外国語学習の科学 の商品レビュー
子供は第二外国語を特別の学習なしに身につけることができるのに大人にはそれが難しいのはなぜか。言語系統が近い言語と遠い言語における学習過程の違いは何かなど第二言語習得に関する科学的なアプローチを紹介し、そこから効果的な学習方法の提案などに展開していく。 言語の習得に関してはまだわか...
子供は第二外国語を特別の学習なしに身につけることができるのに大人にはそれが難しいのはなぜか。言語系統が近い言語と遠い言語における学習過程の違いは何かなど第二言語習得に関する科学的なアプローチを紹介し、そこから効果的な学習方法の提案などに展開していく。 言語の習得に関してはまだわかっていないことも多く、決定的な学習方法というものも存在はしないが、本書ではインプットを重視することが学校教育でよく行われる文法訳読方式よりも効果的であろうと締めくくっている。 これさえやればペラペラに!という類ではないが、外国語を学習する上でどのように進めていくのが良いかを考える一つの指針となるのではないかと思う。
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言語学習ついて、とても分かりやすく説明されている。「日本語には、英語のような複数形がありませんから、いちいち複数形のsをつけるのは大変。一方、所有の’sの方は日本語の表現と非常に形が似ているので、やさしい。」という内容を読み、妙に納得した。しかし、なぜ日本語には複数形の表現がない...
言語学習ついて、とても分かりやすく説明されている。「日本語には、英語のような複数形がありませんから、いちいち複数形のsをつけるのは大変。一方、所有の’sの方は日本語の表現と非常に形が似ているので、やさしい。」という内容を読み、妙に納得した。しかし、なぜ日本語には複数形の表現がないのか不思議である。現在我々は世界中で異なる言語を使用しているが、もし世界が一種類の言語で統一されていたら、どのような世界になっていたのだろうか、という妄想が止まらない。 以下、本書より抜粋。 Listen more, speak less. Read more, write less.
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面白い。かねてから英文学者とかが訳読擁護論をやることが多いのが気になっていたのだが、そういう話は科学的にやらないといかんのだな。
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外国語学習はインプット≧アウトプットが良いとの事。 文法習得より、意味把握の方を優先すると良いらしい。
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母国語で離れた言葉ほど、覚えにくい、近い言葉だと覚えやすいが、母国語との違いを気付ないまま転用する「負の転移」がある、などと書かれている。 最後に結論が書いていあるけど、なるべく早いうちから、モチベーションの高く取り組むこと、等が書かれています。 ちょっとカタめな研究書風。
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第二言語習得研究という新しい学問の成果を紹介した本です。 第二言語習得研究とは、外国語の学習のメカニズムを、言語学、心理学、脳科学などからのアプローチによって解明する学問分野で、第二次大戦後のアメリカではじまりました。当初は、言語学と心理学のそれぞれの分野で当時の主流だった構造...
第二言語習得研究という新しい学問の成果を紹介した本です。 第二言語習得研究とは、外国語の学習のメカニズムを、言語学、心理学、脳科学などからのアプローチによって解明する学問分野で、第二次大戦後のアメリカではじまりました。当初は、言語学と心理学のそれぞれの分野で当時の主流だった構造主義言語学と行動主義心理学に基づく外国語習得論が提唱されましたが、これらの理論は言語学や心理学の理論からトップ・ダウン的に導かれたものであり、学習者に対して十分に目を向ける態度が欠けていました。 その後の第二言語習得研究の主流は、実際の学習者の詳しいデータに基づく実証的研究へと移っていきました。本書は、この新しい学問分野である第二言語習得研究の成果を示しながら、外国語習得のメカニズムについてわかりやすく解説しています。 ところで、第二言語習得研究はまだまだ発展途上なので応用はできないという意見も存在するが、著者はこうした立場に与していません。本書では、これまでの第二言語習得研究の成果を生かして、効果的な外国語学習法の提言にまで踏み込んで解説がおこなわれています。ただし、細かいトレーニング法が提唱されているわけではないので、読者がそれぞれ本書で参照されている研究成果を消化して具体的なトレーニングのプランを作成しなければなりません。それでも、このようにみずから主体的に学習プランを組み立てることで、習得への動機づけが高められるように感じました。
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"母国語以外の外国語を学ぶことについて研究している様々な事例から、効果的に第二言語を習得するにはどんな学習がよいのか! なんだか、こんな本ばかり読みながらなかなか英語の勉強を始めない自分。 この本のようなやり方も参考にしながら学習していきたい。 この本で印象に残っている...
"母国語以外の外国語を学ぶことについて研究している様々な事例から、効果的に第二言語を習得するにはどんな学習がよいのか! なんだか、こんな本ばかり読みながらなかなか英語の勉強を始めない自分。 この本のようなやり方も参考にしながら学習していきたい。 この本で印象に残っているのが、アメリカがスパイ活動で情報収集するには、相手国の言語を操れないといけない。そこで、いかに効果的に外国語をマスターするかという研究をしていたというところ。 効果的な方法は最後の章にまとめてある。 好きな分野のインプットを基本に 例文の暗記 アウトプットは毎日少しでも ・・・ がんばろう!"
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第二外国語の習得が母語に比べて圧倒的に遅いのは、以下の2つの理由によると考えていた。 1)圧倒的なインプット量不足。相当勉強している人でも朝起きてから寝るまでに見聞きする外国語の比率は半分にも満たない。普通は1/100から1/1000位ではないか?そうだとすると日本で1年間に習得...
第二外国語の習得が母語に比べて圧倒的に遅いのは、以下の2つの理由によると考えていた。 1)圧倒的なインプット量不足。相当勉強している人でも朝起きてから寝るまでに見聞きする外国語の比率は半分にも満たない。普通は1/100から1/1000位ではないか?そうだとすると日本で1年間に習得する日本語知識と同レベルの外国語知識を獲得するには100年から1000年かかることになる。子供が言葉を覚える時も、最初は文法も発音も稚拙だが、親が付きっきりで正しい表現を都度教えていく。第二外国語を学習するのにもネイティブが24時間付きっきりで間違いを正してくれたら上達が速いと思う。 2)記憶への定着が悪い。人は意味記憶よりもエピソード記憶の方が圧倒的に記憶しやすい。母語を覚えるのは一連の体験の中で文脈を持って覚えていくから言葉の意味や、それが使われた状況を含めて記憶している。一方で外国語はテキストを読んで覚えるから日常の文脈から切り離された意味記憶となり記憶が定着しにくい。自分の場合も海外で覚えた表現はいつまでも覚えているものだ。 本書を読んでも上記の確信は変わらないが、これに加えて最初に覚えた言語がフィルタになって新しい言語の習得を阻害する可能性があることを知った。なるほど、確かにそれはありそうだ。 第二外国語の習得に関する科学的なアプローチがこんなにも研究されているとは思わなかった。40年前に知っておけばと悔やまれる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
p97 の動画は今は見られないみたい。 p181の教授法、日本であるかなあ。 外国語で情報を入手するレベルまでなるべく早く到達する努力。 聴覚優先教授法、沈黙期を保証してやる。インプット+文法的言語処理のためのアウトプット(リハーサル)の必要性。インプットの量を増やす。例文暗記に必要語を入れ替える。 言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。意識的な学習は発話の正しさをチェックするのに有効。自動化により実際使える能力に貢献。普通に聞いているだけでは気づかないことに気づかせ、理解による自然な言語習得を促進する。 十分なインプット。分野を絞り、専門分野と興味のある分野について。リスニング、20%理解より80%理解のほうがいい。回数多く。自国のニュースを対象言語で聞く。 例文暗記。よく使う表現、例文、ダイアローグ。 アウトプット毎日。日記、独り言録音、学校や会話喫茶、ネットチャット。アウトプット時、まずは意味を通すこと優先。次に正しい文、正しい発音。正確さと流暢さのバランス。 コミュニケーションストラテジー。時間稼ぎ、パラフレーズ、得意でない分野の回避等の決まった表現。 文を作れる程度(高1くらいまで)の文法。適性と学習方法の組み合わせ。 文法は家庭学習に回し、教室では理解可能なインプットを与える。文法精読と内容理解多読。多量の英文を読ませる。TorFを英語で聞かせて判断。 カーネギーメロン。文法事項を使った学生同士のインタビュー。課ごとによく使われる構文表現が入ったダイアログ暗記。宿題で自分のことについて書く。
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第二言語習得に関してエビデンス・ベースに科学した本。母語習得はほぼ間違いなく成功するのに、第二言語はなぜ失敗することが多いのか。子供ほど成功しやすいが、習得に臨界期が存在するのか。適性や動機付けの影響はあるのか。また、言語を習得するというのはどういうメカニズムか。母語と第二言語で...
第二言語習得に関してエビデンス・ベースに科学した本。母語習得はほぼ間違いなく成功するのに、第二言語はなぜ失敗することが多いのか。子供ほど成功しやすいが、習得に臨界期が存在するのか。適性や動機付けの影響はあるのか。また、言語を習得するというのはどういうメカニズムか。母語と第二言語で異なるのか。などなど、この分野での現在までの研究結果の到達点を解説しています。効果的な学習法を手っ取り早く知りたいという人というよりも、第二言語習得という言語学に興味ある人にオススメです。 一番興味深かったのは、アウトプットが習得に与える影響の有用性に議論がある点。素人考えでは、効果あるのが常識かと思っていたが、内的なリハーサルだけでも効果があるので、インプットのみが習得に有用という見方もあるのだなと。 個人的に、4月から管理部門の有志を集めて英語講座のストリーミング放送を聴いているのですが、学ぶ立場だけでなく教える立場としてもどうしたら効果的なのか考える機会も多く、ちょいネタとしての活用の余地も含めて非常に参考になりました。
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