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プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? の商品レビュー

3.7

79件のお客様レビュー

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2025/01/05

歴史は案外浅い文字の発達史とその文字を人間がニューロンや脳でどのように読むようになったのか、解き明かす図書。哲学者ソクラテスが文字の普及を嫌い、音声を重視した。文字は勘違いや対話をもたらさない…この問題提起はオンラインが広がる現代にも有効、というのが少し興味深かった。とはいえ全体...

歴史は案外浅い文字の発達史とその文字を人間がニューロンや脳でどのように読むようになったのか、解き明かす図書。哲学者ソクラテスが文字の普及を嫌い、音声を重視した。文字は勘違いや対話をもたらさない…この問題提起はオンラインが広がる現代にも有効、というのが少し興味深かった。とはいえ全体的に自分には難しかった…

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2025/01/04

文字を読むときに脳で何が起きているのか、また文字を読むことを苦手とするディスレクシアの脳にはどのような特性があるのか、実際にディスレクシアの子を持つ小児発達の専門家が書く。 ヒトが「文字を読む」という機能を手に入れたのはわりと最近のことであり、脳にもそれ用の機能が生まれつきある...

文字を読むときに脳で何が起きているのか、また文字を読むことを苦手とするディスレクシアの脳にはどのような特性があるのか、実際にディスレクシアの子を持つ小児発達の専門家が書く。 ヒトが「文字を読む」という機能を手に入れたのはわりと最近のことであり、脳にもそれ用の機能が生まれつきあるわけではないので各々が一から構築する必要がある、というのは面白かった(「文化がヒトを進化させた」にもチラッと書いてあったはず)。 元が英語の本なので、音節文字の話が中心であり、日本語使用者の私には学習についてなど、一部ピンとこない部分もあった(例えば「意味はわかるけど読み方は分からない」みたいな日本語の読書でよくあるパターンについては何も書いていない)。 主に表語文字を利用する言語として中国語、2種類の書記体系を持つ言語として日本語についても書かれている。英語とは脳の使う場所がけっこう違うようで興味深かった。

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2025/01/04

読字の歴史、読字障害(ディスレクシア)について。 ソクラテスが書記言語を批判していたという話がなるほどなーと思った。

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2025/02/02

2024年12月31日、グラビティにて。「利己的な遺伝子」を投稿してた方が12/29にこちらの本も画像あげてて、面白そう。読書好きにいいかな。 2025年2月2日、メルカリから「めいちゃん」や「ファスト&スロー」の新着通知の期限切れの通知が来て設定を見直してたら、「世の初めから...

2024年12月31日、グラビティにて。「利己的な遺伝子」を投稿してた方が12/29にこちらの本も画像あげてて、面白そう。読書好きにいいかな。 2025年2月2日、メルカリから「めいちゃん」や「ファスト&スロー」の新着通知の期限切れの通知が来て設定を見直してたら、「世の初めから隠されていること」が6600円で出ており、その出品者がこの本を出してた。1900円。

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2024/12/27

わたしたちは、たまたま読み書きが教養とされる社会に生きているにすぎない。 けれど、読み書きができるということの素晴らしさを忘れてはならない。 生き続けている死者との価値ある会話、それをわれわれは読書とよぶ Gスタイナー『言語と沈黙』(由良君美、他訳) 本書には、随所にこういった...

わたしたちは、たまたま読み書きが教養とされる社会に生きているにすぎない。 けれど、読み書きができるということの素晴らしさを忘れてはならない。 生き続けている死者との価値ある会話、それをわれわれは読書とよぶ Gスタイナー『言語と沈黙』(由良君美、他訳) 本書には、随所にこういった素敵な引用が散りばめられている。 読み書きできないとはどういうことなのか?泳げないイカを知るには泳げるイカの構造を理解する必要がある!という発想から、ディスレクシア研究者であり、ディスレクシアの親でもある著者が、読み書きする脳について語っている。 本来、「文字を読む遺伝子」というものは存在せず、脳の中に「文字を読む」という行為を司る領域は存在しない。 つまり、わたしたちは本来別のことに使われている脳領域を応用して、新しい回路を接続し、文字を読むという行為を成し遂げている。 後天的に身につけた技術なのだ。 そのため、親から子へ受け継がれる「読字遺伝子」といったものは存在せず、誰もがみな、生まれ落ちて自ら習得し、鍛錬しなければならない。 そこで思い出すのは、「社会人の6割が月に一冊も本を読まない」といった文化庁の調査や、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか(三宅香帆)」といった、社会人読書離れの傾向だ。 文字を読む、という行為が後天的であるが故に、長い文章を読んで文脈を理解し、読解するためには、脳領域を応用して接続している回路を何度も使って接続を強化させなければならない。それは、例えるならマラソンと同じで、最初からフルマラソンを完走できないように、まずはジョギングから始めることが必要だ。 幼い頃から読字に慣れ親しんでいない脳は回路の接続が弱く、そんな人が急に社会人になってから難しい本を読もうと思っても、疲れてしまうだけなのは想像に難くない。 著者は5歳までの読字習得が、その後の読字体系の基盤になるといっている。 また、本書ではたびたび現代の若者がインターネット検索により迅速に表層的な情報を得ることが、内的思考や熟考への機会を減らし、本当の知識を得るためのプロセスが失われるのではないかとの警鐘も鳴らしている。

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2024/11/10

ディスレクシアから考えると、未来の社会に何が適応するかは予測できない。変化を柔軟に受け入れ、人それぞれの特性を尊重する社会が必要。できないことは補い合い、得意なことに頼る——そうした共生の姿勢こそが、多様性のある豊かな社会を築く鍵だと感じさせてもらった本でした。

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2024/11/03

対話を重んじたソクラテスの口述言語主義の主張。ただし、書字の発展した現代では書記言語による思考を明確化させるための内的対話による知識の深まりが望めるとも言えるのだが… さらに、記述する事が個人の記憶力と、知識の吟味を妨げているとの主張。 文章はあたかも知的であるかの様に見える。 ...

対話を重んじたソクラテスの口述言語主義の主張。ただし、書字の発展した現代では書記言語による思考を明確化させるための内的対話による知識の深まりが望めるとも言えるのだが… さらに、記述する事が個人の記憶力と、知識の吟味を妨げているとの主張。 文章はあたかも知的であるかの様に見える。 文章になる事でその知識を理解できる者だけでなく関わり無い者へも渡ってしまう。誤用や悪用されてしまう。 現代のWEB検索しかり。 真の問題点は文字を書き留める事ではなく、言語の多様な能力を“知力を尽くして”使いこなすこと。 生きた対話でこそ真の知が得られる。

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2024/10/01

口承文化から文字文化、そしてデジタル文化へ進んでいく中で、読字による脳の影響について、深掘りしていく中々面白い一冊。 特にディスクレシアについては、とても興味深い。

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2024/09/07

メリアン・ウルフの著書「プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?」読了。 なかなか難しいけれど興味深い本でした。 完全には理解できていない部分もあり、斜め読みした部分もあったので、ここで私が書くのは、私の中で勝手にまとめた内容。なので、間違っている可能性が大いにあり...

メリアン・ウルフの著書「プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?」読了。 なかなか難しいけれど興味深い本でした。 完全には理解できていない部分もあり、斜め読みした部分もあったので、ここで私が書くのは、私の中で勝手にまとめた内容。なので、間違っている可能性が大いにあります。その点はご了承の程を…。 まず、私がこの本を読み終わって、一番びっくりしたのは、 「文字を読むための遺伝子はない」 ということ。言われてみれば納得。生物として進化して人類になったホモ・サピエンス。でも、文字を発明し、書記言語を構築し、それを自由に書いたり読んだりするようになったのは、長い長い歴史の中の、ほんの数千年。人類の「遺伝子」レベルで獲得した能力であるはずがない(そんなに短い間にDNAは変化しないよね)。 では、どうやって人は「文字を読んでいる」のか? それは、今まで別の用途で使っていた脳のパーツに接続をたくさん作って、新たな回路を作っているから。 人類が2000年かけて工夫してきた「読字」の回路を、子供たちは2000日で作り上げなくてはならない。 親からの遺伝ではなく、子供1人1人が、最初からその回路を作りながら「文字を読むことができる」ように学習している。(なので、幼児期からの読み聞かせとか、家庭に本があること、などが重要になるらしい) え?すごくない? なんとなく、「読書好きだから、読んでみよう〜」と思った本だったけれど、「読字」「読書」をするために、私の脳が子供の頃から頑張ってその回路を作り上げていたなんて、なんだか驚きの事実を知らされました。読書ができることって、すごいことじゃない? この本では、人類が文字をどのように作ってきたのかという歴史や、子供たちがどのようにして文字を読むことができるようになるかという脳内での反応の話や、そして、読字がうまくできないディスレクシアの子供たち(だけでなく大人も含めて、かな)について書かれていました。 著者のメリアン・ウルフさんは息子さんがディスレクシアとのことで、そこからディスクレシアの研究もしているとのこと。 そもそも、脳のいろいろな部分を組み合わせて「読字」をしているので、ディスレクシア、といっても、原因は1つではない。ジグゾーパズルとして出来上がっている「読字」という回路、どこかのピースが1つ働かないだけで、それは「ディスレクシア」になってしまう。いろいろなタイプのディスレクシアがあり、支援方法もそれぞれ違う。 著者が、最後の章で書いていたのは、ディスレクシアに対する認識が広まっていないことが、ディスレクシアの人々を苦しめているのだろう、というようなこと。 過去に素晴らしい業績を残した偉人たちにもディスクレシアは多い。ダ・ヴィンチ、ガウディ、アンディ・ウォーホル、ピカソ、ロダン、ジョニーデップ、ウーピーゴールドバーグetc。ともすれば、「読字」に障害があることで「能力が低い」とされてしまいがちだけれど、それ以外に突出した能力を持つ人もたくさんいる。 子供の頃にディスレクシアであると診断することができ、そして、そのタイプによって支援を受けられれば開花する能力もあるかもしれない。 なるほど。 非常に興味深い本でした(ちょっと、いやかなり、難しかったけど…)。

Posted byブクログ

2024/07/01

■評価 ★★★☆☆ ■感想 ◯読むということについて、有史以来の変化と、現代のディスレクシア(文字の読み取りに困難を抱える人)に至るまで語られている本。 ◯ソクラテスが書物を残さなかった危惧の理由は現代にこそ新しい。 ◯ディスレクシアの脳の賦活状況の違いによる苦労がある一方、そ...

■評価 ★★★☆☆ ■感想 ◯読むということについて、有史以来の変化と、現代のディスレクシア(文字の読み取りに困難を抱える人)に至るまで語られている本。 ◯ソクラテスが書物を残さなかった危惧の理由は現代にこそ新しい。 ◯ディスレクシアの脳の賦活状況の違いによる苦労がある一方、その逆あまりに偉人に多いという皮肉。アインシュタインは5歳まで話せなかったということだけを切り取るのではなく、脳の機構まで踏み込んで考えることで、多様性への理解も進むのかなと思った。

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