空飛ぶタイヤ の商品レビュー

池井戸潤【著】

2012/10/10

実際の事件がモデルで、その後の推移はあまり表に出てこなかったので、
興味深く読めた。
赤松社長の頑張りは爽快感があったけど、結果が悲しいだけに下町ロケットほどの読後感はなかったかな。

2012/10/05

とにかく面白かった！
ひとりひとりの人物像がしっかりしていて、無理がない。誰かがヒーローなんじゃない。それぞれが自分の信念のために動き、ときに諦め、ときに自分を納得させながら、全てがゆっくりと束になっていく。
もう一度、とにかく面白かった！！

2012/09/29

大型トラック脱輪事故、その整備不良と決めつけられた零細運送会社が、メーカーの欠陥を疑い奮闘する物語。
事故をきっかけにして苦境に陥るも折れることなく真相究明に走り回る社長、自動車会社の社員、取引銀行の銀行員、・・・など色々な関係者の視点も織り込み、完成度の高いビジネス小説だと思います。
モデルとなった事件を思い出さずにはいられませんでしたが、その分緊張感を持って読めました。
現実はこうはいかないと思いながらも、主人公やその支援者の行動に感動した一冊で、お勧めです！

2012/08/06

赤松運送のトラックのタイヤが外れて起きた死亡事故。何故起きてしまったのか？　赤松運送の整備不良なのか、自動車会社の製造欠陥なのか？

　読み手の立場で感情の置場が異なる作品かもしれない。「自分がこの立場ならどうするだろうか…」そんなことを考えてしまう。

　大企業には大企業の、中小企業には中小企業のその持場立場でなければわからない世界があるであろうから、私ごときがその体質云々を語ることはできないけれど、一つだけ言える事は勧善懲悪。そう、正義は必ず勝つということ。悪事は必ずや明るみに出るということだ。

2012/06/01

基本面白いし、引き込まれる。それぞれの登場人物のプライドや情熱に。狭い社会の通念に毒されてまともな考えができなくなってくる。サラリーマンには身につまされる。
ただ、題名や目次が、ふざけていて軽くて、内容と合っていず、いまいち。この題名を見てこの内容を想像できる人はいないだろう。

P172
社長「社員には経営者の発想で仕事しろと言っているんです」
インタビューアー「じゃあ、あなたの会社はみんな社長さんと同じ給料をもらっているんですね」

2012/06/03

タイトルからなんとなく、重松清の「流星ワゴン」が連想されて、読む前はそんなイメージをもっていたのに、全く違いました。

某自動車会社のリコール隠しをモデルに書かれたフィクションだけど、どこまでが事実に沿っていてどこからが違うのかはwikipediaを見ただけではよくわかりませんでした。

途中まではとにかくこれでもか、これでもかってくらい救われない。
小説で読んでいてこれだけ疲労を感じるくらいなんだから、実際の事故から某自動車会社側の起訴まで２年以上、当事者はどれだけの思いをしたのかと、胸が痛くなります。

あの事故はもう10年も前なのね。
実際は違うけど、小説の中ではうちのすぐ近くで事故が起こった設定になっていて、近所の港北警察署は実名で出てきます。

登場人物がめちゃめちゃ多くても、ほぼ混乱はしませんでした。
意味のある登場の仕方だから、前回の登場から時間が経っていて名前は覚えていなくても「誰だったっけ？」ってなる人はいなかったな。
場面の切り替えも、気を持たせている印象は全くなくて、「あっちはどうなったかしら？」くらいのときにちょうど変わる感じでした。

WOWWOWでドラマ化されてるそうなので、見たいな。
ドラマの配役では赤松は仲村トオルだけど、私のイメージは江口洋介。むしろ沢田が仲村トオルのほうがしっくり来る。田辺誠一だと清廉すぎる気がする。田辺誠一は井崎がいい。髪型が銀行マンぽくないかな。
宮代が大杉漣で児玉が斉藤洋介だけど、これも逆な感じ。門田はひいきで大東駿介ｗ

2012/05/03

　「空飛ぶタイヤ」というインパクトのあるタイトルからは想像がつかなかったが、三菱ふそう製トラックの「ハブ」が破損し、外れたタイヤが歩道の母子を直撃して死傷させた、あの事件をベースにしたフィクションである。
　この本の読者は、十中八九、世の自動車メーカーに対して敵意を持ったに違いない。フィクションと但し書きしているとは言え、弱者（過失致死容疑で捜査を受ける運送会社）が、強者（運送会社の整備不良としてリコール隠しする自動車メーカー）に立ち向かうストーリーと、徹底的に大企業の腐った部分ばかりを強調して演出するやり方は、読者に対して一方的に自動車メーカーの負のイメージを植えつけてしまう。このようなナーバスな題材をエンターテイメントとして売り出すのは、正直関心できない。
　ただ、自動車産業にかかわっている方にはぜひ読んでほしい。一連のリコール隠しを一般の人々がどう捉え、クルマに対するイメージをどう変化させたか、被害者の立場を疑似体験することで、自らの業務の重要性を再考する一助になるだろう。

2012/02/27

これは大当たりの経済小説。

けして諦めないこと、粘ること、前を向くこと、家族を守ること、冷静に取り持つこと、期待の向こうに逆境があり得ること、時にはブチ切れてもいいこと

などを教えてくれました。

『下町ロケット』と展開の大筋は近いけど、本策のほうがより慎重で緻密。

そのため、読んでて気は休まりません。

2012/02/15

赤松運送のトラックのタイヤが外れて起きた死亡事故。
整備不良との結論を出され、世間からの信用を失う。
社長赤松はその結論に対し、社員・家族の応援を受け抗う。

題材が2002年の三菱自動車の脱輪事故・リコール隠しにあるため、
著者の「下町ロケット」ほどの読んでいる最中の爽快感はない。
正直暗い気持ちにもさせられる。

しかし、自分を、そして仲間を信じて、自分の誇りを守ろうとする赤松。
次第に悪化していく環境、そしてある時点を契機に起こる好転。
様々な視点から描かれる構成、圧倒的なスピード感、
そして読者の期待に応える内容は、
ボリュームを感じさせることなく、一気に読了に至った。

やはり名作。

2011/12/25

素晴らしい。読後感も最高。
中小企業社長になりたくなる。

この本読まずにコンプライアンスとか言えない。