どんとこい、貧困! の商品レビュー
[図書館] 読了:2010/10/6 大事なことがいっぱい書いてある。貧困という穴に落ち込んでしまった人々を、自力で立たせる支援よりも、「努力が足りなかったからだ」と説教する方がずっと楽で自分も気持ちよくなれる。後者の人間が増え続けるこの社会に警告している。 p.79 ...
[図書館] 読了:2010/10/6 大事なことがいっぱい書いてある。貧困という穴に落ち込んでしまった人々を、自力で立たせる支援よりも、「努力が足りなかったからだ」と説教する方がずっと楽で自分も気持ちよくなれる。後者の人間が増え続けるこの社会に警告している。 p.79 お金をかけないためにと言っていろんな費用をけずってきて、結果的によけいお金のかかる事態を生み出している。 p.130 底辺状態にある人たちを、救う価値もないと切り捨ててしまえば、Noといえない労働者が増えて、市場全体の労働条件がずるっと下がる。そうして循環しながら、社会全体が、ずるっと地盤沈下する。 p.137 セーフティネットとは、「がんばらないダメな奴らでも、死なすわけにはいかないから、しょうがなく張っておくもの」と理解されがち。だが、本来のセーフティネットとは、国の力を弱めないためのもの。人々がボロ雑巾のように使い捨てられていく国は、弱くなっていくから。それなのに日本は、近年ずっと、構造改革だ、国際競争に生き残るためだと言って、社会保障制度を削り続けてきた。本末転倒じゃないかと思う。 p.153 自分の“溜め”をまったく自覚しないまま、「運も実力のうち」「自分の力でつかみとらなきゃいけない」と説教しているコメンテーターと称するタレントや大学の先生。本人の生活再建にはなんの役にもたたない説教を、ただ「自分だって苦労してきたんだ」ということを、言っている自分が気持ちよくなるためだけに、たれ流している。
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テーマがしっかりある読み物は、出会うタイミングとかがたぶん重要で、今じゃなかったなあ、というところ。言っていることはよくわかるし、ちゃんと考えてみたいとは思うんだけど、ちょっと今はそっちに頭がいきません。ごめんなさい。借りた人にも失礼でした。
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これはすごい本だ。 さまざまな社会的なテーマを、中学生にも分かるように書いた、 理論社の「よりみちパン!セシリーズ」。 これは本当に素晴らしい本が多くて、 とても注目していたのだけど、この本は特にいい。 というか、中学生だけが読むなんてもったいない。 中学生から専門家まで、あらゆ...
これはすごい本だ。 さまざまな社会的なテーマを、中学生にも分かるように書いた、 理論社の「よりみちパン!セシリーズ」。 これは本当に素晴らしい本が多くて、 とても注目していたのだけど、この本は特にいい。 というか、中学生だけが読むなんてもったいない。 中学生から専門家まで、あらゆる人が読むといいと思う。 世の中はイスとりゲームのようなものだ。 イスから転げ落ちた人々が貧困になる。 「自己責任論」は「座れなかったヤツに問題がある」という考え。 だけど、「イスの数が少なかったのが問題だ」と 考えるべきじゃないのか?と湯浅氏は問題提起をする。 パン!セシリーズで僕がすごいと思うことは、 「中学生に向けて書く」ということの影響力の大きさを 著者がきちんと意識していて、 「自分の文章で中学生を言いくるめてしまわないように」、 ものすごく抑えて、いつも以上に内省的・自己批判的に 文章を選んでいるところだ。 この本は特に、前半がいい。 世間で非常によく言われている「貧困に対する反論」を、 質問形式で並べ、それにひとつひとつ答えている。 「努力しないのが悪いんじゃないの?」 「甘やかすのは本人のためにならないんじゃないの?」 「死ぬ気になればなんでもできるんじゃないの?」 「自分だけラクして得してずるいんじゃないの?」 「かわいそうだけど、仕方ないんじゃないの?」 どれも、メディアで聞き飽きた「自己責任論」の常套句。 それぞれへの答えが、ひとつひとつ丁寧で共感でき、 きちんと読者を考えさせるようにできている。 人間は実は公平なんかじゃない。 能力を発揮するための「溜め」が、それぞれ違う。 「溜め」の量によって、同じ努力でも結果の大きさが違う。 結果からさかのぼって努力の量を類推する「自己責任論」では、 この「溜め」の要素を無視しているのだ。 はっとさせられたのは、 「労働条件が悪くなる→貧困が増える→NOと言えない労働者になる →社会全体の、労働条件がずるっと下がる」 という「貧困スパイラル」。 まさしくそういうことが社会ではものすごい勢いで進行していて、 「誰もが不幸になる社会」への道を突き進んでいることを、 肌で感じている。 僕も中学生の時にこの本に出会いたかった、と思う。 でも、今出会えてよかった、とも思う。 いつからでも遅くない。ぜひ読んで、自分の頭で、考えてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「貧困」と聞いて、発展途上国の話や飢餓の話だと思ったので意外でした。 でも、意外な内容がとてもおもしろかったです。 ホームレス問題も興味があったので、さっそく筆者の団体のセミナーへ行ってみて、活動にも参加してました。(活動は別の団体です) ホームレスの人に対して、差別的な価値観を持っている人はぜひ読んで欲しいと思いました。 筆者の行動力にも尊敬します。
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よりみちパン!セ その6。 題名がよくない。内容は今の僕にとってとても重要だった。これは編集者の問題。 この題名では、お金がなくても豊かに生きていける心構えと実践的ノウハウの本という風にとれる。僕ははじめそうと思ったので敬遠していた。が、薦められるので読んでみたらぜんぜん違った。...
よりみちパン!セ その6。 題名がよくない。内容は今の僕にとってとても重要だった。これは編集者の問題。 この題名では、お金がなくても豊かに生きていける心構えと実践的ノウハウの本という風にとれる。僕ははじめそうと思ったので敬遠していた。が、薦められるので読んでみたらぜんぜん違った。 格差社会の臭いものには蓋とばかりに目をそらしてきた貧困問題はみんなの問題だからちゃんと向き合いましょうという本だった。目をそらしていたのは恥だと思った。
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貧困問題がとてもわかりやすく書かれていてよかった。小難しい専門用語やデータが少なくて問題の根本を理解するためには最適だと思う。
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[ 内容 ] 競争、無関心、上から目線。 誰もが誰かを、そして自分を痛めつづけ、人間の尊厳も社会のシステムもボロボロになってしまったいま、派遣村村長が静かな情熱をもって子どもたちに書き下ろす。 ごまかさずにあきらめずに、もう一度、希望をつくりだそう! 特別対談・重松清×湯浅誠。 ...
[ 内容 ] 競争、無関心、上から目線。 誰もが誰かを、そして自分を痛めつづけ、人間の尊厳も社会のシステムもボロボロになってしまったいま、派遣村村長が静かな情熱をもって子どもたちに書き下ろす。 ごまかさずにあきらめずに、もう一度、希望をつくりだそう! 特別対談・重松清×湯浅誠。 [ 目次 ] 第1章 どんとこい、自己責任論!―がんばり地獄とずるさ狩り、そんな社会に、みんなでサヨナラしよう。(努力しないのが悪いんじゃない?;甘やかすのは本人のためにならないんじゃないの?;死ぬ気になればなんでもできるんじゃないの?;自分だけラクして得してずるいんじゃないの? ほか) 第2章 ぼくらの「社会」をあきらめない。―黙るのも黙らせるのも、もうやめにしようじゃないか。きみの“溜め”が増えるように、みんなの“溜め”を増やすために。(きみがいま、あるいは将来そのさなかにいるのならば;変わるべきはぼくらの社会だ、ときみが思うならば;きみが、生きやすく暮らしやすい社会を目指すならば) どんとこい対談 真摯に、そしてひとかけらの笑いを(重松清×湯浅誠) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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貧困スパイラルに関してはまさにその通りで、 これははっきり言って率直にあってはならないと思う。 人生長い。 失敗はつきものだし、そうやって失敗を恐れさせることに関しては成功は見込むことは難しい。 それこそ『いすとりゲーム』頭の良い人、要領のいい人、ずるい人が成功する社会になりつ...
貧困スパイラルに関してはまさにその通りで、 これははっきり言って率直にあってはならないと思う。 人生長い。 失敗はつきものだし、そうやって失敗を恐れさせることに関しては成功は見込むことは難しい。 それこそ『いすとりゲーム』頭の良い人、要領のいい人、ずるい人が成功する社会になりつつある。 もともとなのか。 それとも、自分のいるところがそういうところなのか。 得てして本当に考えなければならない。 社会保障/保険に関してはわかりやすく書かれている。 そして何よりおもしろかったのは相対的貧困について。 これは絶対的貧困と相対するもの。 絶対的貧困は死ぬ死なない 相対的貧困は人間らしくいけるか 日本は経済大国。 それについて日本人は浮かれているがどんなメリットがある? 日本人に合った仕事って何なのだろうか。 日本人に合った生き方って何なのだろうか。
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「椅子取りゲーム」「溜めの力」については特に腹落ち。自分が「自己責任論」寄りな考えだったが、この本を読んで少し考え方が変わった。
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現在のワーキングプアの状況、格差社会が子ども向けにわかりやすく描かれています。子ども向けだけれど、大人が読んでも十分。 湯浅さんの考えが、どんと、描かれています。いろいろ言われるかもしれないけれど、自分の主張をここまでいえる人はすごいと思う。すべてが受け入れられなくても、これを読...
現在のワーキングプアの状況、格差社会が子ども向けにわかりやすく描かれています。子ども向けだけれど、大人が読んでも十分。 湯浅さんの考えが、どんと、描かれています。いろいろ言われるかもしれないけれど、自分の主張をここまでいえる人はすごいと思う。すべてが受け入れられなくても、これを読んで考えるところはあるのでは。
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