金融大崩壊 の商品レビュー
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2008年刊。著者の世紀間単位での経済変動の分析につき、他書(「100年デフレ」など)の重厚な分析に感銘を受けていた。ということで短期分析はどうなのかなと思い、本書を紐解く。サブプライムローンに関しては他書にも丁寧・簡明な書があり(というより、証券化の問題、オフバランスによる会計的取繕いと格付け会社の問題点が判っていれば、また同じ手口か、と思うに止まるだろう)ので、それほど新奇には感じなかった。また、米国金融帝国の終焉を叙述するが、現実にはどうか。終焉したとは到底言い難い現実があるように思うのだが…。 本書の示す未来像については共感するところも多い。その意味で、2014年の現実との乖離の有無について、乖離があるならその理由を知りたいところ。維持しきれないはずの「強いドル」を未だ維持し続けるべく、米国は無理をしているのだろうか…。この点の自分の分析力のなさは如何ともしがたい…。著者は三菱UFJ証券チーフ・エコノミスト。
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サブプライム・金融危機についての解説は類書と変わりないもので、特に著者ならではの切り口は見られない。本書の真骨頂は5章「アメリカ金融帝国終焉後の世界」以降に描かれる近未来世界像である。日経平均50年移動平均線など、中々お目にかからない「超長期」の視点も織り交ぜた冷静な論旨には、過度の悲観も楽観もなく手堅さを感じさせる。 一方で、前著「人は何故グローバル経済の~」から、金融危機を経て、著者は「これからの日本」に対する見解を変えてきているな、とも感じられた。前著でのドメスティック経済圏とグローバル経済圏の分離という、やや空論的とも思えた未来像が修正され、これから間違いなく成長する新興諸国に対して、中小企業がその技術力を生かし、いかに投資することができるか、という視点にシフトしている。ゼロ成長の閉じたドメスティック経済に未来はない、ということなのか。。。
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水野和夫氏による2008年刊のサブ・プライムローン等の経済解説本。 氏による本は、門外漢の自分にとっては用語等が難しいのはいつものことですが、全体としては、資本主義の変化、アメリカ中心の金融が変化してきたことは確かであって、発刊から5年経った2013年でみてみるとその方向に行っ...
水野和夫氏による2008年刊のサブ・プライムローン等の経済解説本。 氏による本は、門外漢の自分にとっては用語等が難しいのはいつものことですが、全体としては、資本主義の変化、アメリカ中心の金融が変化してきたことは確かであって、発刊から5年経った2013年でみてみるとその方向に行っているような気がする。 水野和夫氏は、類書等を沢山書いていますが、その中では一番わかりやすいかなと思う。
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この本の帯には「10万部突破 エコノミスト水野和夫が読み解く「100年に1度の危機」の深層と日本経済の進むべき道」とあった。へそ曲がりでベストセラーのたぐいはほとんど読まない私としては普段ならスルーするところですが、先日の「大統領が変わると日本はどこまで変わるか?」長谷川慶太著を...
この本の帯には「10万部突破 エコノミスト水野和夫が読み解く「100年に1度の危機」の深層と日本経済の進むべき道」とあった。へそ曲がりでベストセラーのたぐいはほとんど読まない私としては普段ならスルーするところですが、先日の「大統領が変わると日本はどこまで変わるか?」長谷川慶太著を読んでアメリカはこれからどうなるんだろうという興味が湧いて買ってみました。 これがとっても面白い。確かに昨年12月10日に発刊されて翌年2月でもう5刷ってスゴイですよね。説明もたいへんわかりやすいですし、図表もふんだんにあって理解の助けになります。 私が一番気になった箇所は72ページ 「資本主義は、16~17世紀のその成立当初から、企業が利益を上げると、国家財政が潤い、資本と国家の利害が一致していました。さらに18世紀末のフランス革命を経て、資本-国家-国民の三位一体の関係が成立し、福祉などを充実することで国民生活が豊かになっていきました。」 それが新自由主義の時代になって 「市場が決めることは正しい、政府よりも市場の方が正しい資源配分ができる、だから政府の介入を極力小さくするべきだ、とする新自由主義が政策の舞台へ登場してきます。これはつまり、福祉国家をやめるということにほかなりません。」 この本ももういっぺん読まないとなぁ〜内容すっかり忘れた。 books130
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サブプライムが第1段階、リーマンショックから5大投資銀行のうち4行が消滅するところまでが第2段階。第3段階は実体経済への影響が出るだろうとの予測。1557年、フェリペ2世が財政破綻を宣言しスペインの世界帝国が終わりを告げたように、アメリカ金融帝国は崩壊する。そして世界は無極化す...
サブプライムが第1段階、リーマンショックから5大投資銀行のうち4行が消滅するところまでが第2段階。第3段階は実体経済への影響が出るだろうとの予測。1557年、フェリペ2世が財政破綻を宣言しスペインの世界帝国が終わりを告げたように、アメリカ金融帝国は崩壊する。そして世界は無極化する――。著者は一貫してマーケットに身を置いてきた人物。その著者がドルの基軸体制終焉と米国主導の世界の終わりを指摘する意味は大きい。無極あるいは多極化への動きを感じ取れない人がいまだに多いのは、田中宇氏に言わせればマスコミを含む旧体制・官僚機構の抵抗が功を奏しているのだろう。 資本と国民、国家の三位一体により完成した近代資本主義。新自由主義は資本による国民・国家への裏切りであり、国民が働けば資本が潤い、国家もハッピーという「大きな物語」の終わりを招いた。小泉政権、特に竹中平蔵氏を批判している点はちょっと意外。6章の政策提言は至極まとも。分かりやすく、やさしい言葉を使って説明している点に★五つ。他のレビューにもあるように、大学の経済学の副読本にも。
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[ 内容 ] サブプライムローン問題に始まり、“リーマン・ショック”で爆発した世界金融クライシス。 それは米国型「投資銀行」ビジネスモデルの崩壊とともに、天文学的なマネーが流動する世界の資本主義経済が、次のステージに突入したことをも意味している。 早くから金融バブルの崩壊を予見し...
[ 内容 ] サブプライムローン問題に始まり、“リーマン・ショック”で爆発した世界金融クライシス。 それは米国型「投資銀行」ビジネスモデルの崩壊とともに、天文学的なマネーが流動する世界の資本主義経済が、次のステージに突入したことをも意味している。 早くから金融バブルの崩壊を予見してきた気鋭エコノミストが、この未曾有の金融クライシスの本質と、世界と日本のこれからを鮮やかに読み解く。 [ 目次 ] 第1章 アメリカ発世界金融危機 第2章 危機の震源、サブプライムローン問題とは何か 第3章 「アメリカ金融帝国」はなぜ生まれたのか 第4章 世界は不況からいつ脱出できるのか 第5章 「アメリカ金融帝国」終焉後の世界 第6章 日本経済の生き残る道はどこか [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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分かりやすい名書だと思います。ただ、アメリカの金融帝国が崩壊するとは思えないのですが・・・。本書を読んで感じたのは、アメリカの戦略性(成否は別として)。日本は足元にも及ばない。よく分かりませんが、バーゼルスリーを主導しているのはどこの国なのでしょうか? アメリカじゃないのかな。
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タイトル通りサブプライム問題が中心に書かれています。 サブプライム関連の入門書です。 MBSやCDOについてあやふやな人は読むと良いと思います。 この本の著者水野氏は現UFJ証券で働いているそうですが、日本の景気低迷はサブプライムではなくて金融政策のミスによるものだと言...
タイトル通りサブプライム問題が中心に書かれています。 サブプライム関連の入門書です。 MBSやCDOについてあやふやな人は読むと良いと思います。 この本の著者水野氏は現UFJ証券で働いているそうですが、日本の景気低迷はサブプライムではなくて金融政策のミスによるものだと言う高橋氏(元内閣特別顧問?)とは全く違う考え方をしており、アメリカの金融大国の消費に貢献したことで輸出力を強めた日本は、その金融大国の崩壊により窮地に立たされると考える。
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9784140882764 209p 2008・12・10 1刷 サブプライムローン、リーマンショックについて知りたいならいいかも。
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【twitterより】今年読んで目からウロコだったのは、水野和夫さんの本。経済学部で教科書に使ったらどうだろう。特に「現代思想」の経済学特集に載せられていた論考は衝撃的だった。こういうのがアカデミズムから出ないのが日本経済の敗因かもね。
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