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凍りのくじら の商品レビュー

4.1

1621件のお客様レビュー

  1. 5つ

    592

  2. 4つ

    593

  3. 3つ

    254

  4. 2つ

    57

  5. 1つ

    10

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2024/08/09
  • ネタバレ

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前半は物語が淡々と進んでいき、どう進んでいくんだろうかと思いながら読み進めた。 後半は前半の物語の積み重ねがあったからこその物語で、全体として一つ一つのストーリーがよく作られていた。 それぞれの登場人物の心情をとても細かく言語化されていて、表現がとても丁寧でした。 主人公の理帆子の、「少し、不在」という内面は、読んでいて自分もそうだなと思いながら読み進めていました。その場にいてもどこか冷めている。そこを細かく言語化されていて、共感した。 お母さんが亡くなるシーンは、電車やカフェでは読めません。悲しくてほんとに辛い。 涙がでますので、こっそり読むことをお勧めします。お母さんの子供への愛情も、理帆子の母を亡くす辛い気持ちも分かり、涙なしでは読めない箇所でした。 理帆子の元彼の「若尾」のストーカー度の怖さに目が離せません。こういう人、たまに居るなと。 ドラえもんの道具があちらこちらに出てきて、それを物語にパズルのピースのようにはめてストーリーが進んでいく。SFの言葉遊びも面白かったです。

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2024/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公のりほこは人間観察が趣味で自分に興味がないふりをしている そういうふりを続けていると本当に自分の気持ちを見失ってしまう 気持ちは確かに存在するのに、理屈をこねてその周りをぐるぐる歩いてしまう よそ見をするために他人を観察して見下している 見下している自分もきちんと自覚している なのに本当に大切なもの、欲しいもの、気付かなくてはいけないことには無自覚でいられてしまう こういう自分を失ってる人間の心の動きがよく描かれていてページを追うごとに感情移入してしまった 郁也が自分のドラえもんの巾着袋を渡したところ、涙が出てしまった 言葉を発せない彼の痛々しいくらい強い直向きさとか健気さに胸を打たれた りほこのお母さんも不器用で、いなくなってからそのかけられた愛情の大きさにりほこは気付くんだよね 登場人物がみんな不器用なんだけど、自分の抱えている物語をそれぞれが乗り越えていて、 わたしも自分なりに強く生きなくてはと思わされた 凍りのくじらという言葉、この本に出会ってこれからも私の中で生き続ける言葉になった 最初は情報が少なくて主人公に共感できる部分が少ないため、読み進めるのに少し苦労したけど後半は一気に読んでしまった

Posted byブクログ

2024/08/05

読了後の余韻に浸れた作品でした。 作中で出てくるドビュッシーの沈める寺を聴いて、さらにじーんときた。 曲と物語が一致して、立体的に世界観に浸れました。 いい読書体験でした。

Posted byブクログ

2024/08/05
  • ネタバレ

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今回も最後の伏線回収にすごく鳥肌がたった! 最後まで読んでもう一回最初を読み返しちゃうような話だった! ドラえもんをそもそもあんまり見たことがなくて知らない道具もたくさんあったけどドラえもんの映画も見てみたいなーって思える話だった。 お母さんの選んだ写真集が出版されたのはもう涙が止まらなかった。少し不幸なお母さんだけどちゃんと旦那も娘のことも大好きで初めて最後に愛を見せてるところに涙が止まらなかった。りほこも難しいところがたくさんあったけど普通の女の子だったし、それを後押しする別所も涙が止まらなかった。

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2024/08/06

3年ぶりに読んだ凍りのくじら。私が初めて読んだ辻村深月作品。原点にして頂点、私のために書いてくれたんじゃないかと思ったことさえある、思い入れのある作品。3年間の間でまた違う大切な思い出も出来て、もっと大事な作品になったなって思った。 高校生の理帆子が体験する、少し不思議なお話...

3年ぶりに読んだ凍りのくじら。私が初めて読んだ辻村深月作品。原点にして頂点、私のために書いてくれたんじゃないかと思ったことさえある、思い入れのある作品。3年間の間でまた違う大切な思い出も出来て、もっと大事な作品になったなって思った。 高校生の理帆子が体験する、少し不思議なお話。 理帆子への愛、理帆子からの愛。理穂帆が感じる孤独。でも自分が周りの人のことを大好きなこともちゃんと分かってて、でもやっぱり孤独を感じる。 素直で臆病でひねくれてる理帆子の中のゆるがない光は、いなくなったお父さんが教えてくれた「ドラえもん」。あらゆるドラえもんの道具がお話の中に出てきて、藤子・F・不二雄のすごさを体感した。 お母さんが死んでしまうところがやっぱりどうしてもつらくて泣ける。すごく仲がいいとかでなくても、しっかり愛情をくれたお母さん。完成した写真集の1ページずつにお母さんの愛がいっぱいだった。 「お母さんは、あなたに感謝しています。」 ねぇ、本当に大事なものがなくなって後悔して、どうしようもなくなって。そうなった時、私は、それに耐えられるかなぁ? p445 3年ぶりに読んだ、若尾の怖さとやばさを改めて感じた。会話ができない、話も思いも通じない、どうしようもできない「悪」。現実を見ることができず、すべて人のせいにしてしまう。カワイソメダルの効力を信じ続けている男の子。救えない。 そこまで分かっているのに、理帆子は若尾のことが好きだったから、だから捨てることもできない。だらだら電話に出て話を聞いてしまう。理帆子の弱さも若尾の弱さも、少し不完全で少し腐敗していた。 君、その男の子が本当に好きだったんだね p302 お父さんは、きっと凍りのくじらを探しにいったんだよね。息ができなくなって孤独なくじらを、ドラえもんの道具で助けにいきたかったはず。光を与えにいった。 お母さんがいなくなる、理帆子が1番つらい時期に、不思議な力でずっと見守っててくれた。 テキオー灯照らしてくれるところ泣けすぎる。 「この光の効力が続くうちに、自分の力でどうにかするんだ。大丈夫、君なら必ずそれができる」 「いつも君を思ってる。僕も汐子も、君のことが大好きだ。世界中の誰が駄目だと言っても、僕らは言い続けるよ。理穂帆は、誰よりもいい子だ。」 大好きなお父さん、大切にしてくれたお父さん。助けてくれた、照らしてくれたお父さん。 小さい頃にお父さんとドラえもんみたことを思い出す。映画が公開されるたびに映画館に連れて行かれてた。ドラえもんは観なきゃいけない、っていうお父さんの思想があったような気がする。 あの時は当たり前に観てた映画だけど、お父さんがいい作品に出会わせようとしてくれてたんだと思う。たくさんの深い愛情を、当たり前みたいにたくさん注いでくれてたんだと、今になって気づく。 これ以上の藤子・F・不二雄敬愛作品を、私は知らない。ドラえもんのお話自体が持つ魅力やおもしろさはもちろんだけど、みんなが小さい頃に親と見たり、兄弟と見たり、そこにそれぞれの人のたくさんの思い出が付随しているだろう国民的キャラクター。そんな媒体を生み出してくれた藤子先生に、私も感謝したい。 そしてその熱い思いを、こんなふうに作品にしてくへる辻村深月先生も本当にありがとう。

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2024/08/02

辻村さんの初期作品です。 主人公の理帆子は人を見下してしまう所があり、他人と深く関わることができず、誰と居ても自分の居場所だと思えない冷めた人物。読んでいてなかなか好きになれない主人公だなぁと思いながらも、理帆子の両親や元・恋人、友達との関係を知っていくうちに、理帆子の心のうちが...

辻村さんの初期作品です。 主人公の理帆子は人を見下してしまう所があり、他人と深く関わることができず、誰と居ても自分の居場所だと思えない冷めた人物。読んでいてなかなか好きになれない主人公だなぁと思いながらも、理帆子の両親や元・恋人、友達との関係を知っていくうちに、理帆子の心のうちが見えてきます。家政婦の多恵や郁也と出会った辺りから、理帆子の心が少しずつほどけて、心の底から感情を吐き出すようになっていく姿がとても良かった。 ラストにはしっかりと驚きが隠されていて、後半はグッと引き込まれました。 私は理帆子と同様、ドラえもん好きですが、各章の題名にもなっているドラえもんの道具達が、割とヘビーな道具が多く、もう少し前向きな道具が登場してくれたら嬉しかったなぁと感じました。

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2024/07/30

写真家の理帆子が高校生時代を回想する。 読書が好きで人より大人びた彼女は日常生活に退屈を感じていた。同級生と話しても自分を曝け出せない。 彼女の父親も写真家だが、5年前に失踪。母親も癌で闘病中だ。そんな中、ある一人の男性に出会い、心を開いていく。 冷めた女子高生が元彼にスト...

写真家の理帆子が高校生時代を回想する。 読書が好きで人より大人びた彼女は日常生活に退屈を感じていた。同級生と話しても自分を曝け出せない。 彼女の父親も写真家だが、5年前に失踪。母親も癌で闘病中だ。そんな中、ある一人の男性に出会い、心を開いていく。 冷めた女子高生が元彼にストーカーされる話!? 別所=父親とは思わなかったが、最後まであまりよく分からず共感もできなかった。ドラえもんの道具に擬えて色々言うがそれもよく分からない。

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2024/07/27

優等生の理帆子が変な男にはまっているのを見るのはいたたまれないが、高校生のころの気持ちを真剣に思い出してみると、年上のダメな男が魅力的に見えたことは確かだった。 ふつうの大人にとっては思い出したくもない、恥ずかしくて死にそうになるような気持ちを、高校生の視点から丁寧に描き、しか...

優等生の理帆子が変な男にはまっているのを見るのはいたたまれないが、高校生のころの気持ちを真剣に思い出してみると、年上のダメな男が魅力的に見えたことは確かだった。 ふつうの大人にとっては思い出したくもない、恥ずかしくて死にそうになるような気持ちを、高校生の視点から丁寧に描き、しかも「よいもの」だったと思わせてくれる作者の力量に脱帽。

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2024/07/25
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最後の伏線回収されていく場面が非常に驚いた。 辻村作品を何冊か読んでいて、どの物語も伏線が散りばめられているが、今回の物語は結末がどうなるか分からずワクワクしながら読んでいた。 理帆子は読んでいて自分と共感できる部分が多かった。私もどこか・不在であり、どんな人とも仲良くできる一方で達観してしまう、見下してしまう部分がある。そんな理帆子のストーリーはもどかしいところもあり、共感できる部分も数多くあった。 若尾との連絡を友人に止められる場面で、理帆子はその注意喚起を無視して連絡を続ける。 もし私が理帆子の立場だったら、同じようなことをしてしまうかもしれない。それは若尾が犯罪行為に手を染めるわけがないという思いと、個人的には人を傷つけたくない、誰にでも良い顔をしていたいという思いがあるからだと思う。 母との会話も私自身と似ているんだろうな、と感じた。 癌で母の容態がどんどん変化していく中、自分だったら何を話すことができるのだろうか。 その変化に目を背けて、何を話せばいいのか全くわからない。想像ができない。 最後の最後、死んだ後の話が結局できなかったのも理帆子らしいと感じた。 物語のクライマックス、別所の正体には全く気が付かず、ファンタジー要素のない作品だと思っていたので驚くと同時に少し現実感が薄くなってしまい、残念な気持ちもあった。 SFに人の個性を当てはめる遊びは純粋に面白そうだと思った。私もやってみたい。

Posted byブクログ

2024/07/25
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「少し不在」の主人公理帆子は、他の辻村深月さんの作品の主人公よりも、少し危うげで、毎日を達観しています。 毎週テレビで観ていたけれど、そういえば漫画では読んだことがなかったな、読んでみたいなと思いました。 「ドラえもん のび太の月面探査機」は、辻村深月さんが脚本を書いているので、それも観てみたいです。 他の作品に少し出てくる人物が主人公で、本の中の世界が繋がるところも好きでした。

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