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単純な脳、複雑な「私」 の商品レビュー

4.4

186件のお客様レビュー

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    88

  2. 4つ

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2024/11/02

最高に面白い! 高校生との対話は正直いらなかったかもしれない。 基本対話形式の本は好きじゃない。 動画や図解の説明を飛ばしたけど、十分に楽しめた。 また読みたい。

Posted byブクログ

2024/08/19

深い。 しかも話が面白い。 学生相手に話を分かりやすくすることのリスクを考慮した上で(そのリスクや批判についてもあとがきで述べている。)、脳や脳科学の面白さ、不思議さを、とてもうまく表現している。 理解が深いからこそ、大事なところを落とさずに細かいところを削ったり、平易な言葉に直...

深い。 しかも話が面白い。 学生相手に話を分かりやすくすることのリスクを考慮した上で(そのリスクや批判についてもあとがきで述べている。)、脳や脳科学の面白さ、不思議さを、とてもうまく表現している。 理解が深いからこそ、大事なところを落とさずに細かいところを削ったり、平易な言葉に直したりできるんだろうなあ。ホンモノの知性を感じます。 脳に関する雑学本、としても楽しめる。 けど、それだけじゃない。 大きなテーマとしては、タイトルにある通り、この複雑な思考、「私」を「私」たらしめる思考、自分自身にも理解しきれないほど重層的な思考をもたらす脳の仕組みはとてもシンプルで、単純な仕組みで成り立っていることを教えてくれる。 この複雑な思考回路の「設計図」は誰にも描けない。けど、単純なルールに基づく計算をひたすら繰り返すことで、複雑な出力を生むことを、モデル化した実験で見せてくれた。 最も驚いたのは、自由意志についての話。 例えば「手を挙げる」という動作をする時、手を挙げようとする意志よりも先に、脳は手を挙げる準備をしているのだと。脳が先に準備をして、その後で手を挙げようとする意志が生まれるのだとしたら、それは僕の意志なのか。僕らに自由意志はあるのか、僕らは脳の奴隷なのか。 この議論に対する脳科学実験からの結論は、「自由は、行動よりも前に存在するのではなく、行動の結果もたらされるもの」である、と。 手を挙げたいという欲求は意志とは無関係に、自動的に湧き上がるが、その欲求に対して「手を挙げない」という自由が残されている、と。 深い。 面白い。 人に勧めやすい本。 しかし面白い話題が多すぎて、大きな感動やカタルシスに達しなかったともいえるかも。

Posted byブクログ

2024/07/13

『記憶というと、脳の中に保管された文書が、コンピュータのデータのように、そっくりそのまま保管されるように考えている人もいるかもしれないけど、実はそんなことはない。すごく曖昧で柔らかい方法で貯えられているんだ。しかも、このふたつの例のように、記憶が呼び出されるときに、その内容が書き...

『記憶というと、脳の中に保管された文書が、コンピュータのデータのように、そっくりそのまま保管されるように考えている人もいるかもしれないけど、実はそんなことはない。すごく曖昧で柔らかい方法で貯えられているんだ。しかも、このふたつの例のように、記憶が呼び出されるときに、その内容が書き換わってしまうこともある』―『第二章 脳は空から心を眺めている』 随分前に池谷裕二の著書を養老孟司が褒めていたのを読んだというあいまいな記憶があるのだけれど、あるいはそれは福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」についてだったかも知れない。でも確かそんな言葉に誘われて「進化し過ぎた脳」を手に取ったように覚えている(2005年2月17日に購入した記録が確かに残っている)。ところがこの頃は感想文を書く習慣を一時的に止めていた時期なので、読んで何を思ったかを思い出す術もなく、記憶を手繰れない。それでも、養老孟司や福岡伸一の著書のように生物というものを一気に俯瞰するような視点へ論を展開するような文章ではなくて、地道にコツコツと積み上げて行きながらいつの間にか思いもしない地平に至るというような文章だった記憶はある。そして、今更ながら二冊目の本を読んでいる。 『私がとくに強調したいことは、サイエンス、とくに実験科学が証明できることは、「相関関係」だけだということです。因果関係は絶対に証明できません。「いやいや、私は因果も証明できるぞ」という立場の人、いますか? もしいたら徹底的に私と議論しましょう。プロの立場から言わせていただくと、「脳は相関が強いときに、勝手に"因果関係がある"と解釈してしまう」ものなんですね』―『第一章 脳は私のことをホントに理解しているか』 本書は、著者の母校で高校生を相手にした講演(+特別講義)を採録したものなので、書き下ろしの文章よりも更に丁寧な論の進め方となっている。と言っても、難しい話を極端に単純化して判り易く説明するようなこともないし、判っているという思っていることが実は曖昧なことであることもきちんと説明する。その姿勢はテレビ番組などでの著者の発言の印象と多分に重なる。きっとそういう説明をしてくれる人が好みだから、無意識に本書も手に取ったのだろう。とにかく、読んで好感の持てる一冊であることは間違いない。 脳科学の研究には自分も畑違いながら昔から興味があり、養老孟司、茂木健一郎、ロジャー・ペンローズ、ダクラス・ホフスタッターなどを読み漁ってきたので、著者が説明する実験の内容や、自己言及の罠などの話題は一応知ってはいた。けれど、それらの個々に解明された事実が全体像の理解に対してどのような意味を持つかという視点は、本書で初めて教えられたような気がしてならない。更にいうなら、ニューラル・ネット・ワークの仕組みや科学における相関、因果律の問題などはデータの分析を主務としていた時代に散々考えてきた話だけれど、そこから「ゆらぎ」「ランダムさ」を介して「統制」された動きが生じるという話などは本当に意外だった。巻末近くで脳科学は学際的学問だと著者が述べているけれど、むしろジグソーパズルのピースを一つひとつ吟味し全体のどの位置に当たるのかコツコツと積み上げるような仕事ぶりをする著者であるからこそ、その学際的成果が生まれるのだろうとも思う。切り出したネズミの脳細胞のスライスのニューロンの発火を観測する下りから、ベキ則(あるいはフラクタル的特性(そう言えばフラクタルも自己言及的))が出現し、1/fゆらぎ的な心地良さが見い出される下りなど、ものすごく刺激的だ。 そして、一般書であるにもかかわらず、一つひとつの事実提示に対して参考文献を付けて来る律義さ。毎日百を超える論文を読むという著者ならではとも思うけれど、その丁寧さが好感を生む源泉なのだろうと思う。久しぶりに自分でもシミュレーションのプログラムを書いてみたくなった。

Posted byブクログ

2023/04/29

私たちの意識は何か、脳科学の視点を交えて講義形式で考えを広げている。そんな感じの本。 自分はAIに少し興味があって知能とは何かという問いを考えるために本書を手に取りました。 人間について、意識について、認識について疑問を抱いてるひとにおすすめの一冊です。 人間の意識というの...

私たちの意識は何か、脳科学の視点を交えて講義形式で考えを広げている。そんな感じの本。 自分はAIに少し興味があって知能とは何かという問いを考えるために本書を手に取りました。 人間について、意識について、認識について疑問を抱いてるひとにおすすめの一冊です。 人間の意識というのは自分の中に他人(自己を含む)を生成することで生じてるものなのかもね。 五感の中で受容体の種類が一番多いのはどれか、自由意志は発生か抑制どちらの分類になるか、などのお話が面白かったです。 人生で一度は読みたい良書だと個人的には感じました。

Posted byブクログ

2022/05/10

池谷裕二さんの代表著作の一つではないでしょうか。 母校での特別講義を書籍化したもので、2009年と脳科学をテーマにするには少し陳腐化してしまうのではと心配してしまう年月ですが、人間の「心」とは何かをテーマに本質を突く内容ですので、今読んでも新しい気付きを与えてくれました。 自分...

池谷裕二さんの代表著作の一つではないでしょうか。 母校での特別講義を書籍化したもので、2009年と脳科学をテーマにするには少し陳腐化してしまうのではと心配してしまう年月ですが、人間の「心」とは何かをテーマに本質を突く内容ですので、今読んでも新しい気付きを与えてくれました。 自分の意識や自由意志(本書では自由拒否)というものを崇高で難解なものとして捉えてしまいがちですが、結局は身体や環境からの情報によって後天的に脳で作話してるもんなんだよ。自分の意志で決断するようなことも、アプローチとしてはまず脳で準備した後に動かそうという意思が生まれる。そこに自由はあるのか? 人間の意志や行動は複雑怪奇に思われるが、その根源はニューロンのシナプスの信号+脳のゆらぎという単純なものから創発されているものなのだ。 人間の自分で自分を知ろうとすることはリカージョン(入れ子構造)になっており、ラッセルの矛盾にもあるようにそこには辿り着けない、答えなき探求がが待ち受けている。 ばらばらっとまとめてみましたが、脳、ひいては心とはつかみどころのない曖昧な拠り所のない、なんとも不思議な感覚に誘われる素敵な読書体験でした。

Posted byブクログ

2022/03/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

脳は身体からのフィードバックを必要とし、身体がなければ外界を知ることができない。心も同様に身体によるフィードバックに依るところが大きい。 いい意味で脳に対する謎に包まれた神秘性を崩してくれる本だと思う。 脳は意外と単純で、意外と複雑で、脳自体がとても人間らしいと感じた。

Posted byブクログ

2022/01/26

出身高校で行われた講演を元にした本なので、分かりやすく面白い。色々驚く事が多い。 脳科学や遺伝学は今後人文科学の他の分野にも新たな展開をもたらすと思う。 ただ、動物実験や、被験者を使うので、倫理観も問題になるかも。 赤ちゃんが、白いぬいぐるみを抱くと大きい音がする実験。何度も繰り...

出身高校で行われた講演を元にした本なので、分かりやすく面白い。色々驚く事が多い。 脳科学や遺伝学は今後人文科学の他の分野にも新たな展開をもたらすと思う。 ただ、動物実験や、被験者を使うので、倫理観も問題になるかも。 赤ちゃんが、白いぬいぐるみを抱くと大きい音がする実験。何度も繰り返すと、ぬいぐるみはもちろん、白いモノも避けるようになる。成長した後も影響するかもしれませんねと、さらっと語られていたが、その責任はどうなるんだろう。 自分の子供を被験者にはしたくないと思った。

Posted byブクログ

2021/12/16

リベットの実験 脳回路の冪分布→1/fゆらぎ リカージョンによる自己言及パラドクス ▶︎『進化しすぎた脳」に比べて哲学的な話題多め。 ぶっちゃけ心の哲学の必要性を感じない(厳密に言うと哲学し続けることの必要性)立場の私にとって読む必要性はなかった…。とはいえ、池谷先生の本は高校...

リベットの実験 脳回路の冪分布→1/fゆらぎ リカージョンによる自己言及パラドクス ▶︎『進化しすぎた脳」に比べて哲学的な話題多め。 ぶっちゃけ心の哲学の必要性を感じない(厳密に言うと哲学し続けることの必要性)立場の私にとって読む必要性はなかった…。とはいえ、池谷先生の本は高校生や完全初学者にはお薦めできる

Posted byブクログ

2021/03/25

読めば読むほど、脳についてわからなくなる! 脳の役割だけでなく、こころとは何か、私とはなにか、まで幅広い。 10年前の著書だから最新の研究はどうなっているのだろう 2021.3.25

Posted byブクログ

2020/08/15

やはりとても面白い。自分が自分を操っていると考えるのはもはや正しくないのかも、と価値観を揺さぶられました。それでも、自分でどう受け取るかが重要なので、自分で制御できる範囲で制御できている感覚が大事なのでしょうね。

Posted byブクログ