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完訳 紫禁城の黄昏(上) の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2013/08/31

古本で購入。 「ラストエンペラー」宣統帝溥儀の帝師となった、スコットランド人レジナルド・ジョンストンによる回想録。 1898年の康有為らによる戊戌の政変から筆を起こし、中国の近代の始まりを第三者の目線から活写している。 本書の価値は、タイトルにもあるとおり「完訳」というところ...

古本で購入。 「ラストエンペラー」宣統帝溥儀の帝師となった、スコットランド人レジナルド・ジョンストンによる回想録。 1898年の康有為らによる戊戌の政変から筆を起こし、中国の近代の始まりを第三者の目線から活写している。 本書の価値は、タイトルにもあるとおり「完訳」というところにある。 なぜ「完訳」がセールスポイントになるかと言えば話は簡単で、これまで最も手に入れやすい翻訳だった岩波文庫版が、全26章中11章を“意図的に”削除しているからである。 清朝とは満州族が建てた王朝であること、シナ(長城以南の黄河・長江流域の地域)を失った清朝が故郷満州へ帰る可能性、それらについて述べる章を岩波書店が削除した理由は、言わずもがなだ。 監修者の渡部昇一はこう言う。 「『紫禁城の黄昏』が、極東軍事裁判に証拠書類として採用されていたら、あのような裁判は成立しなかったであろう。こういうだけで、本書の価値を知るには十分である。もちろん、何が何でも日本を悪者に仕立て上げたかった東京裁判所は、本書を証拠資料として採用せず、却下した」 大著と言えるボリュームだが、戦後日本が抱えた(抱えさせられた)「日本が中国を侵略したことにより傀儡国家たる満州国を建設した」という一種のドグマを覆す本としてオススメ。 中国における近代とは何か、革命とは何か、あるいは「シナ」とは何かを考える上でも、おもしろい本だと思う。 本書を読んで興味深いことのひとつは、やはりジョンストンが帝師として身近に接した溥儀の人となりだろう。 ジョンストンの見た少年皇帝は聡明であり寛大、西洋文化・思想を受け入れる柔軟さを持ちあわせ、国と民のことを何よりも思う、まさに「王者」たるに相応しい立派な君主だ。 ところがその少年皇帝も、いわゆる東京裁判においてはソ連の言いなりとなって、自分は日本の傀儡であったこと、満州問題のすべては日本に責任があったことを証言している。 ソ連の強要に屈し、将来の祖国からの処罰を恐れたとは言え、この断絶は何だろう。父祖の地・満州に帰り、満州国において清朝を再興した後の溥儀に何があったのか気になるところ。

Posted byブクログ

2013/05/26

第1級史料と銘打たれているだけあって、清朝末期~満州帝国~中華民国までの流れが客観的に、細かに書かれていた。特別保守的な考えに賛成するわけではないけれど、高校時代から変える必要ないと思ってた歴史観が少し変わったかな?

Posted byブクログ

2012/12/15

1898年ごろから1930年ごろまでの清朝廷での出来事をまとめたジャーナルである。具体的には日清戦争以後の西太后の苛烈な専横、義和団事件、辛亥革命あたりを上巻としている。作者である英国人の中国研究家であり外務官僚であるRFジョンストンは、帝師と称する皇帝の先生に任命された人物であ...

1898年ごろから1930年ごろまでの清朝廷での出来事をまとめたジャーナルである。具体的には日清戦争以後の西太后の苛烈な専横、義和団事件、辛亥革命あたりを上巻としている。作者である英国人の中国研究家であり外務官僚であるRFジョンストンは、帝師と称する皇帝の先生に任命された人物である。朝廷の内部に入り込むことができた、そうした人物ならでは観察眼による、単なる政治的な歴史ではなく、王朝でのくらしぶりなどの記録である。

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2011/08/23

「紫禁城の黄昏(上)」R.F.ジョンストン/中山理 訳 第一級の近代中国史料。 完訳・文庫版。 愛新覚羅溥儀の教師(帝師)だった英国人ジョンストンが1934年に著した、清朝滅亡から満州国建国周辺の激動の記録・評論。 以前から読みたいと思っていた本で、きっかけとしては中国国民党の...

「紫禁城の黄昏(上)」R.F.ジョンストン/中山理 訳 第一級の近代中国史料。 完訳・文庫版。 愛新覚羅溥儀の教師(帝師)だった英国人ジョンストンが1934年に著した、清朝滅亡から満州国建国周辺の激動の記録・評論。 以前から読みたいと思っていた本で、きっかけとしては中国国民党の民主化革命から中華民国と満州国の関係、中国共産党の台頭と中華人民共和国の一連の流れを知りたかったので。 今までは漠然と、中華王朝が清の時代で終わり、民主的に近代化したという認識しかなかったんですが、 当時の革命主義者と帝室の関係、紫禁城内の宦官制度、共産主義ではない中国、「シナ/チャイナ(China)」⇔「中国」という言葉の捉え方など、 非常に詳細な近代中国史を知ることが出来ます。 とかく東アジアの近代史に関しては、自国日本の歴史も含め、“色のかかった”言説が多い。 歴史の真実なんてものは一意に存在しないと僕は思っているので、右寄りにしろ左寄りにしろ出来る限りの一次的情報を得て、自分なりに考えを作るしかない。 そう云った意味でこの訳書が出版されて、手軽に読むことが出来る日本は幸せだな、と思います。 オススメ。(4)

Posted byブクログ