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モーム短篇選(下) の商品レビュー

4.4

14件のお客様レビュー

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    7

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2022/06/28

モームの(短編)小説の特徴は、特定の人物を中心に置くこと。 「モームは人間の矛盾を塊としてとらえ、矛盾した面を発見し、それを暴くことに興味を持っていた。」(解説より)

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2020/10/21

「物知り博士」「詩人」「ランチ」「漁夫サルバトーレ」 「蟻とキリギリス」「マウントドレイゴ卿」 「ジゴロとジゴレット」「ロータス・イーター」 「サナトリウム」「大佐の奥方」「五十女」「冬の船旅」を収録。 収録されているどの作品についても語りつくせそうな珠玉の短編集。 しかも全部...

「物知り博士」「詩人」「ランチ」「漁夫サルバトーレ」 「蟻とキリギリス」「マウントドレイゴ卿」 「ジゴロとジゴレット」「ロータス・イーター」 「サナトリウム」「大佐の奥方」「五十女」「冬の船旅」を収録。 収録されているどの作品についても語りつくせそうな珠玉の短編集。 しかも全部の作品の風合いがそれぞれ違って、 著者の卓越した語り口に感服せざるを得ない…。 感想があり過ぎて、逆に簡潔になるという矛盾。 一番胸に残ったのは「ロータス・イーター」。 意思の力について述べている所を繰り返し何度も読んでしまった。

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2020/07/19

どうしても「ランチ」が読みたくて下巻から。 モームは随分長生きで、1874年から1965年まで生きたということにまず驚く。第一次世界大戦が終わった時には既に45歳、その後第二次世界大戦もあり、さらに20年も生きたんだから。その間の価値観や社会の変化というのは凄まじいものがある。両...

どうしても「ランチ」が読みたくて下巻から。 モームは随分長生きで、1874年から1965年まで生きたということにまず驚く。第一次世界大戦が終わった時には既に45歳、その後第二次世界大戦もあり、さらに20年も生きたんだから。その間の価値観や社会の変化というのは凄まじいものがある。両親の早世、吃音、結核、療養生活、諜報活動、世界を股にかけた旅、さらに生きている間は公に出来なかった同性愛者であるということが、社会と人の心の変化をつぶさに見てきたことと一緒になって、素晴らしい作品を生み出したのである。ニヒリズムの中にも、精一杯真摯に生きる人に対する優しさがあり、ユーモア精神もある。こういう本をたびたび読み返すことは人生の幸せである。 「物知り博士」自体良かったが、巻末の訳者の解説で、さらに納得。「人間の意思は障害に立ち向かうことで強まる。意思が阻害されなければ、目標を達成するために努力を要しなければ、自分の手の届く範囲にあるものだけで欲望が満たされるのならば、意思は無能になる」(P162)意思が無能になった人物の晩年を描いた「ロータス・イーター」、憎しみが人を生かす。愛もまた。そんなことを考えさせる「サナトリウム」、最後まで妻の心も能力も魅力も理解できない夫を描く「大佐の奥方」、「五十女」「冬の船旅」も良かった。 巻末の編訳者の解説がとても詳細で親切。行方さんという優れた研究者・訳者だからこそできる解説である。

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2019/12/23

2019.12.23 【感想】 ユーモアのある短編集 物知り博士本当好きだ…かっこいい… 詩人の「theオチ」って感じも好き 大佐の奥方が1番好きだなあ 【好きな言葉・表現】 「時間厳守とは知性の人には賛辞であり、愚か者には非難である」(P60)

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2019/03/26

★★★2019年3月★★★ 実に面白い短編集だった。70代を過ぎたモームのユーモアや優しさがにじみ出た作品が多かったように思う。 この短編集に収められた作品を列挙する。 ・物知り博士 ・詩人 ・ランチ ・漁夫サルヴァトーレ ・蟻とキリギリス ・マウントドレイゴ卿 ・ジゴロ...

★★★2019年3月★★★ 実に面白い短編集だった。70代を過ぎたモームのユーモアや優しさがにじみ出た作品が多かったように思う。 この短編集に収められた作品を列挙する。 ・物知り博士 ・詩人 ・ランチ ・漁夫サルヴァトーレ ・蟻とキリギリス ・マウントドレイゴ卿 ・ジゴロとジゴレット ・ロースター・イースター ・サナトリウム ・大佐の奥方 ・五十女 ・冬の船旅 「ジゴロとジゴレット」では、命がけの演技で生計を立てる芸人夫婦を描く。金持ちの豚どもを相手に、命を懸ける。なんて事だ。「金なんてくそくらえだ」と言いつつも、最終的には舞台に上がる決断をする。 世の中何か間違ってる、昔も今も。そんな事を考えてしまった。 「サナトリウム」というのは結核療養所の話だが、お互いをののしりあいながら長く収容された爺さん二人がいたり、療養所内の恋があり。しかしこの物語での問いかけはいかに「死」と向き合うかだと思う。 ラストシーンでは、ある結核患者が自らの運命を受け入れる。それまで彼は自分の運命を呪っていたのが 「死ぬのが君じゃなくて僕でよかった」と悟るのだ。 どの短編の深く考えさせられたり、そんな中にもクスッと笑う要素があったり。モームのストーリーは本当に面白い。物語が体の中に入ってきて、心は別の世界に行く感じがする。

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2016/04/18

モームの短編12編が収められている. 「月と六ペンス」を読んだときにも思ったのだが,モームの小説のおもしろさとは何だろう? 劇的でドラマチックな場面がある訳でも無く(あるお話しもあるけど),あおる訳でも無く,そういう意味ではエンターテイメントの対極にある訳だが,しかし話に引き込ま...

モームの短編12編が収められている. 「月と六ペンス」を読んだときにも思ったのだが,モームの小説のおもしろさとは何だろう? 劇的でドラマチックな場面がある訳でも無く(あるお話しもあるけど),あおる訳でも無く,そういう意味ではエンターテイメントの対極にある訳だが,しかし話に引き込まれページを繰る手が止まらないのである.小説の醍醐味を味わった気がする.

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2014/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2014 4/27読了。Amazonで購入。 個人的モーム期間中に読んだうちの一冊。 上巻に比べるとより短めの作品が多い。 解説にある、モームは「話としての面白さ」を追っているとあるとおりに、オチがあったり筋がはっきりしたりしている話が多くてすらすら読める。

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2012/11/13

春日武彦氏が「ロータス・イーター」を紹介していたので読むことにした。 モームははじめてだが、巧みなストーリーにほとほと感心する。訳文もすばらしい。リズム感のいい日本語は暗誦したくなるほど。 モームはモーパッサンよりも人間味が感じられ読後感がよい。「ロータス・イーター」はおおむね春...

春日武彦氏が「ロータス・イーター」を紹介していたので読むことにした。 モームははじめてだが、巧みなストーリーにほとほと感心する。訳文もすばらしい。リズム感のいい日本語は暗誦したくなるほど。 モームはモーパッサンよりも人間味が感じられ読後感がよい。「ロータス・イーター」はおおむね春日氏の評するとおりだったが、最後の一文に込められた哀切さがことに印象に残る。 「物知り博士」、悪人にひそむ善良さを描いた逸品。 「冬の船旅」、コミカルな会話が絶妙で何度も読み返してしまう。ふとモーパッサンの「脂肪の塊」を思い出してしまったが「冬の船旅」はそこまで残酷でもなく、品よく救いのあるマイルドな食感。 なお、巻末の詳細な解説がたいへん助かった。

Posted byブクログ

2012/07/01

不可知論。人間の矛盾にフォーカス。The真理。だからこんなに面白い作品ばかり書けるんだろうなと。イギリスのモーパッサンと言われてるけど、自分はモームのほうが個人的に好きかも。いかつい顔して茶目っ気たっぷりなことをしてのける文豪の印象を決定づける作品。また読む。

Posted byブクログ

2011/12/09

・ランチ 「なら別」という表現のいやらしさ。 一品しか食べないはずが、何種も平らげていく。 他人への無関心と価値観のズレ。 いや、違う。これはたかりにきているのでは。

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