ブラック・スワン(上) の商品レビュー
今更ながら読んでみた。 つまりはどれだけ想定外の出来事が起こってきたか、それを予測する事がどれだけ難しいかという事が全編において書かれている。下巻の学術よりの部分は理解が少し難しかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不確実なことに対して我々人間がいかに非合理的な捉え方をしてしまうか、という話です。 私が日常目にする多くのこと、特に善良な人が物事を判断した結果に対して「何でそういう考え・判断をしてしまったんだろう」と感じる様々な事象の裏にあるメカニズム。 例えば、怪しい公約を掲げた党の支持率がすごく高くなったり、公共工事は完成するまでにコストが上がる一方で利用者数は想定値を下回ったり、巨大津波が来るまでは低地に多くの人が住んでいた一方で、震災の後は逆に全員高台へという方向に大きく振れたり、何かについて「こういうリスクがあります」「そんな弱気でどうする」という会話がなされたり。 要は人間は心地よいことしか聞きたくないし考えたくない、ということであり、それによって色々なことがねじ曲がってしまうということです。上巻ではそういったメカニズムの要素として幾つか挙げています。 【追認バイアス】 既に頭の中に結論があって、ついついそれを補強する証拠に目が行ってしまうこと。例えばビジネス書を読んでいて「そうそう、そうなんだよねー」と思っているときはその可能性があります。自分の意に沿ったところばかり目について、それで自分の考えに裏付けが得られたと思って気持ち良くなってしまうのです。この書評も私が気に入ったところだけを取り上げているかも。 【講釈の誤り】 事象に後講釈を付けたがる。説明のつかないことは受け入れがたいし記憶にも残らない。この性質のため、しばしば誤った講釈が記憶に残ったり、世の中に広まったりします。 昨日のNHKニュースでは、上海市場の新年の終値について「製造業の景気判断指数が市場の予想を下回ったことなどから、終値が先月31日に比べていくぶん値下がりしました」と報じていましたが、値下がり幅は 0.3%でした。日経平均に例えるとたった 50円で、ほぼ無風と言って良いと思いますが、そんな場合でももっともらしい理由を付けなければ気が済まないのですね。 【物言わぬ証拠の問題】 目に見えやすい結果だけを見て判断しがち。成功した起業家に共通する習慣は本になるが、その何百倍もいる失敗した起業家のことは見ない、というのは良くあることですね。 それ以外にも興味深い話はいろいろありましたが、こういうことを意識していなかった人が中途半端に読むと、急にワーストケースばかり気になってしまうということになりそうな気もしました。下巻も楽しみ。 (余談ですがドラえもんの「オモイコミン」で畳の縁を歩いているつもりののび太が、塀の上を歩いていることに急に気づいて慌てるというシーンを思い出しました)
Posted by
「感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。」 未来は予測できない。歴史の延長上にあるわけではない。それについて様々な例を挙げている本。とても面白い。銀行員がよく冗談のネタにされているのは、著者がトレーダーとして感じたことが多いのだろう。確かに、今は健...
「感謝祭の前の水曜日の午後、思いもしなかったことが七面鳥に降りかかる。」 未来は予測できない。歴史の延長上にあるわけではない。それについて様々な例を挙げている本。とても面白い。銀行員がよく冗談のネタにされているのは、著者がトレーダーとして感じたことが多いのだろう。確かに、今は健全な企業もいつ吹き飛ぶかわからない。
Posted by
<前> テールリスク問題について知り、自分の仕事の中で、小さな変化を避けるあまり、大きなリスクを負っている場面がないか、等々の今まで持っていなかった視点を修得することが目的。 <後> 上だけだとあんまわかんなかった。下も読んでみる。
Posted by
確率論では事象は正規分布でおきるが、まれに突出した事例が発見される。人の身長は正規分布の世界だから3メートルの巨人はいない。しかし株価は正規分布の世界ではないから時としてとんでもないクラッシュを生み出す。それがブラックスワン。 ナシーム・N・タレブによれば、ブラックスワンには三つ...
確率論では事象は正規分布でおきるが、まれに突出した事例が発見される。人の身長は正規分布の世界だから3メートルの巨人はいない。しかし株価は正規分布の世界ではないから時としてとんでもないクラッシュを生み出す。それがブラックスワン。 ナシーム・N・タレブによれば、ブラックスワンには三つの特徴がある。それは、 ①発生を予測できない ②インパクトが非常に強い ③発生後、責任者は逃げ回る
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
治療より予防がいいのは誰でも知っている。でも予防のために何かをして高く評価されることはない。だから名もなき人の犠牲の上になりたっていることを私達はすっかり忘れ、歴史上の人ばかりを褒め称える。私たちはとても不公平な種族だそうだ。そして歴史は流れていかずジャンプするから、当たり前のことばかり眼を向けていると、大事なものを見落としてしまう。不確実な世界の中でとるべき戦略は超保守的かつ超積極的になること。起きたら深刻な問題には、全部備えておくこと。一方、損失は小さいが、利益が大きいものを見つけたときは全力で勝負をかける。我々に将来は予想できないのだ。専門家や知ったかぶりにだまされるな!・・・でも全部備えるエネルギーって相当なものだよね。簡単に言ってますが。文章は軽妙だけど、裏に流れる覚悟・気持ちの強さを感じます。目的を名誉など人の評価に求めないで、しっかり自分を持つことの重要性を私に再認識させてくれる本でした。
Posted by
ちょっとくどいけど、世界の予測不能さについては首肯せざるを得ない。情報があればあるほど予測が外れる、つまりベルカーブであらわすことのできる世界なんて言うのは現実の世界のスタティックなごく一部にすぎないと言う事だ。
Posted by
金融に関連する人は読んだ方が良いシリーズ。(数年前に発行されてるので、今更読んだという感じですが) 人間は何も予測は出来ず、知識や情報は明日起こる何かを考える際には役に立たないという事が書かれている。 要は、ブラック・スワンは常々起こり、人間はそれらに後付けで理由を付けて納得...
金融に関連する人は読んだ方が良いシリーズ。(数年前に発行されてるので、今更読んだという感じですが) 人間は何も予測は出来ず、知識や情報は明日起こる何かを考える際には役に立たないという事が書かれている。 要は、ブラック・スワンは常々起こり、人間はそれらに後付けで理由を付けて納得や解釈をしているということ。例えば、9.11のテロ。また、七面鳥の具体例は分かり易かった。 「不確実性」について延々と書いてある本。まぁ、所々面白かったかなという程度。
Posted by
クオンツの人達から、仕事の話を聞いて疑問に思ったことが、この本で問題提起されている。少しかじった統計学と全く違う考え方だし、物語なのか学術書なのかはっきりしない書き方で慣れるまで読みにくくもある。ただ、数式を使わずに説明してくれるのはありがたい。 我々の認識の誤りを克服し、黒い白...
クオンツの人達から、仕事の話を聞いて疑問に思ったことが、この本で問題提起されている。少しかじった統計学と全く違う考え方だし、物語なのか学術書なのかはっきりしない書き方で慣れるまで読みにくくもある。ただ、数式を使わずに説明してくれるのはありがたい。 我々の認識の誤りを克服し、黒い白鳥を捕まえるには?後編に期待。
Posted by
ブラックスワンとは、ありえない事象のことで予想できないことだが、いったん起こってしまうといかにも必然的に起こったかのように説明がされるようなこと。後付けの理屈が付け加えられる。 歴史は、振り返って時に歪んでみている。後から起こったことを効果をあわせて見た一連の事象のこと。 予想を...
ブラックスワンとは、ありえない事象のことで予想できないことだが、いったん起こってしまうといかにも必然的に起こったかのように説明がされるようなこと。後付けの理屈が付け加えられる。 歴史は、振り返って時に歪んでみている。後から起こったことを効果をあわせて見た一連の事象のこと。 予想をすることは、難しい。人間の知識は脆く、大きな変動は見えない。 人は過去から学ばない。
Posted by