天山の巫女ソニン(5) の商品レビュー
最終巻。大きく予想外になることもない、綺麗な終わり方。外伝もあるらしいので、読んでみたい。 2015/11/10
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※このレビューにはネタバレを含みます
ここに至るまで KiKi のこのシリーズへの評価はかなり高かったんだけど、残念ながら最終巻は若干「肩透かしを食らった」ような印象でした。 相変わらず社会に存在する様々な矛盾に対する著者の視座で描かれた物語の大筋は評価できるんだけど、最後がちょっとねぇ・・・・。 何ていうか、イェラ王女の取った最後の行動がソニン及び沙維国に都合が良すぎやしないかなぁ・・・・と。 不毛で終わりの見えない戦にピリオドを打つため・・・・という真っ当な理由があるのはわかるし、ここまでの巻で描かれてきた父王とのピリピリした関係からして王の決意を翻させるための劇薬みたいな処方箋なのもわかるけど、敵方に自国の弱点の情報を流すな~んていうのはチト行き過ぎの感が否めません。 普通に考えればこの行為は「売国奴」と言われても仕方のない行為なわけで・・・・。 ただ、これが児童書の限界なのかもしれないなぁ・・・・・とも思うわけです。 もっと異なる事の治め方というのも実際の社会ではあるはずだけど、何せこの物語では登場する国が三国だけだし、周辺諸国がどうなっているのかはさっぱり??だし、そこへもってきて三国入り乱れての戦乱状態に陥っちゃっているわけだから、その状態をひっくり返すためにはそれこそ「まさか?」というような策しか描き様がなかったとも言えるのかも・・・・・。 ま、そんな不満な部分はともかくとして、この最終巻でもなかなかに深い「人間観察」の言葉が出てきたと思います。 その最たるものが義兄のイルギが語る「7割の法則」です。 これは「人間のうち7割は、まわりの動きや噂、自分の欲に流されやすい」というもので、齢50を超えた KiKi をして「なるほど、その数字、いい線いってるかも!」と思わせてくれました。 「人は本当はみんな善人だ」「いや本質はみんな悪だ」と決めつけるより、「七割くらいは流されやすいからな」というほうが当たっている は紛れもない事実のような気がするし、それぐらいのスタンスで自分の周りで起こることを眺め、「さて、じゃあ、私はどうする?」と考えてある時は3割の方に、ある時は7割の方に加担するのが人間という生き物なんだろうなぁと思いました。 そもそも私たちが暮らす「民主主義社会」というヤツだって、とりあえずは過半数を超える人が良しとすることをベースに社会を運営していくというシステムなわけだから・・・・・。 そしてもう1つ、心に残ったのがソニンがまだ天山にいた頃、教育係のノアとの間で交わされた以下の会話でした。 「ノア様。 なぜ、暦は冬から始まるんですか?」 「生き物にとって、一番厳しい季節だからよ。」 「どうして一番厳しい季節から、一年は始まるのですか?」 「きっと昔の人は、人の一生を、何もない辛いところから、だんだん暖かく、だんだん豊かに、だんだん幸福になってゆくものだと考えていたのね。 だからそれを毎年思い直すために、新しい暦は、一番寒い季節から始まるのよ。」 正直な所、KiKi はどうして暦が1月から(というより冬から)始まるのか?な~んていうことを疑問に思ったことはありませんでした。 ある意味で「そういうものだ」と、「そう決まっているから」と思っていたように思うんですよね。 でもそれって紛れもなく「思考停止」な状態なわけで、ソニンのこの疑問の発し方にちょっとした驚きを感じたのと同時に、ノアの答えにもある種の哲学的な解が垣間見え、「なるほどね~」と感心してしまった次第。
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児童書なのに各国の争いを中心に物語が進んでいく 決定的な大団円ではないし お決まりのハッピーエンドにならないところに 作者の強い意思が見える
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この本を通して、実際の社会の成り立ちや人との関わり方、生き方をまなんだように思います。中学生に広くすすめたいと思います。
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【図書館本】完結巻。正直物足りない。それは多分、次代を担うイウォル・クワン・イェラが仲良く手を取り合うところを想っていたからだろう。その一歩手前で止まっているので寂しさはある。 ソニンが夢見でではなく、リアルに飛び回ることになるとは……。多くのことを見聞し、自分のものにした時のソ...
【図書館本】完結巻。正直物足りない。それは多分、次代を担うイウォル・クワン・イェラが仲良く手を取り合うところを想っていたからだろう。その一歩手前で止まっているので寂しさはある。 ソニンが夢見でではなく、リアルに飛び回ることになるとは……。多くのことを見聞し、自分のものにした時のソニンは頼もしいだろう。最強の仲間もいることだし、国が一つになるんだろうな。 ソニンの一生懸命さが胸を打つスリーズだった。
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児童書だけど大人でも十分読める。各国の王子・王女達がすごく魅力的。そんな人たちに囲まれた元巫女ソニンの成長の物語。
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三国どの国にも長所短所があって、どの国のやり方が正しいとも言えないから難しいな…。 テジク大臣良い人。こういう人が王様なら良いのに。 ソニンがまた天山に行くことになるとは…。 ノアは本当に良い教師。ノアの教えがあったからこそ、今のソニンがあるんだな。 憧れていた人が望みと違...
三国どの国にも長所短所があって、どの国のやり方が正しいとも言えないから難しいな…。 テジク大臣良い人。こういう人が王様なら良いのに。 ソニンがまた天山に行くことになるとは…。 ノアは本当に良い教師。ノアの教えがあったからこそ、今のソニンがあるんだな。 憧れていた人が望みと違う事をした途端に、それだけで裏切り者扱い。人間って勝手。 成る程“七割の法則”か。 すごく面白かったけど、少し物足りないような気もする。 前王が引退したまま一度も出てこなかったのが残念。兄王子達がどんな人達なのかも知りたかった。 ソニンとイウォルの信頼関係凄い。恋愛関係に発展するのかな。(P208〜210のやり取りなんて恋人同士みたいなんだけど)
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戦いの部分がとてもあっさりしていて、そんなに急に平和になっちゃう?とやや疑問が残りました。 しかし、その後の物語を期待させる終わり方で、いつかまた少し大人になった彼らに会いたいな、と思います。 最後の、天山でソニンの教育係だったノアさんの章が良かったです。号泣!
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児童書ですが、子どもだけに読ませるのは勿体無い。 旅に出たソニンが、帰ってきた後の話も読みたい…けど、想像の余地も欲しいし、これくらいの終わり方でいいのかな、とも思う。
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お気に入りのシリーズ、これで完結です。 もったいなくて~読むのを延ばしていました。 この後に番外編も出ています。 巨山(コザン)、沙維(サイ)、江南(カンナム)という三つの国が並び立つ、古代朝鮮半島を思わせる異世界。 沙維に生まれたソニンは、赤子の時に才を見込まれて天山に迎えら...
お気に入りのシリーズ、これで完結です。 もったいなくて~読むのを延ばしていました。 この後に番外編も出ています。 巨山(コザン)、沙維(サイ)、江南(カンナム)という三つの国が並び立つ、古代朝鮮半島を思わせる異世界。 沙維に生まれたソニンは、赤子の時に才を見込まれて天山に迎えられましたが、巫女としては落ちこぼれ、12歳の時に実家に帰されます。 末の王子イウォルと出会って侍女となり、宮廷に上がりました。 これまでのあらすじは、「はじめに」に書いてあります。 沙維には7人も王子がいて、末のイウォルは影の薄い存在。 江南の第二王子クワンに心酔して江南に留学、ソニンも同行しました。 クワンは大胆な性格で庶民に人気がありましたが、イウォルを呼んだのはソニンを個人的に利用しようという意図があってのこと。 それでも、イウォルは手紙のやりとりを続けます。 巨山は野心的な王に支配されていて、侵出の機会を狙っています。 江南と組んで沙維を征服しようという意図のもとに、江南と条約を結ぶ運びに。 巨山のイェラ王女は、一人娘で気丈ですが、父王に面と向かっては逆らえない。 ソニンが最初に会ったときには、孤独で傲慢なおてんば娘でした。 江南を訪問したときにも美しくなっていましたが、この作品では沙維を訪問。 さらに華やかになっていて、沙維で人気を集めます。 ところが巨山の王は、翌年、やはり兵を進めてきます… イェラ王女は帰国間際にそれを予言するような発言をソニンにしていて、その真意は? ソニンの誠意が出会った人に通じて、それぞれの良さが、きらっと輝きます。 かって陰謀をたくらんだレンヒが書き残した手帳を葬るために、天山へ行くことを願い出るソニン。 もとは巫女だったレンヒが悪用した知識を持ったままでいることが辛くなったのです。 巫女たちは、才能はなくとも素直に育ったソニンに再会し、対照的なレンヒを思い出して、その意味を語り合うのでした。 こんな少年少女達が、三国の争いの要になることは、現実には少ないでしょう。 作品のなかでも立場や出来ることに制約はありますが、国の内外の争いを自分のこととして受け止め、出来ることを精いっぱい模索する。 大きなうねりの中で、人の心が通い合い、苦しみの後にその先へ行く道が見えてくる。 そんな希望を感じられる作品です。
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