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天使のナイフ の商品レビュー

4.1

411件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2021/10/02

薬丸岳さんの少年犯罪シリーズ。 昔から読みたかったがやっと読めた。 全体的にテンポ良く進むが、桧山が少年少女に襲われたところから安い邦画を見てるような感覚になった。 ただそれも読むに連れて惹き込まれて中盤〜最後まではイッキ読みできたのでやはりテンポが良いのがよかった!

Posted byブクログ

2021/09/30

幼い娘の目の前で、13歳に満たない少年達によって妻が殺された。 未成年というだけで法に守られ更生の名の擁護をされる少年達。被害者遺族の慟哭を黙殺するように審判は進行していく。犯罪被害者家族の存在には目もくれない。罪を認め更生し社会復帰をさせる為、被害者遺族との接触を頑なに阻止する...

幼い娘の目の前で、13歳に満たない少年達によって妻が殺された。 未成年というだけで法に守られ更生の名の擁護をされる少年達。被害者遺族の慟哭を黙殺するように審判は進行していく。犯罪被害者家族の存在には目もくれない。罪を認め更生し社会復帰をさせる為、被害者遺族との接触を頑なに阻止する体制に、「擁護派」「否定派」のこの極端な二択が産まれる。この衝突は、今もどこかで様々な慟哭を引きずり出しているのだろう。 贖罪感情を深められない矯正教育が軸となった少年犯罪法「否定派」をテーマにしたゴリゴリの社会派ミステリー。...だと思っていた。 ーーーーーーーーーーー 妻を殺された桧山は娘と妻の友人だった保育士のみゆきや職場の従業員達に支えられながら日々を過ごす。妻が殺された時の娘の記憶に脅え、いつか話さなければならない時に加害者の情報、彼等が更生しているのかさえ知る術の無い怒りと悲しみの現実に囚われていた。 ある日、加害者少年 〈少年B〉が殺されたと刑事がやってくる。容疑を否定する桧山だが、次々と少年達にー彼の言葉を借りるならー天罰が下っていく。 ーーーーーーーーーー 本書の魅力はここからだ。社会派の皮をベリベリと引き剥がし、エンターテインメントを魅せつけてくれた。しかしその皮を消して投げ捨てる訳では無い。言うなれば進化、メガ進化である。私はポケモン世代である。 桧山が真実を求め奔走する後半は、ミステリーとしての要素が一層濃くなり本を閉じるタイミングを完全に失った。 薬丸岳の作品はスケールが大きいのに登場人物に無駄が無い。誰もが何かを感じ考え行動している。被害者と加害者、両者の周りの者達、それに影響された者達。全てに魂が宿っている。 ただし、エンタメ性を忘れてはいけない。悪く言うようだが、500ページに満たないこの作品で相関図で言う繋がりを示す矢印が判明する過程や、人物ファイル 驚愕の真実の更新はミラクルが付き物だ。 そんな偶然...いや、そんな奴いな...そんな後付けずっこぃ... なんて現実主義、本末転倒な考えは、それが「楽」をマイナスにしてしまうのなら、遥か彼方に投げ捨てて欲しい。 因みに私はそれをしたせいで読了後、何だかとても勿体無いことをしたような後悔に襲われた。 さて、一言で言うなら本書は「欲張りセット」だ。 社会問題に頭を痛め、ミステリーに頭を痛め、沢山のゴールがある中この着地点を選んだこの結末について最後にまた頭を酷使する。 「改名 欲張り頭痛セット」 檜山と娘の愛美ちゃんにはこれから幸せな日々を送り、沢山の想い出と共に二人手を繋いで進んでいって欲しいなぁ。 解説の高野和明先生も仰っておりましたが、私も気付いたら本書片手にコーヒーとデニッシュをパクついておりました。( "´༥`" )モグモグ

Posted byブクログ

2021/09/20

 数年前に知人に借りて読み、今回はUnlimitedにて。ふと思い出したあらすじが何の本だったか思い出せないことがあって、最初は東野圭吾の「虚ろな十字架」かと思ったが違い、この「天使のナイフ」かと読んでみたらこれもハズレ。少女2人が田舎の村で神社か祠へ向かう途中、片方が事件に巻き...

 数年前に知人に借りて読み、今回はUnlimitedにて。ふと思い出したあらすじが何の本だったか思い出せないことがあって、最初は東野圭吾の「虚ろな十字架」かと思ったが違い、この「天使のナイフ」かと読んでみたらこれもハズレ。少女2人が田舎の村で神社か祠へ向かう途中、片方が事件に巻き込まれるというあらすじ。これが何の本だったか思い出せない。  今の少年法がどうなのかは知らないが、被害者遺族の感情を軽視したが為に、負の連鎖が起こっていくという話。贖罪とは、更生とは何か、どうあるべきかを考えさせられる。贖罪教育のない更生なんてありえないが、「ケーキの切れない非行少年たち」を読むと、また話は違ってくるとは思うけど。もんもんとする。  こちらも被害者だ、と言い切る加害者少年の親には虫唾が走る。「天使のナイフ」というタイトルは、意味はわかるがどうもしっくりこない。天使って純粋無垢で穢れなき存在というイメージなんだけど。

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2021/09/14
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初 薬丸岳 作品。 罪と罰。償いと赦し。更生と贖罪。少年犯罪の人権擁護と矯正教育をテーマにしたミステリ。 少年法のミステリとなると、被害者の家族が中心になりがちですが(本書も同じ)、なぜか、償うことができなかった元”少年”の気持ちが重く、悲しく、最後まで残ってしまった。 結局、少年法は、誰も救えなかったのでしょうか?最後に、そんなことを感じた。 犯した罪の重さは、きっと、加害者には分らない。それを決めるのは、被害者とその家族だけ。 それを、償いと呼び、赦しと呼ぶ。赦せるかどうかわからないし、償えるかどうかもわからない。しかし、向き合うしかない、と語る。そして、自分勝手に”更生”してはいけない、と。 結果、”罪の重さ”を感じる人とわからない人がいる。この違いはなんでしょうか。本書でも、少年犯罪者が何名も描かれているが、”更生”できたのは、2人。矯正プログラムは、機能してるといえるのか。 少年の犯罪は、「前歴」となっても「前科」にはならない、という。しかし、それは他人からは見えない(見せられない)だけで、本人にとっては、”前科”そのものかもしれない。”罪の重さ”を感じる人にとっては、どうすれば、傷を購うことができるのか。きっと、闇はもっともっと広くて深い。 「自分が被害を負わせたり、命を奪ってしまった被害者やその家族に対する贖罪教育と、それをきちんと被害者の方たちに伝えていくシステムが欠けているんです。」という、言葉が重い。

Posted byブクログ

2021/09/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

後半読むのを止められず一気に読んだ。 少年犯罪の捉え方についてとても考えさせられた。 更生とは、教育とは、贖罪とは、、 少年犯罪が更なる少年犯罪を呼ぶという構成で、なんとも言い難い読後感。 描写がわかりやすく、スっと絵が浮かんで読みやすかった。

Posted byブクログ

2021/09/06

妻を殺したのは13歳の少年たち。少年法で守られた加害者と、何ひとつ守られない被害者遺族の対比が描かれた物語。 つい先日、湊かなえの『告白』を映画で視聴。 レビューでも記したが、少年法の在り方には私自身も答えが見出せていない。 薬丸岳は初読。 まず、これがデビュー作とは思えない...

妻を殺したのは13歳の少年たち。少年法で守られた加害者と、何ひとつ守られない被害者遺族の対比が描かれた物語。 つい先日、湊かなえの『告白』を映画で視聴。 レビューでも記したが、少年法の在り方には私自身も答えが見出せていない。 薬丸岳は初読。 まず、これがデビュー作とは思えないほど極めて完成度が高い作品に圧巻。細部までボヤけることなく描き切るスタイルに好感が持てた。 妻を殺され愛娘と暮らす夫の心理描写がとても丁寧に描かれていて、やはり父である私としては感情移入しながら読み入った。 また本作は、被害者側から見た少年法の理不尽さや、加害者の人権とは何か。更生とは何か。贖罪とは何かという命題を読者へ問うてくる。 幾重にも張り巡らされた仕掛け、展開、そして衝撃のラストに、ミステリーとしてとても読み応えのある作品だった。何より、複数の伏線が最後まできちんと回収されていたのが好印象に拍車をかけた。 薬丸岳、長きに渡って積読してきたがこのタイミングで通読しようと思えたのは偶然か、はたまた必然か。 積読棚に鎮座している著者作品があと1冊。 連読しようか否か迷走中の月曜の朝。

Posted byブクログ

2021/08/29

本屋で何気なく手に取った本でしたが、登場人物の人間模様が複雑に絡んでいて何度も驚かされた。 最後の最後まで、これでもかというくらいの展開には読み応えがあった。 他の作品も読んでみたい。

Posted byブクログ

2021/07/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少年犯罪を深く追究する社会派ものと思ってましたが、少し違うようでした。少年たちに妻を殺された桧山は、その少年殺人事件の犯人として疑われたことをきっかけに真相を探り始める。妻、少年たち、弁護士、妻が起こした事件の子ども、これらの関連性が明らかになります。江戸川乱歩賞作品だから推理小説でしたね。主人公の桧山が謎解きする事になるのですが、埼玉県警の刑事が結局何も活躍せず、最後の人質籠城現場で桧山をやすやす中に入れさせてしまうなど、ちょっとあり得ないなと思ってしまった。

Posted byブクログ

2021/05/29

負の連鎖やな。 加害者が被害者になる。 被害者が加害者になる。 更に、それを操る… 子供には可塑性があって、元に戻る力が強い。更生出来るって事なんやろうけど、やっぱり、被害者からしたら、やりきれんもんがあるわな。 それを考えると、やはり連鎖の始めを起こした者には、それ相応の…とは...

負の連鎖やな。 加害者が被害者になる。 被害者が加害者になる。 更に、それを操る… 子供には可塑性があって、元に戻る力が強い。更生出来るって事なんやろうけど、やっぱり、被害者からしたら、やりきれんもんがあるわな。 それを考えると、やはり連鎖の始めを起こした者には、それ相応の…とは思ってしまう。 簡単に更生なんかできないし、簡単に恨みを忘れる事も出来ない… こういうのを納得するには、凄い時間をかけて、被害者と加害者が試行錯誤して、歩みあって出来るんかなぁ… 難しい… この小説では、最後、やりきれん展開なく終わって良かった〜 高野和明さんの解説も良し!

Posted byブクログ

2021/05/20

こういう運命に巻き込まれたとしたら、私なら心が壊れてしまうと思う。主人公に愛実ちゃんがいてくれて良かった。奥様を亡くしただけでも充分に不幸なのに、畳み掛けてくるような不幸の連続。その渦中でもお店を切り回し、愛実ちゃんを育てる主人公に勇気をもらった。

Posted byブクログ