シングルベル の商品レビュー

山本幸久【著】

2011/09/30

　まったく結婚願望のない36歳の男が主人公。職業は絵画修復師。典型的な草食系男子。物語は、彼の伯母３人が彼を結婚させようとする大作戦を描いたコミカル・ストーリー。読んで真っ先に頭に浮かんだのは、いまどき、こういうお節介伯母さんってどれだけ生存しているのかなあ、という相当本筋からはずれた感想。男女ともに未婚率は高まっていると聞く現在。離婚率が高まっているとも聞くので、結婚をためらうのも仕方ないと思う。未婚原因の大きなひとつだろうとも思う。書籍では、「女性のおひとり様本」みたいなのが、小説、新書とこのところたくさん見かける。男性のも何冊かあったんじゃなかったか。ひとりになっちゃたらどうしよう、というのではなく、あえてシングルを選択した上での生き方を模索している点がもう昔とは違ってきている。シングルを選ぶのが別段珍しくもなくなるのも近いな、などとも思った。結婚していたって、いずれ連れ合いに先立たれるかもしれない。元々ひとりの人より、年をとってから連れ合いを亡くした人のほうが、ダメージは大きいかもしれない。望みは子供か。でも、子供に負担をかけたくないし、これからの時代、面倒をみてもらおうと期待するのもどうか。子供を頼りにするのも心配だ。コミカルな軽い話なのに、思考は本筋をはずれて、そんなふうな方向に行ってしまった。これからの時代、心というか精神というか、そういうものの置き場所のバリアフリー化が必要だろう。誰が、そこをバリアフリー化するか。それは自分しかいないよなあ。本書は、小説としてはなんとも評価しづらい作品だったが、いろいろと考えるきっかけにはなった。

2010/03/09

我が子の相手探しの結婚セミナーに集った親たち。
そしてその子供達は知らずに（もしくは勘付きながら）出逢うのだが
そこから恋にあっさり進みはせず・・。

大人になってから新しい気の置けない仲間が出来るというのはなかなか難しいので
こういう関係は結婚よりうらやましいかも。

【図書館・初読・3/8読了】

2010/12/14

36歳未婚で絵画修復師をしている陽一は3人の女性と出会った。
呉服屋の娘で外資系の企業で働くキャリアのすみれ、
会社のバンド仲間に振られて1人暮らしを始めた彩子、
母親のモデル会社でマネージャーをするカトリーヌ。
しかし彼らの出会いはすべて両親たちのお見合いパーティーから
仕組まれたものだった。
親たちの思惑とは異なり彼らは仲良くなるものの
一向に誰かがつきあうということはない。
業を煮やした陽一の伯母3人は禁断の手紙作戦に出る。
装丁：柳沼博雅(GOAT)　装画：中川貴雄

最近流行りの婚活小説です。ただし熱いのはそれぞれの親たち。
安心して読めるんですけど
女性たちが魅力的なのに比べて陽一の頼りないこと。
それでも彼女たちは陽一になんとなく惹かれているのが解せない。
結局誰とくっついたのか察することができませんでした・・・
美和子の背伸び具合が可愛いです。

「「おれ、自分が幸せかどうかなんんかさっぱりわからないの。だからひとに判断してもらうことにしているんだ。ひとがおれのこと、幸せそうだっていうなら、そうか、おれは幸せなんだなぁって思うようにしてる。っていうことで結婚して、おれ、すっげぇ幸せ。これが答えでいい？」」

2010/01/28

おもしろかった。
自分の子供たちの為に、親が婚活する時代。陽一の父・メグムはその会場で３人の見合い相手(の親)と出会う。
呉服屋の娘でキャリアウーマンの円山すみれ、芸能事務所社長の娘でハーフの双葉カトリーヌ、ポップドール愛好会(？)の平凡な家庭の娘大船彩子。この３人が陽一の見合い相手となり、見合い話にうんざりの子供たちに、親たち(というよりメグムの３人の姉)の策略で偶然を装い出逢いを仕向ける。
ところが、親(姉妹)たちの期待虚しく、どういうわけか全くの他人であり(見合いの)事情も知らない陽一、すみれ、カトリーヌ、彩子達と、その周りの人たちが出逢いをきっかけに飲み友達として仲良くなっていく。
もとが見合いの相手たち、果たして陽一は誰を選ぶのか・・・。

誰なんだ？結局誰なんだ！？誰でも当てはまるような終わり方で超もやもや！なんとなくカトリーヌっぽいけどわからない！でも美和子(小学生)の引き際がかっこよかった。ホント誰なんだ・・・。

2010/01/23

３６歳の草食系男子、絵画修復師の進藤陽一は、父の策略で３人の女性と見合いをする羽目になる。陽一は誰と結婚するのか、そもそもその気はあるのか？　婚活世代に送るコメディタッチの恋愛小説。
連作短編。婚活という流行りのテーマで筆致も軽やかだけど、全体的に印象が薄かった。
（Ｄ）

2009/12/20

典型的な草食系男子で結婚興味なしの陽一は、父の策略で3人の女性と見合いをする羽目になる。外資系バリバリ管理職、バンド大好きOL、元人気モデルの中から彼が選んだ女性とは? ドラマでも話題の婚活世代に送るコメディタッチの恋愛小説。

2009/12/18

＜内容＞典型的な草食系男子で結婚興味なしの陽一は、父の策略で3人の女性と見合いをする羽目になる。外資系バリバリ管理職、バンド大好きOL、元人気モデルの中から彼が選んだ女性とは? ドラマでも話題の婚活世代に送るコメディタッチの恋愛小説。
我が子の相手探しに結婚セミナーに奔走する親たち、その切実な願いを軽やかにひっくり返す息子&娘たち…。さらには事態を混乱させる小悪魔少女や謎のストーカーも絡んで事態は思わぬ方向へ―。

2011/07/19

結婚する気のない娘や息子を持つ親のためのお見合いパーティがある、とは聞いたことがあるのですが、このお話はそこから始まります・・・。う〜〜ん、積極的に結婚を望んでいるんじゃないんだったら親が何を言っても、どう動いても、当人たちには迷惑なだけじゃないのかしら。私は、「おせっかいもの」（よくありますよね、頼みもしないのに「善意で」世話を焼いて、事態がどんどん悪くなるという。親だったり、親戚だったり、町ぐるみだったり。）がすっごくイヤなので、ちょっと読んでみて、あ、こりゃダメかな、と。でも、山本さんの軽快なタッチに引きずられて^^;読み進むうちに、その当人たちが会社の出来の悪い後輩や、父親の勤め先の造園業の親方まで巻き込んで、サークル活動みたいに仲良くなっていく様子が面白くなっちゃって。ちょっとネタばれ主人公（らしき）草食系男子の要一だけが、外見の好ましさは別として、何を考えているのかよくわからないところが今一つだったけど、山本さんはそこさえ話の展開に利用して、うまい具合にオチに持っていった・・・？？（私はあんまり成功しているとは思えなかったけど）ネタばれ終わり要一を好きな小六の女の子（彼の叔母の孫）の心理描写や次々に現れる恋人候補への牽制球もまた面白かった。小さい女の子って何もできない自分に苛立つんだよね、と思ったり、そんな彼女に自分の少女時代を思ったりする女性たちの気持ちもわかったり。

2009/10/07

相変わらず出てくる人物は魅力的。
特に、3人の姉さん's（婆さん？）が面白かった。
でも物語の核ともいえる、婚活中の3人の方が、インパクト薄いのはどうだろうか。
あと終わり方がはっきりしないのがなー。あえてだろうけど。

好きな作者なだけに、過剰に期待してしまう。
ちょっと期待ハズレだったので評価低め。

2009/10/07

おもしろおかしく読めて、相変わらずキャラの作り方はうまいと思いました。ただ、登場人物が多いので終盤ごちゃっとしてしまった印象。もったいない。