だと、ほとんどどうしようもないストレートな左翼なんだけど、1年下がると半分ぐらいの学生は消費社会化した左翼になっている」高橋の2008年の回想、「体の半分は非政治的。政治運動をやればやるほど、残りの半分が抵抗する。昼にデモに行ったら、夜はジャズを聞かないとおさまらなかった。引き裂かれていたんですね」 792 現代の日本で政治運動に若者が集まらないのは、連合赤軍と内ゲバに象徴される負の遺産と共に、<心><生きてない実感><アイデンティティ>といった問題を、社会や政治と切りはなして論じる慣習や言説にとりかこまれすぎているからだ。身体感覚。他者と肉体接触をすることで(スクラムのデモなど)生きている実感を得ることが可能だった。 801 あの時代の叛乱は、これまで政治運動として語られることが多かったが、実際には若者の自己確認運動や表現行為の側面が強かった。

Posted byブクログ