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民族とネイション の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2013/05/15

人間集団の区切り方はどれか1つだけ正しいということはない。 国民国家の形成には長期的な社会変化と短期的な政治変動の影響が重なりあって作用する。 ポーランドではドイツ人が同化不可能と見做されたのに対し、ユダヤ人はどうかさせるべきではないと見做された。ユダヤ人の多くは貧困な小商人に...

人間集団の区切り方はどれか1つだけ正しいということはない。 国民国家の形成には長期的な社会変化と短期的な政治変動の影響が重なりあって作用する。 ポーランドではドイツ人が同化不可能と見做されたのに対し、ユダヤ人はどうかさせるべきではないと見做された。ユダヤ人の多くは貧困な小商人にすぎなかったが、都市への集中が目立つために、あたかもポーランドの都市はユダヤ人に支配されているかのように受け止める風潮が強かった。 レーニンもスターリンもユダヤ人は民族ではない、と考えていた。 ヨーロッパではユダヤ人が周囲の主流は言語にどうかしたりキリスト教に改宗する傾向が以前から進んでいたのに対し、ロシアでは20世紀初頭までユダヤ人の大半がユダヤ教とイディッシュ語を維持していた。 ドイツはユダヤ人に対して、永遠の贖罪がある。

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2012/12/28

正直、理解できたとは思っていない。 どこかに侵略されたこともなく、宗教をカルトを混同する日本人にはわかりにくい話。 そして、世界がどのように変遷されていったかがわからないとこの手の話を理解することが難しいことがわかった。 正直、エスニシティなんて言葉恥ずかしながらしなかったし。 ...

正直、理解できたとは思っていない。 どこかに侵略されたこともなく、宗教をカルトを混同する日本人にはわかりにくい話。 そして、世界がどのように変遷されていったかがわからないとこの手の話を理解することが難しいことがわかった。 正直、エスニシティなんて言葉恥ずかしながらしなかったし。 わからないでやめるのでなく、もっと勉強したい。

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2012/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1.塩川伸明『民族とネイション ナショナリズムという難問』岩波新書、読了。新書ながら国民国家とナショナリズムの歴史と現状についての優れた、視野の広い入門書。概念を整理した上で、現在までの歴史を考察する。万能薬を夢想するより、紛争を抑える一つ一つ努力が大切と指摘している。 2.塩川伸明『民族とネイション』。ナショナリズムに関する一般化された理論は、考察における作業仮説としては必須の前提となる。しかし著者は、どの理論に対しても一定の留保というか距離を置いている。ゆえに「良いナショナリズム」と「悪い~」との二分法があるが、どの立場にも懐疑的である。 3.塩川伸明『民族とネイション』。ナショナリズムを巡る議論には、大きな対立や論争がつきまとう。しかし著者は論争の整理を重視しない。論者がモデルとする国民国家の実体に違いがあるからだ。ゆえに本書では各地域の国民国家形成のあり方の「実態」を重視する。ロシア専門家ならではのアプローチ。 4.塩川伸明『民族とネイション』。扱う地域は、旧ソ連地域にとどまらず、生誕の地・欧州からアジア、南北アメリカと幅広いのも本書の特徴であり、ナショナリズムと国民国家の重層性が理解できる。歴史的な実態から出発し、理論を再検討した優れた一冊です。若い人に読んで欲しい。了。

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2012/02/24

"ネイション"や"国民"などこの分野では幾度と耳にする、しかし混同しやすい言葉の定義から始まり、国民国家や民族自決をキーワードとして冷戦後や現代におけるナショナリズムに触れることができる。 『ナショナリズム』(岩波書店)がナショナリズムの...

"ネイション"や"国民"などこの分野では幾度と耳にする、しかし混同しやすい言葉の定義から始まり、国民国家や民族自決をキーワードとして冷戦後や現代におけるナショナリズムに触れることができる。 『ナショナリズム』(岩波書店)がナショナリズムの起源や19世紀末〜20世紀初頭の歴史的変遷に重きをおいているのに対して、こちらは各地域のナショナリズムの動きがサクッとさらえる鳥瞰図、といえるだろうか。 あっさりしていて物足りない感じがしなくもない反面、読みやすさやとっつきやすさは本書のほうが上に感じた。 最終章「難問としてのナショナリズム」がおすすめ。この分野への知的好奇心が掻き立てられること間違いなし。

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2011/11/29

自分は受験生なのだが世界史勉強のより深い理解への助力となった。 国公立志望の浪人生など比較的時間に余裕のある人が世界史論述や現代文学習にアクセントを付けるために役立つだろう。 と私大志望が評しました。

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2012/08/27

民族・ネーション・エニシティ等についての定義や概念の説明を1章にしており、古典的な「民族とナショナリズム」「想像の共同体」「国家とエスニシティ」などの理論的な解説をしている。 その後、主にヨーロッパの国々の成立を通じて国民国家の登場、民族自決の中での帝国の崩壊と多民族国家の誕生...

民族・ネーション・エニシティ等についての定義や概念の説明を1章にしており、古典的な「民族とナショナリズム」「想像の共同体」「国家とエスニシティ」などの理論的な解説をしている。 その後、主にヨーロッパの国々の成立を通じて国民国家の登場、民族自決の中での帝国の崩壊と多民族国家の誕生、冷戦後の世界、ナショナリズムの現代としての問題などを実例で考えていく。 1章は、エッセンスのみであるので、類書である程度の知識があると、そのエッセンスの素晴らしさがわかると思う。

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2011/06/20

東京大学法学部教授(ロシア現代史)の塩川伸明によるナショナリズム論 【構成】 はじめに 第I章 概念と用語法―一つの整理の試み  1 エスニシティ・民族・国民  2 さまざまな「ネイション」観―「民族」と国民」  3 ナショナリズム  4 「民族問題」の捉え方 第II章 ...

東京大学法学部教授(ロシア現代史)の塩川伸明によるナショナリズム論 【構成】 はじめに 第I章 概念と用語法―一つの整理の試み  1 エスニシティ・民族・国民  2 さまざまな「ネイション」観―「民族」と国民」  3 ナショナリズム  4 「民族問題」の捉え方 第II章 「国民国家」の登場  1 ヨーロッパ―原型の誕生  2 帝国の再編と諸民族  3 新大陸―新しいネイションの形  4 東アジア―西洋の衝撃の中で 第III章 民族自決論とその帰結―世界戦争の衝撃の中で  1 ナショナリズムの世界的広がり  2 戦間期の中東欧  3 実験国家ソ連  4 植民地の独立―第二次世界大戦後(1)  5 「自立型」社会主義の模索―第二次世界大戦後(2) 第IV章 冷戦後の世界  1 新たな問題状況―グローバル化・ボーダレス化の中で  2 再度の民族自決  3 歴史問題の再燃 第V章 難問としてのナショナリズム  1 評価の微妙さ  2 シヴィック・ナショナリズム?  3 ナショナリズムを飼いならせるか あとがき  日本語の「ナショナリズム」という言葉には極めて多様な意味が込められている。それはもちろん英語で"Nation"と表記される単語の多様性にもつながっている。国内においては「偏狭な」「排他的な」あるいは「愛国的」といった形容詞を付加されることの多い「ナショナリズム」という言葉であるが、その「ナショナリズム」という言葉の持つ意味を、歴史的な民族-ネイション関係を軸に語るのが本書の目的である。  第Ⅰ章ではヨーロッパ諸言語においてネイションに含まれる民族主義的(民族は政治化したエスニシティと定義されている)な語義の濃淡を指摘した上で、民族とネイションを4類型が提示される。すなわち①民族>国家領域、②国家領域>民族、③民族≒国家領域、④ディアスポラ状態がそれである。  以後第Ⅱ章から第Ⅳ章までは基本的には19世紀以降の広くヨーロッパを中心とした民族問題を論じている。ただ、一般的な国民国家・ナショナリズム論と異なるのは著者のホームグラウンドが東欧・旧ソ連圏であるということである。ソ連という巨大な他民族国家は、域内のアファーマティブ・アクションのように諸民族を力強く保護する一方で、マジョリティであるロシア人の中に「逆差別」意識が広まるという奇妙な問題をはらんでいた。そして、冷戦終結に伴う旧ソ連圏での多くの独立国家誕生は、その領域の切り分け方により、民族的・政治的なマジョリティとマイノリティとが入れ替わったり、交錯することによって時に武力衝突にまで発展する地域まで現れた。  本書の末尾では、第一次大戦以来掲げられてきた「民族自決」論の現実的な限界を示しながら、理性的で先進的とされる西欧の「シビック・ナショナリズム」と野蛮で後進的とされる非西欧(東の)「エスニック・ナショナリズム」というナショナリズムの善悪二元論に疑問を呈している。歴史の文脈から個別具体的な「ナショナリズム」を評価すべきだというのである。  アンダーソンや多くの社会学者が論じるような、ナショナリズムや民族問題に深く関わるマス・メディアの影響にほとんど言及されていないことに少し不満を覚えたが、全体としてよく整理された入門書であり、巻末の文献案内も親切である。

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2011/04/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 地域紛争の頻発や排外主義の高まりの中で、「民族」「エスニシティ」「ネイション」「ナショナリズム」などの言葉が飛び交っている。 だが、これらの意味や相互の関係は必ずしかも明確ではなく、しばしば混乱を招いている。 国民国家の登場から冷戦後までの歴史をたどりながら、複雑な問題群を整理し、ナショナリズムにどう向き合うかを考える。 [ 目次 ] 第1章 概念と用語法―一つの整理の試み(エスニシティ・民族・国民 さまざまな「ネイション」観―「民族」と「国民」 ナショナリズム 「民族問題」の捉え方) 第2章 「国民国家」の登場(ヨーロッパ―原型の誕生 帝国の再編と諸民族 新大陸―新しいネイションの形 東アジア―西洋の衝撃の中で) 第3章 民族自決論とその帰結―世界戦争の衝撃の中で(ナショナリズムの世界的広がり 戦間期の中東欧 実験国家ソ連 植民地の独立―第二次世界大戦後(1) 「自立型」社会主義の模索―第二次世界大戦後(2)) 第4章 冷戦後の世界(新たな問題状況―グローバル化・ボーダレス化の中で 再度の民族自決 歴史問題の再燃) 第5章 難問としてのナショナリズム(評価の微妙さ シヴィック・ナショナリズム? ナショナリズムを飼いならせるか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2011/03/29

第Ⅰ章と第Ⅴ章に関しては、筆者のナショナリズム論に触れられていてとても興味深い。とくに各国の「エスニシティ」「ネイション」などの使われ方の違いは、それぞれの歴史的背景などとのつながりが分かり、大変面白かった。 第Ⅱ章~第Ⅳ章に関しては、ほぼ近現代史。 高校世界史で問題になっている...

第Ⅰ章と第Ⅴ章に関しては、筆者のナショナリズム論に触れられていてとても興味深い。とくに各国の「エスニシティ」「ネイション」などの使われ方の違いは、それぞれの歴史的背景などとのつながりが分かり、大変面白かった。 第Ⅱ章~第Ⅳ章に関しては、ほぼ近現代史。 高校世界史で問題になっているトピックも多く、個人的には総復習??って感じになりましたが、「あぁそっか!!」て思った点もあり、面白かったです。とくに清朝と少数民族の関係は、うまく教科書その他の教材からは引き出せなかったので、改めて納得。

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2010/11/28

羅列的。それぞれの問題について、軽く、代表的な事実というか見解というかを知りたいならよいのではないかと思った。とっかかりの本という印象。

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