プロメテウスの涙 の商品レビュー
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切ない話。展開はどんでん返しではなくて、一つ一つを紐解いていくストーリーであり、その世界にグイグイ引き込まれる。 そして、個人的には罪・罰・赦しについて考える本だった。 【以下考えたこと】 本作の問題はキャリー達側の方である。10歳を超えて生きることをしなかったのは、「他人の生を預かって、本来の年齢を超えた生を、生きることができなかった、または赦されなかった。それは誰に? そもそも、キャリーズは誰もトーマスを探そうとしていなかった。あや香の代で運良く涼子と裕美によって繋がることとなったが、国も性別も異なる魂の流転の中で、虚空に向かって赦しを叫ぶだけ、そして死、輪廻である。 まるで、キャリーの魂が輪廻を続けながら、「赦しを伝える」という『罰』を受け続けるようである。 もはや呪いではないか。赦しとは、呪いである。赦す方の呪いである。 トーマス=赦される方は、そもそも赦しを求めてすらいなかった。 もし、トーマスの不死が、キャリーによるのもではないとしたら?それは筋が合わない。キャリーの輪廻は死の日に始まった。つまりその時からキャリーの呪いは始まった。トーマスはキャリーを強殺したことの罰として、不死の苦役を受けた? 逆だ。キャリーが「トーマスを赦すことを伝える」という『願いを達成させるため』に、神がトーマスを生かしたのだ。病魔に侵されたのはただの自然の摂理だ。健やかな余生を送っていたとしてもキャリーの目的は果たせる。こう考えた時、トーマスは『被害者』となる。赦しを伝えるという呪いが達成されるまで、生という責め苦を永劫受け続ける。しかしこれは、「トーマスの犯した罪」に対する「罰」ではない。キャリーが赦しを伝えることを求めたが故に生まれた呪いだ。 悲願は達成し、トーマスは満たされた。キャリーも満たされたかもしれない。では死んだ4人は?真実を知れば、キャリーを恨むだろう。あや香が死んでいたら、小百合はキャリーとトーマス、どちらを恨んでいただろうか。
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今まで読んだことのない作家さんの作品を…と思い、図書館で、いつもの通り直感で、借りて来た本。表紙画に、最初に目がいってたら借りてないだろうな〜内容も、グロいとこがあったりしたけど、先が気になり、一気に読んでしまいました。
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「彼女は私が知る限り、一番こういう結論を許さない人間です。でも、彼女も現在はこの仮説に基づいて行動をしています。信念として受け入れ難かろうが、データの方向がすべてそちらを指している以上、割り切るだけの柔軟性も彼女は持っています」
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死刑囚に初めて会うまでの前半はとても面白かった。特に「指に引っ掛かった爪」のシーンは凄かった。でも残念ながら面白かったのはこの辺りまでで、後半は謎解きのための説明的進行でパッとしなかったな。
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私はこの手の話が大好きなんだなぁと再認識した本。 まだ今年始まってすぐだけれど、今年一番面白くてワクワクした本だとこの時点で思える。 ホラーのようなミステリーのような、かと思えばある種トンデモのような。 でも医療的な話も入っている。 けれどちゃんとまとまっていて読み応えがあった...
私はこの手の話が大好きなんだなぁと再認識した本。 まだ今年始まってすぐだけれど、今年一番面白くてワクワクした本だとこの時点で思える。 ホラーのようなミステリーのような、かと思えばある種トンデモのような。 でも医療的な話も入っている。 けれどちゃんとまとまっていて読み応えがあった。 作中出てくる記憶パターンがなんとなくわかるような気がした。全て事細かに記憶しているわけではないけれど、映像記憶のような。 作者の母校が、よく知っている地元の高校だったのに驚きました。 なんだか親近感。
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2015.4.5 読了 なんともまあ すごい話を考えるもんだ。 表紙からして グロイ。。。(((;°▽°)) 記述も 結構 うへぇ。。。な部分もあり。 涼子と祐美の 交互の話で 進んでゆく。 涼子は心療内科の先生。 そこに、子供の頃の親友 小百合が 子供といっしょに 偶然...
2015.4.5 読了 なんともまあ すごい話を考えるもんだ。 表紙からして グロイ。。。(((;°▽°)) 記述も 結構 うへぇ。。。な部分もあり。 涼子と祐美の 交互の話で 進んでゆく。 涼子は心療内科の先生。 そこに、子供の頃の親友 小百合が 子供といっしょに 偶然 訪れる。 子供が得体のしれない症状に悩まされていて、 病院を点々としていた。 一方 祐美は 涼子の大学時代の親友で、 いまは アメリカの大学で研究している。 そこで 医療刑務所にいる死刑囚が 死刑を3回 執行しても 死なない。 その後 いまは ガンを患い、 体中をガンに侵されているのに 死なない、いや 死ねない。 この二人の話が ビミョーに 絡み合う。。。 面白くて 一気に読めちゃいました!
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ラストのあれは、凉子も祐美もキャリーの生まれ変わりに巻き込まれたってことでいいのかな?あそこで解決できなかったら二人もあのあと死んでいたんだろうか。
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学生に勧められて読んだ本。なるほど面白くて、一気に読んだ。ちょっとグロテスクなところもあるけど、好きなジャンル。エンタメとして軽く読むのに向いてる。
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ちょっと設定を納得するのが苦しかった。生身の人間に乗り移って、自分が殺された年にその子達を事故死させる神経と、その乗り移りの原因が殺した本人に「あなたを赦す」を伝えるためだってのは、どう考えても生理的に矛盾してるだろう。さらに、赦される相手の死刑囚が何をしても死なず、その原因が、殺めた少女からの贖罪を受けるためってのも、なんだか納得感がないなぁ。 最近夢中になってる作者ですが、もしかして、玉石混交なのかしら。。
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読み始めたら先が気になって一気に読み上げた。 だけど一人の死刑囚を赦すために、何人もの子供たちが輪廻転生をして、10歳で死ぬというのはどうなんだろう・・・ 罪人の犠牲になっている、罪もない子供たち・・・罪人を赦すことにそれほどの価値があるのか疑問。 あや香が原因不明の奇行から解放...
読み始めたら先が気になって一気に読み上げた。 だけど一人の死刑囚を赦すために、何人もの子供たちが輪廻転生をして、10歳で死ぬというのはどうなんだろう・・・ 罪人の犠牲になっている、罪もない子供たち・・・罪人を赦すことにそれほどの価値があるのか疑問。 あや香が原因不明の奇行から解放されたのはよかったけど。
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