父親 新装版 の商品レビュー
化粧品会社に勤める父親-菊次56歳と不倫中の娘の純子の話 遠藤周作は深い河しか読んだことがなかったけど、図書館で気になって手に取ってみて一気読みした。 菊次は戦争を経験し、戦後の焼け野原のあとの三田キャンパスで学んでおり、けじめを一番大事にしている(遠藤周作って慶應卒なんです...
化粧品会社に勤める父親-菊次56歳と不倫中の娘の純子の話 遠藤周作は深い河しか読んだことがなかったけど、図書館で気になって手に取ってみて一気読みした。 菊次は戦争を経験し、戦後の焼け野原のあとの三田キャンパスで学んでおり、けじめを一番大事にしている(遠藤周作って慶應卒なんですね)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
40年前、初読の高校生のときは、交際を申し込んでおいて、結局は振ってしまう妻子持ちの男の振る舞いに、不快感が残っただけだった。 40年経った今、僕は本作を執筆時の遠藤周作氏と、主人公菊次と同年齢(56歳)となった。 僕らの親の世代の10歳位上の世代(=遠藤周作世代)は20歳代の青春を戦禍で過ごし、戦死して行った同胞たちに、「生き延びて自分だけが幸せになるのが申し訳ない」 そんな自責の念を根底に抱えている。 その後、高度経済成長に支えられ、物質的にも豊かになり、人々が価値観の中心に据えるのは、自分個人の幸せや効率の追求となった。 その延長線上の今、毎日の「回転」がどんどん速くなり、そのうち自分は振り落とされてしまうかも、という恐怖がある。 反面、娘を持つ周りの同級生たちは、 「オレの娘は世界一可愛い」 「いや、オレの娘の方が宇宙一可愛い!」 惜しげもなく、親バカぶりを晒し合っている。 平和で微笑ましい限りなのだが、「けじめ」という言葉が死語になりつつあり、仕事に対する矜持が失われ、冒すべきでないという他人に対する境界線・道徳観・自制心が変化してきているのは寂しい限り。
Posted by
2022.3.12読了 3.0 時代背景が古く、物語の中盤までなかなか頭に入ってこなく苦戦した。 でも、普遍的なものはあるし、父親の孤独や家族のあり方など色々と考えさせられた。 「善魔」という言葉を忘れずに、肝に銘じたいと思います。
Posted by
戦中派が高度成長時代にどう身を処すか、というサラリーマン小説としてはなかなか読み応えあり。但し、ややハイソサエティすぎる気が。一方で娘の恋愛事情は、相手の男のキャラが生理的にナシな感じだったので、だいぶダレた。最も印象に残ったのは、父親の慶応大学在籍時の一連のエピソード。こう振り...
戦中派が高度成長時代にどう身を処すか、というサラリーマン小説としてはなかなか読み応えあり。但し、ややハイソサエティすぎる気が。一方で娘の恋愛事情は、相手の男のキャラが生理的にナシな感じだったので、だいぶダレた。最も印象に残ったのは、父親の慶応大学在籍時の一連のエピソード。こう振り返ると、意外に彩り鮮やかな作品だったのね。
Posted by
娘を思う父親の気持ち。 宗が 優柔不断過ぎる 笑 「けじめ」というのがキー 「売らんがな」主義でいい商品を作ることから違う方向に行くというのは今の社会でも多くの人が悩むところではないか
Posted by
戦中世代の父・菊次と、働く女性であるその娘・純子。 会社での権力争いにもどかしい思いを感じる菊次は「けじめ」を重んじ、娘の不倫を知ったときもまずはけしからんという思いを抱く。ただ、その恋が終わってしまったと知ると、娘の気持ちをもてあそばれたと感じて憤りもする・・・複雑に揺れる父親...
戦中世代の父・菊次と、働く女性であるその娘・純子。 会社での権力争いにもどかしい思いを感じる菊次は「けじめ」を重んじ、娘の不倫を知ったときもまずはけしからんという思いを抱く。ただ、その恋が終わってしまったと知ると、娘の気持ちをもてあそばれたと感じて憤りもする・・・複雑に揺れる父親の胸中がていねいに描かれていて、自分とは性別も年代も違うのにおもわず納得してしまうほどリアルだ。 そしてまた、激昂しかねないような場面でも自制する菊次のことをとても好もしいと思う。自制して相手のことを考える余裕を持つ、それは美徳だと私は思うけれど・・・。
Posted by
最後の父と娘の解遁に心が救われるような思いになった。自分の境遇と照らし合わせてしまっていた。 作品全体は少し昔のものなので、1985年生まれの自分にはすこし分かりづらい部分はあった。
Posted by
娘と父親を描いた小説。 初版は24年前ということで、親子愛が現代小説のような乾いた関係でないのがどうしても違和感ですが、そこに慣れるととても読みやすい、読書入門のような小説です。 父親は娘の不倫に反対し、娘は愛を信じ…このあたりの描写は不思議と辟易せず、多分それは著者遠藤周作さん...
娘と父親を描いた小説。 初版は24年前ということで、親子愛が現代小説のような乾いた関係でないのがどうしても違和感ですが、そこに慣れるととても読みやすい、読書入門のような小説です。 父親は娘の不倫に反対し、娘は愛を信じ…このあたりの描写は不思議と辟易せず、多分それは著者遠藤周作さんがその時代を生きたからのリアル感だからであって、今この小説が出てたら多分辟易するんじゃないかと思いました笑。
Posted by
遠藤周作は本書を1980年、57歳の頃に発表している。つまりおそらく書いていて、一番著者が感情移入したのは菊次だろうと思われる。それは菊次の性格の端々にも現れているのだが、実際には娘がいないのによくもまあここまで"娘を持つ父親"の心境を描けるもんだなあと感嘆...
遠藤周作は本書を1980年、57歳の頃に発表している。つまりおそらく書いていて、一番著者が感情移入したのは菊次だろうと思われる。それは菊次の性格の端々にも現れているのだが、実際には娘がいないのによくもまあここまで"娘を持つ父親"の心境を描けるもんだなあと感嘆した。 化粧品会社で長年働いてきた父・菊次、中年をターゲットにしたスタイリストとして働く娘・純子、2人の人生のターニングポイントが物語の中心にあり、それは昔と今の時代の葛藤を象徴しているように思えた。 32年も前であっても今となんら変わらないんだなあ。いつの時代も、歳かさのいった人からすると「今の若いもんは……」と感じるものなんだ。
Posted by
久々に小説らしい小説 ずいぶん古い作品なのだろうが 古さを感じさせない あらためて遠藤周作作品は素晴らしいと 感じました
Posted by
- 1
- 2