ともしびマーケット の商品レビュー
かすみさんお得意のオムニバス。ともしびマーケット鳥居前店というスーパーマーケットで働く人、集う人、彼らに関わる人それぞれの人生のシーンを切り取って集めたコラージュみたいな作品。本当にこのスーパーマーケットがあったら、ぜひ買い物に行きたい。
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ともしびスーパーマーケット鳥居前店で見かけるたび 必ずネスカフェの大瓶を、孫をあやすように右腕でだっこして 時折り「おおよしよし」といわんばかりに揺すりながら歩いている、ネスカフェおばさん。 わたし、気になります! と、某人気小説のヒロインじゃないけれど、 冒頭から、もう気にな...
ともしびスーパーマーケット鳥居前店で見かけるたび 必ずネスカフェの大瓶を、孫をあやすように右腕でだっこして 時折り「おおよしよし」といわんばかりに揺すりながら歩いている、ネスカフェおばさん。 わたし、気になります! と、某人気小説のヒロインじゃないけれど、 冒頭から、もう気になってしょうがない謎のこの人物! 札幌のともしびスーパーマーケット鳥居前店に集う人々の なにげない日常を描く9篇の連作短編集なのですが 「いい日、一日、ネスカフェ一本」をモットーに(とてもいい日は二本買うらしい) いい日の証が積もり積もって10本になると、「ボランティアン♪」と称して 老人ホームにゆうパックで送りつける月足さんが傑作です! この素敵なネスカフェおばさん月足さんをはじめ、 恋という一大事に、靴屋のこびとが走り回る音を胸の中に聞きながら 金髪に染めることに始まるバレンタイン大作戦を決行しようとして 悉く不器用に失敗する、ネスカフェおばさんの姪、シズク ひきこもりから脱却するため、とりあえず自分の通帳を作ろうとして 「あたしがあたしだって証拠」を提示できないことに愕然とするまひろ もやし、たまねぎ、ラム肉、ビールと、いちいち復唱し、行儀よく行進しながらカゴに入れ 売り場で知り合った女性まで当然のように仲間に入れて夜の森に分け入り ジンギスカンをつつきながらの花見を始めるのっぽ、ちび、太っちょの三人組 と、ちょっとだけ世間とズレた雰囲気の愛すべき人たちが淡々と描かれ 8篇めまでに登場したみんなが、 ともしびマーケット前で、恋人の怒りをかっておつかいに出された大悟の愚痴に 「土下座だわね」 「土下座だな」 「土下座でしょうね」と 口ぐちにつっこみを入れる9篇め、 ほのぼのと温かい共感が生まれるラストシーンにほっとする 北海道らしいおおらかさに満ちた作品です。
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ともしびマーケット鳥居前店の周辺に住む人たちの日常 妊婦の敷波智子 ネスカフェを買う月足さん 独身の門田新子と同じ職場の清野さん サラリーマンの砥部俊平と中学の同級生だった稲垣と花屋の留学生 加藤シズクと佐藤ミガク 真島汐音と父の清野さん 後町広蔵の昔の記憶 明田まひろの無職な日々 蜂須蓉子の不思議な夜と3人組 チンピラ風の菊池大悟と勢揃いしたご近所さんたち 短編すぎたー。 こんなに範囲広げなくてもよかったのではないだろうか… 時々名前だったのが彼や彼女に変わるのがしっくりこなかった。 話自体は退屈だったけどあとがきはいいかも)^o^(
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朝倉かすみさんの作品を読むのは、田村はまだか、に続いてこれが二つ目。 淡々とした静けさ、川上弘美さんのような少しレトロで綺麗な言葉つづり。 本作品は、北海道のマーケットに集まる人たちを視点をかえて書かれたもの。 どこか奇妙な人たちなのに、なぜか愛しい。 特に、しずくちゃんのバレンタインのエピソードと、最後のダメ男に群がるかつての主人公たちが爽快。 夕暮れに、知らない町を歩いているような心細さを感じるけれど、きちんと帰り道がわかるような、寂しいけど明るいそんなお話。
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平成の向田邦子?という感じ。市井の人々への、皮肉&愛情の加減がいいなあと思った。ほかの人が、きっと思ってはいるだろうけれど、わざわざ文章にはしないようなところを巧みに描いていると感じた。 ちょっとレトロで巧みな話芸?芸風にも惹かれました。 文章を読むって面白い、楽しいと思わせてく...
平成の向田邦子?という感じ。市井の人々への、皮肉&愛情の加減がいいなあと思った。ほかの人が、きっと思ってはいるだろうけれど、わざわざ文章にはしないようなところを巧みに描いていると感じた。 ちょっとレトロで巧みな話芸?芸風にも惹かれました。 文章を読むって面白い、楽しいと思わせてくれます。 ストーリーというより文章の作家かな。
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「田村はまだか」よりはおもしろかったかな。 ほのぼのとした優しい気持ちになる。 短編だけど登場人物がリンクしている。
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連作でとても読みやすいです。 ネスカフェを見るたびに彼女を思い出すだろう・・・。 平凡だけど、ちいさな何かを発見しながら生き続けていくって感じ。 大事、大事。
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あまり難しく考えず、 平凡な日常をつらつら読みたい時には良いかも。 刺激を求めている場合は物足りない。 それぞれの短編の中で、 魅力的なキャラもいれば素通りするキャラもいる。 それが日常を反映していておもしろい。 最初に登場するネスカフェおばさんが妙に気にかかっていたら、 いろ...
あまり難しく考えず、 平凡な日常をつらつら読みたい時には良いかも。 刺激を求めている場合は物足りない。 それぞれの短編の中で、 魅力的なキャラもいれば素通りするキャラもいる。 それが日常を反映していておもしろい。 最初に登場するネスカフェおばさんが妙に気にかかっていたら、 いろいろなところでひょこひょこ顔を出すので、 もしかしたら作者さんもお気に入りだったのかなと思った。
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札幌のとあるスーパーを軸に、 そこで買い物をする人たちや働く人を主人公とした短編集。 第1話ではネスカフェの瓶を抱いて買い物をするおばさんが出てくる。 ここで既に超気になる。 第3話の「平河」が好き。 それぞれの登場人物が薄く濃くリンクしていて、 面白味のある構成...
札幌のとあるスーパーを軸に、 そこで買い物をする人たちや働く人を主人公とした短編集。 第1話ではネスカフェの瓶を抱いて買い物をするおばさんが出てくる。 ここで既に超気になる。 第3話の「平河」が好き。 それぞれの登場人物が薄く濃くリンクしていて、 面白味のある構成。 ただ最終話、私はちょっと出来過ぎなのと毛色が違いすぎて、 蛇足かなと思った。 それでもほっこり、軽いため息なお話。
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独特の文章。全てがパチリパチリとつながるラスト、あまりのご都合主義の故か、圧倒的。感動的。 『流星と祭りは似ている気がする。…それを思うときの手触りが似ている。』だって、さ。 そうかな? そうかも。
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