病が語る日本史 の商品レビュー
入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か前に気になって購入してあった著者だ。 著者は1935年生まれ、この時代に女性で大学、しかも医学部を出るなんて相当レアなケースであるまいか。大学院で医学史を修めている大変研究熱心な方だ。 第一部の「病の記録」は面白い。天平、奈良、平安時...
入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か前に気になって購入してあった著者だ。 著者は1935年生まれ、この時代に女性で大学、しかも医学部を出るなんて相当レアなケースであるまいか。大学院で医学史を修めている大変研究熱心な方だ。 第一部の「病の記録」は面白い。天平、奈良、平安時代にどんな病気が記録されどのように病気をとらえて治療に当たっていたか、当然科学的アプローチはなくほぼ神仏への祈祷しかない時代だ。また病気による死が世継ぎ問題に直結している有様なんかも興味深い。よくこの切り口でまとめていただいたと思う一冊だ。
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日本史を病気という切り口で見ていく一冊。日常的な病気から流行病まで広く概観している。 ところどころ教科書に出てくる歴史上の人物とクロスオーバーさせているので、自分ごとにしやすく、理解も進む。 随所で文学作品の記述を通して病気を見ているのも面白い。当時の病気を知る上で文学作品も重要...
日本史を病気という切り口で見ていく一冊。日常的な病気から流行病まで広く概観している。 ところどころ教科書に出てくる歴史上の人物とクロスオーバーさせているので、自分ごとにしやすく、理解も進む。 随所で文学作品の記述を通して病気を見ているのも面白い。当時の病気を知る上で文学作品も重要な史料になるようだ。 医療技術の進歩や衛生環境の改善で淘汰される病気(寄生虫による病気など)があれば、生活習慣の変化によって新たに問題となる病気(生活習慣病や公害病など)もあった。日本人と病気との付き合いにも歴史ありだ。
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2021/7/8読了。 この本の趣旨とずれるが、最後まで読んでみて思ったことがある。 教科書でさらりと流していた、教科の一つとしての日本史だったが、大昔から現代まで人々の営みが地続きであることが実感できる内容であるなということだ。 当たり前のことだけど。 例えば、藤原道長...
2021/7/8読了。 この本の趣旨とずれるが、最後まで読んでみて思ったことがある。 教科書でさらりと流していた、教科の一つとしての日本史だったが、大昔から現代まで人々の営みが地続きであることが実感できる内容であるなということだ。 当たり前のことだけど。 例えば、藤原道長が糖尿病に苦しんでいたという当時の日記を追うと、今と変わらない病に平安時代から苦しんでいたんだ、という、変な話だが親近感が湧く。 そして大抵病を患うと神頼みが始まるのだが、原因の分からない当時は真剣に拝んでいたのだろう。医学の進歩には感謝しかない。 歴史に少しでも興味があるなら、病に興味がなくともこの本は楽しめるとおもいます。
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いまだかつてない災厄に見舞われているかのような雰囲気が蔓延している2020年。でもさ、ずーっと昔から人は病とつきあわされてきたんだよね。
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人口減少社会を生きる我々は縄文人よりも豊かな生活を送ることができるだろうか? 消費税を10%に増税し国民に負担ばかりを強いてくる国家で弱者を守ることは可能だろうか? 学校で繰り広げられるいじめが大人社会を映したものであるとすれば、我々は弱者を踏みつけにすることで社会の安定を保って...
人口減少社会を生きる我々は縄文人よりも豊かな生活を送ることができるだろうか? 消費税を10%に増税し国民に負担ばかりを強いてくる国家で弱者を守ることは可能だろうか? 学校で繰り広げられるいじめが大人社会を映したものであるとすれば、我々は弱者を踏みつけにすることで社会の安定を保っているのだろう。 https://sessendo.blogspot.com/2020/03/blog-post_23.html
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文献に残る限り昔(日本武尊まで!)に遡って、日本における病気と人との歴史を紐解いた一冊。 時系列で丁寧に追っていくので読みやすいです。 時代によって病気の流行り廃り、名称の変化、などもあったのですねー。藤原道長は環境的にも家系的にも糖尿病になりやすかったとか、鎖国中は日本にインフ...
文献に残る限り昔(日本武尊まで!)に遡って、日本における病気と人との歴史を紐解いた一冊。 時系列で丁寧に追っていくので読みやすいです。 時代によって病気の流行り廃り、名称の変化、などもあったのですねー。藤原道長は環境的にも家系的にも糖尿病になりやすかったとか、鎖国中は日本にインフルエンザが流行らなかったとか。 面白かった。
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古代より日本ではどのような病があり、それがどのように歴史に関わったのかを知ることができます。 当然のことながらウイルスや病原菌の存在は知られておらず、流行り病は、怨霊や物の怪、はては天皇の失政に対する神々の怒りのせいということで、大仏を建てたり僧侶を集めて読経させたりお祓いしたり...
古代より日本ではどのような病があり、それがどのように歴史に関わったのかを知ることができます。 当然のことながらウイルスや病原菌の存在は知られておらず、流行り病は、怨霊や物の怪、はては天皇の失政に対する神々の怒りのせいということで、大仏を建てたり僧侶を集めて読経させたりお祓いしたりと、どんな権力者であっても神仏に頼るほかはなかったのです。 現代ですらアヤシげなサプリやトンデモ系健康法などが跳梁跋扈しているのですから、治療法の確立していなかった時代の人々にとってはそれも無理からぬことだと思います。 本書には、マラリア、コレラ、ペストに赤痢と数多くの病名が出てきます。それどこの国…と絶句しそうになるくらい。 王朝文化咲き誇る鳴くよウグイス平安時代の裏側も、想像以上にシビアでした。 またそれ以外にも市井に蔓延した数々の流行り病や、糖尿病や胃がんなどに苦しめられた歴史上の人物についても解説されており、興味深い一冊です。
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なるほどね~。 だから痛風だったり破傷風だったりするのか ってのが判っただけでも なんか忙しいなか読んだ甲斐があったよ。
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古代から現代まで,日本人と病気のかかわりを読み解いていく。 近代化以前はやはり病気についての知識も乏しく,史料も不十分なので,あとから分かることというのはそんなに多くない。それでも貴族や,戦国大名など,大人物については記録された病状から持病や死因が特定できることも。道長は糖尿...
古代から現代まで,日本人と病気のかかわりを読み解いていく。 近代化以前はやはり病気についての知識も乏しく,史料も不十分なので,あとから分かることというのはそんなに多くない。それでも貴族や,戦国大名など,大人物については記録された病状から持病や死因が特定できることも。道長は糖尿病を患っていたそうだし,家康・信玄は胃癌で亡くなった可能性が高いようだ。清盛は瘧(おこり:マラリア)で死んだのかも知れない。 このように偉人の病気を詮索するのもよいけれど,病気の種類ごとにその歴史をたどるのも興味深い。特に,欧米から病気の知識とともに病原菌も一気に入ってきた幕末・明治期は,日本医学史の激変期で,牛痘の導入,コレラ禍,ペストの防疫成功,脚気論争,など,様々な重要事が集中している。漢方から西洋医学へのシフトが急速に進んだのは明治初期で,病名は新しい翻訳漢語に読み替えられた。疝気や癪など広く使われた漢方の病名も死語となり,わずかに「中風(卒中風)」が「脳卒中」の中に名を残すくらい。 著者は医学部を出た医史学者ということで,専門の医学に関することはおそらく万全なんだろう。けど,平清盛のところで,「実は白河院の落胤であった。」と断言してるようなところは少々迂闊かなとも感じた。
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