病が語る日本史 の商品レビュー
考古学資料や文献から日本の病気史を辿る。政治史や経済史とは違った面白さがある。 文章は平易で読みやすい。
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遺跡から発掘される病や怪我の跡。昔は今では亡くならないような病気をこじらせて死んでいく人がたくさんいた。一方、今では歩くのもままならないような大怪我をしながらも自然治癒に任せて生き延びた人もたくさんいた。矢が刺さったまま、骨がかたまってしまった人骨の話は大変興味深い。 遣唐使を派遣した翌年から、疫病が全国的に広がったらしい。平城京への遷都も疫病を免れるためだったが、遷都によって農民の負担が増えて飢饉を引き起こしたという。 興味を持つような出来事がたくさん並べられていて、読みやすい一冊。病の世界史なら「感染症は世界史を動かす」「疫病と世界史」を、病の日本史なら本書をおすすめしたい。
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はっきり言って歴史は苦手だ。 でも、医学だとかそういう類いのものには興味があって そこから切り込んだ歴史の読み物(しかも事実ときた!)は 苦もなく読めてしまった。 教科書には有名な人物の没年数は書いてあっても その原因は載っていない。 人が生きて、そして死ぬという道筋の中にはド...
はっきり言って歴史は苦手だ。 でも、医学だとかそういう類いのものには興味があって そこから切り込んだ歴史の読み物(しかも事実ときた!)は 苦もなく読めてしまった。 教科書には有名な人物の没年数は書いてあっても その原因は載っていない。 人が生きて、そして死ぬという道筋の中にはドラマがある。 華やかな一面だけではなく、 遠いむかしの想像もできない様な世の中を 『病』を通じて想像し易いものにした本だと思った。 今の医学では簡単に治る病気も 昔は命取りになりかねないものだった。 『医者』には免許は無く そう言った知識に優れていたものが頼られていた時代。 苦手だった歴史もこう言ったものならば また読みたいと思いました。
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古代~現代まで、病と人々の関係をわかりやすく解説されてます。 歴史と病と、関係はあまりないと思っていたのですが、そんなことなかった。 文化と宗教と政治と、様々なことに関係していて、ともに生きていたものだったのだなあと。 なんだか、歴史を見る目が変わりそうです。 とても興味深く読...
古代~現代まで、病と人々の関係をわかりやすく解説されてます。 歴史と病と、関係はあまりないと思っていたのですが、そんなことなかった。 文化と宗教と政治と、様々なことに関係していて、ともに生きていたものだったのだなあと。 なんだか、歴史を見る目が変わりそうです。 とても興味深く読みました。
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藤原道長が糖尿病だったと聞いて、きっと日本一の贅沢をしていただろうから糖尿病であったのもうなずけると、肖像画や望月の歌を思い浮かべる人も多いと思う。しかし原因は贅沢だけでなく、藤原一族には糖尿病素因があり、一族の中の何人も糖尿病に苦しんで亡くなった人がいるそうだ。 『古事記...
藤原道長が糖尿病だったと聞いて、きっと日本一の贅沢をしていただろうから糖尿病であったのもうなずけると、肖像画や望月の歌を思い浮かべる人も多いと思う。しかし原因は贅沢だけでなく、藤原一族には糖尿病素因があり、一族の中の何人も糖尿病に苦しんで亡くなった人がいるそうだ。 『古事記』に出てくる神話の時代のヒルコの話から、昭和のサリドマイド事件の話など広い時代にわたってのエピソードが面白い。 平安時代には物の怪が病の原因だと思って祈祷師を呼んだり、江戸時代になってもまじないで病を治そうとしたりといったことは、現代の人々から見れば、一見、ばかばかしく思える。しかし、現代の一般の多くの人は、病気の原因となるウイルスや菌を実際に見たことがあるわけでも、自分で薬を調合しているわけでもなく、単にそれが正しい知識であると教わっているから、病気の原因が何であり、薬を飲めば治るのであると思っているにすぎない。それを考えると昔の人も今の人も、やっていることは同じなのではないかと思った。
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著者が考察した歴史の解釈や専門でなさそうなところは、ツッコミどころ満載(特に近世・近代以前)だし、重複箇所が多くかったですが、その辺りは読み飛ばしました。その所為か評価はそこそこです。 著者の視座が歴史資料の病気の記述から日本史を見ていくという姿勢ではなかったです。それを期待する...
著者が考察した歴史の解釈や専門でなさそうなところは、ツッコミどころ満載(特に近世・近代以前)だし、重複箇所が多くかったですが、その辺りは読み飛ばしました。その所為か評価はそこそこです。 著者の視座が歴史資料の病気の記述から日本史を見ていくという姿勢ではなかったです。それを期待すると肩透かしにあいます。
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日本の歴史と病気との関わりを追った本。著者は医史学専門の人。いろんな学問があるものです。大まかに、縄文弥生時代から時代を追って、時代ごとの病気について述べられている。縄文・弥生の場合、骨や遺物から探ることになるため、外傷や奇形などにどのようなものが見られたかがわかる。古代になって...
日本の歴史と病気との関わりを追った本。著者は医史学専門の人。いろんな学問があるものです。大まかに、縄文弥生時代から時代を追って、時代ごとの病気について述べられている。縄文・弥生の場合、骨や遺物から探ることになるため、外傷や奇形などにどのようなものが見られたかがわかる。古代になってくると、文書で残る記録から、誰は何の病気であったかの推測が可能になる。それもそれでおもしろいのだが、やはり時代がもう少し下って、感染症の話あたりがおもしろい。安政に流行ったコレラ。ペリーが来航して日米通商修好条約が結ばれる少し前、長崎港に入港したアメリカ船の船員がコレラに感染していて、ここから大流行が始まる(ちょうどジョン・スノウがコレラが経口感染することを突き止めた頃だ)。ペリーが来たり、大地震があったり、安政の大獄があったり、安政って大変な時代だったんだなぁ。天然痘も古くから恐れられていた病気であり、日本でも「もがさ」と呼ばれて恐れられ、もがさ封じのための錦絵などがあったという。ジェンナーの種痘が伝わるより前に、日本でも、病人の瘡蓋を粉にして未感染児の鼻に吹き込むなどの人痘接種法があったのだそうだ。それなりによい成績を挙げていたが、ジェンナーの種痘法には及ばなかったらしい。また、ペストの伝来は明治29年。防疫に努めた結果、日本ではヨーロッパほどの大流行には至らなかった。時代が下ってからの伝来であったことも幸いしたのだろう。
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