通話 の商品レビュー
読むのをすごく楽しみにしていた。出版元ですら在庫僅少で、銀座のBK1stで見つけた時は小躍りしかけた。 期待が相当に大きかった分、読了直後、そこまででもなかったかな〜というミニマムな失望感があったことは否定しない。 これ以外読んでないので、あくまでこの本に限っての話だけれど。 ...
読むのをすごく楽しみにしていた。出版元ですら在庫僅少で、銀座のBK1stで見つけた時は小躍りしかけた。 期待が相当に大きかった分、読了直後、そこまででもなかったかな〜というミニマムな失望感があったことは否定しない。 これ以外読んでないので、あくまでこの本に限っての話だけれど。 文章は平易で読みやすい。畳み掛けていくタイプか。題材的にコルタサルを彷彿とさせる部分もあったり?(コルタサルって年代的にはファーストインパクトなのね。イケメン過ぎる写真のせいで、勝手に若手のイメージがこびり付いていた。恐ろしや。 で、マルケスやリョサやがセカンドインパクト。(でもエヴァはよく分からない) 実体験に基づいていると思われるネタの投入多し。 気に入りは『センシニ』『芋虫』『ウィリアム・バーンズ』『ジョアンナ・シルヴェストリ』など。 あとがきにもあったが、女性描写の巧みさは際立っていると思う。なぜでだろう? 内面にあるだろう女性性が高い人なのかもしれない。作家よりももっとアーティストに近いのかも。 まだまだ良い作品を生み出せたろうに、残念。
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ロベルト・ボラーニョ初期の短編集であり、第1部「通話」第2部「刑事たち」第3部「アン・ムーアの人生」の3部構成。各部4から5話の独立した小品からなっており、全部で14話ある。人生の落伍者や、あまりうだつの上がらない弱さや欠点を抱えた登場人物達が、苦しみの多い人生を悩みながら切り...
ロベルト・ボラーニョ初期の短編集であり、第1部「通話」第2部「刑事たち」第3部「アン・ムーアの人生」の3部構成。各部4から5話の独立した小品からなっており、全部で14話ある。人生の落伍者や、あまりうだつの上がらない弱さや欠点を抱えた登場人物達が、苦しみの多い人生を悩みながら切り開こうと懊悩する姿を淡々と描いている。 僕自身は、あまりこの作家の良さを咀嚼することができなかったが、批評家からは絶賛されているようで、あるフランスの批評家はこの小説家のことを「ウディ・アレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモンを合わせたような奇才」と賞賛している。 訳者はその賛辞を「芸の域に達しているともいえそうな自虐癖、日の目を見ることのないB級的なものに対するフェティッシュなこだわり、膨大な読書量に支えられた知的諧謔、そしてそれらすべてを束ねる呪われたアヴァンギャルド詩人としての素顔」と言い換えているが、作品のイメージを形容せよと言われれば、そういう言葉になるのだろう。
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ラテンアメリカの文学は、ガルシア・マルケス以来。 その時思ったのと同じ印象。 きっと、馴染みのない文化圏の文学だからか、いまいちよく分からない。 実際、オチの部分は、『オチてる…んだよね?』といった塩梅。 でも、もしかすると、単に私の読解力の問題なのかもしれない。 ☆面白かった...
ラテンアメリカの文学は、ガルシア・マルケス以来。 その時思ったのと同じ印象。 きっと、馴染みのない文化圏の文学だからか、いまいちよく分からない。 実際、オチの部分は、『オチてる…んだよね?』といった塩梅。 でも、もしかすると、単に私の読解力の問題なのかもしれない。 ☆面白かった話 『文学の冒険』『通話』『芋虫』『雪』『ロシア話をもう一つ』『刑事たち』『アン・ムーアの人生』 特に『刑事たち』は良かった。 あとがき読んで納得した。 『刑事たち』は、読んでる間中、こんな感じの様子だろうなぁ、というイメージが頭の中に常にあった。自分なりの画が。 オチも好き。
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南米作家好きにはたまらないのでは。私は大好きでした。 芋虫と、ジョアンナ・シルヴェストリが特に美しかった。
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文体がプツン・プツンときれて、 違和感があり、期待外れだったかなと思いつつ読み進めました。 途中、この文体がすんなり頭に入ってきて ストンと心に落ち着く感じになって作品を味わうことができました。 一番好きな作品は「文学の冒険」です。
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久々に「この人の本は何でも読みたい!」と思う作家に出会った。 ロベルト・ポラーニョ! なんだろう。なんだろう、この感じ。 解説に「ウディ・アレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモン を合わせたような奇才」と書いてあったけど、まさしく私が思い出したのはウディ・アレンだった。 ...
久々に「この人の本は何でも読みたい!」と思う作家に出会った。 ロベルト・ポラーニョ! なんだろう。なんだろう、この感じ。 解説に「ウディ・アレンとタランティーノとボルヘスとロートレアモン を合わせたような奇才」と書いてあったけど、まさしく私が思い出したのはウディ・アレンだった。 最近彼の「夢と犯罪」を観たからかもしれないけれど、きっと彼の作品を映画化したらウディ・アレンみたいになるのじゃないかなと思った。 「センシニ」「アンリ・シモン・ルプランス」「エンリケ・マルティン」「文学の冒険」「通話」 「芋虫」「雪」「ロシア話をもう一つ」「ウィリアム・バーンズ」「刑事たち」 「独房の同志」「クララ」「ジョアンナ・シルヴェストリ」「アン・ムーアの人生」 が読める。 どれもものすごく良いのだけれど、とどれかをことのほか取り上げようと思ったけど、選べない。 良いです。 嬉しい。 こんな本に出会えて幸せ。
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これは確かに、「ウディ・アレン+タランティーノ+ボルヘス+ロートレアモン」と訳者が言いたくなります。
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豊崎由美さんが薦めていたのがきっかけで。 ひとつひとつの短編の量は少ないのに、すごいインパクト! そのとき何を思った、このときどう考えた、とか内面のくどくどしい描写の代わりに、「~をした」「~をした」という動詞の羅列。簡潔に書かれているようだけど、そこには確かに一人の人間の人生...
豊崎由美さんが薦めていたのがきっかけで。 ひとつひとつの短編の量は少ないのに、すごいインパクト! そのとき何を思った、このときどう考えた、とか内面のくどくどしい描写の代わりに、「~をした」「~をした」という動詞の羅列。簡潔に書かれているようだけど、そこには確かに一人の人間の人生があるんですよ、ね・・・。 頭が悪い人にはもちろん書けないし、読むのも困難な小説だ。私、読むの大変だった・・・。 改行が少なくてページに文字がみっちり詰まっているのも嬉しい。
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短篇集。 読み始めてすぐに、あぁ、この作家は好きだ、と思う。 柔らかでナイーブな語り口、時折のぞくユーモア・・・・ 冒頭の「センシニ」にまず心を掴まれる。 スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と40歳も年下の若者との、文通を介しての友情を描いた作品であるが、淡々とした語りのなか...
短篇集。 読み始めてすぐに、あぁ、この作家は好きだ、と思う。 柔らかでナイーブな語り口、時折のぞくユーモア・・・・ 冒頭の「センシニ」にまず心を掴まれる。 スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と40歳も年下の若者との、文通を介しての友情を描いた作品であるが、淡々とした語りのなかに、一度も顔をあわせることのなかった年上の作家への深い敬意と、不如意な生活に対する悲しみとが切々と感じられ、胸うたれる。 病床にあるポルノ女優が過去を回想する「ジョアンナ・シルヴェストリ」は、彼女が時々使う下品な言い回しにもかかわらず、不思議な光に包まれているような穏やかさに満ちた美しい一篇。 つかの間の交情の後、すっと通信圏外に去っていってしまうような人々との関わり方も含め、ちょっとしたことで簡単に狂いだしてしまうような当てにならない人生。 そんな人生の掬い上げ方がとてもいい。 また、かつて恋人であった女性が癌にかかったことを知らされ泣き出してしまうほど悲しみに暮れている語り手に、その直後日常の瑣事に気をとられた際、彼女のことを一瞬忘れていたこと、“そうした忘却がもはや止めようもないことを悟った”(「クララ」)と言わしめる冷厳な視点もいい。 Llamadas Telefonicas by Roberto Bolano
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待望のブーム後のラテンアメリカ文学の邦訳。 代表作の『野生の探偵たち』を読む前に、積んであった本書を読んだ。 全体的に、日常に存するひずみというか、不安というか、そういったモチーフを扱っているあたり、なんとなくコルタサルあたりと似た雰囲気を感じた。 著者本人の実体験に根付いている...
待望のブーム後のラテンアメリカ文学の邦訳。 代表作の『野生の探偵たち』を読む前に、積んであった本書を読んだ。 全体的に、日常に存するひずみというか、不安というか、そういったモチーフを扱っているあたり、なんとなくコルタサルあたりと似た雰囲気を感じた。 著者本人の実体験に根付いているんだろうな、と読者に伝わってくる迫真性がある。
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