れんげ荘 の商品レビュー
読み始めて、知らないあいだに心ががんじがらめにされていたことに気づいた。 読み終わって、心を縛っていた紐が少しほどけてるのに気づいた。
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独身キャリアの女性が、突然仕事を辞めて家を出て、古いアパートで貯金のみで暮らしはじめるというお話。 たくさんの物、そして物欲に溢れた現代で、必要なものだけを大事に選んで丁寧に暮らす様子には、ちょっとあこがれます。 実家の母親との確執やアパートの個性的な住人との関係も現実にありそう...
独身キャリアの女性が、突然仕事を辞めて家を出て、古いアパートで貯金のみで暮らしはじめるというお話。 たくさんの物、そして物欲に溢れた現代で、必要なものだけを大事に選んで丁寧に暮らす様子には、ちょっとあこがれます。 実家の母親との確執やアパートの個性的な住人との関係も現実にありそうななさそうな話で、群さの独特なかんじで面白かったです。
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夏暑く、冬は寒く、梅雨時は徹底的にじめじめしている。そんな気の滅入りそうな部屋に住む勇気はないけれど、自分が働いて貯めたお金で、なーんにもしないで、質素に、でも楽しく暮らすというのは、憧れである。 うるさいお母さんのキャラがこの本をただの夢見がちな中年女の本からひっぱりあげている...
夏暑く、冬は寒く、梅雨時は徹底的にじめじめしている。そんな気の滅入りそうな部屋に住む勇気はないけれど、自分が働いて貯めたお金で、なーんにもしないで、質素に、でも楽しく暮らすというのは、憧れである。 うるさいお母さんのキャラがこの本をただの夢見がちな中年女の本からひっぱりあげている。
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会社員独身OLのキョウコ 45歳。人生をリセットするために、会社を辞め、実家を出て「れんご荘」でひとり暮らしをはじめる。 15年前に他界した父、家庭を持ち独立した兄、そして、今は母と二人暮しのキョウコ。母は、世間体ばかり気にして、妬み嫉み愚痴ばかり、おまけに家庭内でのトラブル...
会社員独身OLのキョウコ 45歳。人生をリセットするために、会社を辞め、実家を出て「れんご荘」でひとり暮らしをはじめる。 15年前に他界した父、家庭を持ち独立した兄、そして、今は母と二人暮しのキョウコ。母は、世間体ばかり気にして、妬み嫉み愚痴ばかり、おまけに家庭内でのトラブルは全て「自分は悪くない」の責任転嫁主義。キョウコは、そんな母に子どもの頃から腹をたてていた。 大学卒業後に、大手の広告代理店に勤め、営業職として認められ、役職と給与も上がり、世の中のバブルも相成って、お金にまみれ、時間に追われて無我夢中で働き続ける。父親の死をきっかけに、仕事も家族も、自分の人生も、「本当にコレで良いのか?」と疑問に思い、家から出てひとり暮らしをし、貯金生活者としていきていくためにお金をためる。 そして、45歳、人生をリセットするために、家賃3万円 隙間風吹き込み、蚊の大群が押し寄せ、ミミズ、ナメクジまでに悩まされ、押入れを開ければ大量のカビが繁殖する。そんなアパート「れんげ荘」で、働くことはせず、今までの蓄えた貯金から月10万円の生活費で生きていくことを決める。 リセットしたに思えるキョウコだけど、なんとなく気持は中途半端な感じ。誰かにわかってもらいたいけど、自分の生活を肯定できないし、後悔も見える、自分にも他人にも嘘をついたまま。本当によかったのかどうか迷っている感じが伝わってくる。 人生嫌なこと、納得できないこと、無意味に思えることってたくさんある。本当のリセットは難しいと思う。リセットは消すことじゃなくて、受け入れることでもあると思う。「れんげ荘」に引っ越したキョウコは、まだまだ迷ってる。ずっと何か探しながら生きていくのが人生なのかも、それでいいのかもって、少しチカラは抜けたような気持になりました。
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2010.08. なぜか読んでしまう群よう子。母娘の関係がいつもこんな感じなのは、見事に自分のを写してしまうんだろう。
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一流会社に勤め、バリバリと仕事をこなし、ガムシャラに突っ走っていたら、いつの間にか45才の独身女になっていたキョウコ。キョウコが取った極端過ぎる行動は更に自問自答する日々であった。何が正解で何が不正解なのかは個人によってさまざま。自分探しの作品。 ええと。仕事ってキリがない。仕...
一流会社に勤め、バリバリと仕事をこなし、ガムシャラに突っ走っていたら、いつの間にか45才の独身女になっていたキョウコ。キョウコが取った極端過ぎる行動は更に自問自答する日々であった。何が正解で何が不正解なのかは個人によってさまざま。自分探しの作品。 ええと。仕事ってキリがない。仕事のゴールっていつ?と思い悩む事が私にもあったなぁ、と。このケリは自分で決着するしかないのよね、結局。
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超ひさしぶりに群さんのよみました。 シビアな状況なのにまったり描いてくれているのがほっとします。
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45歳の独人女性が主人公。一流企業を退職し、貯蓄を切り崩してのこれからの生活。月10万で85歳まで生きる計算。れんげ荘での新生活を描いた本。
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内容(「BOOK」データベースより) キョウコはおべんちゃらとお愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を早期退職!都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越しし、月10万円で暮らす貯金生活者となったが…。ささやかな幸せを求める女性を描く、待望の書き下ろし小説。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最近どういうわけか本書のような女性の生き方を主題にした小説を続けて数冊読んだ。今までなら読もうと思いさえしなかったジャンルだ。だが面白かった。読まず嫌いだったようだ。様々な思いが頭を過ぎり、「こんな生き方もありかも」とちょっと肩の力が抜けた気がした。 本書の主人公は、大手の超有名な広告代理店の営業をしていた女性。20代はバブル期で、今思えば派手な生活を送っていた。ところがアラフォーとなり、仕事にも会社にも嫌悪感を感じ始めていた。結論として、月10万円なら80歳まで暮らせるだけのお金を貯め、会社を辞める。そして、折り合いの悪い母と暮らす実家からも出て、オンボロアパートの「れんげ荘」で一人暮らしを始める。 この小説を読んでいると実に様々なことが頭に浮かんできた。毎日、メディアで報道される、人身事故による鉄道ダイヤの乱れ。日本では自殺者が毎年3万人を超えるという。鬱病が急増しているとも聞く。 嫌なことばかりだが、もしこの小説の主人公のように独身で、幸いにも安定した大企業の社員であったなら、お金を貯められるだけ貯めておいて会社を辞めるのもひとつの手かもしれない。 生きるために食べる。食べるために働く。結婚し、子供ができ、家族のため家のローンのために働く。働いて稼がなければならない。生活するためには仕事をしなければならない。しなければならないから仕事に人生の大半の時間を費やす。当たり前のことではあり、多くの社会人はそんな人生を送っている。でも、しなければならないので仕方なくしている生き方なんて本当は嫌だ。仕方なくしているのだとしたら、楽しくないし。仕方なく楽しくない毎日を繰り返すという人生。そりゃあ心の歪みが出てもおかしくない。 もちろん、この主人公の選んだ生き方にだっていくつもの不安がある。不安は、彼女の周りの人たちがいい実例なのかもしれないと思った。彼女の父、母、兄の家族、女友達、れんげ荘の住人たち。今はいいが年をとったらとか、病気になったらとか。ずっとひとりで寂しくないかとか、地味な生活に耐えられるかとか。周りの人たちの生き方が、それらの不安に対するひとつの答えのように思えた。 月曜日の朝、会社に行くのが嫌で嫌でしょうがなくなったら。この小説は、そんな悩みや苦痛を和らげる何十何百とある対応策の中のひとつかも。今の世の中、価値観の変化を受け入れるときなのかもしれないとも思った。そもそも日本人が「普通」とか「常識」としていることは、本当に「普通」で「常識」といえることなのだろうか。現実社会であっちこっちと仕事で飛びまわっている人たちでも、意外と狭い世界観の中で生きていることに気付かないだろうか。 経済の低成長下では、人々は穏やかな生活に癒しを求める傾向にあるのかもしれない。 安定した仕事、収入、それにより得られる現在の生活の安定。そして、貯えることによって将来にも備える。安心を欲するからだ。人は多かれ少なかれそんな生活設計を描く。ただ、そこに楽しくない仕事を続けなければならない自分自身の精神状態への配慮はどれだけあるだろう。安定した仕事と同様に、精神状態にも安定がほしい。現代社会はその精神の安定の維持がとても難しくなっている。この主人公が選んだ生き方は、きっと読者の心に波紋を起こすはず。
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