下流大学が日本を滅ぼす! の商品レビュー
日本では少子化が進む中、2007年には大学・短大の入学定員と受験者数比がついに1:1となり「大学全入時代」と呼ばれるようになって久しい。人気校ではなく学生の確保に苦しむ大学の多くは合格ライン以下の受験生まで入学させ、4年間ロクに勉強もさせず社会に送り出している状況だが、これを「不...
日本では少子化が進む中、2007年には大学・短大の入学定員と受験者数比がついに1:1となり「大学全入時代」と呼ばれるようになって久しい。人気校ではなく学生の確保に苦しむ大学の多くは合格ライン以下の受験生まで入学させ、4年間ロクに勉強もさせず社会に送り出している状況だが、これを「不要な高速道路をばんばん造って国民の借金を増やす悪名高き道路行政と同じ」と糾弾するのは、マーケティング・アナリスト(消費社会研究家)で、ベストセラー本・『下流社会』(2005)でも知られる三浦氏。学力が低いだけでなく、「ひよわで、甘えん坊で、自己愛の強い」学生たちの実態を探り、そんな学生を生み出す入試・教育制度にメスを入れ、「まともな人間」を創り上げるための処方箋を示す。
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大学全入時代となり大学生のレベルが全体的に下がったというのは人口に膾炙しているハズだが、なぜ改善されないのか?というのはよく考えると不思議な問題ではある。 イチバン手っ取り早いのは大学の数を減らして、どうしても大学に入って勉強したい意思と学力がある者のみを入学させる(著者の提言で...
大学全入時代となり大学生のレベルが全体的に下がったというのは人口に膾炙しているハズだが、なぜ改善されないのか?というのはよく考えると不思議な問題ではある。 イチバン手っ取り早いのは大学の数を減らして、どうしても大学に入って勉強したい意思と学力がある者のみを入学させる(著者の提言では進学率を20%にするとの事なので定員6割減)ことなのだが、大学を減らすと権限・勢力範囲が減少するので文科省が嫌がる、普段はアレコレ物言う大学の先生達(特任教授を名乗る著名人も含む)は職場を失ってしまうので大学削減の具体的な提言をしないし問題視しない(ゆとり教育のせいにする)、といった構造的問題がありレベル向上への改革が進まず、マスコミレベルで「大学生はバカばかり」と揶揄して終わりになってしまうという事に気が付かされる。 よって、政治の力でどうにかするしかないのだが、6000億以上の公金が投入されているにも関わらず国民の関心がいまひとつなのはなぜなのか?それは未成年を持つ親にとっては減らして欲しくないし、学費も減らしたいのでもっと公金を出せという事になるし、卒業してしまえば関係ない話になってしまうからだろう。しかし、大学教育のあり方はあらゆる面において日本の将来を左右するものであり、全国民がもっと関心を持つべきテーマではある。 本書は最後に提言があるのだが、そこに「オンライン大学の推進」がある。現在でも放送大学や通信制の大学はあるが、今回のコロナ騒動によって、各大学が一斉にオンライン化を始めた。これをきっかけに大学のあり方が変わるか否かに注視してみたい。
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著者があとがきで「語りおろし」と書いているように、のっけから著者の語りが大暴走、完全に居酒屋でクダをまいているオヤジと化してトバシまくる。言いたい事は分からなくもないがこれをそのまま書籍にしてしまうのは果たしてどうなのか。出版社と著者のモラルが問われる。
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大学進学者が多すぎる、高等教育を複線化すべきという著者の問題意識には共感すべき部分があるが、本書の内容は酷すぎる。典型的な感情的「最近の若者は」論で、匿名の大学教授発言などソースも不確かなものばかり。何より文体が下劣。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2008年刊行。分析の根拠が甘いという気もするが、印象論としては著者と同感。ただ、大学進学率が全体の5割となれば、本書のような実態をもってもそれほど不思議ではない。官僚養成をベースとした高等教育は意義を喪失しており、その学習テーマももっと多様化すべき。その情報が公開された上で大学選択をすべきなのだろう。軽い読み物なので、短い時間なら一読してみても、との感。「女子大生キャバクラ」の件は、リアルか否かは兎も角、笑ってしまった。
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Wed, 01 Oct 2008 義父が「このネタ,僕が書こうかとおもってたくらいや」といっておりまして,僕も大学教員として気になったので,買ってみた. モンスターペアレンツに学力が低下する中流大学の学生達.基本的にデータをある程度元にしながら, 三浦展の言いたいことを好き勝...
Wed, 01 Oct 2008 義父が「このネタ,僕が書こうかとおもってたくらいや」といっておりまして,僕も大学教員として気になったので,買ってみた. モンスターペアレンツに学力が低下する中流大学の学生達.基本的にデータをある程度元にしながら, 三浦展の言いたいことを好き勝手に言ってて,それを多分誰かがまとめているんじゃないかと思った. 三浦氏は「ファスト風土化する日本」が有名ですね. 本人は学術のひとでないので, 「別にちゃんとした根拠無く言っているのもあるし,推量もあるが,多分当たってる. 」 まぁ,ちゃんとしたデータを元にしないからハッキリした口調でバリバリいえるんだけどね. 僕を含め行儀のいい学者は 「~は否定できない」とか「・ ・・の可能性がある」 とかしか言えなくなりますので. だって,世の中に絶対ってないんだもん. 面白いのは,名前はイニシャル化しながら結構,大学教員や学生, 親御さんの生の声を書いているところでしょうか. 共感した論点をいくつか. ・大学全入時代は低所得者極度の経済的負担を強いるし,為にならない. 僕がいうのもなんだけど,大学の学費はバカにならない. しかも,この年頃の若者はいろいろ入り用だし,僕もそうだったが独立心がメキメキでてきて一人暮らしだとか自動車だとかをほしがる.金がかかる. 年収750万円のサラリーマンでも娘の大学その他の教育費用に半分が消えるという話があった. ところで,大学で習うような事は全人口の50%以上に本当に必要なんだろうか? そんな事はない. 技術を学ぶ人,世の中を支える様々な直接労働を行う人は, 22歳まで大学なんかでのんびりやるより, もっと早い段階から職業訓練というかしっかりしたトレーニング or OJTに入ったほうが多分,本人の為,世の中の為である. 何に使えるのか分からない,面白くもない講義など聴いても仕方なかろう.それはまた,生涯学習などつうじて学べばよい. 第一,大学でちゃんと「学ぶ」人がどれだけいるのだろうか. ほとんどの人は「ブランド」や「卒業資格」だけが欲しくて行っている気がするし,大学もそれを利用して商売をしているきらいすらある. それにしては高いのだ. 日本人のブランド好き,記号好きをとがめても仕方ないが, 確かに大学全入のプレッシャーは多くの人を不幸にしているかもしれない. ・大学教育は労働教育としての効果が低い 僕の持論として,教育はもっと労働教育(社会における競争力を増すための教育)に比重を置くべきだ. いってみりゃ明治の気持ちに戻るべきだくらいにおもっているのだけど, まぁ, ご存じ大学はちょっとちがいますよね.特に教養とか幅を重んじる風潮が大きい. 人格形成などと,講義だけに出てると確実に出来ないものを大学生活に求めたりする. その時点でやるべきことはサークルや慈善活動などの課外活動ですね. もっとも,僕は工学系なのに,哲学だの社会学だの読み漁る類の,エセ文化人モドキなので, 使えない勉強をするのはそれなりに良いし,そういう仕事なわけなのだが, 日本人が全員文化人になったら日本は滅びますヨ. 確かに,大学全入はそういう点でも難しい問題をだすなあ. 大学全入で日本は貴重な若者資源を失っているのではないか・・・・ まぁ,それなりには面白い本でしたが,あまりのテキトーさに,「こらこら」と思う面もありました. こういうので改めて親の視点から,教育にかかる金を考えるとホント入り用ですよね. 私,中高私立で,大学は国立でしたが,博士課程までいっちゃったし. 塾もいってたし.ほんま, 親はぎょうさん使ってくれてたんやなーと思いますね. うーん.それでいて行っている間は特に感謝もせず・・・・子供って怖い・・. 息子も4月から幼稚園,いやはや,その逆の立場が徐々にやってくるのですね・・.ひゃー.
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笑えることも笑えないこともたくさん書いてある。 でも、結局は否定的なスタンスなのだろうな。 少しふざけた話し言葉で書いているのは照れ隠しなのか。 若干言いっぱなしで説得力を失っているのは残念。 もう少し真正面から取り上げれば良いのにとも思うが、著者にとっては「下流社会」ほ...
笑えることも笑えないこともたくさん書いてある。 でも、結局は否定的なスタンスなのだろうな。 少しふざけた話し言葉で書いているのは照れ隠しなのか。 若干言いっぱなしで説得力を失っているのは残念。 もう少し真正面から取り上げれば良いのにとも思うが、著者にとっては「下流社会」ほど真剣に取り組む気にならないテーマなのかな。
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大学全入時代になって、ほんらい大学に来るべきではない学力の大学生が大量に生まれるようになった実態を語り、将来に向けての処方箋を提示している本です。 もちろん大学は学問をする場所であるわけですが、大学進学率が5割に達し、大学にも学生を社会に送り出す役割が期待されている以上、大学の...
大学全入時代になって、ほんらい大学に来るべきではない学力の大学生が大量に生まれるようになった実態を語り、将来に向けての処方箋を提示している本です。 もちろん大学は学問をする場所であるわけですが、大学進学率が5割に達し、大学にも学生を社会に送り出す役割が期待されている以上、大学の側もそれに答える社会的な責務が生じていることは確かでしょう。もっとも、それが直接的な職業訓練のような形を取るべきだとは思いませんが。 それはともかくとして、本書は語り下ろしなのですが、妙に馴れ馴れしい文体になじめませんでした。
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私立大学図書館で働いている。 図書館内でのゴミ放置、飲食、大声での談笑・・・と幼児の相手をしている気分(いや、教えれば出来るようになるだけ幼児の方がよい)になることにも、 入学・卒業式・入試(!)への保護者・祖父母・兄弟の同伴にも、 大学が学生&保護者をお客様扱いなことにも、 い...
私立大学図書館で働いている。 図書館内でのゴミ放置、飲食、大声での談笑・・・と幼児の相手をしている気分(いや、教えれば出来るようになるだけ幼児の方がよい)になることにも、 入学・卒業式・入試(!)への保護者・祖父母・兄弟の同伴にも、 大学が学生&保護者をお客様扱いなことにも、 いちいち驚き、呆れながらも、だんだん慣れて来てしまった。 つまり、本書の内容がそれだけありふれた日常であるということ。 内輪の愚痴のような文章が非常に残念。 この問題は大学に限らず、とても根深くなっていると思うので、真剣に論じて欲しいけれど、書かれている通り、当事者は具体的には取り上げたくないので検証が難しいだろう・・・。
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大学について知りたくて読書。 本書を読むとしまむらへクレームつけてスタッフに土下座させた写真を公開して逮捕された女性クレーマーや大手FC店のアルバイトたちが不衛生で不適切な写真を公開して問題なったなどのニュースを思い出す。 本書の趣旨はともかく、日本の教育問題の根幹は大学であ...
大学について知りたくて読書。 本書を読むとしまむらへクレームつけてスタッフに土下座させた写真を公開して逮捕された女性クレーマーや大手FC店のアルバイトたちが不衛生で不適切な写真を公開して問題なったなどのニュースを思い出す。 本書の趣旨はともかく、日本の教育問題の根幹は大学であることは同感。職業として教育に携わったことがある多くの人の共通認識だと思う。教育は上が変わらないと下は変化しない。 大学側の都合で作られたようなAO入試は不要だし、推薦入試自体さえも不要だと思う。さらに私立の付属校からの大学への進学ももっと厳しくするべき。同じ私立大学卒業であっても学力、経験格差が広がっている。 本書で取り上げる統計の根拠はともかくとして、大学貧乏は非常に問題だ。大学のランクに比例して親の所得が上がることやシングルマザー家庭だと大学進学は現実的に難しいことも知ることができる。 オンライン大学の拡充や早く社会へ出すは賛成。一流大学と呼ばれる大学ほどオンライン化を進めると効果がありそうだ。 学歴による弊害は日本では以前と比べると小さくなってきてきており、大卒だろうと専門卒だろうと高卒だろうとそれほど影響はなくなりつつあるかもしれない。しかし、海外で就労ビザ取得条件に学歴を設ける国もあり、就業機会を狭める現実もある。たとえば、シンガポール、香港は、ほぼ大卒以外では就労ビザは許可されない。中国も原則大卒以外は就労ビザは許可されず、近年は原則に基づくように強化されている。 この学歴の大卒規定の興味深い点は、東大、早稲田卒でも地方の3流大学卒でも同じ扱いという点。将来を機会を失わないためにも、どんな大学でもいいので、資格として大卒資格は持っておいた方がいいとも言える。こうなるともはや身分証明書代わりの運転免許証に近いのかもしれない。 読書時間:約1時間35分
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