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もののはずみ の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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2022/09/08

物に対しての愛情が半端ない! 一つの物から筆者の類まれなる想像力やインスピレーションで物語を広げていく エッセイとあったが、物語だと思った 小川洋子に近い、柔らかい文章でスラスラ読み進められた

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2013/09/27

学生の頃に読んだフランシス・ポンジュの『物の味方』を想いだした。小説のように彫琢を凝らした文体ではないが、サラッとしていて、それでいてフランス風のエスプリを持った、ちょっと小粋なエッセイだ。「もの」は、あくまでも「物」であって、それ自体は生きてはいないのだが、ここでのそれらは何と...

学生の頃に読んだフランシス・ポンジュの『物の味方』を想いだした。小説のように彫琢を凝らした文体ではないが、サラッとしていて、それでいてフランス風のエスプリを持った、ちょっと小粋なエッセイだ。「もの」は、あくまでも「物」であって、それ自体は生きてはいないのだが、ここでのそれらは何と生命感に溢れていることか。とりわけ2匹並んだ犬(本来は互いに無関係だったもの)のおもちゃのコンビの絶妙なこと。まさに「幼稚園の頃からの友だちみたいにたたずんで」いる。そして、ガラクタ市で売っている人たちとの掛け合いもまさにパリだ。

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2012/08/25

はたから見ればただのがらくたに過ぎない中途半端な物たちに惹かれる著者が、主にフランスで出会った物たちについてペンを走らせた好エッセイ。 スライド映写機、珈琲ミル、陶製のペンギン、木製のトランク、ドアノブ、キッチンスケール、木靴、ビー玉etc. 年代物の高価な骨董品ではなく、2...

はたから見ればただのがらくたに過ぎない中途半端な物たちに惹かれる著者が、主にフランスで出会った物たちについてペンを走らせた好エッセイ。 スライド映写機、珈琲ミル、陶製のペンギン、木製のトランク、ドアノブ、キッチンスケール、木靴、ビー玉etc. 年代物の高価な骨董品ではなく、20年から100年くらい前の使われなくなったものたちである。 「物心」という言葉があり著者はそれに心思いを馳せる。 もののはずみで買ってしまったものたちは、著者と心を通わせ世界を広げるための力となっていく。 堀江敏幸さんの文章は、小説にしてもエッセイにしても独特の静けさを持っていて大好きだ。 芥川賞作家であり、明大教授の堀江さんは毎日多忙な生活を送ってらっしゃると思うのに、彼の描く世界はまるで時がゆっくりと再生しているようで、その静謐の中に贅沢な空間を見出す。 劇的主題を持つわけでもなく、強烈な光を放散するでもなく、レトリックに凝るわけでもない。 静かに時を流し、静かに独創的な世界を作り上げる。 その白き静けさに堀江さんの文章を読んでいるとゆっくりと満たされていくのだ。

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2011/01/10

最近要らないものを買うことを覚えました。つい目に入って衝動買いしたもの、他にも持っているけど欲しくなったもの。緊急性も機能もないけれど、ただ並べておいたり、気分で使い分けたり、それだけで幸せになれるという点では自分には必要なものです。 堀江氏が好むのは、アンティークとするにはまだ...

最近要らないものを買うことを覚えました。つい目に入って衝動買いしたもの、他にも持っているけど欲しくなったもの。緊急性も機能もないけれど、ただ並べておいたり、気分で使い分けたり、それだけで幸せになれるという点では自分には必要なものです。 堀江氏が好むのは、アンティークとするにはまだ歴史の浅い数十年から百年くらい前のもの。そのコレクションはキッチン道具から文房具、置物に家具と多岐にわたります。写真を見るだけでも楽しいし、文章から写ってない部分を想像するのも面白い。何より、ものに纏わる話に静かな興奮を覚えました。詩的な言葉を使う売り手に、堂々と「品質保証なし」と掲げるメーカー、著者が購入に至った経緯や活用法。それこそ詩的な言い回しや品のあるユーモア、偉ぶることのない表現で語られる逸話の数々に、もっと話を聞きたい、読み終わりたくないという気分になりました。 一つのものが作られ、人の手に渡り、今ここに存在するに至るまで。その背景を感じる楽しみを教えてもらいました。

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2011/08/01

物を選ぶ ということについて語るエッセイ。何を書いても堀江的世界に染まる。さらりさらりと流れる水のような感じ。

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2011/07/15

同じ物欲と言っても、こだわる「もの」への思い入れが、あたりまえだけどわたしとは違う観点で、面白かった。軽いタッチのエッセイで、著者も楽しみながら書かれたんだろうなぁ、という雰囲気だけど、行間の奥深さはさすが。

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2010/03/05

作者の「もの」に対するこだわりや愛しさがおかしく少々せつない。作者の密やかな趣味をちょっとのぞいてみた、そんな雰囲気のエッセー。

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2012/04/21

いいですね。ここに描かれているような、「もの」や「ことば」への接し方、とても好きです。文庫版では、片岡義男の解説がアクセントを効かせています。

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2011/11/03

「物欲」にまつわる楽しいエッセイ。 場所はパリ。著者独特の視点から、「もの」を見つめる。 著者はずいぶんと変わったタイプの「もの好き」である。 著者が買うものには、必ず心惹かれるストーリーがなくてはならないようだ。買うに至ったエピソードではなく、その「もの」のプロフィールで...

「物欲」にまつわる楽しいエッセイ。 場所はパリ。著者独特の視点から、「もの」を見つめる。 著者はずいぶんと変わったタイプの「もの好き」である。 著者が買うものには、必ず心惹かれるストーリーがなくてはならないようだ。買うに至ったエピソードではなく、その「もの」のプロフィールであり、歴史が必要なのである。 だからといって、骨董的価値なんて全然関係ない。由緒もいらない。事実であるかどうかもどうでもいい。ただ著者が、きっとそうに違いない、と想像でき心躍ればいいのである。こんな人たちの手を経て、こんな風に使われてきたんだろう。「もの」から想像される物語が著者の堀江さんはすこぶる好きな様子だ。 だから、堀江さんの選んだものに新品のものはない。新品には過去の物語がないからである。 人が見たらガラクタと言いそうな戦利品たち。時々眺めて、その背景にある物語を想いさすらい、愉しむ。そして、本書のようなエッセイにして、さらに想いを深める。 我々読者が買うことのできない「もの」たち。「もの」は持ち主の体を表す。堀江さんのエッセイを通して、「もの」との新しい付き合い方を学んだ気がする。

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2009/11/10

何てことない掌編かもしれないけれど(いや、そんなことはないか?!)、堀江さんのものに対する温かみのある視線?が伝わってきました。 そうか、文筆業の人って、こんな風な観察眼を持っているんだな…。

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