3月のライオン(2) の商品レビュー
零の居場所探しがテーマとなっていそうな第二巻 生きる為に将棋を始め、自分の居場所を手に入れようとがむしゃらにやってきた零だけど、その実辿り着いた場所で何を得たいのか、そこから何処へ行きたいのかという展望をはっきりと持ってはいなかった そんな零の前に現れる幾つもの言葉や2つの対局模...
零の居場所探しがテーマとなっていそうな第二巻 生きる為に将棋を始め、自分の居場所を手に入れようとがむしゃらにやってきた零だけど、その実辿り着いた場所で何を得たいのか、そこから何処へ行きたいのかという展望をはっきりと持ってはいなかった そんな零の前に現れる幾つもの言葉や2つの対局模様があまりに印象的 野球少年の高橋がこれまで得たものやこれから目指す道は零と全く異なるもの。けれど、二人は「何故高校へ行ったのか、行くのか?」という動機を共通項として判り合ってしまう きっとそこにあるのは自分が居る道に対してとても真摯な姿勢なのだろうなと思える 零を気遣い本気で吠える晴信、将棋を楽しもうと教わり始めるヒナとモモ。 冷たいばかりだった零の将棋の世界がこれを契機として明るさを持ち始めていく様子は良いね。そしてその将棋の楽しさが零が生きるため以前に何故将棋を始めたのかという根源的動機を思い起こさせてくれる展開も素晴らしい だからこそ、その直後に雷鳴のようにやってくる香子の存在が恐ろしい 香子は零から居場所を奪われた人間で今は零を殴った男と居る 様々な意味で零を落ち着かなくさせる香子の存在は強烈で彼女が登場するだけで読者までも落ち着かない気分にさせるのは流石と言う他ない 香子の登場を契機に零の将棋の世界は再び危ういものへと変貌してしまう 松永七段の将棋は妙な意味で衝撃的(笑) 自分は将棋の素人だからはっきり判らないけれど、それでも一度作った穴熊を辞めてしまうのは無茶苦茶だと伝わってくる(笑) けれど、そんな無茶苦茶な穴熊も、程度の低い演技も、負けた際の酷い態度も後になってみればそこには濁流のような感情が込められていたのだと判る 零の「将棋好きですか…」の質問に対する松永の答えは対局中には見えなかった将棋人生40年の重み、それが存分に伝わってくる台詞と表情だった 次の安井六段は良くも悪くも家族の影がちらつく人物 クリスマスを通知表みたいだと感じた零。そんな零からすればクリスマス当日の対局部屋に娘へのクリスマスプレゼントを携えてやってきた安井は何としても諦めないで欲しいと願ってしまう人物 望んだ家族の形を手に入れられなかった零だからこそ、安井に対してそう願ってしまうのだろうね だというのに安井は一つのミスをきっかけに簡単に諦めてしまう。それどこから自己弁護するような言葉を発し、更に零に責任を押し付けるかのような言動まで見せる なんとも自分勝手だが、押し付けられた零は堪ったものではない 将棋への理解と無理解、零の自問と願望。それらが織り交ぜられた末に放たれた零の絶叫があまりに痛ましい
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各話の扉をつなげるとお話になるのね 零は、中学生でプロになったエリートですが、伸び悩んでいる? 背景が写真(2万枚)からのトレースだそうですが、ぬくもりを感じさせるところは、さすがです。
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【あらすじ】 「勝つ理由が無い」といいながら、負けると苦しいのは何故だ。将棋に対して中途半端な自分に悩む零。そんな零の前に、義姉・香子が現れる…。少しずつ、零の過去が明かされる第2巻。 【感想】
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この巻では、れい君&ボドドこと二階堂君が、 ヒナちゃんとモモちゃんに教える回があります。 ここででてくる「将棋はじめて絵本」私も欲しいわ。 ニャーちゃんが駒になっててとても分かりやすいです。
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桐山の生活・学業・将棋世界での現状。 中途半端! だが、三姉妹との交流、高橋クンの問いかけ、 二海堂の叫び、香子との再会は彼の中の何かに指針を示し、 将棋人生の重さを背負う松永七段、 離婚を目前にした安井六段との対局は、何かに熱を与えた。 最後の桐山の叫びは“中途半端”を吹っ飛ば...
桐山の生活・学業・将棋世界での現状。 中途半端! だが、三姉妹との交流、高橋クンの問いかけ、 二海堂の叫び、香子との再会は彼の中の何かに指針を示し、 将棋人生の重さを背負う松永七段、 離婚を目前にした安井六段との対局は、何かに熱を与えた。 最後の桐山の叫びは“中途半端”を吹っ飛ばす、 希望の叫びに聞こえました。
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気遣ってくれる、川本姉妹や高校の先生の存在。 そして、二階堂くんも。 救われる零。ひとりじゃない。
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2つの対照的な家族像を散りばめながら、少年の孤独感を乾いた展開で描く。 能力こそ全てという棋界に生きる父が齎した異分子。それは父以上に天賦の才を有する少年。その才能のみならず、自らは受け得なかった父の愛を受ける少年への嫉妬が生み出したのは、彼への憎悪の眼差しとその心を差し込む刃。結果、生み出されるのは少年の孤独と絶望。 一方、父母を亡くした三姉妹は、姉の苦界(厳密には違うが、危うい境界線にいるのは確か)での稼ぎを糧にしつつも、暖かな心を寄せ合い生きていく。 絶望と希望の2つを感得した少年の逡巡が痛々しい。
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にかいどうはるのぶ作『将棋はじめて絵本』、これ欲しい。ってか、日本将棋連盟はいますぐイメージ回復の一環としてこの本を作って世に出すべし。ってかとっくにもう出版されてると思ったけどな。商売下手だなーとつくづく思うのである。 「れいちゃんのでっかい声初めて聞いた」。あっしのツボはこ...
にかいどうはるのぶ作『将棋はじめて絵本』、これ欲しい。ってか、日本将棋連盟はいますぐイメージ回復の一環としてこの本を作って世に出すべし。ってかとっくにもう出版されてると思ったけどな。商売下手だなーとつくづく思うのである。 「れいちゃんのでっかい声初めて聞いた」。あっしのツボはここでした。自分の姿を客観的に意外な角度からついてもらうのって嬉しいんだよねえ。もう俺にはないんだろうけどさそんなこと。
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二階堂の作った入門書、欲しいなぁ。 主人公の過去が少しずつ明らかになると同時に、彼の気の強さがチラホラ見えてきて、ああ十代らしいなって思ってしまった。←そんな風に感じた自分に歳を感じたf^_^;)
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