空ばかり見ていた の商品レビュー
「流浪の床屋」ホクト氏を巡る連作短編集。但し、収められた作品の一部では、ホクト氏の存在は色々と変わって登場する。ある時は作中に出てくる物語の中の人物だったり、ある時は猫だったり、はたまた神話のような世界の主人公だったりと、実にさまざま。 粗筋を読んだ段階では一人の「ホクト氏」の話...
「流浪の床屋」ホクト氏を巡る連作短編集。但し、収められた作品の一部では、ホクト氏の存在は色々と変わって登場する。ある時は作中に出てくる物語の中の人物だったり、ある時は猫だったり、はたまた神話のような世界の主人公だったりと、実にさまざま。 粗筋を読んだ段階では一人の「ホクト氏」の話かと思っていたが、「流浪の床屋のホクト氏」という人物が登場する話群、と考えた方がよさそう。 んー、それぞれの話はとても楽しいが、一冊の本として見ると私は違和感を覚えた。 殆どの作品には同一人物とみられるホクト氏が登場する。また、そのうちいくつかについてはホクト氏自身が語り手を務めて、場面場面で感じたことを、彼自身の口で語る。それらの作品については世界観が繋がってみえ、ホクト氏は「不思議だけど現実の人」という印象を受ける。 だがその「不思議だけど現実の人であるホクト氏」が、寓話や神話の世界、作中作等に出てくる「ホクト氏」とうまく馴染んでおらず、作品全体として見た時には分離して映った。こういう形をとるなら、全ての作品のホクト氏を同じ世界観の人物にするか、或いはすべてばらばらの世界観にするか、どちらかの構成にしてほしかったなあ。 ただそれは全体を通して見た場合で、それぞれ一話ずつについてはとても楽しかった。この著者の透明感のある文章に触れると、読後とても爽やかな気持ちになる。 気に入ったのは「七つの鋏」「彼女の冬の読書」「アルフレッド」「ローストチキン・ダイアリー」「永き水曜の休息」「リトル・ファンファーレ」。
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さすらいの髪切り士ホクトに絡めた短編集。ホクトが全部主役ではなく、短編の中で所々で絡んでくる。何か目くらましになったような感じながら、読後は爽快感を感じさせる1冊だった。
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放浪の床屋を軸にしたショートストーリー。どれもこれも味わい深い印象。読み返したくなる作品。 空ばかり見ていたのは、床屋のホクトのことかな。 空をみると何かが見えてくるような気がする感覚。 この本はそんな感覚がある。 もう一回読みたいな。うん。 消化しきれてない気がするけどな。 で...
放浪の床屋を軸にしたショートストーリー。どれもこれも味わい深い印象。読み返したくなる作品。 空ばかり見ていたのは、床屋のホクトのことかな。 空をみると何かが見えてくるような気がする感覚。 この本はそんな感覚がある。 もう一回読みたいな。うん。 消化しきれてない気がするけどな。 でも全体的な雰囲気もとても好きだし、話のつなぎ方もとても好き。
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つむじ風食堂>スープのことばかり>空ばかり見ていた ・筆者の作品は抽象的な表現をしながら、深い哲学的な 思索を含んでいたり、昔の懐かしい香りや質感を運ぶ力があります。 ・本作は、読者の評価が高いですが短編どうしのつんがりが あるようで、ないようなつながり方をしている部分...
つむじ風食堂>スープのことばかり>空ばかり見ていた ・筆者の作品は抽象的な表現をしながら、深い哲学的な 思索を含んでいたり、昔の懐かしい香りや質感を運ぶ力があります。 ・本作は、読者の評価が高いですが短編どうしのつんがりが あるようで、ないようなつながり方をしている部分を もう少し、短編どうしをつなげるか、もしくは割り切って 別個の短編集とするか、どちらかにしたほうが、よりはっきりと 伝わってくる楽しめる作品になったのではないかと思います。 ・そういう意味でも「つむじ風食堂の夜」のほうが個人的に気にいっています。
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何となく好い感じの小説だけど、裏を返せばよくわからん。印象的なところはあるんで、物語としては成功していると評価できる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み終わってからだいぶ経ってしまったので内容があいまいなところもあるけれど…; 放浪の美容師、という設定がまず秀逸。 でも設定が固定されず、主役になったり傍観者になったり、時にはまったくの異世界は舞台になったり。 それそれが繋がっているような繋がっていないような緩さ。 連作の仕方がとても面白いなと思った。 あとやっぱ空気感が好き。
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放浪の床屋という風変わりな職業の男が主人公の連作集。 主人公であるホクトは各短編毎に、時には主役、時にはチョイ役でいろいろとパターンを変えて登場します。 とても上質で落ち着いた味わいがある作品なので、ゆったりした気分で読むことをオススメします。 個人的には「ローストチキン・ダイア...
放浪の床屋という風変わりな職業の男が主人公の連作集。 主人公であるホクトは各短編毎に、時には主役、時にはチョイ役でいろいろとパターンを変えて登場します。 とても上質で落ち着いた味わいがある作品なので、ゆったりした気分で読むことをオススメします。 個人的には「ローストチキン・ダイアリー」が一番かな。
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途中なかだるみしてしまいましたが、2話、3話目と最後のリトルファンファーレがよかった。 それにしても主人公の姿がはっきりしないです。
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放浪する床屋をめぐる連作小説。 髪が伸びてしまうことは、置き去りに出来なかった思考を引き連れたようでいて、時間の流れを感じさせるし、それを切って整えるというのはまた最初からはじめるリセットのようなものに感じる。 どの話にも喪失が描かれているが、失いはしても、つながるものはあるとい...
放浪する床屋をめぐる連作小説。 髪が伸びてしまうことは、置き去りに出来なかった思考を引き連れたようでいて、時間の流れを感じさせるし、それを切って整えるというのはまた最初からはじめるリセットのようなものに感じる。 どの話にも喪失が描かれているが、失いはしても、つながるものはあるといったような感じであった。 それぞれの話はわりと独立している。好きなのは「彼女の冬の読書」と「ローストチキン・ダイアリー」。 おもしろかった。
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ひとりの人がいるだけで、こんなにたくさんの物語が生まれる。 それはホクトさんだけのことではなく、きっと誰であっても。
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