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神の守り人(下) の商品レビュー

4.3

263件のお客様レビュー

  1. 5つ

    110

  2. 4つ

    96

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2026/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おもしろすぎる…! 「剣の重みは、命の重み。その短剣は、そなたの生であり、死である。それを抜くときは、自分の命をその刃に託したものと覚悟せよ」 バルサはきっと短槍を師匠から受け取ったときからこの言葉を信条に、戦い生きてきたのだと思う。一貫した強さはバルサが命のやり取りを通して生き抜いてきた重みから滲み出ている。本当にかっこいい。 物語としてはビターエンドで、アスラはタルハマヤという神と一時は同化してしまい、人々を殺戮する愉悦に浸り飲み込まれてしまっていた。だが、兄のチキサが己を悲しげな目で見つめており、人を殺すということ、悍ましいことだと気付き、神を自分の身に飲み込むことで同化を防いだ。しかし、その結果アスラは自分のこれまで行ってしまった殺しと正面から向き合うことになり、魂を深い闇に隠して植物状態に…。となんとも苦い結末。でも救いがなかったわけじゃない。アスラは神にならなかったし、いつか目が覚めて自分の生を受け入れられたとき、チキサと一緒に明るい未来で生きていく希望がまだあるので…。世界の陽陰が複雑に絡まっていて難しいところもあるけど、どこかの遠い国の話と思えないほど共感し熱い気持ちが湧き上がってきた、こんなに読んでて楽しい気持ちになれたことが嬉しい。

Posted byブクログ

2026/03/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夢中になって読んで、あっという間に読了。アスラの心も救おうとするバルサのことをもっと好きになった。 ロタ王国のゴタゴタは今回はメインではなかったみたいで次巻以降かな? 物語的にはシハナは罰せられる対象だが、シハナから見たら国を変えたいという正義の行動であって、やはり立場によって正義なのかそうでないのかは違う。 だからこそ争いは起こり、繰り返してしまうのだと再認識した。

Posted byブクログ

2025/12/15

守り人シリーズ第五作下巻。 誰かが決定的に悪い、ということではなくて、それぞれが自分の正義に則って行動しているんだよねえ。シハナだって悪者に見えるけど、自分の中の善を行おうとしている。そう考えると胸が苦しくなるね。 カンバルよりも豊かなはずのロタ王国にも独自の問題があって…国...

守り人シリーズ第五作下巻。 誰かが決定的に悪い、ということではなくて、それぞれが自分の正義に則って行動しているんだよねえ。シハナだって悪者に見えるけど、自分の中の善を行おうとしている。そう考えると胸が苦しくなるね。 カンバルよりも豊かなはずのロタ王国にも独自の問題があって…国王兄弟の仲がいいから余計につらい。ヨーサムがサンガルでチャグムと会ってる時、国はこんなことになっていたのね…。 バルサはいろんな人を救っているヒーローだけど、心の奥底に血を好む獣を飼っていて、人を傷つけることを喜ぶ本性を持ってる。でも、理性ではそれが許せなくて…その葛藤を考えるとね、眠れなくなります。 そして、バルサとタンダってさ、一緒にいることの方が少ないよね。だいたい逸れたり引き離されたりしてる。でも、お互いに心配しつつも「あいつなら大丈夫だ」という信頼をきちんと持っていて…もう、なんていうの?愛?絆??好きだな、こういう信頼関係! でさ、バルサは徹底的なリアリストなんだよね。不思議なノユークの世界を覗けるタンダという人が側にいながら。そこが信頼できるし、それによって救われる人がたくさんいるってところが好きだなあ。 文庫の解説は児玉清氏なんだけど、初上橋菜穂子作品が『獣』だってところが一緒で、ハマり方も一緒で、もう…アタックチャーンス! 「泣ける度」はところにより泣ける&最後は嗚咽、です! …あれ?あと二作で終わんの…?こんな短かったっけ?え???えー????もっと読みたいんですけど!と喚きつつ次作へGO!

Posted byブクログ

2025/12/07

守り人シリーズの6作目です。 神を招く者チャマウとなったアスラを、かつてロタ王国を恐怖で支配していたサーダ・タルハマヤの再来として擁立しようとするシハナと、ロタ王国で虐げられてきたタルの民たち、そしてシハナに共感する若い〈猟犬〉カシャルの人々。 それを食い止めるために動くシハナ...

守り人シリーズの6作目です。 神を招く者チャマウとなったアスラを、かつてロタ王国を恐怖で支配していたサーダ・タルハマヤの再来として擁立しようとするシハナと、ロタ王国で虐げられてきたタルの民たち、そしてシハナに共感する若い〈猟犬〉カシャルの人々。 それを食い止めるために動くシハナの父親スファルとタンダ、バルサたち。 商隊とともにロタ王国に入ったバルサとアスラは、祭儀場を目指していた。 その最中、吹雪に巻き込まれ、ロタの家族と一緒に過ごす。吹雪の後に、狼が家畜を狙って襲ってきたとき、タルハマヤを招いてアスラは商隊を狼から救うが、それと同時に流血を好むタルハマヤにアスラは感情を呑まれるのだった。 それを見たバルサも、そんなアスラの姿に、アスラに自分と同じ思いをしてほしくない、という思いを強く持つ。 タルの民の協力を取り付けたシハナは、ついにバルサからアスラをさらうことに成功する。瀕死の重傷を負ったバルサのもとにかけつけるタンダ。 タンダらは、一連の事件の真相にたどり着く。そして、アスラを取り戻すために、動き出す。 シハナは、アスラの力をもってロタ王国を強固に統一する計画をロタ国王の王弟イーハンに話すが、イーハンはその思惑に乗らなかった。 シハナはそれを踏まえ、強引な方法で、アスラをサーダ・タルハマヤに仕立てようとする。バルサたちが駆けつける中、アスラが殺戮の神タルハマヤになり切らなかったのは、ここまでのバルサたちとの旅の記憶だった。 というお話でした。 王のヨーサムは、前作の「虚空の旅人」の式典に参加していると思われ、あまり登場しないのですが、時系列を感じられて、シリーズを通して読んでいる身としてはニヤリとしました。 上巻で見えなかったアスラの心情が、狼の事件をきっかけに少しずつ、描写されるようになってきて、支えてくれて見守ってくれるバルサと、見守られるアスラの結末が気になるものになっていきました。 また、バルサはその力を存分に発揮しながらも、本作では短槍使いとしての強さというよりも、生き抜く力や、ほかの人との繋がりによる強(したた)かさを魅力としてとても感じました。 そして、本作で共感したのは、頭脳明晰な若いシハナの存在です。 シハナは盤面遊びが得意で、人をうまく動かして状況を作り出す能力があり、実際に、物語はその方向に動いていきます。けれども、そこで、王弟イーハンが最後に組織や国を思って、シハナの思惑に乗らなかったり、父スファルが経験の多い〈猟犬〉カシャルと協力して、計画を妨げようと動きます。また、最後にアスラがタルハマヤに魂を明け渡さずに、神を追い返す決断とそれを成す強さに至ったことも、シハナの思惑にはなかったのだと思います。これらの、シハナの年代が持つ合理性やその同じような価値観に基づいて、性善説的に人が動くはず・・・という想定は、まさにいま、そう言った年齢に差し掛かり、会社で年上の同僚にもお願いして動いてもらわないといけない企画の担当になったりして、うまくいかないことが度々起こっている現実世界の自分にもリアリティをもって迫ってくる展開でした。 最後にアスラが目覚めたような描写も秀逸で、綺麗な終わり方でした。 面白かったです。 おわり。

Posted byブクログ

2025/11/25

新潮文庫の後ろの児玉清さんの解説にある、児玉さん視点の上橋さんすごい 「物語をつくる人にならなかったら、私は私ではない」「アボリジニ文化は彼らの財産であるから、そのまま小説に使うことはありません」

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2025/11/10

オーディブルで読了。 ナレーターの方のバルサの低い声に惚れ惚れする。 これは本当に児童文学なのだろうか。 ファンタジーを通して、権力と暴力の恐ろしさを語る大人のための本に思える。 国と国との勢力争いが、現代の国際政治と重なる。 国のリーダーのあり方次第で、情勢がいくらでも変わっ...

オーディブルで読了。 ナレーターの方のバルサの低い声に惚れ惚れする。 これは本当に児童文学なのだろうか。 ファンタジーを通して、権力と暴力の恐ろしさを語る大人のための本に思える。 国と国との勢力争いが、現代の国際政治と重なる。 国のリーダーのあり方次第で、情勢がいくらでも変わってしまう。 印象深かったのは、悪に制裁をくだす神などいるのか、憎んでも心は晴れないというところ。 ここだけ切り出すと説得力がないが、バルサのセリフを通して聞くと、心に響くものがある。

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2025/10/03

これまでで一番ビターな感じ。 若く才気に溢れ、自分と人間に自信を持つシハナと対照的に、同じような年齢で人間の限界を悟るチキサは人生2周目である。 でも結局そういうことだよなと思わされる一冊。

Posted byブクログ

2026/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

子供の頃に一度読んだことがあるが、再読して世界観の大きさに驚いた。 舞台であるロタ王国は貧富の差による地方領主同士の争い、長く続くタル民差別、危うい領主たちを纏める人望の篤い王も病魔に侵されて長くないといった多くの問題を抱えている。 それらの問題を解決するために、神の力を利用した恐怖政治を敷こうというのが黒幕シャハナの目的だ。 一見シャハナのやっていることは国のため、英雄的行為のようにも見える。 だが、主人公バルサや王弟イーハンが主張するように暴力で国を支配しては誰も幸せになれない。 まして神話の時代に決別した神による恐怖政治に回帰してはいけないのだ。 貧富の差も差別も戦争も人間全員が一歩ずつ努力して良い方に変えていくべき。 そして、神と一つになる可能性を秘めた少女アスラ。 差別を受け続けた同族のため、そして死んだ母のためにアスラは神になることを迫られる。 暴力に酔いしれる感覚、正義が自分にあるような万能感、それらに呑まれながらも最後の最後でアスラは神と決別した。 守り人シリーズといえば児童書だが、主人公のバルサは30歳頃の人生経験豊かな女性だ。 バルサは強く、優しく、賢い完璧な用心棒だ。 しかし、恵まれない子供時代と青春時代を送った人でもあり、今も過去の闇にとらわれている。 だから昔の自分のような子供を見過ごせない。 1作目のチャグム、今作のアスラ。運命に巻き込まれた少年少女を、バルサは人生の先達として守り導いてくれる。 自分の過去を哀しく俯瞰しながら、目の前の子供たちを助けようとするバルサの心根もまた彼女の魅力でもある。 民族・国家の大きな問題に気を取られて誰もがアスラを利用しようとする中で、主人公のバルサだけが「アスラに人殺しをさせてはいけない」と主張して抗い続けた。 彼女の在り方こそがこの本に学ぶべきものだろう。 物語のラスト、神と決別したアスラは長く意識を失ってしまう。 残酷な運命に巻き込まれて多くの人を殺したアスラの魂は、このまま死ぬべきか、生きるべきか悩んでいるのだった。 アスラ自身がこの事件で大きく傷ついたのだろう。 それでも、バルサが見せた野の花畑の香りだけがアスラの魂に届く。 アスラはきっと立ち直って戻ってこられる。そう感じさせる穏やかなラストだった。 そして、国内に多くの問題を抱えたロタ王国は動乱の時代に入っていくのだろう。それは簡単に描き切れるものではない。 あくまで「神の守り人」はアスラという運命の中でもがいた少女の物語であった。

Posted byブクログ

2025/09/04

一つの出来事も、見る人が変わればその出来事の性格も変わってくる。ある者にとっては正義かもしれないが、ある者にはただの虐殺に過ぎないかもしれない。 バルサの言った「命あるものを、好き勝手に殺せる神になることが、幸せとは、わたしは思えないよ。そんな神が、この世を幸せにするとも思えな...

一つの出来事も、見る人が変わればその出来事の性格も変わってくる。ある者にとっては正義かもしれないが、ある者にはただの虐殺に過ぎないかもしれない。 バルサの言った「命あるものを、好き勝手に殺せる神になることが、幸せとは、わたしは思えないよ。そんな神が、この世を幸せにするとも思えない」はすごく印象残った

Posted byブクログ

2025/09/02

国や文化を超えて、様々な民族と交流しながら旅する様子がドキドキして楽しかった! 闇の守り人と同様、伝統を侮ったり疑ったりする不遜な展開からの。 恒例の、ローティーンがバルサの温かさに触れて生命をかけて頑張る、児童文学みにあふれた作品。 ゲストキャラの皆様もとても魅力的でした。シハ...

国や文化を超えて、様々な民族と交流しながら旅する様子がドキドキして楽しかった! 闇の守り人と同様、伝統を侮ったり疑ったりする不遜な展開からの。 恒例の、ローティーンがバルサの温かさに触れて生命をかけて頑張る、児童文学みにあふれた作品。 ゲストキャラの皆様もとても魅力的でした。シハナはいずれまた登場して、ロタ王国の平和を独自の理論で掻き乱すのだろうか。

Posted byブクログ