雪蟷螂 の商品レビュー
この『雪蟷螂』という作品は、 同じ作者の書く「人喰いシリーズ」と云われるものの 第三弾、最終章に当たるらしい。 読み終えいざレビューを書こうとして初めてその事を知ったけれど、 前の2作を読まないと分からないという事は無かったように思う。 (他の方のレビューを拝見すると、これが最...
この『雪蟷螂』という作品は、 同じ作者の書く「人喰いシリーズ」と云われるものの 第三弾、最終章に当たるらしい。 読み終えいざレビューを書こうとして初めてその事を知ったけれど、 前の2作を読まないと分からないという事は無かったように思う。 (他の方のレビューを拝見すると、これが最初で良かったようにも思える) 「想い人を喰らう」と云われる一族と、 その一族と長い間敵対していた一族との政略結婚。 あらすじに記載された「想い人を喰らう」という言葉だけで、 によによと期待を膨らませてしまって、 気づけば本屋のレジの前にいそいそと並んでしまっていた。 「想い人を喰らう」。 異常とも言える深すぎる愛の形の終演には、 どうしても死がまとわりついて離れない。 「死が二人を分かつまで」とは愛の誓いに使い古された言葉、 けれど「想い人を喰らう」愛は、同時に死のおとないがある。 この作品の舞台は、極寒の凍土。 作品全体に貫かれる雪氷の厳しさと白さが、 この作品のテーマである「想い人を喰らう」、 儚くも美しい、狂おしいほどの愛を、よりいっそうに引き立てる。 深すぎる愛は異常性もあって恐ろしい、 でも時に、憧憬の念すら呼び起こすのは何故だろう。 死にものぐるいの、死すら厭わぬ程の激情。 そういったものに身を焦がすことが非現実的に思われてしまう、 そんな世の中だからこそ、逆に憧れてしまうのかも知れない。 (以下余談) テーマも、それが描かれる舞台の選定も、文章の質も ものすごく好みで、文句なしで★5を付けたいところ。 ここで★4にしたのは、「想い人を喰らう」というテーマが、 主人公ではなく脇役で語られたことを起因とする。 激情に狂う主人公を見たかった。
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きれいな恋愛話。 ……なんだけど、抽象的すぎて現実味がない。 一族を背負って嫁ぐヒロインと、彼女にうり二つの影武者の設定はとても好き。 登場人物も、恋愛ファンタジーらしい面々でわたし好みだった。 愛(互いを思いやる心)がなければ目的は達成されない、ということを、もっと重く伝えられたら良かったのかもしれない。 伏線も何もないので、シンプルな話。 詩と小説の中間が好きなひとには良いかもしれない。 映像化したら化けるんじゃなかろうか。
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大分前に読んだのに登録してなかった・・・ 紅玉さんのおはなしは本当に大好きです。賛否両論あるのは良く分かりますが。 今回は号泣はしなかったけれど、ああ良かった、と微笑んでしまう感じでした。
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「ミミズク」に始まる人食いシリーズの第3弾。 ラノベとしては渋い(もしくはハードな?)ような。その渋さが良さな作品だけど、読む前に「ミミズク」の感じや、いわゆるラヴロマンスを期待してしまうとがっかりしてしまうかも。
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物語だから当然なのだけど、上手く組まれたレールの上を走っている感じ。 私は読み終わった後に「ああ面白かった」じゃなくて「うん。まあ、そうだよね」と思いました。読ませる文ではあるけれど何か一味足りない印象ですね。
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やっぱり紅玉さんの書く物語は凄い好きだなぁ。どこか御伽噺のような雰囲気が好き。人喰い物語りはこれで終わりだけれど、次の作品はどんな物語になるのか楽しみ。
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“「……僕以外に、命を、取られることはあってはなりませんし、……僕は、命を取りません。……だから、アルテシア様は」 生きて、いかなくてはいけない、とトーチカは暴論を振りかざした。 アルテシアはその言葉に呆れ、驚き、そして、ゆっくりと微笑んだ。 凍った灰色の髪の奥で、トーチカが息を...
“「……僕以外に、命を、取られることはあってはなりませんし、……僕は、命を取りません。……だから、アルテシア様は」 生きて、いかなくてはいけない、とトーチカは暴論を振りかざした。 アルテシアはその言葉に呆れ、驚き、そして、ゆっくりと微笑んだ。 凍った灰色の髪の奥で、トーチカが息を呑む。 アルテシアはあざやかに笑むと、歩き出しながら低く言った。 「その言葉、体現出来るものなら、やってみろ」 遠い記憶をたどるように。 いつかの言葉を、なぞるように。” 泣けた。 彼らの生き様に泣けた。 愛しているからこその物語。 いづきさんは本当にすごいと思う。 こんなにも深い物語を描けるなんて。 “生きろと命じた。そして同時に、自身も生きねばならないと思った。 自分の生が人を生かすのだと知った瞬間だった。 口づけは一度。 血の味だけがあざやかだった。 忘れるな、と言った。 私は忘れない。名前の代わりに、この口づけを。” 愛しているからこそ、貴方を喰べたい。 そんな、狂ったような美しい愛の形。 Thanks to K.H. “生きる理由が欲しいなら。 私がやろうと、彼女は笑った。 「私はフェルビエのアルテシア。お前の名は覚えない。……お前が私を覚えていろ」”
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真っ白な恋の御伽噺。 凍える山脈に住まう少数民族。 名高い二族の争いを終わらせるため、楔として捧げられた雪蟷螂の少女。 その婚礼の向こうに果たして、春は訪れるのだろうか。 契約の狭間に隠された、真実が明かされた時、 少女が導き出した答えは如何に。 まるで冬の吹雪のような厳し...
真っ白な恋の御伽噺。 凍える山脈に住まう少数民族。 名高い二族の争いを終わらせるため、楔として捧げられた雪蟷螂の少女。 その婚礼の向こうに果たして、春は訪れるのだろうか。 契約の狭間に隠された、真実が明かされた時、 少女が導き出した答えは如何に。 まるで冬の吹雪のような厳しさを感じさせる。 世界観がそう感じさせるのもあるが、 登場人物の心情や文章そのものから 身を切るような凍てつく想いが伝わってくる。 そんな冬の御伽噺。 たぶん、この方の話は自分と相性が良すぎる部分があるので 書評としては参考にならないやも…。
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私的キーワード 舞台:閉ざされた山脈 内容:敵対する部族間を巡る、命を賭した恋物語 読了感は、じんわりきます。 物語中、それぞれの相手に焦がれる心を思い起こすと、じわじわと胸に来ます。 狂おしく愛おしい、私には想像もできない恋物語でした。
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出たー!とばかりに買いました。超寒い。夏に読むと良いかも知れません(真面目)。 ある意味王道ではありますが、これすごく好きだな…! 全体的にきりきりとしてて綺麗で。 最後の人食い物語とありましたが、なんというラブストーリー。イラストがまた素敵。満足です。
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