ポトスライムの舟 の商品レビュー
ずっと読みたくて、4月に図書館で予約しててやっと順番が回ってきました。給料が少なくバイトをいくつも掛け持ちして働いているナガセ。それでもどの職場も気楽でそんなにしんどそうには思えない。欲しいものが大仏のポストカードやなすのお守りなどとてもささやかで、貯金しようと思いながらもちょく...
ずっと読みたくて、4月に図書館で予約しててやっと順番が回ってきました。給料が少なくバイトをいくつも掛け持ちして働いているナガセ。それでもどの職場も気楽でそんなにしんどそうには思えない。欲しいものが大仏のポストカードやなすのお守りなどとてもささやかで、貯金しようと思いながらもちょくちょく衝動買いしてしまったり、決してよい環境とは言えなくてもあまり欲がなく、自分の周りの人の願いが叶いますようにとお願いしたり男の影が全く感じられないさっぱりした人生にすがすがしさを感じました。うん、好きな小説だな。
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文学作品は>>「既知のことを再認する」読みから、「未知のことを理解する」読みへ移るのに欠かすことができない 〜中略〜 読みは創作の理解が終点であっては困る。本当に「未知のことを理解する」読みができるようにするのが最終目標でなくてはならない。それには、文学作品を情緒的...
文学作品は>>「既知のことを再認する」読みから、「未知のことを理解する」読みへ移るのに欠かすことができない 〜中略〜 読みは創作の理解が終点であっては困る。本当に「未知のことを理解する」読みができるようにするのが最終目標でなくてはならない。それには、文学作品を情緒的にわかったとして満足しているのではなく、“解釈”によって、どこまで既知の延長線上の未知がわかるものか。そのさきに、想像力と直観の飛翔によってのみとらえられる発見の意味があるのか。こういうことがしっかり考えられていなくてはならない。英文学者であり言語学者でもある外山滋比古教授が、著書『思考の整理学』の中で述べておられた。『ポトスライムの舟』は、この一節を瞬時に思い出させた。まさに「読みは創作の理解が終点であっては困る」作品だからである。そこまでの読み方では、起伏に乏しいありきたりな、地味な話を「ただ読んだ」ということだけで終わってしまうからだ。実際そう感じた読者も多いのではないだろうか。いや、面白かったとか、つまらなかったとか、共感した、反感を持ったとか、あるいは心地良かった、身につまされたとか、そういう感想も持ったよ、という読者もいるだろう。しかし、外山先生の言葉を借りれば、そういう感想は「情緒的にわかった」にすぎない。大切なのは、その「情緒的にわかった」で読み終えたとせず、そこから考えを進めて物語の深奥を覗いてみようよ、ということではないだろうか。それを念頭に置いて読んだら、ただの「地味な話」が違ったものに見えてきたのだから驚いた。文学作品も楽しい。ふだんミステリばかりの私にも正直面白いと思えた。たとえば、「ポストライムの舟」というタイトル。なぜそれをタイトルにしたのだろう? と考える。読む前に想像し、読みながら考え、読み終わってさらに考える。さらに、分解もしてみる。「ポストライム」は何を意味しているのか?「の」は?「舟」はなぜ「船」じゃないのか?たったひとつ、タイトルの意味を解釈しようと、じっと考えるだけでもいいんじゃないかと思った。作者の作品に籠めた思いへと、思考の方向が向くのだから、悪いわけがない。作者の思いに近付けるかどうかは自分の能力しだいでいささか心許ないが頑張ってみる。何も考えずに文面をなぞって読むだけより、少なくとも作者が物語に塗り込めたメッセージの存在に意識が向くのだから良しとしたい。それでは、考えのつづき。「ポストライム」は適当に切って水差しして、ほったらかしておいても枯れずに成長するとあった。けっこう生命力が強いようだ。これって主人公のこと? 病気して、仕事を失わないかと心配したが、大丈夫だった。病気もかぜをこじらせただけで、無事快方に。主人公のそばにいる人々にも思いを巡らすと面白い。「ポストライム」、主人公たち、ひいては人間ってことか?「舟」は小舟の意味。「船」よりずっとずっと小さいイメージ。そういえば、作中に「アウトリガーカヌー」という小舟が登場する。呼応。つまり、この物語のアウトラインはそういうことか。人生という川だか海だかに浮かび、どこかに向かっている小舟。乗っているのは、意外と生命力のあるポストライムみたいな人々。見た目、不安定そう。でも、転覆しそうで転覆せず、しっかりと櫓を漕いでいる人々が見える。主人公の友達、プチ玉の輿にのった彼女は、世界一周クルーズの豪華客船にでも乗っているように、主人公には見えるのかな。そんなことを考えていたら、幼い少女が「ただのはっぱやん」といったポトスが、メタファーを鏤められた絢爛豪華なクリスマスツリーのように思えてきた。いや、七夕飾りか。外山先生のお蔭で、空想力、いや妄想力だけは間違いなく強くなったようだ。「十二月の窓辺」も収録あり。こちらも考えさせられる。
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契約社員29歳女。 目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用をためること。 学生時代からの友人たちはみな結婚している。 時々会うが会話についていけない。 結婚している人の愚痴を聞かされてうんざりしている。 大阪の人らしいユーモアがきいていた本。
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書評を読んで、期待し過ぎたかも。 淡々とした文章は読みやすかったが、盛り上がりに欠けるような。 でも自分のテンションに似てるかな。 2作目は、読んでいて胃の辺りがキリキリする感じ。
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第140回芥川賞作品。 忙しくしていないと不安になる為、びっしりと仕事を入れている主人公。 大学時代の友人やその家族、仕事仲間とその家族がそれぞれに抱える問題。 どこにでも 同じ様に存在する事なんでしょうか。 12月の窓辺 こちらはモラルハラスメント上司との日々が描かれる。 読...
第140回芥川賞作品。 忙しくしていないと不安になる為、びっしりと仕事を入れている主人公。 大学時代の友人やその家族、仕事仲間とその家族がそれぞれに抱える問題。 どこにでも 同じ様に存在する事なんでしょうか。 12月の窓辺 こちらはモラルハラスメント上司との日々が描かれる。 読んでいて胸が痛くなる。
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第140回芥川賞受賞作品 現代の正社員じゃない働き方をする女性を描いた作品 奈良に住む主人公という設定も身近であり、 リアリティがある 後半の『十二月の窓辺』も、モラハラに合い、仕事をやめる決意をする女性の物語 過去に心当たりがあり、心情に共感 職場も結婚も、運なのか? 我慢でき...
第140回芥川賞受賞作品 現代の正社員じゃない働き方をする女性を描いた作品 奈良に住む主人公という設定も身近であり、 リアリティがある 後半の『十二月の窓辺』も、モラハラに合い、仕事をやめる決意をする女性の物語 過去に心当たりがあり、心情に共感 職場も結婚も、運なのか? 我慢できればそうして、我慢に値しないと判断したら、次に行けばよいのだ
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ぼんやりとした不安とか、子供の描写とか、じんわり感じた。 大きく心が動く感じじゃないけど、うなずける。
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私自身、新卒で入ったところが、会社自体がおかしかったのと仕事が合わなかったのとで退社した。その後一年はやはり働くことが怖くて仕方がなかった。ずっと憧れていた職業に就けたけど、派遣で時給800円でバイトみたいなものだったから辞めて現在に至る… という経歴なので、すごく共感した。 芥...
私自身、新卒で入ったところが、会社自体がおかしかったのと仕事が合わなかったのとで退社した。その後一年はやはり働くことが怖くて仕方がなかった。ずっと憧れていた職業に就けたけど、派遣で時給800円でバイトみたいなものだったから辞めて現在に至る… という経歴なので、すごく共感した。 芥川賞受賞作、他のを読んでいないけどこれなら読みやすかった。 ふたつめの「十二月の窓辺」はかなりリアル。 出版社に勤めていた友達から聞いた話を思い出した…。
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面白かったのか、面白くなかったのか、よくわからない不思議な読後。 何がいいたかったのかわからないのです。 芥川賞受賞作についていけなかった悔しさみたいな。 「十二月の窓辺」のほうは、なおさら。
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芥川賞受賞作なだけあって面白かった。 1作目は主人公が子持ちの友人と母親が話しているのを見て、「自分も彼女と同じ年なのに…」って思う所が共感できた。 2作目の主人公が上司に「ここで辞めたらどこへ行っても長続きしない」と言われるんだけど、それは間違っていると決意して1歩踏み出すシー...
芥川賞受賞作なだけあって面白かった。 1作目は主人公が子持ちの友人と母親が話しているのを見て、「自分も彼女と同じ年なのに…」って思う所が共感できた。 2作目の主人公が上司に「ここで辞めたらどこへ行っても長続きしない」と言われるんだけど、それは間違っていると決意して1歩踏み出すシーンがよかったです。
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