何もかも憂鬱な夜に の商品レビュー
施設で育った過去を持つ若き刑務官を主人公とした タイトルとおり沈鬱な話。 死刑制度に向き合おうとする思いもあったのかも しれない。 でも、制度云々ではなく、生きることと死ぬこと、 さらに、この世に生きていることの価値をどう見出すか、 などを問うとこういう話になるんじ...
施設で育った過去を持つ若き刑務官を主人公とした タイトルとおり沈鬱な話。 死刑制度に向き合おうとする思いもあったのかも しれない。 でも、制度云々ではなく、生きることと死ぬこと、 さらに、この世に生きていることの価値をどう見出すか、 などを問うとこういう話になるんじゃないか。 そんな読後感を持った。 重く、どんより、沈鬱。 でも、こういう雰囲気の小説を言葉をかみしめるように ゆっくり読むのはワタシは好きだ。
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孤児の刑務官と死刑囚、孤児時代の施設長、死刑制度 この本の本筋ではないのかもしれませんが、施設長が主人公の自殺を止めた時の話が印象的。 「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方も無い奇跡の連続は、いいか?全て、...
孤児の刑務官と死刑囚、孤児時代の施設長、死刑制度 この本の本筋ではないのかもしれませんが、施設長が主人公の自殺を止めた時の話が印象的。 「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方も無い奇跡の連続は、いいか?全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい」 「自分の好みや狭い了見で、作品を簡単に判断するな」「自分の判断で物語をくくるのではなく、自分の了見を、物語を使って広げる努力をした方がいい。そうでないと、お前の枠が広がらない」 死刑囚とは言え、死ぬべき命というのはないのかもしれない。とは言え、角田美代子のような人間の話を読んだ後だとそうも言えない。彼女は全てを話した上で死刑を受け入れるべきだったのかもしれない
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どろっとした空気感の中で話が進められ、その中にある何か重たいものを感じました。 「死」を側に感じるのに、それに対する恐怖は感じられない。不思議な感覚です。 結末もスッキリとするものではないのに、なぜか気持ち悪さは感じない。 読めば読むほど考えさせられる作品だと思い...
どろっとした空気感の中で話が進められ、その中にある何か重たいものを感じました。 「死」を側に感じるのに、それに対する恐怖は感じられない。不思議な感覚です。 結末もスッキリとするものではないのに、なぜか気持ち悪さは感じない。 読めば読むほど考えさせられる作品だと思います。
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どろっとした雰囲気の中で淡々と話が進められ、その中にあるなにか重たいものを感じました。 「死」を側に感じるのに、それに対する恐れなどは感じない。不思議な感覚です。結末もスッキリとするものではないのに、気持ち悪さなどはなぜか感じませんでした。 読めば読むほど考えさせられる...
どろっとした雰囲気の中で淡々と話が進められ、その中にあるなにか重たいものを感じました。 「死」を側に感じるのに、それに対する恐れなどは感じない。不思議な感覚です。結末もスッキリとするものではないのに、気持ち悪さなどはなぜか感じませんでした。 読めば読むほど考えさせられる本です。
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2017年6月7日読了。施設で育ち、刑務官として働く「僕」。施設の仲間の死や死刑囚との接触から僕が得た結論は。生と死、虐待、性など相変わらず重いテーマを濃密な文章で描く小説だが、救いや希望があるところが本書が「入門者向け中村文則小説」とされる理由か。生きて、色々な美しいものに触れ...
2017年6月7日読了。施設で育ち、刑務官として働く「僕」。施設の仲間の死や死刑囚との接触から僕が得た結論は。生と死、虐待、性など相変わらず重いテーマを濃密な文章で描く小説だが、救いや希望があるところが本書が「入門者向け中村文則小説」とされる理由か。生きて、色々な美しいものに触れることには「許される」とか「許されない」ということはなく、とにかく生きること・様々なことを知ることは、人間が人間であるから当然のようにやるべきことだし、ある意味それは誰にでも「許されている」行為、なのだろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とてもとても重い内容でした。刑務官の死刑執行に立ち会う状況があまりにリアル過ぎてちょっと本を閉じたくなったほど・・・。孤児であり、施設で育った彼の心の闇は深すぎて私の理解力からは程遠く。中村さんの作品は魅力的でどんどん読まされてしまうのだけど、多くの場合読後にどーんと心が重くなります。恵子とはその後どうなったんだろう。送り出したのにまた帰ってくる、そのたび命が消えている・・・そんな刑務官という仕事の精神的なハードさを垣間見る事ができました。
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テーマ自体は馴染みやすく、死刑制度について当事者に語らせる部分など興味深く読める部分もあったが、何しろ文章が好みでなく入り込めなかった。 また、これは完全に好みというかタワゴトなのだけど、10代の葛藤はもっと渦巻いて混沌として切実で異常なエネルギーを感じさせるものであってほしい。
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ひたすら暗いが、山井の手紙でやや救われるエンディング。テーマは普遍的で自分は何者なのかとか生とか死とか性といったもの。
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施設で育った刑務官の青年が主人公。フロイトのタナトスとエロスを連想させられる。行間に滲み出る感情は、言葉で表すより何倍にもなって伝わり、窒息しそうになる。そんな中、あの人の存在だけがただただ眩しかった。主人公の破裂しそうな感情は生への欲動に向かい、こんなにも重苦しい本なのに、希望...
施設で育った刑務官の青年が主人公。フロイトのタナトスとエロスを連想させられる。行間に滲み出る感情は、言葉で表すより何倍にもなって伝わり、窒息しそうになる。そんな中、あの人の存在だけがただただ眩しかった。主人公の破裂しそうな感情は生への欲動に向かい、こんなにも重苦しい本なのに、希望の芽生えを感じた。
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なんだか悲しい切ない話だった。憂鬱とまではいかないが気が滅入る。でもこの言葉は良かった。「自分の好みや狭い了見で作品を簡単に判断するな。自分の判断で物語をくくるのではなく自分の了見を物語を使って広げる努力をしたほうがいい。」
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