一九八四年[新訳版] の商品レビュー
最後の一文でバッドエンドのカタルシスをこれでもかというくらい浴びせられて、尊厳破壊の最たるものを味わった。 単純に死ぬよりも残酷性が高い終わり方。 社会制度、キャラクター性、心理描写、どれもが完成されている。 序盤の大掛かりな体制批判、ジュリアとの密会が終盤の布石になっているとこ...
最後の一文でバッドエンドのカタルシスをこれでもかというくらい浴びせられて、尊厳破壊の最たるものを味わった。 単純に死ぬよりも残酷性が高い終わり方。 社会制度、キャラクター性、心理描写、どれもが完成されている。 序盤の大掛かりな体制批判、ジュリアとの密会が終盤の布石になっているところも作者の構成力の高さを伺わせて良かった。
Posted by
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
すごいねぇ、こんな恐ろしい、未来に実際にまぁまぁある意味そっちにどの先進国も落ち着いてる感じだよねって思えるようなものを、あんな昔に書いたんだからね。そりゃ衝撃的な作品だし、有名だし、話題になるし、今思い返してもう一度読むべき本にあげられて然るべきだよね。 ショックが強いよね。 最初の一部やや冗長的に見えるところも、あとをしっかり動かすための土台作りだし、この時代の欧米の作品ってその嫌いがすごくどの作品もある気がするし。 2人が一緒になってからの華やかな時間も、デストピアからの脱却、夢のある時間、の様でいて、乾いた心をしてくれるかと思いきやもっと恐ろしいデストピアのために重ねられた、2段目に過ぎないとも感じられる、今思えば。 最後はもう一気に読むしかないんだけれども、結局怖くないんだけど、怖いんじゃないか、怖いんじゃないかって思わされるし、中々そんな深いところまで揺さぶられない位深いところが、鷲掴みにされて、ぐらぐらグラグラずっと揺らされてる感じで、終わらない震度6の地震みたいな、読み終わってどっと疲れて暫くうぅ…ってなる感じかな。 この作品がまさしく今に通じるのは間違いなくて、民主主義と言いつつ、社会主義であるようにも感じられると言う点もそうだし、政府が言う事は全て2重の意味があり(本当の事は誰にも伝えられず、大衆用に用意されたわかりやすいストーリーで、自分を含む大衆がもはや納得して進むことに慣れているとか)、もちろん写実的にその通りになっているわけでは無いんだけれども、比喩的にはそうなっている点が多すぎて、監視社会もそうだし、どこで誰に見られているか、自分の行動言動全てに気をつけて生きると言うことが、人間に及ぼす酷い害は、もはや公害の様でもある。 人間がその中でも美しく生きていくと言う話ではないし、そんな話では無いからこそ長く読まれているのだと思うし、深い深い深い。逃げられないし、逃げられなかったられなかったし、逃げることができなそうであること。ただ少しの希望を最下層に託していること。 あと、やっぱり監視されてるって嫌だよねっていうこと。全部筒抜けって楽しくないし、誰にも聞かれない、誰にも知られないで、人とコミュニケーションを取る事は、失われた過去の当たり前ではあるんだけれども、それは本当に本当に尊いものなんじゃないかともう一度考えさせられる。自分たちが今置かれている状況を正しく把握している人は非常に少ないと思うけれども、苦痛だよね、不快だよね、息苦しいよね、怖いよね、誰も信じられないよね、ほらやっぱり誰も信じちゃダメだったよね、と言うような。怖い怖い怖い話。 色んなことを考えさせられる話と言えば陳腐だけれども、こうやって脳みそが必死に考えることも減ったなぁと思ったりしつつ、こう言うわからない問いについて、問いかける本がしっかり残っていると言う事は1つの希望でもあると思った。
Posted by
一九八四年の、というより大作家のすごいところだが、それは人間が生きて書けているという事だ。 潰瘍の描写がその際たるものだが、人間が生きているという事に付属するものというか、生きた人間を書こうと思えば、こんなふうに本題といっても差し支えのない社会とその社会への目線というのから離れた...
一九八四年の、というより大作家のすごいところだが、それは人間が生きて書けているという事だ。 潰瘍の描写がその際たるものだが、人間が生きているという事に付属するものというか、生きた人間を書こうと思えば、こんなふうに本題といっても差し支えのない社会とその社会への目線というのから離れた個人的な事情である身体である痛みや匂いを書くというのがどれほど効果的なのか、それがよく伝わる。 さて、本作が描く世界がこうも現実的に恐ろしいと感じるのは、何故だろうか?僕が考えるにそれは、我々でも想像ができる範囲での身体、そして内心を強く縛られる社会を書いているからだろう。 長谷敏司のプロトコル・オブ・ヒューマニティにある描写で、居酒屋でのアルバイト中、常に監視カメラに見つめられて、気を抜いている時間を働いていないと判定し、その時間分の給与をカットするというような描写がある。 僕も、社会人のみなさんも、働いている時間と、気を抜いている時間。上役の目があるためにアリバイ的に手を動かす時間、こういった時間を経験した事があるだろう。そして、それがかなり悪辣な形で進めばそうなり得るだろうという想像ができてしまうのだ。 そして資本家は基本的に無自覚的に悪辣だ。革命後の社会が資本主義の社会と同じ道を辿りえるのをオーウェルはこうも徹底的に皮肉的に書く。(つまり、革命後社会の欺瞞というか、落とし穴。)動物農場にも見られる同一のテーマといっても問題はないだろう。 僕たちは、資本主義の敷かれたこの世界で、プロパガンダ的に刷り込まれイメージされる社会主義の社会と同じ目に遭いかねないことを感じ取り恐怖しているのではないだろうか?
Posted by
もしもこんな世界があったらと考えられても、設定を細部まで落とし込めるジョージ・オーウェルが恐ろしい。 言語を削ぐことで思考を狭めて、党の支配力を維持するのは面白かったが怖くもあった。 言語化は思考力だと実感。 トマス・ピンチョンの解説も希望があり最高だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白い!長いけど! 中盤のジュリアとの逢瀬のくだりがとても美しい(ちょっと長いけど)のと、終盤の怖さ、哲学的な深みがとても良かった。 エンタメ性はそこまで感じなかったけど思いの外表現とかがすごく好きだった。 オチは知っちゃってたけど、それでも十分面白かった。 でもちょくちょくよくわかんなかったとこがあったから大人になってからまた読み直したい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2週間かけてようやく読了。 かなりヘビーな内容で、ちゃんと読み取れていない部分もありそう。 拷問の描写や心理描写がとても鮮明で、じっとり暗い世界に入り込むことができた。 「ニュースピークの諸原理」を物語と並行して読み進めていたが、登場人物のセリフがニュースピークなのかオールドスピークなのか、原文でしかわからない部分もあるのかも。 トマス・ピンチョンの解説も興味深い。 情熱と暴力と絶望に満ちた小説。
Posted by
なかなか難しくて途中挫折しそうになったけど、頑張って読了して良かった。結果的にとても考えさせる内容で怖かった。しかもこれが70年前の小説ということに衝撃。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なーんてこった状態。 1章は世界感、主人公にフォーカスした話 自分たちの生きている世界の曖昧さを痛感する。なにも疑問なく受け入れていることは果たして真実なのか。権力者によって自由と思わされているかもしれない。支配とはまさに。 2章でつかの間の幸せとスリル。ここからの加速が楽しい。 3章で絶望。 何を言っても否定されて、もう諦めて楽になろ…てなる。 話が通じない、わかり合えない、正しいだけでは勝てず、しかもそれを正しくないとされて頭おかしくなりそう。 感情としては悲しいより悔しいが強いかも。 そして本当に恐怖するものを前にすると、愛する人も差し出せてしまう。それが精神の最後の砦で、自分というものを見失わないためのものだったのに。 罪悪感と自分への失望。完全敗北。 こんな未来に希望持たれへん終わり方ってあるんや。しかも相手が圧倒的にすぎて、こらもう無理や…と納得してまうという。 そしてこれがフィクションと言い切れない恐怖。 ほんで最後のニュースピークの説明よ。
Posted by
1949年に書かれたこのディストピア小説から、その後の歴史から現在までにおける政治や社会においてなされているトップの考え方、人民への統制、マインドコントロールについて、大袈裟ではあると感じるものの一つの見方として確かにそうだと感じられる、考えさせられるような本であった。 ただ単に...
1949年に書かれたこのディストピア小説から、その後の歴史から現在までにおける政治や社会においてなされているトップの考え方、人民への統制、マインドコントロールについて、大袈裟ではあると感じるものの一つの見方として確かにそうだと感じられる、考えさせられるような本であった。 ただ単に読む面白さと、いとつの社会の中で解釈して読むことでもっと学びになると思った、また改めて読み返してはみたい。
Posted by
