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天使のナイフ の商品レビュー

4.1

406件のお客様レビュー

  1. 5つ

    119

  2. 4つ

    179

  3. 3つ

    76

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

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2024/04/16

いろいろ考えさせられる物語だった。自分の子を一番に考えられない主人公にもどかしさを抱きつつ、自分にはない行動力だなと、感心もした。

Posted byブクログ

2024/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少年犯罪の被害者遺族にスポットを当てているので、同じ著者の作品で、加害者の家族の苦悩を扱った『Aではない君と』と対をなすような作品。この作品については、少年法に守られた加害少年が殺害され、その容疑が被害者遺族である桧山にかかるという点でミステリー要素も強い。 この方の作品はどれも素晴らしいが、この作品も本当に秀逸。被害者遺族として、殺してやりたいほど加害少年たちを憎んでいた桧山。なぜこれほどまでに被害者の人権は軽んじられ、ただ少年であるというだけで加害者は守られるのか。被害者を置き去りにした更生に、一体何の意味があるのか。そんな虚しさを抱えながら、男手一つで娘の愛実を育てながら懸命に日々を過ごす。 しかし事件に巻き込まれ、その真相に迫る中で、無慈悲にも命を奪われたかけがえのない存在であった妻の祥子自身がかつて人を殺し、少年院に入っていたという衝撃の過去を知る。この事実を知ったことで、桧山は少年犯罪の被害者遺族でありながら加害者側の関係者にもなってしまい、否応なしに真の「更生」の意義に直面することになる。そんな葛藤の中で桧山は、生前の祥子が、犯した罪に向き合い贖罪を果たそうとしたことに救いを見出していく。 憎しみの連鎖と少年犯罪の加害者・被害者、その家族の苦しみが残酷なまでに描かれている。 重くて苦しい、答えのないテーマだが、ありきたりな復讐劇や勧善懲悪ではなく真摯にこのテーマに向き合い続けている著者だからこそ描くことのできる唯一無二の作品。 『Aではない君と』と合わせて、少年犯罪に対する処罰感情や自分の価値観が大きく揺さぶられる。 解説で高野和明氏が言っているように「江戸川乱歩賞ぶっちぎりの受賞」も納得の一冊。

Posted byブクログ

2024/03/08

すごくすごく良かったです。 被害者と加害者が複雑に絡み合い、どんどん引き込まれてしまいました。 少年法に守られて事件の真相がわからなかったことが、沢村殺人によって過去の事件に繋がっていく。 もしも違う対応していたら… すぐでは無理でも心から謝罪しづつければ、いつかは受け入れてもら...

すごくすごく良かったです。 被害者と加害者が複雑に絡み合い、どんどん引き込まれてしまいました。 少年法に守られて事件の真相がわからなかったことが、沢村殺人によって過去の事件に繋がっていく。 もしも違う対応していたら… すぐでは無理でも心から謝罪しづつければ、いつかは受け入れてもらえる時がくる。これでやっと罪を償うということになるのか。 いろいろなことをとても考えさせられる作品てした。

Posted byブクログ

2024/02/22

意図せず「13階段」の後に読了。 真ん中あたりからはほぼ一気読み。良かった! ただ…こんなこと言ったら話が進まないから仕方ないんだけど… ・あんなに楽しみにしてたんだから、行動開始は別日にしてプールに連れて行ってあげて ・いい大人が看護学校の受験を控えた彼女を妊娠させちゃダメで...

意図せず「13階段」の後に読了。 真ん中あたりからはほぼ一気読み。良かった! ただ…こんなこと言ったら話が進まないから仕方ないんだけど… ・あんなに楽しみにしてたんだから、行動開始は別日にしてプールに連れて行ってあげて ・いい大人が看護学校の受験を控えた彼女を妊娠させちゃダメでしょ。バイト休憩中も夢叶えるために勉強頑張ってたのに など、最初主人公にはちょっと??だった。

Posted byブクログ

2024/02/05

少年犯罪の被害者家族が,殺人事件の容疑者となる。妻の暗い過去に踏込み,被害者と加害者の立場が逆転,泥沼化。自分の命を救ってくれたとは知らずに死に至らしめる皮肉な巡合せ。示唆に富む作品。

Posted byブクログ

2024/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

薬丸岳さんの出世作のようですな。江戸川乱歩賞をぶっちぎりで受賞した作品らしい。 少年犯罪を描くのが薬丸岳さんの得意とするところだが、この作品がその第一歩だったということか。 主人公桧山は、大宮でコーヒーショップのフランチャイズ店を経営。4年前に生後まもない娘の目前で妻が3人の少年に殺された。 その少年の1人が、桧山の店の近くの公園で惨殺死体として発見され、アリバイのなかった桧山は、被害者の家族から一転、容疑者となった。 少年法の精神と、抜け道、少年犯罪被害者が如何に蚊帳の外に置かれてしまうのかという問題提起もしつつ、少年犯罪に巻き込まれた登場人物たちが複雑に絡み合う。 ネタバレにもなるが、殺害された妻の祥子も少女時代に犯罪を犯しているが、人権派弁護士がそこに意外な形で絡み合うストーリーは意外性があって良く計算されていると感嘆。 ま、よく出来すぎている感はあるが(笑)。 気になるのは、桧山とみゆきが今後どうなる?愛美ちゃんのことを考えれば、きっと再婚するんだろうな。

Posted byブクログ

2024/01/12

妻は13歳の中学生3人に殺された。犯人の少年は年齢から逮捕されることはなく、2人が児童自立支援施設に送致され、1人は保護観察処分となった。4年後、社会に出た犯人の少年が殺害される。犯人は?主人公・桧山貴志の身近にいる女性が犯人?ラストは驚きの展開、過去のいくつもの少年犯罪が重なっ...

妻は13歳の中学生3人に殺された。犯人の少年は年齢から逮捕されることはなく、2人が児童自立支援施設に送致され、1人は保護観察処分となった。4年後、社会に出た犯人の少年が殺害される。犯人は?主人公・桧山貴志の身近にいる女性が犯人?ラストは驚きの展開、過去のいくつもの少年犯罪が重なっていた。面白かった。

Posted byブクログ

2023/12/03

少年法をテーマとした小説。加害者と被害者が複雑に絡み合う。事件の背景の深さ、そしてある人物とのつながりに驚いた。被害者の遺族には様々な感情があるし、どれにも共感はできると思う。しかし、自分にふりかかった場合は想像できない。

Posted byブクログ

2023/11/25

2023.11.25 読了 桧山の妻を殺した犯人は13歳の少年だったため罪に問われることはなかった。 少年法により守られ更正の道を与えられる加害者たちと何の保護もされずマスコミや世間から人権を軽んじられる被害者と被害者家族 絶対に交わることのないはずの立場が入れ替わり立ち替わり...

2023.11.25 読了 桧山の妻を殺した犯人は13歳の少年だったため罪に問われることはなかった。 少年法により守られ更正の道を与えられる加害者たちと何の保護もされずマスコミや世間から人権を軽んじられる被害者と被害者家族 絶対に交わることのないはずの立場が入れ替わり立ち替わりしながら事件の根幹となるものが明らかになっていく。 真の更正ってなんだろう。 加害者に贖罪の気持ちがあったとして被害者やその家族は受け入れられるんだろうか。 互いの思いに寄り添うことができたならこの悲劇はどこかで食い止められたのか。 両方の立場を経験してもスッキリと正解を導き出せる問題ではないのだろうなと思う。 と、いろいろ考えさせられつつも一気読みするぐらい面白い作品だった。

Posted byブクログ

2023/10/27

少年法に関する問題点を描いた社会派推理小説。 主人公の桧山の妻が、自宅で殺される。 捕まったのは13歳の3人の少年たち。 が、14歳未満のため少年法により逮捕はされず、彼らは少年院や保護施設に入り、罪に問われることはない。 被害者の家族は、彼らの事を知ることもできない。 どうやっ...

少年法に関する問題点を描いた社会派推理小説。 主人公の桧山の妻が、自宅で殺される。 捕まったのは13歳の3人の少年たち。 が、14歳未満のため少年法により逮捕はされず、彼らは少年院や保護施設に入り、罪に問われることはない。 被害者の家族は、彼らの事を知ることもできない。 どうやって気持ちの整理をしたら良いのか分からないまま、桧山は少年たちを知りたい一心で、彼らに関わる人達に会いに行く。 そんな時、少年のひとりが何者かに殺害される。 桧山は容疑者として警察からマークされてしまう。 それでも桧山は諦めず、少年たちの事、自分の知らない妻のことを調べていく。 少年法の問題点を浮き彫りにし、被害者側と加害者側からの視点で、はまたまそれを取り巻く関係者の視点で、丁寧に描かれていて、どんどんと引き込まれていった。 被害者であり加害者であり、加害者であり被害者。 被害者の家族が加害者になることもある。 人間の複雑な想いが渦のようになって、絡まっていく。 罪を犯した少年達は、どうやって、いつ、「更生」するのか。 本当の「更生」とは何なのか。 後半は色々なことが怒涛のように押し寄せて、驚きと納得の展開だった。 少し前の小説だが、少年法について知ることが出来て良かった。

Posted byブクログ