ナショナル・ストーリー・プロジェクト(1) の商品レビュー
ラジオに投稿された市井の人々のちょっとしたエピソードをオースターが編纂した短編集。厳密にはオースターのオリジナルではないものの、オースター作品の特徴である「偶然性」と相通じる部分は多く、基本的にはささやかな奇跡や実話ベースであるからこそ運命としか呼べない符合性などがその多くを占め...
ラジオに投稿された市井の人々のちょっとしたエピソードをオースターが編纂した短編集。厳密にはオースターのオリジナルではないものの、オースター作品の特徴である「偶然性」と相通じる部分は多く、基本的にはささやかな奇跡や実話ベースであるからこそ運命としか呼べない符合性などがその多くを占めている。この全米から掬い上げられた一市民の物語群こそがオースターが描き続けた人間の人生そのものであるとも思う。 1話1話は非常に短く、ショートショートに近しいものでありながら、あくまで人が人に語る「ちょっと面白い話」の域に留まっているのがとても良い。嘘くさくない程度のオチや何の教訓もない馬鹿話、人に秘密にしてきた後悔であったり、顔がほころぶちょっといい話など、エピソードはとにかく千差万別で、一日の終わりに数話ずつ読むのはとても楽しかった。個人的に印象に残ったエピソードは、少年時代の憧れの自転車の背景に政治問題が絡む「自転車物語」、母親がベッドの脇に残した謎のメッセージに翻弄される「罪を洗うこと」、母親に新品の長ズボンをもらおうとする子供の「金の贈り物」貧困に喘ぐ一家にクリスマスプレゼントがやってくる「ファミリークリスマス」などで、これらはかなり好みだった。
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土曜の夕方にオダギリジョーがナレーションのラジオ番組がある。リスナーの投稿した物語を落ち着いた声で淡々と読む。会社でこの番組を聞いているのだが、聞きながらこの本のことを思い出した。小川洋子の『物語の役割』の中でもこの本が紹介されている。読んだのは11年も前だった。人は皆、物語を持...
土曜の夕方にオダギリジョーがナレーションのラジオ番組がある。リスナーの投稿した物語を落ち着いた声で淡々と読む。会社でこの番組を聞いているのだが、聞きながらこの本のことを思い出した。小川洋子の『物語の役割』の中でもこの本が紹介されている。読んだのは11年も前だった。人は皆、物語を持っているということの証左の一つとして出てきた。 前書きでこの本の元となったラジオ番組ができるきっかけが書いてある。多忙な小説家がラジオ番組のパーソナリティを打診されたという話だ。多忙を理由に断ろうとしたら奥さんから「あなたが物語を書くことはないのよ」と言われ全国から物語を募集することを思いついた。この本の第一の物語だ。 印象的だった話がいくつかある。Oヘンリーの未発表の小説が屋根裏から発見される話、愛車を処分して涙が止まらなくなる話、貧しいクリスマスに予期せぬプレゼントの企て、どれもOヘンリー的な良い話だ。 かなり期待して読みはじめ、最初のうちはどの話もよくできていて、こんな奇跡のような事が実際に起こったのだろうか、と驚きで読み進めていたのだが、途中から疲れてきた。数ページごとに著者も主人公も場所も変わるからというのもあるが、端的に事実が述べられ、それを受け止めることに疲れてしまうのだ。 それもあって最後までこんな感じなのかと全体を流しかけた時の『詩人たちの生活』というわずか2ページの物語にこの本一番の衝撃を受けた。アーティスト志望の若者が著名な詩人を訪ねるという話なのだが、その中でちょうど今オーブンで詩を焼いていたところだからよかったら一緒にどうだね?と誘われるというシーンがある。よく考えたらお腹空いてないからという理由で席を立つのだが、全くもって訳が分からなくて数分固まってしまい、はじめから読み直した。メタファーなのだろうと思うが、それはまさに文学で、鋭い事実の切り口に心がささくれ立っていた僕は心地よい文学の空間でゆっくり深呼吸をして、最後まで読み終えることができた。皮肉にも事実を羅列したこの作品を経験したことで文学の役割に気がつくことができたのだ。 最後はアメリカ人らしくクリスマスの、しかもディケンズを彷彿とさせる心温まる話で終わる。
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『一九四九年、クリスマスの朝』は最後に載っているんだけど、彗星読書倶楽部さんの動画で聞いた通り、素晴らしいものだった。 中にはどこが面白いんだろう?と面白さが分からないものもあるんだけど、これが実話って凄くない?というちょっとしたことなんだけど、短い中にそう感じるものもあった。
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1話ずつ期待して読み始めてしまうので、オチが微妙だとどうしても「ンモウ」という気持ちになる。「ンモウ」と「マアヨシ」の繰り返し。やはり一般人の書いたものなので「読ませる」ものは少ない。途中で読み進める気持ちがなくなってしまった。
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ポール・オースターのラジオ番組に、全米のリスナーから送られてきた、いろいろなアメリカ人の短い身の上話がまとめられている。日本にいると目に入らない普通のアメリカが、短くても実話の持つ迫力で語られる。
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人はみんなストーリーを持っているって思った。 昇華するものしないもの、燻り続けるもの。 自分だけの宝物にしておきたいストーリー、人に伝えたいストーリー、自分の胸だけに収めておけないストーリー。 どれも大切なひとつひとつ。小箱を開けるように読み進めていく。 アメリカにもこんな時...
人はみんなストーリーを持っているって思った。 昇華するものしないもの、燻り続けるもの。 自分だけの宝物にしておきたいストーリー、人に伝えたいストーリー、自分の胸だけに収めておけないストーリー。 どれも大切なひとつひとつ。小箱を開けるように読み進めていく。 アメリカにもこんな時代があったのだなと柔らかな気持ちで読ませてもらう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・動物 KKKの覆面をしていても犬は飼い主の匂いに尻尾を降ってとびついていく滑稽さ 空へ飛んでいったインコが時を経て、別の家で無事暮らしていたと知る ・物 卒業式を迎える息子のために結婚指輪を売って長ズボンを買う母 ・家族 ・スラップスティック ・見知らぬ隣人
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くすりと笑えるものから悲しい気持ちになるものまで、色んな人たちの嘘みたいな本当の話を集めた本。 顔も知らない海の向こうの国の人たちの人生を覗き見してるみたいで読んでいて楽しかった。 色んな人が寄稿しているから文体がバラバラで中には読みにくい話もあったけど、これは良い読みにくさだと...
くすりと笑えるものから悲しい気持ちになるものまで、色んな人たちの嘘みたいな本当の話を集めた本。 顔も知らない海の向こうの国の人たちの人生を覗き見してるみたいで読んでいて楽しかった。 色んな人が寄稿しているから文体がバラバラで中には読みにくい話もあったけど、これは良い読みにくさだと思う。 「ラスカル」、「縞の万年筆」、「二重の哀しみ」、「ケーキ」、「マーケット通りの氷男」が特にお気に入り。
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全て実話だそうだ。信じられない運命の話や、物語の中で作者を支えるの心のあり方に、 作者を通してアメリカの国民性や社会や歴史のバックグラウンドが見えてきて、惹き込まれる。1話がショートストーリーより短いのも簡潔で良い。こういう話って日本でも起こりうるのかな?
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おもしろい。意味はないけど、こういうことを聞いたり語ったり経験したり、ということが生きているということかも。 日本版の元ネタを読めてよかった。 柴田さん。
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