プシュケの涙 の商品レビュー
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きれいで儚い印象を受けた表紙に惹かれ購入。読み始めは高校の一人の生徒が自殺した事件の真相を追うという、青春ミステリーなのかと思って読み進めたが、後半から前半の主人公由良の事件前の顔が明らかになり読み終えて、戻らない時間、戻らない人、喪失感を抱きながらも悲壮感というより、透明な切なさが残り、私はこの話が好きだと思った。この本に救いや希望はない、けれど透明でまぶしくて綺麗な印象が読後に残った。続編もあるようなのでそちらも読みたいと思う
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この物語は前半後半の2部構成。ただし、時系列は後半→前半となっている。 前半の語り手・榎戸川は、夏休みの補習授業中にクラスメイトが上の階から落下するのを目撃する。落下した生徒は教室にはほとんど来ていない吉野彼方という女子生徒。彼女は「自殺した」ことになった。 1ヶ月後、そんな榎戸川の前に、吉野彼方は本当に自殺したのかを探っているという由良彼方という男子生徒が現れる。彼の第一印象は変人。主人公を試すかのように「冗談」混じりに話を振られる。それに翻弄される榎戸川。 ところが、吉野の自殺は、自殺ではなかった。 榎戸川と彼の友人、旭が、模擬試験の問題用紙の盗難の証拠隠滅を図ろうとして生物準備室にいるところを、たまたま吉野に目撃され、彼女はたまたま開いていた窓から落ちてしまったのだ。それを由良に暴かれてしまった榎戸川は、口封じのため由良を殺そうとするも、彼と妙な駆け引きをし、しまいには由良が自ら身を投げてしまう。 これが前半のあらすじ。 ライトノベルらしからぬ暗さが第一印象。なんたって挿絵が前半で2枚しかない。いや、そうでもないか。とにかく、いきなり女子生徒の自殺から物語は始まるわけだが、そういう雰囲気なので、ラノベにありがちな学園物ではない(それを期待して読んだわけでもない)。 久しぶりにラノベを読んだこともあり、主人公の語りには何だか違和感を覚えるばかり。いや、某涼宮の彼の語りよりはくどくはないか。 くどいといえば、榎戸川の前に現れた由良彼方の言動。とにかく主人公を揺さぶってくる。最初から最後まで。それが彼をキャラクターとして印象づけているのだが。 学校の4階から飛び降りて何とか生きてしまった彼は、ちょっともったいなかった。ついでにいうと、自主退学してしまった主人公も、もったいなかった。まあ、こんなことがあったら普通耐えられないだろうけど。 後半の語り手は、由良彼方に偽名を名乗っている、生前の吉野彼方。 彼女は離婚した母を支えながら生きている。時々やってくるアイツ—彼女の父親—を避けるためにネットカフェに寝泊まりしたり、工場で働いたりと、とにかく環境に恵まれていない。おまけにクラスメイトからの印象もそれほどよくない。 そんな彼女の前に、由良彼方が現れる。ここでも第一印象は最悪。髪の毛をよこせとか、頭蓋骨のラインがいい、とか、頭の石膏を取りたいとか。その由良彼方に絡まれ、時に助けられる。絵を描くのが好きだということから、美術室に入り浸る吉野。物語が進むにつれて、彼女の環境は少しずつまとも—父親が消えて、病気の母親が退院して—になり、だんだん由良を受け入れるようになってくる、という話。 前半の1年前で、前半では多くを語られなかった吉野彼方サイドという、これもラノベにありがちな構成。環境からして自殺したくなる(でも自殺ではなかった)のも頷けるが、それでも救いはあったように思える。由良の挑戦的な変人ぷりはこのサイドでも健在。だけどそれが吉野にとって救いになるのは意外だった。そのぐらいの感想。 双方含めての感想として、帯や見返しのあらすじに書かれているような、切なさや愛しさがあったのかなあ、という印象。恋愛しているという描写はそれほどない。というか誰の恋愛だ? やっぱり由良と吉野か。にしてはなあ。 あ、イラストはふつうにいい感じだった。 それと、最初に思ったけど、登場人物の名字ってみんな川の名前だったりする。
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切なく哀しい不恰好な恋の物語。 夏休み、一人の少女が校舎から飛び降りて自殺した。彼女はなぜそんなことをしたのか?その謎を探るため、二人の少年が動き始めた。一人は飛び降りるまさにその瞬間を目撃した榎戸川。うまくいかないことばかりで鬱鬱としている受験生。もう一人は「変人」由良。何を考...
切なく哀しい不恰好な恋の物語。 夏休み、一人の少女が校舎から飛び降りて自殺した。彼女はなぜそんなことをしたのか?その謎を探るため、二人の少年が動き始めた。一人は飛び降りるまさにその瞬間を目撃した榎戸川。うまくいかないことばかりで鬱鬱としている受験生。もう一人は「変人」由良。何を考えているか分からない…。そんな二人が導き出した真実は、残酷なまでに切なく、身を滅ぼすほどに愛おしい。
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表紙に惹かれて購入。 読みやすいが、展開も分かりやすい。 でも、良作。 2部形式になっていて、 前半はミステリー。 後半は青春もの、といったところ。 ありきたりな内容ながら、泣かせる話展開。 特に、後半。 後半の救われた感じが切ない。 結果を知っているから、よけいに切なく感じ...
表紙に惹かれて購入。 読みやすいが、展開も分かりやすい。 でも、良作。 2部形式になっていて、 前半はミステリー。 後半は青春もの、といったところ。 ありきたりな内容ながら、泣かせる話展開。 特に、後半。 後半の救われた感じが切ない。 結果を知っているから、よけいに切なく感じる。 IFを考えて仕方なかったです。
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期待したよりはおもしろくなかったな。ありきたりな内容だった。高校生のリアルな感情を表現しているとはお世辞にもいえないかも。評判の良さそうな、受けの良さそうな設定を並べていて、よくわかんなかった。わたしは駄目かも。
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物静かな少女、吉野彼方が自殺。その真相を確かめるべく、二人の少年が動き出すところから物語は始まります。その二人とは、吉野彼方と同じ部活に所属していたという由良と、吉野彼方のクラスメイトで由良に無理やり付き合わされた平凡な高校生榎戸川。二人に面識はなく、由良はなぜ榎戸川を選んだのか? 少しずつ明らかになる彼女の死の理由には、その不条理さゆえに怒りの感情が強く湧いてしまいます。しかし、この物語のミソは2部構成なところです。1部が吉野彼方死後の物語なら、2部では生前の彼女が描かれています。2部を読むと由良が自殺の真相に拘った理由や、吉野彼方の違った一面を知ることができ、1部で不明瞭だった点が次々と明らかになっていきます。 その点と点が線になっていく感覚は大変心地よく、最後の一文では鳥肌が立ちました。何か特別なものを読み上げたという満足感に浸れる作品だと思います。
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表紙にほれて手に取った。 読み進めていくうちに文章にほれた。 とてもとても切ない恋の話。 誰が悪いとかそういう話ではない。 それでも自分を責め続けている由良。 この事件が起きた発端の人間を見つけてもまだ 由良の心は真っ暗なまま。 吉野彼方の最後の作品を作り上げようと、 吉野彼方のことをもっと感じようと キャンパスに向かう由良の姿はどこか痛々しい。
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サイトで行ったアンケートでオススメしていただいた作品です。 すごくよかったです。勧めてくださった方、ありがとうございました。 一人の少女の死と彼女に関わった人間たちの物語です。 あんなにも力強く生きていた彼女の命の火がとてもあっけなく消えてしまったのか、と思うと人の命の儚さを思...
サイトで行ったアンケートでオススメしていただいた作品です。 すごくよかったです。勧めてくださった方、ありがとうございました。 一人の少女の死と彼女に関わった人間たちの物語です。 あんなにも力強く生きていた彼女の命の火がとてもあっけなく消えてしまったのか、と思うと人の命の儚さを思い知りました。 死とは不思議なものですね。
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前半は自殺した少女の真相を探るサスペンスで後半はいたって普通な青春物。 全体的にはちょっと変わった美術部部長"由良彼方"を中心に話が進むが由良彼方以外は定型的な性格のキャラクターばかりで前半は中弛み気味+視点が秘密を隠してる側で結構簡単に吐いちゃうのでちょっと...
前半は自殺した少女の真相を探るサスペンスで後半はいたって普通な青春物。 全体的にはちょっと変わった美術部部長"由良彼方"を中心に話が進むが由良彼方以外は定型的な性格のキャラクターばかりで前半は中弛み気味+視点が秘密を隠してる側で結構簡単に吐いちゃうのでちょっと・・後半は青春小説としては起承転結あり甘酸っぱい感じを楽しませて頂きました。
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綺麗な表紙に惹かれて買ったのですが、当たりだったようです。 何より二段構成が憎い。このやり方がうまくて、うまくやられてしまった。 前半は「なんか締りのないミステリー? 何これ」っていう気分で読んでいたのですが、後半の自殺した女の子に一人称が切り替わってからが本番。 どうにもなら...
綺麗な表紙に惹かれて買ったのですが、当たりだったようです。 何より二段構成が憎い。このやり方がうまくて、うまくやられてしまった。 前半は「なんか締りのないミステリー? 何これ」っていう気分で読んでいたのですが、後半の自殺した女の子に一人称が切り替わってからが本番。 どうにもならない、切ないお話が待っていますよ。
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