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印象派はこうして世界を征服した の商品レビュー

4.1

16件のお客様レビュー

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2021/08/14

二大オークション会社、サザビーズとクリスティーズの元オークショニアで画商の筆者の視点が面白い。 印象派絵画の顧客価値の変遷から見える米仏関係の歴史が新鮮だ。 見栄と虚飾に満ちた世界で、オークショニアは、ニューリッチに食いつき、亡くなった資産家の絵画を売る…その生態には辟易する...

二大オークション会社、サザビーズとクリスティーズの元オークショニアで画商の筆者の視点が面白い。 印象派絵画の顧客価値の変遷から見える米仏関係の歴史が新鮮だ。 見栄と虚飾に満ちた世界で、オークショニアは、ニューリッチに食いつき、亡くなった資産家の絵画を売る…その生態には辟易する。また、バブル期の日本の資産家を斜め下に見るような記述にも閉口する。しかしそれらも含めて絵画の価値について考えさせられる。 本書は2009年に出版されたものだ。2021年現在のコロナ禍において、オークショニア達はどうしているのだろうか。バンクシーの絵画の落札を最後に、その後オークションのニュースを見ていない。ビットコインや宇宙旅行にお金が流れている現在の印象派絵画の価値を知りたくなった。 翻訳物につきものの読みにくさがあり星4つとしたが、内容は興味深い。  

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2021/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自ら進んでは美術館とかめったに行かない人ですが、この本はかなり面白かったです☆難しい記述はほとんどなく、そこまで絵画の世界に詳しくない人こそ楽しめる本だと思います♪ 悲しいかな感性で絵画を楽しめるセンスは持ち合わせてないですが、その作品が描かれた当時の時代背景とか作者の想いとかを知った上で観る絵画は結構好き♪先日、大山崎山荘美術館で2回目にモネの「睡蓮」を観る機会がありましたが、この本を読んでいたおかげで1回目は特に何の感情も芽生えなかったこの作品を非常に感慨深く楽しむ事が出来ました☆歴史好きな人には特にオススメ!!

Posted byブクログ

2020/09/27

印象派はこうして世界を征服した (和書)2011年03月21日 15:56 フィリップ フック 白水社 2009年7月 柄谷行人さんの書評から読んでみました。 印象派の投機的な価格形成というものがどういうものなのか分かり易く書かれている。印象派絵画の価格以外にもその魅力とは...

印象派はこうして世界を征服した (和書)2011年03月21日 15:56 フィリップ フック 白水社 2009年7月 柄谷行人さんの書評から読んでみました。 印象派の投機的な価格形成というものがどういうものなのか分かり易く書かれている。印象派絵画の価格以外にもその魅力とは何なのかも知ることができた。

Posted byブクログ

2019/08/14

20190809読了。 新聞の書評コーナーで取り上げられてたのをみて手にとった。 オークション会社のサザビーズ・クリスティーズの双方で印象派部門を担当したフィリップ・クックによる著作。 印象派の絵画が世界をどのように席巻していったのかを アメリカ・ドイツ・イギリス・日本といっ...

20190809読了。 新聞の書評コーナーで取り上げられてたのをみて手にとった。 オークション会社のサザビーズ・クリスティーズの双方で印象派部門を担当したフィリップ・クックによる著作。 印象派の絵画が世界をどのように席巻していったのかを アメリカ・ドイツ・イギリス・日本といった各国での広がりとともに紹介している。 印象派の拡大につながった主要な画商やコレクター、またはオークショナーの活動を多彩なエピソードとともに紹介しており、印象派が好きな人であれば力を抜いて楽しんで読める内容。 鑑賞サイドだけだとなかなか知りえない、購入者や販売者側でしか見えない話が多数あり、なかなか興味をそそられた。 たとえば、絵画のコレクターの傾向として、社会のアウトサイダーな人々(宗教的にであったり出自的にであったり)が、絵画を通して、より良い人間に成長させてくれるのではないかという考えのもとに購入していることが多いというのは意外であった。

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2018/10/06

過去の人気課題本ということで、手に取ってみた。著者はオークション会社の取締役をされている方で、本書はそんな著者ならではの視点で、印象派の作品が高値で取引されていく過程が描かれている。序盤は小中学校の美術の教科書か?と思うような、通り一遍の解説であまり面白くないが、第二章以降は興味...

過去の人気課題本ということで、手に取ってみた。著者はオークション会社の取締役をされている方で、本書はそんな著者ならではの視点で、印象派の作品が高値で取引されていく過程が描かれている。序盤は小中学校の美術の教科書か?と思うような、通り一遍の解説であまり面白くないが、第二章以降は興味深いエピソードてんこ盛りで、楽しめた。絵画の歴史もコレクターやバイヤーに焦点を定めたら、こんなにも違って見えるのかと。他のジャンルの美術品についてもこういう本があったら面白いなと思う。ただ、美術の歴史の本なのに本編中の写真が白黒なのが、少し残念であった。

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2018/08/09

絵画鑑賞が趣味――そう言われたら、明るい色彩でどこかぼやっとした風景画や人物画が頭に思い浮かぶかもしれない。いわゆる印象派と呼ばれる絵画で、代表的な画家にはモネ・ルノワール・ゴッホといった巨匠が名を連ねる。印象派が生まれた19世紀の後半から現在にかけて、印象派の絵画に対する社会の...

絵画鑑賞が趣味――そう言われたら、明るい色彩でどこかぼやっとした風景画や人物画が頭に思い浮かぶかもしれない。いわゆる印象派と呼ばれる絵画で、代表的な画家にはモネ・ルノワール・ゴッホといった巨匠が名を連ねる。印象派が生まれた19世紀の後半から現在にかけて、印象派の絵画に対する社会の見方がどう変わってきたのか。また、その背景には何があるのか。こういった内容が本書では論じられている。 著者のフィリップ・フックはオークション会社サザビーズの取締役を務めている人物だ。フックがアート市場での40年にわたるキャリアをスタートさせたのはやはりオークション会社のクリスティーズなので、彼は2大オークション会社の両方で仕事をした経歴をもつことになる。サザビーズとクリスティーズはどちらも18世紀に英国ロンドンで創立した老舗である。 本書には8つの章があるが、大きく分けると2部構成になっている。印象派が登場した19世紀の後半から第2次世界大戦までを論じた前半と、第2次世界大戦より後を論じた後半である。これら2つの期間の違いをひと言で表せば、第2次世界大戦までは印象派に対する反応が国によって違うのに対し、それ以降では世界中が印象派に対する共通の姿勢を持ち始めたということになる。 印象派が生まれたフランスでは、当時、非難の嵐がまきおこった。印象派には「使用される色彩がまばゆく明るすぎること、仕上げがなされていないこと、主題がありふれていること」(70ページ)という3つの欠点があったからだ。しかし、印象派がやり玉に挙がった根本的な理由は、それが当時のアカデミーに対する抵抗運動しての前衛芸術だったからである(16~17ページ)。それでも印象派はフランスで段々と売れるようになっていった。デゥラン=リュエルなどの画商の存在が大きかったという(57ページ)。そして20世紀の初頭には、印象派はもはや最先端ではなくなっていた(68ページ)。 フランスから他国に目を向けると印象派に対する反応には色々と違いがあった。それはフランスという国そのものに対する態度が大きく影響していたと言える。フランス礼賛の風潮があったアメリカでは、19世紀の終わりまでに印象派は全面的に受け入れられるようになった(85ページ)。ドイツは印象派に限らずフランス美術自体を「軟弱」として認めていなかった。それでも、「自然に忠実」という印象派の性質がドイツ人に魅力的と感じられて、だんだんと印象派が受け入れられていった(122ページ)。そしてフランス嫌いのイギリスで印象派が受け入れられるには他のどの国よりも時間がかかった(193ページ)。 第2次世界大戦後には、印象派に対して世界は共通した認識を持つようになった。すなわち「印象派絵画は良い美術であり、それを所有することはさらに良いことである」というものである(193ページ)。今や、印象派の絵画は超富裕層にとってのステータスシンボルとなっている。フックは、アメリカが経済のみならず文化の面でも覇権を握ったことを要因と見ている。オークション会社の果たした役割も大きい。オークションという公開の場で高額の印象派絵画を落札することによって、超富裕層は財力を誇示することができる。価格高騰の大きな原動力だろう。 本書の内容が印象派についての分析であることには間違いないが、読んでみればすぐに分かるとおり、堅苦しい分析などではまったくない。ユーモアが利いていて読んでいて思わず笑いが出てしまう場面もたくさんある。本書には直接かかわらないものの、フック自身もオークショニアを務めていたことがあり、特に後半(6~8章)では元オークショニアならではの見方というのも読み取れてなかなか興味深い。印象派の絵画が好きな人だけではなく、オークション(会社)に関心がある人にもぜひ読んでもらいたい。

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2016/03/24

印象派絵画が生まれた当時のフランスの社会・経済的背景や流通における画商の役割について興味を持って手にした本。 印象派の絵画を社会的な側面から知るにはとても良い入門書。 数々の印象派の展覧会が日本でも開催されており、美術史において最も人気のある画派であると言える。 誕生当時はアバ...

印象派絵画が生まれた当時のフランスの社会・経済的背景や流通における画商の役割について興味を持って手にした本。 印象派の絵画を社会的な側面から知るにはとても良い入門書。 数々の印象派の展覧会が日本でも開催されており、美術史において最も人気のある画派であると言える。 誕生当時はアバンギャルドであった印象派がいかにして美術界の主流となったのかについて、経済や流通と絡めながら解説した本。 印象派が生まれたフランス・アメリカ・ドイツの3つの国別に印象派絵画需要の違い、画商とオークションが美術そのものの価値をどう左右していったかなどがわかりやすく書かれている。

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2015/09/03

★3.5。 印象派という一つの様式の絵画形式の解説ではなく、その受容の歴史の描写で、なかなかに興味深い視点で纏められている。しかもナショナリズムを微妙にくすぐる感じなんかも含めて、絵画への関心の惹かせ方・手腕は流石一流のオークショニアといったところかな。 純粋な絵画への執着なのか...

★3.5。 印象派という一つの様式の絵画形式の解説ではなく、その受容の歴史の描写で、なかなかに興味深い視点で纏められている。しかもナショナリズムを微妙にくすぐる感じなんかも含めて、絵画への関心の惹かせ方・手腕は流石一流のオークショニアといったところかな。 純粋な絵画への執着なのか、マネーゲームの中での駆け引きなのか、色んな「欲」が渦巻きますが、その中心に新しい世界・自己表現を追求した究極の「欲」の持ち主である画家の渾身の結晶たる確かな絵画(いわゆる印象派)があることだけは確か。 印象派は確かに他にない魅力がありますもんなぁ、卑小な当方でも小品で良いから一つ家に飾って毎日拝みたいみたいな欲があるくらいですから、そりゃお金持ちは堪らんでしょ。 (追記) 誤植が散見、結構珍しいかも。

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2015/03/18

印象派は、その革新的だが親しみやすい画風、デュラン・リュエル等の有能な画商(レンブラントなどとちがって印象派は彼らによって写真のカタログにされていたので、真贋が明白だった!)、また種々の歴史的要因によって新興国アメリカから徐々に世界的に浸透していった。写真などのメディア登場やチュ...

印象派は、その革新的だが親しみやすい画風、デュラン・リュエル等の有能な画商(レンブラントなどとちがって印象派は彼らによって写真のカタログにされていたので、真贋が明白だった!)、また種々の歴史的要因によって新興国アメリカから徐々に世界的に浸透していった。写真などのメディア登場やチューブ入り絵の具の誕生などが、伝統的なアカデミズムへの反発を必然的にさせただろう(歴史的要因)。作品がお金では買えない何かを含んでいるということを度外視すれば、アートはつくり手にとっても売り手にとっても、また買い手にとっても、ゲームであるということがわかる。

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2015/01/23

絵画オークションの歴史とその発展の過程で印象派の作品の評価(落札額)の変化が述べられている。 本当に日本がバブルの頃買った絵にすごい名画があったのは驚き。 今売ったら怒られそうな作品が‥

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